2017年10月6日金曜日

10/4 YBCルヴァンカップ 準決勝 第1戦 VS ガンバ大阪 @ ヤンマースタジアム長居

JリーグYBCルヴァンカップ 準決勝 第1戦
2017年10月4日(水)19:03KO ヤンマー

スタジアムヤンマースタジアム長居主審東城 穣
入場者数21,800人副審聳城 巧、平間 亮
天候 / 気温 / 湿度晴 / 18.1℃ / 42%第4の審判員福岡 靖人
追加副審木村 博之、山本 雄大
スターティングメンバー
セレッソ大阪C大阪
 
ガンバ大阪G大阪
 
  • 監督
  • 尹 晶煥
 
  • 監督
  • 長谷川 健太
21歳以下の選手を1名以上先発に含める(決勝を除く)ことが大会方式として決められている。※1

※1 但し、以下の場合は出場義務を負わない。
・対象選手1名以上が日本代表試合または日本代表活動(A代表、U23、U20)に招集され、試合日に不在の場合。
・対象選手が試合エントリー後の怪我等のやむを得ない理由により出場ができない場合。
セレッソ大阪C大阪
G大阪ガンバ大阪
今回対戦今季平均
データ項目セレッソ大阪ガンバ大阪セレッソ大阪ガンバ大阪
FK17141314
CK4354
PK0000
シュート611711
警告/退場0/00/01/00/0

<監督・選手コメント>

セレッソ大阪 尹晶煥監督
ガンバ大阪 長谷川健太監督

セレッソ大阪 斧澤選手、秋山選手、リカルド・サントス選手、関口選手
ガンバ大阪 赤﨑選手、井出選手

セレッソ大阪 関口選手、茂庭選手(Jリーグ公式)
ガンバ大阪 初瀬選手、赤﨑選手(Jリーグ公式)

セレッソ大阪対ガンバ大阪との大阪ダービーとなったYBCルヴァンカップの準決勝。
セレッソ大阪の本拠地ヤンマースタジアム長居で行われたファーストレグは、2-2の引き分けで試合終了。セカンドレグは10月8日日曜日に市立吹田サッカースタジアムで開催となる。

■メンバー

国際Aマッチウィークに開催されるルヴァンカップの準決勝。セレッソ大阪は杉本健勇、山口蛍、キム・ジンヒョンの3名。ガンバ大阪は、井手口陽介、倉田秋、東口順昭、オ・ジェソク、ファン・ウィジョの5名が日本代表および韓国代表として招集されているので不在となる。

セレッソ大阪のメンバーは、準々決勝のファーストレグ同様に、ミッドウィークに開催されるファーストレグはリーグ戦から大幅にメンバーを変更。今回はリーグ戦前節の川崎戦で秋山が今季初スタメンとなったため、その秋山だけが残り川崎戦からは10人を入れ替え。リカルド・サントスの1トップに福満がトップ下。右SHには関口、左SHには21歳以下の斧澤、ボランチには秋山と木本が入っている。
最終ラインには酒本、藤本、茂庭と準々決勝のファーストレグと同じメンバーが並ぶが、左SBには前節累積警告で出場停止だった丸橋を起用。
ベンチに川崎戦に先発した田中、水沼、山村と、途中出場の清武、ソウザ。そして澤上が入っている
ちなみに先発で、酒本、藤本、茂庭、丸橋の4人が最終ラインで並ぶのは2013年5月18日に行われた第13節アウェイでの柏レイソル戦以来。この試合の前半に茂庭が負傷した事で、山下が交代で投入される事になるのだが、これをきっかけにそれまでCBの3番手だった山下がレギュラーポジションを獲得する事になった。

一方のガンバ大阪のメンバーだが、代表5人の欠場に加え、CBのファビオ、金正也、藤本、アデミウソンが怪我で離脱中。という事でかなり厳しいメンバーとなるが、GKには藤ヶ谷、DFラインは右から初瀬、三浦、今野、藤春。ボランチには遠藤と札幌から期限付き移籍中でU-23で出場を重ねている中原。中原は札幌では攻撃的なポジションで起用されていたが、ガンバ大阪U-23ではボランチやCBで起用されているため、今回はボランチでの出場となっている。右SHには本来はボランチの市丸と左SHに泉澤が入り、2トップは赤﨑と長沢を起用。ベンチには米倉や呉屋に加え井出も入っている。

