2012年4月3日火曜日

3/31 Jリーグ第4節 VSベガルタ仙台 @キンチョウスタジアム

■セレッソ大阪 1 - 2 ベガルタ仙台
セレッソ大阪:播戸(85')
ベガルタ仙台:ウイルソン(34') 赤嶺(51')

フォーメーション

■セレッソ大阪
GK:21 キム ジンヒョン
DF:3 茂庭照幸 17 酒本憲幸 23 山下達也 25 黒木聖仁
MF:2 扇原貴宏 6 山口螢 7 キム ボギョン 8 清武弘嗣 10 ブランキーニョ
FW:9 ケンペス
SUB:1 松井謙弥 24 金聖基 5 舩津徹也 13 柿谷曜一朗 26 村田和哉 11 播戸竜二 19 永井龍
交代:ブランキーニョ→播戸(46') 黒木→柿谷(54') 酒本→村田(74')
警告:ケンペス(12')

■ベガルタ仙台
GK:16 林卓人
DF:25 菅井直樹 3 渡辺広大 29 上本大海 23 田村直也
MF:17 富田晋伍 6 角田誠 15 太田吉彰 11 関口訓充
FW:18 ウイルソン 24 赤嶺真吾
SUB:1 桜井繁 2 鎌田次郎 20 内山俊彦 8 松下年宏 14 サッコーニ 19 武藤雄樹 13 柳沢敦
交代:太田→松下(75') ウイルソン→鎌田(83') 上本→武藤(87')
警告:角田(15') 富田(57')

セレッソは。前節終了間際に藤本が退場となった為CBに山下、また前日練習で丸橋が負傷し左SBに黒木が入る。左SBに船津ではなく黒木というのは練習試合でも試されていた(らしい)形で、セレッソがSBに求めるもの、黒木本人のプレースタイルを踏まえても面白い選択だと思う。(練習試合では今ひとつだったらしいけど)
ちなみに藤本のサスペンションを受けてソアレスがこの日キャプテンに指名したのは清武だった。
3連勝中の仙台は上本がセレッソから移籍しDFラインにスピードを加えた事で、攻撃に人数をかけたDFラインからのビルドアップ、FWを中心とした高い位置から守備、そして昨年までの自陣でのブロックとチームが戦い方の幅を持ちはじめているが・・・

■マッチアップ
マッチアップ
仙台は昨年までのやり方にボールを持つサッカーを加えようとしている。なので守備の時は前からプレッシングをかける、攻撃は後方からミスマッチを作ってビルドアップをして来る。
セレッソは4-2-3-1だけど守備の時はブランキーニョが前に出て行く事が多いので、両チームのマッチアップはこんな感じになる。
特に仙台はセレッソが最終ライン付近でボールを持っていて自分たちの後ろの状況が整っていれば、FW、SH、ボランチが一気に前に出て来てサイドにボールを追い込み囲んでしまう。

■仙台のビルドアップ
仙台のビルドアップ
仙台のビルドアップは角田がDFラインに下がる事でミスマッチを作り、CBが開き、SHが中に入る事でSBを上げる。
全体的にずれる事でフリーの人間を作っていく訳だけど、この時にこの日左SBに入った黒木が太田に引っ張られてしまってサイドにスペースを作ってしまい、そこにSBとFWのウィルソンが流れて来る事でサイドの高い位置で起点を作られてしまう。
山下がスライドし扇原が下がる
黒木が太田に引っ張られてしまっているのでサイドに流れるウィルソンは山下が流れて対応する事になる。そうなると中央を空けてしまうので何とか扇原が最終ラインに入る形で対応するんだけど、扇原が最終ラインに入ってしまうと最終ラインの前は山口が一人で見る事になってしまい、前半は仙台がボールを持つ時間帯が長くなる。
黒木はSULでは左SBに入っていたけど公式戦では初めてでただでさえ慣れていない中、応用問題を突きつけられたのでここの対応で後手を踏む場面が多く見られた。

仙台も決定的な形にまで持っていける場面はそう多くは無いけどポゼッションは確実に上回り、セレッソの攻撃は酒本からのクロスか清武・キムボギョンの個人技のみという状況だったが、ついに仙台が先制する。
スローインからウィルソンと赤嶺の2人だけの関係でボールを運ばれ、最初のウィルソンの突破は何とか防ぐもののそのこぼれ球を赤峰がシュート、さらにそのこぼれ球をウィルソンに決められた。

