2012年4月16日月曜日

4/14 Jリーグ第6節 VSアルビレックス新潟 @キンチョウスタジアム

■セレッソ大阪 0 - 1 アルビレックス新潟
セレッソ大阪:なし
ベガルタ仙台:矢野(85')

フォーメーション
■セレッソ大阪
GK:21 キム ジンヒョン
DF:3 茂庭照幸 4 藤本康太 17 酒本憲幸 20 高橋大輔
MF:2 扇原貴宏 6 山口螢 7 キム ボギョン 8 清武弘嗣 10 ブランキーニョ
FW:9 ケンペス
SUB:1 松井謙弥 24 金聖基 5 舩津徹也 13 柿谷曜一朗 18 横山知伸 26 村田和哉 11 播戸竜二
交代:ブランキーニョ→柿谷(62') 扇原→播戸(78')
警告:扇原(39')

■アルビレックス新潟
GK:21 東口順昭
DF:25 村上佑介 4 鈴木大輔 5 石川直樹 19 金珍洙
MF:6 三門雄大 15 本間 勲 23 田中亜土夢 18 アラン ミネイロ
FW:10 ミシェウ 11 ブルーノ ロペス
SUB:30 小澤英明 3 大井健太郎 36 菊地直哉 32 小林慶行 26 小谷野顕治 9 矢野貴章 14 平井将生
交代:田中→小谷野(64') アラン ミネイロ→矢野(80') 本間→大井(89')
警告:金(26') ミシェウ(29') ブルーノ ロペス(33') 村上(44') 石川(56')

キンチョウスタジアムでの2戦目の相手はまだ未勝利の新潟。
セレッソのスタメンは快勝した大宮戦と同じだが、大宮戦は相手の自滅という点が大きかったので新潟相手にどのようなサッカーを見せることができるか。
一方の新潟はミシェウが復帰し矢野貴章がベンチ。

■立ち上がりの展開
前半新潟の守備
新潟はハーフウェイ辺りで4-4のブロックを作って守る。徹底されていたのはSHがセレッソのSBの対応をする事で、セレッソのSBにボールが入ればSHがそのブロックから出てきて必ず当たりに来る。
また、ミシェウとブルーノ・ロペスが前から行ける時にはそれを見て全体のブロックを上げる様だけど、行くか行かないかの判断は2トップに任されている様であまり連動性が感じられない。

そんな新潟に対してセレッソは一番使いたいのは最終ラインの裏のスペースなんだけど、やはり一発でそこは難しい。なので先ずはDFとMFの間のスペースをいかに使うかになる。

セレッソのスペースを作る動き
ということで、図の様に山口や扇原が最終ラインに下がり、さらにボランチの位置に清武やキム・ボギョンが下がってくる事で新潟のDFラインとMFの間にスペースを作りボールを運び出す。
なので何度かチャンスの1歩手前ぐらいまでは作れるようになるけど、最終局面では新潟が中央に人を集める事で防いでいた。

■新潟の攻撃
新潟のブラジル人3人による攻撃
一方新潟の攻撃はブラジル人3人によるカウンター頼み。
新潟の中盤左サイドにアラン・ミネイロがいるので特にセレッソの右SB酒本のところにブラジル人3人と左SBのキム・ジンスが絡み長いボールを使って1点突破で崩しにかかる。
本当に完全にブラジル人3人頼みなんだけど、それでもチャンスを作ってくるのだから恐ろしい。
昨年のホームでの試合もやり方は違うけど同じ場所を狙って先制点をあげているという事からなのか、また今は左SBに高橋が入っているのでセレッソのクロスは酒本が中心になっているからそこを潰す意味なのか、狙いは酒本の所だった。
今のセレッソの攻撃はSBがボールを運ぶ事が多くさらにその時はボールサイドのボランチも一緒になって参加するので、いくら逆サイドのSBが最終ラインに残って3枚で対応するにしてもやっぱりSBの裏はスペースが空きやすいという事もあるんだけど。