■アウェイゴール方式について

ルヴァンカップのプレーオフステージ・ノックアウトラウンドは国内の大会の中では唯一アウェイゴール方式が適用される大会となっている。
アウェイゴール方式というのはホーム&アウェイの2試合を通じて合計スコア(アグリゲイトスコア)が並んだ時にアウェイゴール数が多い方が勝ち抜けとなるというもの。なのでまずはシンプルに勝てば良いのだけど、準々決勝の浦和戦でファーストレグ0-0、セカンドレグ2-2のアグリゲイトスコア2-2で並んだものの、アウェイでのセカンドレグが2-2としたセレッソが勝ち抜いた様に、実際のところはかなり勝ち抜けにおいて大きな要素にもなっている。
これがなぜ大きな要素となるかというと、まずセカンドレグのキックオフ時点の両チームの立ち位置を明確にするからだ。
例えばファーストレグを引き分けだったとすると、もしアウェイゴールを奪っているとセカンドレグは0-0でもOK、そして奪われた方のチームは点を取りに行かないといけない。
つまり、アウェイゴールを奪っていると、セカンドレグを先制した(された)場合にかなり近い状況で迎える事ができる。
セカンドレグは0-0でOKとはいえ、最初から狙って0-0で試合を終える事はどのチームであっても非常に難しい。なのでこの「0-0でOK」にあまりメリットを感じないかもしれないが、対戦側のチームにある「ゴールを奪いに行かなくてはいけない、先制されたに近い状況」は結構大きい。J1では先制したチームが67.33%の確率で勝利するというデータもあるように、サッカーでは先制することが大きなメリットになるからだ。

こういったアウェイゴール方式という戦い方があることで、ヨーロッパではCLやELで結構このメリットを大きく使うチームも出てきている。
よく見られるのが、ファーストレグがアウェイだった場合に、立ち上がりから逆にリスクをかけてアウェイゴールを奪いに行くやり方。
アウェイチームにとっては、ファーストレグが0-0の引き分けでも1-0の負けであっても、セカンドレグの立ち位置は変わらない。どちらにしても1点は取らないと先は無い。
そして同じ1点差負けなら1-0よりも3-2の負けの方がアウェイチームにとって有利。1-0の負けならセカンドレグを1-0としたところで延長だが、3-2なら1-0でもアウェイゴールで勝ち抜けができる。つまり同じ点差ならゴール数が多い方がアウェイチームにとってはメリットがある。
だったら、アウェイチームは最初からある程度リスクを背負ってでも点を取りに行こうと考えるのだ。

そしてこのやり方が広まった事で、逆にファーストレグをホームで戦うチームはとにかく0-0でもOKという形が浸透してきてもいる。ファーストレグを0-0で終える事ができると、アウェイでのセカンドレグは1-1でも勝ち抜け。つまり1点でも奪う事ができると、相手は2点以上必要になるからだ。これは先程も書いた「0-0でOK」と同じで、引き分け狙いで引き分ける事は難しいが、相手は「先制されたに近い状況」、つまりリスクをかけてくる。となると戦いやすくなる事はあきらかだろう。
そしてこれは、準々決勝の浦和戦でセレッソが持ち込んだ戦い方だ。

