2017年7月3日月曜日

7/2 明治安田生命J1リーグ第17節 VS FC東京 @ キンチョウスタジアム

第17節
2017年7月2日(日)19:03KO 金鳥スタ

スタジアムキンチョウスタジアム主審飯田 淳平
入場者数14,305人副審清水 崇之、木川田 博信
天候 / 気温 / 湿度曇 / 28.8℃ / 69%第4の審判員大塚 晴弘
スターティングメンバー
セレッソ大阪C大阪
 
FC東京FC東京
 
  • 監督
  • 尹 晶煥
 
  • 監督
  • 篠田 善之
セレッソ大阪C大阪
FC東京FC東京
今回対戦今季平均
データ項目セレッソ大阪FC東京セレッソ大阪FC東京
FK12161216
CK4554
PK0000
シュート156128
警告/退場1/01/01/01/0

<監督・選手コメント>

セレッソ大阪 尹晶煥監督
FC東京 篠田善之監督

セレッソ大阪 杉本選手、キム・ジンヒョン選手、山口選手、山村選手、マテイ・ヨニッチ選手
FC東京 高萩選手、永井選手(FC東京公式)

セレッソ大阪 松田選手、水沼選手(Jリーグ公式)
FC東京 ピーター・ウタカ選手(Jリーグ公式)

シーズン折り返しとなる明治安田生命J1リーグ第17節、セレッソ大阪が本拠地キンチョウスタジアムにFC東京を迎えての一戦は、ピーター・ウタカのゴールでFC東京が先制するも後半3ゴールを上げたセレッソ大阪が逆転勝ち。
今週のミッドウィークにACL組が試合を残しているとはいえ、暫定ながら首位でシーズン前半戦を折り返した。

■メンバー

セレッソのメンバーは、ミッドウィークのルヴァンカッププレーオフステージ第1戦から11人全員を入れ替えた形。先発メンバーには札幌に行った選手もいない。前節からの変更点は負傷離脱となった清武に代わって右SHに水沼が入る。
水沼はFC東京からの期限付き加入だが出場制限は無し。水沼は期限付きとはいえ実質的にFC東京では戦力外だったのでセレッソにとれば、それ相当のレンタルフィーを支払う完全移籍に近い加入なのかも知れない。
ベンチメンバーにはルヴァンカップに出場したメンバーとなっている。

一方のFC東京もミッドウィークのルヴァンカップを戦っており、そこから9人変更。残っているのはGK林とキャプテン森重のみとなっている。また前節からの変更はこちらも負傷離脱となった大久保に代わって永井が入っているのみ。
ベンチにはルヴァンカップに出場したメンバーが入っている。

■FC東京の守備

FC東京のキックオフから始まったこの試合。最初のプレーで森重が右サイドの奥に対角の長いボールを入れると、それを跳ね返したセレッソがボールを奪い返し、東京のダブルボランチの後ろでボールを受けると柿谷がミドルシュート。
4分には太田の対角のロングボールを東がコントロールし損ねるが、そのこぼれ球をダイレクトでウタカが強烈なミドルシュートと、立ち上がりの5分間で現在の東京を象徴するようなシーンが見られる。
FC東京の守備
東京はシーズン序盤は前線から激しくプレッシングに行く試合もあったが、この試合では2トップがセンターサークルの敵陣側ぐらいの場所にセットする。
ただ、4-4-2の1列目の守備が安定しない。2人は特にコースを切るわけではない。永井は時に執拗にCBを追いかける、ウタカも時々追いかけるがそもそも後ろの4-4は前線が追う事に反応していない。
なのでセレッソのボランチは簡単に2トップの後ろでボールを持てる。
またさらに東京のSHはセレッソのSBをケアしようとしているのだと思うが、最初から広がっているのでボランチの両脇にはスペースが出来ていており、柿谷、山村、杉本がここでボールを受ける。
なので、東京の最終ラインとボランチは前を向いてボールを持つセレッソのボランチに対してズルズル下がる事が増えていく。
東京はなんとか最終ラインで跳ね返していたものの、前半立ち上がりとは思えないぐらいセレッソはアタッキングサードまで簡単にボールを運ぶ事ができていた。

一方東京の攻撃は、セレッソが素早く帰陣しブロックを作るのでボールを持つ時間自体はある。
しかし下がってきたウタカにボールを預けるか、左SBの太田や左CBの森重から東や室屋に対角でロングボールを入れる形のどちらかぐらい。太田や東からの対角ボールはセレッソがゾーンで守るので用意してきたプランだろう。
まあそれでも立ち上がりのウタカのシュートや、中島がボールを持って仕掛ける場面を作ったりするのだから、前線の個人能力は恐ろしい。