ただ、前半はこのブラジル人3人がかなりイライラしていたようで、ミシェウが異議、ブルーノ・ロペスが競り合った藤本の頭に手をかけて引っ張り倒してイエローカードを受けていたので、上手く行けば退場にできるかな?という感じだったのだけど、そのまま0-0で終了となった。

■新潟の改善
後半の新潟の守備
この立ち上がりを受けて新潟は2トップのプレスを見捨てて、ブロックを後ろに下げる様に変えてくる。
前半はブルーノ・ロペスとミシェウの前からプレッシングに合わせてMFとDFもブロック全体を押し上げていた。が、しかしきっとブルーノ・ロペスとミシェウは自分たちの判断で勝手に行っていた様なのでそれによって中盤にスペースを作る場面が何度もあった。
なので、新潟はブルーノ・ロペスとミシェウのプレッシングにいつでも合わせるのではなく、後ろの状況が整っていない時にはスペースを埋める事を第一にしてきた。

って事で新潟のこれがハマる。
4-4のブロックをきっちり作られてしまえば今のセレッソにできるのは清武とキム・ボギョンの仕掛けか、SBからのクロスボールのどちらかだけになってしまうんだけど、SBにはSHというのは継続して行われているので、清武とキム・ボギョンの仕掛けのみとなり低い位置でブロックを作る相手に対して効果的に攻められなくなる。
まあ流石に4人で2ラインの8人ないしは2ラインからSBを引いた7人というのはちょっと厳しい。

また、今のセレッソは後ろでボールを落ち着けるより前に運ぶ事が優先されているので、このブロックに対して突進してボールを失うという場面が増え、それによって結果的に新潟がボールを持つ時間も増えてきた。

■終盤の流れ
64分〜
なのでセレッソは試合を動かそうと柿谷を投入。一方の新潟も小谷野を投入。
ただセレッソは人が代わっただけなので根本的な事は解決しない。
一方の新潟はミシェウのポジショニングとアラン・ミネイロ、ブルーノ・ロペス+フレッシュな小谷野が右サイドを駆け上がる事でチャンスを作る。

80分〜
さらにセレッソは扇原に代え播戸、新潟もアラン・ミネイロに代えて矢野貴章を投入したところスローインからの展開で茂庭のクリアボールが矢野貴章の足下に行き失点。
失点したセレッソは最後パワープレーを見せるも最前線に4人並ぶという残念っぷりで0-1で敗戦となった。

■ブロックを崩す方法は?
結局最後まで新潟のブロックを崩せませんでした。
当然相手は崩されない様にブロックを作って守るわけなので簡単に崩せる訳は無いんだけど、セレッソには崩す方法論が見えませんでした。
仙台戦、大宮戦でも最後に少し書いた様に個人任せで崩すというのはやっぱり難しいって事ですね。
相手は「清武やボギョンの所で1対1で負けても全体としては崩されないぞ!」って事でマンツーじゃなくってゾーンでブロックを作る訳だし。
今まではサッカーダイジェストにあった「娯楽性」って言葉を借りて書いてきましたが、もうちょっと突っ込んで書きます。

ブロックを崩すならやっぱりもうちょっと相手を動かさないといけないです。
で、例えば相手を動かす為の方法として代表的なのは、相手選手の中間でボールを受けるというプレーです。具体的には、香川や乾が得意だったDFラインとMFラインの間でボールを受けるアレで、実際に去年の清武やボギョンもやっていたプレーです。
しかし、今シーズンはこの2人にその様なプレーは少なく、ブロックの外からドリブルで仕掛けたり、相手の前でボールを受けてかわしたりというプレーが多くなっています。
けど、これはこの2人が間で受けるというプレーを選択していないからっていう事では無いんだろうと思われます。
じゃあなぜ間でボールを受ける回数が少ないのかといえば、間でボールを受ける為の仕組みが出来ていない(無い)からではないかと。
相手もブロックを作ってただただ待っているだけじゃないので、当然その間でボールを受けられたくは無く、単純に間に入ってボールを呼び込んだ所でプレスバックや押し上げでそのスペースは消してしまうでしょうしね。

