2015年11月20日金曜日

パウロ・アウトゥオリ氏の監督退任と大熊清氏の監督就任について


2015年11月17日付けでセレッソ大阪はパウロ・アウトゥオリ監督及びジルヴァンフィジカルコーチの退任を発表、また後任には大熊清強化部長の就任が発表されました。これで2シーズン連続でのシーズン中の監督交代となり、大熊清氏が2シーズンで5人目の監督となります。
また今回はリーグ戦残り1節での退任となり、このタイミングはJ1昇格プレーオフがあるからこその選択でしょうが、おそらくリーグ戦途中の監督交代としてはこれまでのJリーグで最も遅いタイミングでの監督交代になるのではないかと思われます。

昨シーズンの反省として招聘したパウロ・アウトゥオリでしたが、シーズンを通じて安定した結果を残すことが出来ず、また8/15の第29節から9/20の第32節までを今シーズン最長の4連勝を記録した後は9/23の第33節から前節11/14の第41節までの9試合を1勝4分4敗と大きくチーム状態をおとしており、またここ2試合はシーズン最低の内容で2連敗となっていましたのでこの時期とはいえ退任も致し方ないところでしょう。

最終的にはジリ貧になってしまったアウトゥオリ率いるセレッソですが、シーズン序盤からアウトゥオリの考え方は一貫して自チームと相手チームの両方を見てサッカーをするというもので、自分たちの都合だけでサッカーをする通称「自分たちのサッカー」ではありませんでした。
それはこれまでの目をつぶって自分たちの都合だけでサッカーをすることが多かったセレッソにとっては足りなかったものでしたし、最も必要なものの1つでした。
いろいろあった今シーズンですが、結果的にうまくいかないことはあっても過去のシーズンと比べてここに関わる対戦相手分析やその相手に対してどうするかといった部分は、これまでのセレッソで最高の精度だったと思います。
満足な結果を残せていない事からかメディアまでもがシステムや人の事を問題視した記事にする流れになり、「良くなったリズムを人やシステムを変える事で崩した」だとか、「田代と玉田の2トップにしないのが悪い」、「4-4-2じゃないのが悪い」といった批判を受ける事も出て来ましたが、順を追って振り返るとそこに至る流れと、どういう相手に対してどういう選手を起用するのかは論理的に整理されており、細かく分析していくと連年に比べても大きな矛盾を感じる事はそれほど多くはありませんでした。

とはいえそういった批判を受ける事になったのは実際に上手くいっていなかったから。
そしてそうなってしまった原因として考えられるのは、分析した結果を落としこむといった部分で上手くいっていない事がほとんどだったからだと考えています。
どの様に戦うのかまでの部分はきちんとできているにも関わらず、そこから先の精度はシーズンを通じて一向に上がらず、さらに退任直前の第40節・第41節の2試合はここまで40試合見てきたので、やりたい事を何とかイメージできるレベル。おそらく対戦相手から見るときっと何がしたいのか全くわからないんじゃないかと思わせるレベルに悪化してしまっていました。

この部分には大いに不満があって、アウトゥオリの対戦相手を分析しての対策が選手の並びでや人数で解決しようとするものがほとんど。それが上手くいけばわかりやすくてよかったのでしょうが、上手くいかなかった場合に本来は目的があって例えばシステムなりが決定しているにも関わらず、システムが先に来る様な形になってしまい、またそれを修正する事ができなかった。並びや人数で解決するのがダメなら他の手があればよかったんですが、それもほぼ見られませんでした。
例えば攻撃面では、チームとしてはおそらくアタッキングサード以降の崩し方は自由を与えられていたのだと思われますが、結果的には個人の能力任せになってしまい、さらにそれを修正する策も見られなかったので、終盤にはそれぞれが役割を忘れてしまったかの様に例えば前線の両翼が中に入っていってしまい幅を作れない、中央にいて欲しい選手が下がってきてしまって奥行きを作れない時間帯が出来るという事につながっていったのではないかと思っています。
悩ましかったのは全く出来ないわけではなく、できている時間もあるんだけど出来なくなっていくという流れで、全く出来ないなら諦めもつくんでしょうが出来る時間もあるだけにもしかするとどこかで良くなるのではないかという思いもありましたが、結果的には全く進歩が無く、それどころか悪化していく事となりました。

もしかするとチームに確固たるベースやハッキリとした共通理解があるならこのアウトゥオリのやり方でも上手くいったのかもしれませんが、もしそれがあるなら昨シーズン降格していないって話しで、アウトゥオリにとってもチームに対して歯がゆい思いを感じた部分はあるのかもしれませんが、クラブにとってもアウトゥオリに対して歯がゆい思いを感じる事につながった気がします。

リーグ戦としては残り1試合での退任は異例のタイミングですが、ここまで書いたとおり昨シーズンのワールドカップ中断前のポポヴィッチ元監督の様にピッチ上でうまくいかない原因のほとんどが監督にあれば簡単で、今回もそもそもやろうとしている事が間違っている、相手を見間違えている状態なら監督を代えれば問題は解決する可能性は高いんですがそこではない。またさらに困難なのは全く出来ていないわけではないという部分で、監督を代えるにしてもよほど優秀な監督を呼んでこないと下がってきてしまうCFや中に入ってしまうサイドアタッカー、プレッシャーを受けると焦るボランチ、暴走してしまうMFといった部分を改善する事は難しい。
もし半年以上あれば別ですが、短期間で戦い方に多様性があるチームを作る事もできないでしょうから、変に1ヶ月ぐらいやって手の内がバレてしまうよりも良いかなと思います。