■立ち上がりの攻防

4-4-2のブロックを作るセレッソ
先に書いたようにセレッソにとっては勝つに越したことはないが、無失点が第一目標のこの試合。立ち上がりからそれほど高い位置から相手にプレッシングをかける場面はあまりなく、各自がポジションに帰るミドルゾーンで4-4-2のブロックを作る戦い方を取っていた。
一方のガンバはアウェイゴールを考えるともう少し積極的な戦い方を選択する方法もあったかと思うが、チーム状態の事もあって慎重な入り方を選択してきた。
ガンバのチーム状態は代表で5人が抜けていて若手選手が多くプレーしている事はもちろんだが、公式戦の直近5試合で1勝も出来ていない事も大きいだろう。
セレッソもリーグ戦3連敗中であり、ここ2試合は大量失点とチーム状態は決して良くないが25節の東京戦と天皇杯の名古屋戦では勝利している。
一方でガンバは最後に勝ったのは9/2のルヴァンカップ準々決勝セカンドレグ神戸戦で、それ以降は1分4敗。リーグ戦の26節大宮戦で引き分けとなっているのでリーグ戦では2連敗中だが、天皇杯の柏戦にも敗れており、まるまる1ヶ月間勝利が無い状態。またこの1ヶ月の5試合全てで複数失点をしているので、チーム状態はセレッソとどっこいどっこいと言ってもいいだろう。
そして、先日のリーグ戦ダービーの時にも書いたが、今季のガンバは決してボールをもって何かができる、何かをしようというチームにはなっていない。
なのでセレッソがブロックを作った事でガンバがボールを持つ事はできるものの、セレッソのブロックの中にボールを入れる事はほとんど出来ないままだった。
特に遠藤と中原のセンター2枚がセレッソの中盤のインテンシティに後手を踏んでしまい、まずはセレッソがガンバのゴール近くにまでボールを運ぶ形でスタートする。
立ち上がりの13分にはそのプレー自体はファールかどうかは微妙で、ちょっとアンラッキーな感じではあったが、遠藤が木本に対して行ったスライディングがファールを取られてしまった場面も、遠藤があそこでスライディングにいかないといけないという状況自体がインテンシティの面で後手を踏んでしまっている状況を表していた。
ただ、セレッソが盤石だったかと言えば全くそうではない。
その最大の要因となっていたのは、ガンバの長沢と赤﨑の2トップに対して茂庭と藤本のCBが距離を詰めて対応することができなかった事。
赤﨑はもちろん、長沢も身長に目が行きがちだが、大柄ながらどちらかというと背負ってというよりも動きで勝負するタイプで比較的スピードもある。その2人に対してセレッソの茂庭と藤本はスピードでやられないように距離をとって対応していた。
ただ、この形だと一発でやられる事は無いが、いくらブロックを作っていても角度が変わるとトップに直接ボールをつけられやすくなる。入ってからはベテランの技というか経験で巧みに対応することでシュートコースを消したりはしていたが、5分を過ぎた頃からボランチから右SBの初瀬に展開してそこから一気にトップに入れるボールを使う事で、ガンバもセレッソのゴール前へボールを運び出し、さらに12分には赤﨑の突破からのクロスで決定的な場面も作られてしまっていた。

■両チームが得点を重ねる

そういったどっちに転ぶかまだわからないという展開の中で、唐突に試合は動く。
前半23分に赤﨑が豪快にミドルシュートを決めてガンバが先制した。
この場面はセレッソのCKから始まったのだが、その前のCKでもガンバはそこからのカウンターを狙っていた。これもダービーで書いたが、今季のガンバが最も力を発揮できるのはボールを持ってからではなく、ボールを奪った瞬間の切り替えの場面。なのでボールを持たされる展開になっていく中でCKのカウンターは最初から狙ってはいただろう。セレッソの最初のCKのときにもその狙いは見えた。
ただ、おそらくこの場面ではセレッソもそれをわかっていて、右サイドからのCKを最初は丸橋が蹴っていたのだが、この場面では酒本に変更。それに伴いカウンターケアで後ろ残る選手も秋山と酒本から、この場面では秋山とスピードがある丸橋に変えていた。
なのでこのCKからのカウンターで藤春が走る事になるがそれに対して丸橋が対応、さらに関口も加わる事でカウンターのスピードを止め、スローダウンさせる事に成功している。
スローダウンした事でガンバは後ろで横パスをつなぎ逆サイドに展開、その間にセレッソも8人がボールより後ろに戻る事ができているのだが、ここでセレッソの対応にミスが起こった。
藤春が走っていたのはセレッソの左サイド。そこにセレッソは丸橋と関口で対応していた。関口は右SHの選手なので、セレッソの右SHには誰もいなくなっている。
なのでポジションに戻るならば、左SHの斧澤が右サイドに行くのか、それかカウンターケアという事を考えると関口を除く中盤3人が全体的に右サイドにスライドする必要がある。
しかしこの時にセレッソの中盤の3人が戻ったのはオリジナルのポジション、つまり右SHに誰もいない状態になった。
一方でガンバはカウンターからの流れなのでポジションを崩している。セレッソの右サイドには中原が出ていき、赤﨑がその内側。ちょうど藤春がいない状態の左SBに中原がなっていて左SHには赤﨑、トップの位置に長沢と泉澤がいた。
そして遠藤からのパスが赤﨑に渡る事になるのだが、この時に当然まだ関口は右SHのポジションに戻れていない。なのでセレッソの中盤は1つずつ右サイドにスライドするしかないのだが、右ボランチの位置に戻った秋山は赤﨑にボールが渡った時に、あたかも右SHがいるように普通に右ボランチのポジションについてしまった。
なので赤﨑は完全にフリー。関口が逆サイドから慌てて戻ってきたが、それよりも速く赤﨑が放ったシュートがブレ球となり丹野の手を弾いてゴールネットを揺らす形となる。
またシュート自体はボールが落ちているのでいいシュートだったとも言えるが、コース的には甘かったのでできれば丹野にもなんとかしてほしかったところもあるが、そもそもはセレッソの中盤の守備が招いた失点だった。