■仙台の守備の使い分け
ハーフウェイあたりからブロックを作る仙台
仙台の守備が前からと書いたけど、状況によっては昨シーズンまでの様に守備ブロックをきっちり作る方法も取る。
昨シーズンにも書いたけど、仙台はこの形を作るのが早い。そしてこの2ラインは決して下がりすぎずDFラインをプッシュアップしてMFのラインとで挟み込みセレッソの前4人にスペースを与えず、FWはきっちりボランチに行く。
仙台守備ブロックからのカウンター
そして挟み込んでボールを奪えば素早くサイドのスペースへ2トップやSHでカウンターを仕掛ける。昨シーズンの天皇杯ではこの形になってもボランチの所をフリーにできていたのでペースを握る事ができたけど、その時とは理由は違うけど、この試合はユアスタでの試合の様にボランチでフリーになれないのでこのブロックを崩せないまま前半が終了。

■後半
播戸を投入
仙台が先制してからはブロックを作って守る場面が増え、そうなってからDFとMFの2ライン間で消されて全く仕事ができなくなってしまっていたブランキーニョに代えて播戸を投入。
HTという早い時間だけど、播戸なら裏という選択肢もあるし、そもそも今シーズンのセレッソは昨シーズンに比べてボールより前にいる人数が少ないのでそれなら前にいたほうが良いという事もあったんだろう。

しかし太田の突破で黒木がかわされ山下が引っ張り出されて山口カバーに入るもジンヒョンの頭を越えるマイナスの浮き球クロスを赤嶺に頭で合わされて失点。0-2となる。

■ソアレスの積極的交代策
黒木から柿谷
ここからソアレスはかなり積極的に交代選手を投入する。
川崎戦ではマンマーク気味にしてきて「こんな事もするのか!」って思わせたが、今回はあまりのイケイケ交代策に少しビックリした。
先ずは慣れない左SBで応用問題を突きつけられて苦労していた黒木に代えて柿谷を投入。
これにより柿谷を2列目にして、キムボギョンをボランチ、扇原を左SBに移動。
この交代でボランチとSHの関係が一気に改善され、セレッソが攻撃できる様になる。

この時のセレッソは2トップで2点ビハインドという事で2トップは前への意識が高い。そして今シーズンのセレッソは2列目は比較的ワイドに広がるポジショニングを取っている。さらにボランチの2人は仙台のMFラインの前からスタートする。って事は2ラインをひいている仙台のボランチの後ろMFとDFラインの間には最初は誰もいない。
そしてそこからボランチのキムボギョンは空けていたMFとDFラインの間へ縦に、清武と柿谷の2人はサイドから横に入って来る。さらに清武と柿谷が中に入って来る事によって空けたサイドにはSBが上がって来る。
仙台とすれば清武と柿谷はSBが酒本と扇原にはSHがというのが正解だったんだろうけど、この2ラインで守る方法をとっていたのでセレッソがポジションをずらして来る変化についていけず、セレッソが仙台のDFラインとMFラインの間を使えるようになる。

が、しかし柿谷のクロスから清武、酒本のクロスから柿谷と同じ様にファーでフリーのボレーを決められず0-2のまま時間が経過する。
右SB村田
なのでソアレスは右SHが中に入ってできるスペースを一気について行こうと、さらに右SBの酒本に代えてアタッカーの村田を投入する。

鎌田を入れて間を埋めにかかる
そこで仙台はFWを1枚削り鎌田をDFラインとMFラインの間において4-1-4-1の形にしようとするも、仙台が4-1-4-1をピッチの中で作る前にここで播戸がこぼれ球決めて1-2に。

4-2-3-1に
なので仙台はCBの前のスペースをもっと確実に埋める様に4-2-3-1に代え守りきり試合終了。

■その他
後半のソアレスの積極的な交代策で攻撃も活性化されたし、さらに仙台もそれに負けじと手を打ったりしていたのでただ見てるだけの人は割と面白かったんじゃないかと思う。
個人的には負けてしまったので、そうでも無いですが(笑)
こんな事言っても仕方ないけど、後半の清武か柿谷のボレーが決まってたらなあって。
8番付けるエースか曜一朗が決めるとやっぱりかなり違っただろうしね。

この日左SBに入った黒木はちょっと厳しかった。
途中でも書いた様に今シーズンの仙台はずらしてミスマッチを作ってくるので、公式戦初のSBにはちょっと荷が重かったようです。さらに隣の山下も今期初出場でしたし・・・
ただ黒木のSBは面白いと思ってます。
今日のリリースで丸橋が左足の肉離れで4週間離脱と発表され、児玉がまだ故障明けの為次節も黒木になる可能性は高いと思うので、しっかり自分の良さを出せる様になって欲しいです。