この問題の解決方法は仙台戦・大宮戦で書いた事と重なるんだけど1つは、ボールに絡む人数を増やす事じゃないかと思っています。
単純に局面の人数を増やす事ができれば、相手も動かざるを得なくなるのになあと。

去年までのやり方が絶対的な正解ってわけではないけど、ブロックを崩す方法論としては「2011シーズンのまとめ」で書いた、ボランチが下がって低い位置からビルドアップをはじめる→SBが上がってボールを受ける→シャドーがボールサイドに寄ってSBからのボールを受ける、という流れの方がスムーズだったなあと思うわけです。

まあ去年は出来ていた部分なので書き方としてはどうしても去年までとの比較になってしまいますが、結果を出しているし、あきらかに良くなった部分も沢山あるので、前のやり方に戻せ!って事ではないです。
先にも書きましたが去年までが正解ではないので、逆にここからソアレスがどういう形で修正してくるのかというのが楽しみだったりしています。

例えばケンペスめがけてクロスをガンガンあげるとかとの方法もうちょっとこのまま行けるかな?って思っていましたが、ある意味新潟は嫌らしい相手でした(←褒め言葉です)

10 件のコメント :

  1. いつも解説ありがとうございます。
    Nonchyanman です。
    まだリーグ序盤ですが、負ける時のパターンがある感じがします。
    ご指摘の通り酒本に人数をかけてボールを奪う(新潟は左サイドにブラジル人三人固まって攻撃するので、どこまで意図的だったかは微妙ですが)場面が多かったですね。
    キムジンスが上がるスペースがないくらいブラジル人三人でした。
    同様に負けた仙台戦でも、サイドバック(この時はセレッソの左ですが)の黒木が、太田、ウィルソン、菅井に狙われる現象が続き、それに対してのベンチワークがなかったように感じました。
    今年は後ろにある程度人数を残して中央のケアはできていますが、狙われるサイドへの対応が無いことが今後の不安材料です。
    そのまま同じサイドを突かれ続けて、反対サイドに注意が離れた時に失点しています。
    新潟に散々左サイドから攻められて、右サイドフリーの矢野のところにボールが不運な形で渡りがゴール(T-T)
    サイドが狙われるなら、去年のパターンの後方に下がったボランチからのビルドアップも混ぜてみては、相手も狙い打ちできなくなると思いますが。
    去年はボランチが潰されると辛かったのですが、一つ解決すると、また一つ問題が出てきますね(笑)
    あと、4231で臨むならSH に縦に早い村田を使って欲しいです。
    2列目が繋ごうとするタイプばかりで、変化に乏しく感じます。
    去年の天皇杯清水戦のような攻撃が見たいです

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    1. いつもありがとうございます。
      今シーズンのセレッソはほとんどの攻撃がSBが起点になっているので、相手チームの狙い所はSBになってくると思います。
      まさにおっしゃる様にボランチからのビルドアップを混ぜればかなり変わって来るんでしょうけどね(笑)
      相手も研究するので絶対的な正解はないので必ずどこかに弱点は出て来るのですが、その問題を出来るだけ出さない様にするにはどちらも選択出来る様な方法論を持つ事でしょうね。
      サッカーは判断のスポーツなので、選択肢が多ければ多いほど有利な状況を作りやすい訳ですし。

      あとSHに村田ですが、それがビルドアップの部分の根本的な解決にはならないでしょうけど、サイドで勝負できる分クロスの本数は増えるでしょうから得点のチャンスも増えそうです。ただ、今のままでSHに村田を入れるとゴリ押し度がさらにUPしそうです(笑)