ちょっともったいない形で失点をしてしまったセレッソ。最初に長々と書いた様に、この試合は相手を0点で抑える事が最優先事項。なのでガクッと落ちてしまう可能性もあったが、そうはならなかった。これはこの試合のポジティブな面だっただろう。
そうならなかったのは、失点した時間がまだ早かった事もあると思うが、中盤の争いでは守備から攻撃の切り替えで主導権を握れているという実感もあったからだと思う。
失点直後から立ち上がりと同じような形で敵陣深くにまでボールを運ぶ事ができていたし、20分にはロングボールからリカルド・サントスが落としたボールを福満が拾ってリカルド・サントスへリターン。ここでは今野の素早い対応でボールを奪い返されたが、ガンバの遠藤と中原の2人がフィルターになれておらず、セレッソがボックス付近にまで一気にボールを運んでいる。

そしてその直後。中原から市丸へのパスを斧澤がインターセプトするとセレッソがショートカウンター。福満が20分の場面と同じような形でリカルド・サントスへパスを出すとショートカウンターだった分だけガンバのディフェンス陣は先程よりも少ない人数で対応しないといけない状態に。そしてリカルド・サントスが放ったファーサイドへの曲げて落とす技ありのシュートがゴールネットを揺らし、23分にセレッソが1-1の同点に追いついた。
リカルド・サントスの後ろを木本が走った分、今野はリカルド・サントスとの距離を詰められなかったため、リカルド・サントスはシュートを打つだけの時間とスペースを得る事ができた。

■微妙なバランスで成り立つ1-1

前半の比較的早い時間である16分から5分ちょっとの間で1点ずつを奪い合った両チーム。ここからの試合展開としてはしばらく1-1のまま進んでいく事になるのだが、立ち上がりからどちらも決して守れていた訳でもなかったので、もう少しスコアに動きのあるゲームになる可能性もある試合だった。

この試合のセレッソは、立ち上がりから先制された後も、そして追いついた後も、攻め方をあまり変えなかった。
セレッソは失点してしまった事で、この試合は0-0でもOKから勝ちたい試合となった。
なのでもう少し攻撃的に行く手もあっただろうが、立ち上がりから攻めれていた、そして無理せずとも同点に追いつけた事で、90分のどこかで2点目を奪えるんじゃないかと考えたんだろう。
ボールを持った時の形を変えるガンバ
一方でガンバは結構色々やってはきていた。
10分すぎぐらいから見られていたのは守備の時はそのまま遠藤と中原がセンターに入る4-4-2なのだが、攻撃の時は赤﨑が右に出て泉澤が前に、市丸と中原がインサイドハーフで、遠藤がアンカーの位置となる4-3-3気味の布陣になるものの。
またセレッソが同点に追いついて以降の30分頃からは、中原が中盤の底で遠藤が左サイドにでてブロックの外で自ら起点になろうというプレーを見せるようになっており、後半に入るとこの3人は3センター気味になりより流動的に動くようになっていた。