そんな形で進む立ち上がりだったが、ソウザと山口を始めその他の選手も、きっといつも以上に簡単に前を向いてプレーできることで、変な言い方だけど楽しくなっちゃったというか、余裕を持ってしまったのだろう。ボランチ2枚が同時に前に出て、SBも前に出て、ボールを持って一発を狙った様なプレーが見られ始める。
そんなある種隙を突かれたのが21分。
山口から柿谷への縦パスをカットされると一気にセレッソのボランチの裏に。前線には永井とウタカの2枚が残っていて、対するセレッソも山下とヨニッチの2枚だけという2対2の状況。
永井のスピードはやっかいなので、マッチアップしていた山下は数的同数だし多少無理目でも前を向かせたくなかったのだろう。しかし入れ替わられるとヨニッチのカバーも間に合わず、永井の折り返しをウタカが流し込んで東京が先制する。

■少し変化を見せるFC東京の守備

セレッソにしてみれば思わぬ形で失点してしまったのだが、このゴールの後東京の守備はちょっとだけ変わる。
FC東京の守備の変化
変わったのは4-4-2の2列目の守備。
それまで、どこから誰がいつ守備をするかが見えなかった東京の守備だが、このゴールのタイミングで指示があったのだろう。セレッソのボランチ、SBにボールが入るタイミングで東京の守備の2列目、SHとボランチがマッチアップする相手に対して迎撃型で前にでて捕まえて来るようになる。永井も押し上げを促し、ズルズルと下がってしまう守備ブロックをなんとかしたかったのだろう。
ただ、柿谷が中央ボランチの後ろに入るようになり、高萩と橋本のダブルボランチが前に出る時に柿谷を捕まえてくれと指示するも、東京の最終ラインは教えげてくれないので再び逆戻り。10分〜15分ぐらいで元にもどってしまった。

しかし、セレッソの攻撃が上手くいっていたかと言えば全くそうではない。
以前から指摘しているように、セレッソの攻撃は比較的個人任せで形はないのでどうしても停滞してしまう。
これまで大きな役割を担ってきた山村も、山村の強さやキープ力に頼らずともボランチが前を向くと勝手にブロックが下がってしまうのでボールを運べてしまう。しかしその結果ゴール前には人が沢山集まるので山村がプレーできるようなスペースが無い。またこういう状況になると杉本は下がってボールを受けようとする分、山村はバランスを取るため前に残るのでよりボールが入らないという状況になっていた。

またもう1つ。こうなると柿谷はより攻撃に絡もうとする。
しかしそうなるとSHとしての守備がちょっと休みがちになるので、室屋と東に対して丸橋1人で対応する場面も増え、その結果ソウザがサイドに引っ張り出されるという場面も出てきてしまっていた。

森重が痛め治療中の45+4分に、ソウザから大外に上がってくる松田に出してダイレクトで折り返しそこに柿谷が飛び出す、相手に引かれた時バルセロナがよくやる必勝パターンでゴールに迫るものの、柿谷のヘディングシュートはクロスバーの上へ。
45+5分
森重は一旦立ち上がってプレーしようとしてものの、結局無理だったようで前半アディショナルタイムの45+5分に丸山と交代。
そしてそのまま前半終了となる。

■単純明快に

セレッソにとって嫌な流れだった前半。いつか取れそうな感じはあって何でもできそうなだけに引っかかるという悪循環だった。
ここで慌てずに一回落ち着いてしっかりと攻めようという方法もあったかと思うが、尹晶煥が選択したのは、ハッキリさせて前への圧力をさらにかける方法だった。
前半は中央でボールを持てるだけにそこで詰まってしまっていたセレッソ。
しかし後半は、前半は中央に進出していた水沼がサイドに開くシーンが増え、シンプルにサイドに展開してクロスを入れ始める。前半最後にあったような相手を崩す様な形は取れていないので、得点の確率としては高くは無いかもしれないが、中盤で引っ掛けられるような事は少ない。
また東京の守備はズルズルと下がっていくのでクロスを上げるまでは持っていけるという判断だったのだろうか。
後半立ち上がりにもかかわらず試合終盤の様な展開になる。
それが実ったのが57分。ソウザから右サイドの水沼に展開すると、水沼からのクロスに杉本が飛び込みゴール。セレッソが1-1の同点に追いつく。最後競り合ったのは絞っていた右SBの室屋だったが、室屋が待ってヘディングしようとしたところに杉本が飛び込む形だったので弾き飛ばされる事になった。

1点返す事ができれば楽になりそうな展開だったこの試合。直後には杉本が起点となり、右サイドから水沼が流し込んだ折り返しに柿谷が左足で合わせるという絶好機を作るもシュートは枠外。
あの折り返しに対して右足だと振らないといけないので浮いてしまうから、左足の面で合わせに行ったのだがちょっと厚く当たりすぎた。