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    2. 本当にいつも真摯な丁寧なご返答感謝しております。
      アキさんもいつもおっしゃる「こっちが陣形を崩さなければ相手も崩れない」現象が起こっていますよね。
      後方三枚にボランチを残して、確かに失点は減りましたが、前が不足していますし、相手も崩れないので、「お願い!けんちゃん」のポスト頼みか、二列目の技術頼みの攻撃になってますよね。
      今の攻撃の手詰まり感を、ソアレスがどう対応するか、監督の手腕が試されますね。
      シーズン前に沢山練習した前プレからのカウンターなのか、去年のようなボランチと左サイドと二列目の流動的な崩しなのか、左サイドを起点としてスライドしてきたためにできる逆サイドを使っての攻撃か。
      まずは今日を楽しみにします。
      Nonchyanman (のんちゃんのパパ)でした。

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  2. いつも解説ありがとうございます。質問が二点あるのですが、
    ①2010年とは何が違うでしょうか。失点を減らしつつ攻撃するために、参考になるところはありますか?
    ②ケンペスについて。彼は優秀なシューターのはずが、ポストプレーに忙殺されていて良さを出せていない、と感じます。この点は、どのように見ていますか?
    以上、ご面倒かとは存じますが、よろしくお願いします。

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    1. コメントありがとうございます。

      ①2010年との違い
      これはかなり壮大なテーマですね(笑)
      実は2010年のチームと今のチームはかなり違います。
      例えばビルドアップ1つとってもその使い方が全く違います。

      ビルドアップって相手を押し込む効果とスペースを作る効果があるんですが、2010年のチームのビルドアップは相手を押し込む狙いが今のチームと比べてかなり大きいです。
      今年はできるだけ早く相手陣内にボールを運ぶ事を狙っているので、相手を押し込めるという狙いはほとんどありませんしね。

      2010年は、相手を押し込めスムーズに攻撃にうつらせない事で失点が少なかったですし、また押し込んだ中でもボランチとSB、シャドーがポジションを崩す事でスペースを作って攻撃していた。
      2011年は、相手を押し込めるためのロジックがバレたのでボランチを狙われて押し込まれない様にして、さらに押し込まれたとしても出来るだけ陣形を崩さない様にしてカウンターに備える事で、ハマればデカイけど失点が増えた。
      2012年の今の所までは、押し込めるという事は攻撃の時にボールの前の人数が増える、でもそれはボールを取られた時のリスクがでかい。(実際そうだったし)でもよく考えたら実はそんなに手数をかけて攻めなくっても、相手の人数が揃う前なら前の4人の流動性だけで行けるんじゃないの?って事で、早く前に運びましょうって事を狙ってるんじゃないかと思われます。

      なので、単純に2010年を参考にして取り入れるのは結構難しい様な気がします。
      ただ、この2つを状況によって使い分ける事ができればかなり良いチームになると思うんですよね。
      何度も相手を動かして欲しいって書いてるのは、そうなったら良いのになあって事でもあります。

      ②ケンペスについて
      ケンペスはほとんどの試合で孤立してしまってますね。
      自分の周りは敵だらけの状態でポストを行ってるのでかわいそうだなあと思ってみています。まあ1トップタイプじゃないってので全て説明されてしまいそうですが(笑)
      ただ、きっとソアレスもその事はわかってるんじゃないですかね。
      試合の終盤はほとんどの試合で2トップにしていますし、例えばこの新潟戦でも曜一朗が入った時に2本指を出した後にケンペスと自分を指さしていますので、曜一朗は2トップに近い指示で入ったんじゃないかと思われますし。

      今まで見た所では、ケンペスの良さが一番出そうなのはクロスに対して入って行くプレーだと思うんですよね。
      なのでケンペスを活かすにはクロスの本数を増やすにはどうするかって所だと思います。

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    2. 丁寧な回答ありがとうございます。ちょっと感動してます。笑
      2010年は人数をかけて、パスを繋いでいってもシュートまで持ち込めていた、という感じですかね。去年も中盤、特に二列目でのボールロストからのカウンターはよく喰らってましたが、やはり攻撃の選手の技術も高かったんですよね。
      今年の狙いも分かりますが、帰陣が速い仙台みたいなチームには確実に苦戦しますね。笑
      色々スッキリしました。ありがとうございました!

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