仙台は本当に戦い方に幅が出来てきているので強かったです。
角田が1年間ケガ無くできれば今シーズンはかなり上に行くんじゃないかと。

ただ、色んな事ができる割にはチャンスの数自体はそう多く作れないなあって印象です。まだ変化の初期段階だからかもしれないけど。
あと梁が戻って来た時は前みたいに前で使うのか、それとも角田とセットでボランチになるのかどっちなんでしょうか。



■セレッソの攻撃について少し
この試合には負けてしまいましたが、開幕から2勝1敗1分とセレッソらしからぬ立ち上がりを見せているセレッソですが、実は4試合で4得点なので攻撃力という点ではあまり結果は残せていません。

今のセレッソの攻撃を見ていると主な攻撃パターンはクロスになっています。
データを持っている訳では無いので印象でしかありませんが、特にSBからのクロスがかなり増えているのでないかと思います。ケンペスは横からのボールに強そうなのでサイドからのクロスというのは納得できる選択肢です。
けど、現段階ではタレントが揃う2列目の連動した攻撃はほとんど見られなくなっています。2列目の攻撃は、清武・キムボギョン・ブランキーニョ・柿谷らの個人技で何とかしてるってだけになってしまってます。

後ろのバランスは取れてるし、多分今の方がバランスは取りやすいのでこのクロスにもっと特化してって方法でも良いんですが個人的にはもっと後ろからボールを繋いで相手をずらしていく方法で2列目の清武・キムボギョン・柿谷がバイタルで連動してプレーするようになれば良いなあって思ってます。仙台が後ろから繋いでずらそうと取り組んでるのを見ると余計にねえ。

こんな感じ
今の山口螢ならこれぐらいは出来るんじゃないかと。

14 件のコメント :

  1. いつも興味深い内容で楽しませて頂いてます。
    ソアレス監督の交代策はかなり面白いですね。
    レヴィーがあまり交代の上手な監督じゃなかっただけに、きちんと狙いと効果のある交代は見ていてワクワクします。

    一つ質問なのですが、
    黒木のSB起用が面白いと書かれていましたが、どのようなプレーを期待していますか?
    私はむしろ扇原をSBに置いて黒木か横山をボランチにした方がオーソドックスで馴染むんじゃないかと思ってます。
    左利きとユース時代に左SBを経験している点、セレッソが主に左サイドから攻撃を組み立てるのが根拠なのですが。

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    1. コメントありがとうございます。
      ソアレスの交代策の「ガンガンいこうぜ!」っぷりは面白かったですね。

      ご質問いただいた黒木のSBですが、
      期待しているのはビルドアップとボール運びです。
      セレッソのやり方ではSBはアップダウンを繰り返すクロサーではなく、ボランチと連携してビルドアップとボールを運ぶ事が求められているので、左右両足で蹴れて展開力のある黒木にはちょうどいいポジションではないかと思っています。
      逆に言えばボランチでは扇原、山口、横山、船津よりも順番的には後なのでここでやるしかないだろうという事でもあります。

      また扇原の左SBですが、扇原にはスピードがないので単純に丸橋の代わりに入れてとなるとちょっと厳しい様に思っています。
      もちろん扇原も十分SBはできると思いますが、チーム全体の動き方など少しやり方を代えないといけないかなと。

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    2. 回答ありがとうございます。
      なるほど、納得しました。確かに黒木のスタイルと今のチーム事情からするとここしかない感じですね。
      ハマれば面白そうです。

      今期のセレッソは攻撃に関してはまだまだ不満なところも多いですが、ソアレスの采配やコメント等をみても手順を踏みながらチームを作り上げているようですし、まずは守備と意識統一からといったところでしょうか。
      もうちょっと基盤が固まって選手同士の意思疎通が合ってくれば攻撃にアイデアと魅力を与えてくれそうに思います。

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    3. ご返信ありがとうございます。
      黒木の話しをしてましたが、津守情報では高橋大輔と児玉が入れ替わり左SBに入っていたらしく次はどうやら左SBは高橋大輔になりそうですね。

      そうですね、ソアレスはきっちり手順を踏んでやっているのが見えるので、我々にもわかりやすいですね。
      個人的にはダービーで決めた相手CKからのカウンターが好きですw