しかし東京の前線のタレントは強烈。
クサビを奪われてカウンターを受けると一気に永井に抜け出される。永井はループシュートを狙うもクロスバーを越え、事なきを得た。

セレッソは一気に逆転を目指してさらに前への圧力をかけ、まるで試合終盤の様な展開は続く。
その分奪われたらカウンターを受けてしまうんだけど、勝負をかける選択だったんだろう。
ウタカにカウンターで運ばれるが、ここはヨニッチがパーフェクトな対応を見せた。
するとそのプレーで得た東京のCKから、柿谷のクリアに対して山下がセカンドボールを拾うとセレッソのカウンター。東京も一気に6人が帰陣しその一旦スローダウンするも、右サイドに展開したところで水沼から松田にスルーパス。東京のラインは揃っておらず抜け出した松田が林のニアにボールを流し込み、セレッソが一気に逆転に成功する。
GKと1対1の状況なので林にできる事は少なかったと思うし、反応しにくい場所ではあるのだが、おそらく林はこのコースが苦手なんだと思う。前節の磐田戦でもアダイウトンに同じ場所に流し込まれているし、ルヴァンカップの清水戦でも北川にも流し込まれている。
なので、もしかするとセレッソもそういうデータを持っていたのかもしれない。
松田が落ち着いて流し込んで63分に2-1とセレッソが逆転した。

■カウンターで追加点

逆転に成功した事で少しペースを落とすセレッソ。しかし東京の守備は相変わらずなので押し込む事ができる。
67分〜
67分、東京は中島に代えて阿部を投入。セカンドストライカー的なプレーが持ち味の阿部が入ったのは左サイド。でおそらく前線を阿部、ウタカ、永井の3人にした3トップにしたんだと思う。でおそらくオリジナルポジションとしては永井が右なんだけど、ウタカが結構自由に動くので、下がれば永井が前に入ってくる。なので結局はウタカが右にいて長いが真ん中という場面が多かった。
そしてセレッソはその阿部が入ってワンプレー終わったタイミングで形を見て山村を最終ラインに下げる5-4-1に変更。後ろのスペースを消して守ろうという事だろう。

東京は前線の人数を増やしても、特に何もないので変わらず。逆にセレッソがカウンターを見せるようになる。
81分〜
するとFC東京は78分、東に代えて前田を投入。とにかく前線にストライカーを増やしてくる。
一方でセレッソは81分に杉本に代えて澤上を投入。杉本はちょっと足をつらせていたので、選手の入れ替えを行う。
ここからゾーンで守るセレッソにとってアウトスイングでボールが逃げていく太田のCKでちょっと危ない場面を作られるが、そのCKからのカウンターで丸橋が一気にボールを運ぶと一旦はブロックされるが、後ろから上がってきたソウザが強烈なミドルシュートを叩き込みゴール。FC東京の選手は前線の阿部が後ろから追いかけたものの、揃ってる最終ラインと中盤の選手は誰も前に出てこないので、ソウザは狙ってシュートを打つことができた。
89分〜
その後セレッソは84分に柿谷に代えて関口、89分に水沼に代えて福満と、疲れの見えた選手を入れ替えるとそのまま試合終了。
3-1でセレッソの逆転勝利に終わった。

■その他

ちょっと嫌な流れになりそうな試合だったが見事に勝ちきった。サッカー監督の仕事としては試合に向けての準備が7割、試合中の采配は3割程度だと思うが、この試合ではその采配面での成果。後半立ち上がりからリスクを犯してでも積極的に前に出したところが大きかった。
FC東京との間にある試合にむけての準備の差を個人技一発でやられ苦労する可能性もあっただけに大きかった。
これでリーグ半分となる17節終了時点で暫定ながら首位。
ミッドウィークにあるガンバ対鹿島戦でガンバが2点差未満で勝つか引き分けるかで暫定もとれ、首位で折り返すこととなる。
去年までならファーストステージ優勝だ(笑)。

一方の東京は、ちょっと大変だなと感じた。
選手の能力はかなり高い。がしかし組織としては残念。まるで去年のセレッソを見ている様だった。
多分チームとしてどこから守備をするか、どうやって守備をするかが決まっていないのだろう。
永井はブロックを下げないように前から行きたい姿勢を見せていたが誰も反応しないので徒労に終わる。行けば守備の1列目と2列目が空いてしまう。という厳しい状態だったんじゃないだろうか。1-1の時にあった永井が抜け出したシーンが決まってたらもしかしたら違った結果になったのかも知れないけど、そういう問題じゃ無いような…





2 件のコメント :

  1. 解説ありがとうございます。
    観戦前後に拝読するのが日課になっております。
    私、素人なので、選手個人に焦点が行ってしまうのですが、ウタカ選手。
    前半は最前列で受けたり、二列目に引いたりして効果的だったと思いますが、後半20分で完全に足が止まってて、なんで交代しないのか。
    で、後半になると最前列大渋滞だからか分かんないですが、最終ラインまでボール受けに来てて、去年のどこかのチームがやってた、個人の感性にお任せします感が酷かったのは気のせいでしょうか?

    あと、健勇の競り合いでの出癖と落下点でジャンプせずに、相手を叩き落とすプレーが出てたのが残念でした。

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