また今回後任となる大熊監督ですが、昨シーズンの大宮では失敗したとはいえ監督としての経験も豊富で、ここからだと時間的にも複雑な事は出来ないでしょうが逆に思い切って勝負できるでしょうし、さらに選手も残り1試合+プレーオフという差し迫った状況である事も相まってポジティブな効果を産んでくれるのではないかと期待しています。

8 件のコメント :

  1. アウトゥオリ監督について残念だと思ったことはいくつかありますが一つに絞ると
    鹿島時代に言われてた鬼軍曹ではなくサバサバした退役軍人であったことでしょうか。
    去年のチーム状況がああだったにもかかわらず山口を安直にキャプテンに指名したのは山口を気に入ったということもあるでしょうが、
    チームの統率は選手に丸投げして自分は関与しない、自主性に任せるというスタンスに基づいてではないかと推測しています。

    そして毎回相手に応じた布陣を仕上げていますが、選手間の距離の確認、攻守の切り替え、肝心所で体を張ったプレー
    基本的なことがまずできていないと感じます。鬼軍曹なら基礎から叩きつけて体で覚えさせていたでしょうが
    選手を悪い意味で信頼したのか、基礎的なことではなくもっと高度な指導をしたかったのか
    そういった組織プレーの基本ができていなかったのでこういう結末になったのだと思います。

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    1. コメントありがとうございます。
      鬼軍曹はどうか分かんないですけど、自主性に任せるというスタンスはそうだったかもしれないですね。
      ただ、レヴィクルピはアウトゥオリ以上に、選手と監督の間にハッキリと線を引くタイプでしたからね。
      例えばアウトゥオリはルックスは怖いけど、監督から選手に話しをしに行ったり、メンバー外の練習を見たり、サブ組にも声をかけたり、次の試合で久々に使われる選手を呼んで話しをしたりしていましたが、クルピはルックスは親しみやすいけど、そういうコミュニケーションの取り方は一切しなかったです。

      あと選手間の距離や切り替えは仰るとおり曖昧だと僕もずっと感じていました。
      プロの監督に基礎から期待するってのは、作物を作って欲しいって頼まれたのに畑を作る事からはじめなきゃいけないって状態なのでちょっとかわいそうな気もしますが、ただこれは僕の持論ですが、ブラジル人ってこのベーシックな部分で独自の理論を持っているんじゃないかと疑っています。
      なので、それを論理的に説明して理解させるって事があまりできないんじゃないですかね。

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  2. 鹿島時代の話が完全に納得いく感じですね。

    シーズン序盤は苦労したが、終盤に向けて内容が向上してきた。
    鹿島のように基盤がしっかりしているチームはそうなるんでしょうね。

    最後はフロントに対して不満を持って退任していくところも同じような感じですかね(笑)

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    1. コメントありがとうございます。
      フロントに対する不満は、うまくいかないとそうなるもんですからね(笑)。
      個人的にはこの人もやっぱブラジル人だったなあという印象です。

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  3. アウトゥオリ監督を連れてきたフロントの責任も問われますよね。

    なんか色々残念です。今年のフロントは有能だと思ったのですが気のせいでした。

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    1. コメントありがとうございます。
      まあ当然呼んだんだから責任はあるでしょうけど、
      全てうまくいくわけではないですからね。

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  4. お疲れ様です。
    概ね同じような見方で安心しました。
    アウトゥオリは良監督ではないが、戦術や戦い方は理にかなっている。完璧にこなしたとして、J1でも圧倒できるレベルまではないにしてもJ2からの自動昇格圏ぐらいは可能なレベルに達する。それぐらいの監督だったという印象です。
    能力の高い南米のチームや、理解力と応用力のある選手ならさほど問題なくリアクションサッカーもこなせたでしょうが、セレッソは良くも悪くも個性が強く得手不得手がハッキリしている。その上理解力、応用力、それに伴う技術も含め足りなかった分思うように勝ち点も成績も伸びなかったというところでしょうか。
    交代や試合中の戦術の引き出し含め監督自身にももちろん足りない部分はあったでしょうが…
    にしても、セレッソ、監督代わりすぎですね。単年で何度も監督が代わるようでは鹿島のブラジリアンスタイルみたいなサッカー哲学も根付かないですね。

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  5. 選手の特性さえ戦術に合致してれば能力についてはどうでも良いのか?と思える選手起用が気になりました。それからまずコーチ陣が監督のことを理解できていたかという点も疑問です。

    それと、例年に比べても異常といっていいくらいのケガ人の発生については何か分析できるところはありますか? 岡野前社長がつれてきたのがヤブ医者ばかりだとかフィジカルコーチがダメだとかも言われてますが、それともたまたまなんでしょうか?

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