2018年1月23日火曜日

セレッソ大阪 2017年シーズンレビュー vol.3

セレッソ大阪2017年シーズンレビュー第3回目。今回は実際の戦い方におけるデータ部分にスポットを当ててみよう。

明治安田生命J1リーグ:19勝6分9敗 勝ち点63 3位
YBCルヴァンカップ:8勝5分0敗 優勝
第93回天皇杯全日本サッカー選手権大会:6勝0分0敗 優勝



■得点数/失点数

2017年はリーグ戦順位は3位。得点数は65、1.9得点/試合でリーグ2位。失点数43、1.26/試合でリーグ9位だった。
得点数2位と結果を残した最大の要因は、65点中22得点を締めたセットプレーからの得点だろう。
セットプレーから直接を除き22得点はリーグトップ。リーグ戦でCBとして先発した選手全員が得点を決めている唯一のチームだった。

【10試合毎の得点数】
第1節〜10節:11得点 1.1得点/試合
第11節〜19節・22節:29得点 2.9得点/試合
第20節・21節・23節〜30節:16得点 1.6得点/試合
第30節〜34節:9得点 2.25得点/試合

しかしリーグ2位となったこの得点力も10試合毎にわけてみると最初から高かったわけではない。今シーズンのJリーグ平均が1.3得点/試合なので第1節〜10節の1.1得点/試合は平均以下でしかない。
ただ、今季初得点から4点目までが全てセットプレーからだったように、序盤もセットプレーからの得点は奪えていた。というよりもセットプレーからしか得点が奪えていなかった。
11節以降得点が伸びたのはセットプレー以外でも得点を奪えるようになったからといえるだろう。これはプレシーズンに攻撃まで手がつけられなかったこともあるが、7節のガンバ戦で杉本が今季初ゴールを奪ってからコンスタントに得点を重ねたことも大きかったと思われる。

得点力がもう1度下がった第20節・21節・23節〜30節。下がったとはいえ1.6得点/試合はリーグ平均の1.3よりは高いので得点力がなかったわけではないが、ここは失点との関係を考えなければならない時期にあたる。

【10試合毎の失点数】
第1節〜10節:8失点 0.8失点/試合
第11節〜19節・22節:10失点 1.0失点/試合
第20節・21節・23節〜30節:18失点 1.8失点/試合
第30節〜34節:4失点 1.0失点/試合

2017シーズンで1試合平均1失点以下で抑える事ができなかったのが、第20節・21節・23節〜30節の10試合。3勝1分6敗でシーズン9敗のうち2/3にあたる6敗がこの期間だった。
試合別走行距離
ちょうど夏の暑い時期にもあたり、運動量に問題を抱えていたのかと考えてしまうかもしれないが、試合別走行距離を見るとこの時期も決して走行距離が下がっていた訳ではない。
ただ実際にリーグで首位に立った後ということもあり、攻守のバランスを崩し得点も下がり失点も増えるというサッカーは改めて攻守がつながっているという事を象徴するような現象がおこっていた。

■チームスタイルについてのデータ

もう少し細かいデータについても触れてみる。
ボールポゼッション
シーズンが進むにつれ対戦相手の監督や選手からも「ボール保持にこだわらないチーム」とのコメントが見られるようになったが、実際にポゼッション率は49.0%でリーグ12位。トップ5の中では唯一50%を下回っている。
時間にするとマイボール時が27分、相手ボール時が29分。セレッソよりも相手ボール時間が長かった清水が14位、甲府が16位に終わったことを考えると、セレッソは相手がボールをもっている時間に最も試合をコントロールできていたチームだったといえるだろう。
それができるから対戦相手からの「ボール保持にこだわらないチーム」との評価に繋がった。