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    4. ダービーでのカウンターからの得点シーンは私も大好きです。
      あそこまで狙い通り&練習通りに決まった得点というのもセレッソでは珍しい気もします。
      セットプレー以外の流れからの得点でみると、前線の自由な発想というか割とその場のノリで決める得点が多い印象があるので(笑)

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  2. いつも楽しく拝見させて頂いています。
    今回の分析は、手倉森監督の意図が分かり、面白かったです。

    攻撃に関して思うのが、中央の茂庭、康太、扇原、螢の4人でのキープ力が足りないということ。やはりマルチネスと大海がいないのは大きいと思ってしまいます。

    そこで質問なのですが、現状の扇原のプレーについてはどう評価されますか?去年はやっていたサイドでボールを受ける形も見せてないですし、僕は不満があります。

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    1. コメントありがとうございます。
      そうですね中央のキープ力は下がってますね。
      チームのやり方として、中央のキープに頼らない戦い方を選択しているからって事なんでしょう。
      単純に去年までと比較すると攻撃の時にボールの前にいる人数が減っていますし、去年までに比べると遥かに攻撃のスピードは上がってるはずです。

      って事で扇原ですが、今の攻撃のスピードが上がった事も影響しているんでしょう。
      今は早くSBへSHへって展開が目立ちますからね。
      その方が守備のバランスを取りやすい事は間違いないですし。
      ですが・・・個人的には最後に少し書いたように、そんなに縦に急がずに後ろからコントロールして相手をずらしていくサッカーをして欲しいなあと思っています。
      扇原がもっとポジションチェンジしながらボールを受ける感じになればなあと。

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  3. いつも解説ありがとうございます。
    nonchyanman です。
    仙台は強かったですね。
    セレッソの左サイドの黒木が仙台の外人、太田、菅井で崩され放題でした。
    山下やボランチが引っ張られたら、逆サイドと上手く崩された印象です。
    ただ、元々仙台は右サイドが強いのに、セレッソがそれに対する対策をとってるように見えなかったのですが、どうでしょう?

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    1. いつもありがとうございます。
      おっしゃる様に仙台の右サイドへの対策はよくわかんなかったですね。
      途中で書いた山下がサイドに引っ張られると扇原が最終ラインに入ってってのも、多分その場の判断でそうしただけでしょうからね。
      現にそうなっても黒木は中途半端なポジショニングのままでしたし。
      強いていうなら扇原に左サイドのカバーリングをいつも以上に注意させてたぐらいでしょうか?

      それに角田が落ちてビルドアップする事への対策もよくわかりませんでした。
      個人的には立ち上がりはもっと前から行ってCBに時間を与えない方法を取るかとも思ってたんですが、そうでも無かったですしね。

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  4. 回答ありがとうございました。
    Nonchyanman です。
    右サイド対策として、セレッソのフォーメーションを4321にして、サイドに圧力がかかれば、黒木とアンカーが対応するはどうでしょう?
    ご指摘の通り仙台戦は前プレは少なかったと思います

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    1. お返事ありがとうございます。
      4-3-2-1でクリスマスツリーじゃなくって2をサイドにはらせて中盤フラットの4-3-3っぽくするって事ですかね?
      でも、それをしちゃうとマッチアップ的に相手のCBやボランチにプレスに行く人間がいなくなってしまうので仙台がボールをもってこっちは攻撃は前3人で行って来いって感じの関塚時代の川崎っぽい感じになりそうな気がします。
      なので個人的にはあんまり・・・w

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    2. 去年のアウェイ柏戦みたいな4321をイメージしてました。
      でも結局前が少ないから、押し込まれる展開になりますかね。
      二点負けた時に酒本をあげっぱなしで352になってたように思いますがどうなんでしょうか?
      裏取られまくって、茂庭照幸が走りまくってて、懐かしいき持ちになりました(笑)

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    3. なるほど、CBの前に螢を置いた4-3-3って事ですね。ブランキーニョをどこで使うかという問題はありますが、それならありだったと思います。

      0-2になってからの酒本のポジションは左SBが扇原になったからってのが影響してるでしょうね。
      全体的に右上がりになったのは間違いないと思います。
      というか扇原を左SBで使うとなるときっと全体的にあんな感じになるんじゃないですかね。
      扇原が左サイドの深い位置でビルドアップの起点になる分、チーム全体が時計と反対周りにずれて行くって感じで。

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    4. たくさん質問したのに、一つずつ丁寧に回答ありがとうございました。
      今後も宜しくお願いします。
      清武がふくらはぎを痛めた影響で明日は柿谷になりそうですね。
      楽しみです。

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