ただ、そんな両チーム共に守備面での不安点は立ち上がりから変わらず。なので1-1で迎えた後半立ち上がりにどちらにもチャンスが訪れる。

まず最初のチャンスを作ったのはガンバ。
48分にクロスからのこぼれ球を遠藤がミドルシュートを放つ場面を作る。
この場面はガンバが泉澤と藤春でボールを運んだところからはじまっているのだが、セレッソの最終ラインに引っ張られる形で中盤が下がってしまい、こぼれ球を待つ遠藤に対してアプローチに行けなかったのだが、これも立ち上がりから見られたセレッソのCB2人が距離を詰めてディフェンス出来ない事に起因している。
中盤の選手が下がってしまうのは前半からガンバの前線の選手にボールが入るため、何度もプレスバックをしないと行けなかったからだった。

そして次のチャンスを作ったのはセレッソ。52分に福満からのスルーパスを受けた斧澤がボックス無いでシュートを放っている。
これは先程のチャンスとは真逆。前半の途中から見せていたガンバの3センター気味で流動的に動く布陣になった後でボールを奪われているので、遠藤と中原がセンターに入る4-4-2の形に慣れていないまま藤本からリカルド・サントスへ鋭いクサビが入る。これをリカルド・サントスが今野を背負ってキープ。その落としを秋山から福満へとボールが渡ったので、ガンバの中盤は全くフィルターになれず、福満はフリーで前向きに斧澤へとボールを出す事ができていた。

このどちらにもあった問題点をなかなか改善することはできなかったので、1-1ながらも落ち着いたゲームという形にはなっていなかった。

■動きを見せる両チーム

60分〜
この状況で最初に動いてきたのはガンバ。60分に泉澤に代えて米倉を投入。米倉は右サイドに入り市丸が左サイドに移動する。
ここまで藤春と泉澤は後半の立ち上がりなど何度か2人でボールを運んでいたものの、泉澤が仕掛けられるような場面を作っていたわけでもなく、また藤春の為にスペースを作っていた訳でも無かった。なので3センター気味にもなる市丸を藤春サイドに置いて藤春が出るスペースを作る、そして最悪そこは市丸がカバーする。一方で逆サイドは縦に仕掛けられる米倉をという狙いだったのだろう。
また、この交代からガンバの攻撃は少し変化を見せる。
これまでよりもサイドの深くへ長いボールを使う場面が増え、それまではGKからのボールも前線めがけて蹴っている場面が多かったのだが後ろでつなぐようになる。
この形の狙いは明白。
セレッソの最終ラインは茂庭と藤本が2トップを距離を取ってしまう分、どうしても下がって対応する。そしてそこに中盤もついていく。なのでサイドの奥に長いボールを多用することで最終ラインと中盤のラインを下げる。一方でGKからつなぐ事で、リカルド・サントスと福満は前に出てくる。その結果中盤と2トップのラインが大きく開く。なのでそこを流動的に動く遠藤に使わせようという、後半の最初にあった遠藤のミドルシュートからいくつかガンバが見せていた攻撃をより徹底したものだった。
71分〜
セレッソも71分に斧澤に代えて清武を投入。清武は最初そのまま左サイドに入ったが、しばらくすると中央に移動。福満が左SHへと移動している。
ただ、ガンバの狙ってきた攻撃に対しての対応策という訳でも無かったので、しばらくはガンバが攻める時間が続く事になる。
ガンバは73分には、距離を取るCBの間に入った赤﨑が中原からのパスをダイレクトで狙う場面も作っている。