そしてこの相手ボール時の安定感は4-4-2の守備ブロックによるところが大きかったと思われる。
1試合平均のボール奪取回数
この表は1試合平均のボール奪取回数とそのゾーンを表したものになるのだが、セレッソのボール奪取回数は1試合平均で70.5回でリーグ3位。鹿島アントラーズの73.3回、柏レイソルの70.8回に次ぐ数字となっている。
そしてそのボール奪取回数を、自陣を3分割した自陣ゴール前、自陣ミドルゾーン、自陣前方、と敵陣の4つのゾーンに分けた数字でみると、
例えばボール奪取回数1位の鹿島アントラーズは敵陣が16.1回で1位、自陣前方が18.3回で2位、自陣ミドルゾーンが21.5回で2位。
2位の柏レイソルは、敵陣が15.7回で3位、自陣前方が19.2回で1位、自陣ミドルゾーンが19.8回で7位。
となっており、高い位置からボールを奪っていたことがわかる。
一方セレッソは敵陣は15.2回。自陣前方は15.5回、自陣ミドルゾーンが21.9回、自陣ゴール前は17.9回。
自陣ミドルゾーンでの1試合あたりのボール奪取回数
敵陣の15.2回はリーグ5位と比較的高い数字を残しているが、自陣ミドルゾーンでのボール奪取回数はリーグ1位。ずば抜けて高い。
敵陣でボールを奪いに行く形と、自陣でブロックを作る形を併用できていて、そのブロックでしっかりとボールを奪えていたことがわかる。
1試合あたりのインターセプト数
ブロックでボールを奪う事ができていたことをさらに表すのがインターセプト数。
セレッソの1試合あたりのインターセプト数3.1回はリーグ内でも突出した数字となっている。
このインターセプト数は正しいポジションでブロックを作れていたことの証もある。
被シュート数
その結果が、被シュート数が8.91でリーグ3位という数字に繋がったのだろう。
ポゼッション率の高い川崎や鹿島、浦和などはボールを保持することで相手の攻撃回数を減らし被シュートを減らすという形になっていたが、ポゼッション率の低いセレッソはミドルゾーンでボールを奪い返すことで被シュート数が少なくなったと言える。
シュート数
自陣のミドルゾーンでボールを奪っていたセレッソだが、得点数もリーグ2位。シュート数もリーグ3位と攻撃に結びつけることができていた。
距離別パス数
例えば得点数1位の川崎はボールを保持する時間を長くすることで敵陣までボールを運んだ。その結果パスの本数がずば抜けて多い。
そしてシュート数1位の鹿島は、川崎よりもパス本数は少ないが、先程紹介したボールを奪い返す位置にあったように様に、そもそも高い位置でボールを奪い返す回数が多い。つまり高い位置でボールを奪い返すことでボールを運ぶ距離そのものを短くしてシュートにつなげていた。
セレッソは川崎よりもずっとポゼッション率は低いし、鹿島よりもずっとボールを奪い返す位置が低い。
パスレンジ比率
そこでポイントになったのがパスの内訳。セレッソは全パス数のうち13.52%が30m以上のロングパスとなっている。
これはボールを奪い返す位置が低ければ当然ロングボールになるし、また結果的にはパス数の少ないチームほどロングパスが増える傾向にある。なので札幌や甲府、新潟がセレッソよりもロングボールの比率が高いのだが、先の本数と合わせてみるとセレッソのロングパス本数63はリーグ2位。敵陣にボールを運ぶためにロングパスを効果的に使っていたといえる。

■ゴール前でのデータ

次に得点失点に直接つながるデータ。アシスト・被アシストについて。
アシスト/被アシストエリア
右側が得点に繋がったアシストエリア、左側が失点に繋がった被アシストエリアとなっている。
得点の方、アシストエリアから見ると、最多は右サイドの奥。
これは右SH水沼がクロスからのアシストがリーグナンバーワンだった事からもわかるように、右サイドで深くまで侵入してクロスからの得点が多かった。
ただ興味深いのは実は単純に右サイドと左サイドとの2分割で考えると実は左サイドからのアシストの方が多いこと。
これはvol.2でも書いたように右SHに比べると、左SHで先発していたのは柿谷や清武でクロッサーではない。なので幅を作って相手のゾーンを広げてインサイドに侵入するという事ができていたからでもあるだろう。

近年ヨーロッパのサッカーで顕著なのが、このインサイドに侵入するという形だろう。
ほぼ「後ろから追い越していく」という意味で使われている「オーバーラップ」という言葉だが、本来は「ボールを保持している選手の外側を追い越していく事」である。つまり駆け上がってくるコースが決まっていてそれについて指した言葉だ。なので「オーバーラップ」に対してボールを保持する選手の内側を追い越していく事は「インナーラップ」という。
ではなぜ「オーバーラップ」がコースに関係なく「後ろから追い越していく」という意味と同義になったかというと、人に対する守備という観点では外側を追い越す「オーバーラップ」が「後ろから追い越していく」ことの優位性を出しやすかったからだろう。
しかし近年はスペースを守るという守備の進化とともに外側を追い越すよりも、間を広げてそこに後ろから入ってくる方が有効な場面も出てくるようになっている。

おそらく日本でも今後はこの流れが進んでいくことは間違いないので、外にポジションを取ることが多い水沼の内側を松田のインナーラップで入ってくるという形や、そして左サイドでもSHがインサイドに入るだけでなく丸橋がインナーラップできるようになれば、さらにデザインされた攻撃が見られるようになるのではないだろうか。
アシスト/被アシストエリア
もう一度同じ図を使うが、続いては失点に繋がった被アシストエリアについて。
目立つのは左ボックス外のバイタルエリアからの被アシストが最多だという事だろう。
ここは4-4-2でブロックを作った時にちょうどソウザの後ろにあたる場所である。
ソウザはタックル数143でリーグのタックル王、2位の小泉(新潟)が110なので驚異的な数字。そして成功率79.0%を記録している。
ただ、タックルに行くということは人に行くということ。つまりスペースは開けるということでもあるので、ここからの被アシストが増えてしまうのは仕方ない部分もある。
またさらにいうと、ソウザの隣のポジションである山口が2位倍近いい30ものインターセプトを記録し、インターセプト王。さらに柿谷が2位タイとなる18ものインターセプトを記録したことになったのも、ソウザがここで人に行くからでもある。
そして結果的にシーズン途中からソウザの後ろのCBが山下から木本に代わることにもなったが、この流れを考えると山下にとってかわいそうな部分もある。

ただ、同じ箇所ばかりという事になれば2018年シーズンには狙われる可能性もある。
実際に2016年の中盤以降はソウザをいかに引き出してその裏を使うかというのが相手チームの戦略になっていた。
2018年シーズンは全体的なバランスをもう少し整える必要は出てくるだろう。

vol.4に続く…

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