そんなガンバが攻め込む展開が続いていた81分、セレッソが清武のFKから逆転ゴールを決める。
その起点となったのはセレッソの左サイドでボールを奪ってのカウンター。
セレッソが左サイドでボールを奪うとリカルド・サントスとバス。リカルド・サントスが重戦車の様なラン・ウィズ・ザ・ボールでスペースへボールを運んだところで三浦のファールを受け、獲得したFK。ガンバはボールを失った時のバランスが悪く、完全に抜け出されてしまった。
そして清武のFKもニアで曲がって落ちるパーフェクトなボール。一番近くを走った藤本と遠藤の頭を越え、二番目の木本へとピッタリ合うボール。木本のマークには高さのある長沢がついていたが、高さは全く関係ないボールで、そして木本のバックヘッドも綺麗に決まった。
80分〜
この清武のFKのタイミングとなる80分にガンバは、中原に代えて井出を投入。井出が入ったのは千葉時代のポジションでもある左SH。そして市丸がボランチへと移動している。
84分〜
ガンバの両SHが高い位置を取るようになった事を受けてセレッソは関口に代えてソウザを投入。
セレッソはこのタイミングで木本が最終ラインに下がり、秋山とソウザのダブルボランチ、左に清武、右に福満の5-4-1に変える。

しかし86分、清武が自陣でドリブルで初瀬をかわそうとしたところで引っかかってしまいボールロスト。秋山がスライディングで飛び込んだのもかわされてしまい、上げたマイナスのクロスに井出が合わせてゴール。ガンバが2-2の同点に追いつく。
井出のシュートした場所は下がったディフェンスラインの前。ずっと埋めることができなかった場所で、この時は秋山がサイドに出ていたのでより空いていた。そして右SHに移動した福満はそこにスライドして埋める事が出来ていなかった。
ただそれよりも清武のボールロストが軽率だった。そもそもあの位置はドリブルをするべき場所ではない。
ただ、あそこでなぜ清武がドリブルをしてしまったのかというと、その前のタイミングでルックアップをした時に前線に出しどころが全く無かったからだろう。
セレッソは5-4-1になっていたので、前線にいたのはリカルド・サントス1人。そしてそのリカルド・サントスは同サイドの少し前にいて、三浦にマークされていた。
リカルド・サントスにするとそれでも出してくれよという事だったのかもしれないが、そもそも清武とリカルド・サントスの間には初瀬もいた。なのでもうちょっとはっきりと大きく動いてあげて欲しかった面もある。ただ、とはいえ清武のミスには変わりない。
86分〜
この失点直後の86分にセレッソは福満に代えて水沼、ガンバは赤﨑に代えて呉屋を投入。
しかしそのまま2-2で試合終了となった。

■セカンドレグにむけて

セレッソとしては2点ともミス絡みなのでもったいない試合ではあった。
ただ、全体的に守れていた訳ではなかったので、この2つのミスが無かったとしても失点があってもおかしくない試合ではあった。
ファーストレグが2-2となった事でセレッソが決勝に進出するためには、勝利、もしくは3-3以上の引き分けが必要となる。
そしてセカンドレグでは、21歳以下枠としてこの日も出場した斧澤もしくは西本が先発し、その他はレギュラーメンバーが復帰することになるだろう。
試合のポイントになりそうなのは、4-4-2の時の1列目の2列目の間。ヨニッチと山下のCBになれば、ファーストレグの様に距離をとって守備をするという事は無いだろう。
ただ、後半の戦い方を見ていると、ガンバにはそこに遠藤がいる事もあってやはりセレッソの4-4-2の狙い目は1列目の2列目の間だと考えているのだろう。なので、後半途中からやってきたようなトップを引き出す、そして最終ラインを下げるという形は狙ってくると思われる。
これに対して2トップのプレスバックと2列目と3列目の押し上げがどこまでできるかが重要になる。
一方攻撃面では、この試合を観る限り焦らなくても得点のチャンスは十分ある。
ガンバの特に中盤センターの守備は問題を抱えている。ファーストレグでセレッソが作ったチャンスのほとんどが攻撃に切り替わった瞬間の中盤センターでセレッソが優位に立ったものだった。なのでゲームプランとしては、立ち上がりからそれほど攻撃的に考える必要は無く、90分のどこかで1点を奪う、後は4-4-2の守備を徹底するという形で良いのではないかと思われる。
ファビオの怪我の状況もあるが、ガンバとしてはできるだけ今野を中盤で使いたいと考えているのではないだろうか。
ただ、もし今野が入ったとしても、中盤の切り替えの部分では優位に立てるんじゃないかと思うので、じっくりと90分トータルで勝つという考えで良いのではないだろうか。




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