2018年4月23日月曜日

4/21 明治安田生命J1リーグ第9節 VS ガンバ大阪 @ パナソニック スタジアム 吹田

スタジアムパナソニック スタジアム 吹田主審飯田 淳平
入場者数35,242人副審唐紙 学志、武田 光晴
天候 / 気温 / 湿度晴 / 20.6℃ / 42%第4の審判員浜本 祐介
スターティングメンバー
ガンバ大阪G大阪
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • レヴィー クルピ
 
  • 監督
  • 尹 晶煥
ガンバ大阪G大阪
C大阪セレッソ大阪
今回対戦今季平均
データ項目ガンバ大阪セレッソ大阪ガンバ大阪セレッソ大阪
FK14251217
CK2455
PK1000
シュート1118911
警告/退場4/00/01/01/0

<監督・選手コメント>

ガンバ大阪 レヴィー・クルピ監督
セレッソ大阪 尹晶煥監督

ガンバ大阪 高江選手、林選手、ファン・ウィジョ選手
セレッソ大阪 柿谷選手、山口選手、マテイ・ヨニッチ選手、山下選手、キム・ジンヒョン選手

ワールドカップイヤーの連戦の中で行われた明治安田生命J1リーグ第9節。パナソニック スタジアム吹田で行われたガンバ大阪対セレッソ大阪の大阪ダービーは、ガンバ大阪がPKで奪った1点を守りきりガンバ大阪が勝利。セレッソ大阪のリーグ戦連勝は4でストップした。

■メンバー

試合開始時点で最下位と苦しむガンバ大阪。ミッドウィークのルヴァンカップではクルピ監督にしては珍しくターンオーバーを敢行。しかしその中からボランチとして安定したプレーをみせていた高江をこの試合で抜擢してきた。またさらに怪我で離脱していた藤春も復帰。右SBもこれまでの米倉から前節復帰したオ・ジェソクを起用。結果的に前節長崎戦で狙われたボランチ、両SBを入れ替えた形となっている。
また高江をボランチに起用した関係で遠藤がトップ下に移動。トップ下でプレーしていた倉田が左SHに移動している。

一方、4連勝で3位にまで順位を上げたセレッソ大阪。ACL広州恒大戦に帯同しなかった主力メンバーが復帰する形となっているが、ボランチではオスマル、ソウザが復帰できず、またCBでは木本が左ハムストリング筋損傷で離脱。ボランチの山村、CBの山下は連戦となる。
またベンチには清武に合わせて、片山、福満、西本などここ数試合で存在感をどんどん高めている選手も入り、さらにCBには先日U-23で復帰した藤本が今季初のベンチ入りを果たしている。

■プレッシングとロングボール

プレッシングとロングボール
セレッソのキックオフで始まったこの試合。それに対するファーストアクションから見せたようにガンバは遠藤を1つ前に出し4-4-2の形にしてセレッソのフォーメーションと噛み合わせ、高い位置からプレッシングにいく。
それに対してセレッソは開始1分の柿谷のシュートが丸橋から水沼へのロングボールから始まった様に、ロングボールで対抗。ガンバが高い位置からプレッシングに来ることは十分予測できることだったので、躊躇なくSBやCB。そしてCBが詰められた時にはGKに戻して長いボールを蹴っていた。
しかし、ガンバにしてもセレッソがロングボールを使うことは想定内。プレッシングに行くことでセレッソが一旦GKに戻すなどした時にはマテウスのポジションを少し下げてこのロングボールをDFラインではなくボランチのマテウスで競らせるようにしてきた。
CBで競ってしまうと裏に流された時に一気にピンチになるが、ボランチで競ればボールが裏に流れたとしてもDFラインで対応できるという計算だ。
ただ、マテウスは高さもあるのでこのロングボールを跳ね返す役割は全う出来ていたのだが、その前のプレーで遠藤やSHが前に出る分セカンドボールへの対応が遅れる事が多く、さらにマテウスがポジションを修正できないままDFラインの前に高江1人の状態となってしまい、オフサイドになったものの6分に杉本が抜け出した場面などチャンスを作る。

またさらにそうなるとSHや遠藤は前に出にくくなる。ファン・ウィジョはFC東京の永井やディエゴ・オリベイラの様に何度も献身的にプレッシングをかけ、DF陣も何度もラインを上げようとしていたがどうしても全体が下がってしまう場面も出てくるようになる。
序盤としてはセレッソが比較的狙い通りにできていた展開だっただろう。
そして11分、ガンバが何とか下げないように全体を上げたもののバラバラになったとことで、キム・ジンヒョンがロングキック。その結果大外をまわった丸橋が抜け出しかけ、慌てて対応した三浦の頭と東口の顔が衝突。東口が大きな怪我を負ってしまうこととなる。

この衝突直後、杉本がセカンドボールを拾ってゴールは無人という状態なので大きなチャンスだったのだが、この衝突を一番近くて見ていた丸橋がプレーを止めたので杉本は一旦躊躇する。
しかし主審が試合を止めなかったのでプレーを続け、結局は松田のクロスを柿谷がヘディングで狙うも立ち上がった東口がセーブということになったのだが、味方同士の衝突ということもあって主審も含め色々判断が難しい場面ではあった。
16分〜
そしてここで東口が交代。
16分にこの試合がJ1デビューとなる林と交代する。

■ガンバの変化とセレッソ

東口の治療中に遠藤がマテウスを連れてクルピ監督とガンジーさんと4人で話しをしていた姿が映像で捉えられていた。何を話していたかはわからないが、林と交代した後のガンバはそれまでと少し変わっていた部分もあった。
迎撃型に
その1つはプレッシングのやり方。それまではファン・ウィジョと遠藤がプレッシングのスタートになっていたが、ここからは前の2枚は少し待って、SBに入った時にSHがアプローチをかける形になる。つまり迎撃型に変えた。
もちろんSBがSHのアプローチを嫌がってCBにバックバスでボールを戻した時などは2トップもCBに行くが、基本セレッソのCBにはボールを持たせる。
林が入ったのが16分なので、もしかするとプレッシングは立ち上がり15分限定と決めていたのかもしれないし、CBにボールを持たせることでロングボールを減らせると考えたのかもしれないが、どちらかは不明。

ただ、このガンバの守備が変わったことで実際にセレッソのロングボールは少なくなったのだが、守備が機能するようになったかといえば微妙。ガンバは一旦SHのアプローチを外されると4-4-2の2列目がズルズルと下がってしまいセレッソのボランチのところがフリーになる。
しかし3列目はラインを上げたい。なのでセレッソがボールを持って人数をかけて攻め込む場面も見られるようになった。
1列目の遠藤が何度も2列目にアプローチに行けと指示するものの、ボールホルダーにアプローチに行けない場面は何度も見られた。

しかし、この状況をセレッソはゴールに結びつけることができなかった。
セレッソの攻撃はボールを持たされると個人のアイデアによる領域になる。となるとどうしても中央密集だったり、余計な手間をかけたコンビネーションを使いたがる。
尹晶煥監督はスペースができやすい藤春の裏を使おうと指示を出していたようで、実際に何度かはそこからチャンスになりかけた部分もあったのだが、即興性みたいなものに頼るので、コンビネーションでミスも生まれるし、また手数をかける分最後はスペースが無くなる。
グループとしての攻撃は無いにしても、たとえば林はこの試合がデビュー戦で、ボールホルダーに対するアプローチも十分で無い、さらにDFはラインを上げたがっているという状況だったので、もっとDFラインの背後、DFとGKの間を狙っても良かったように思うが、そういう攻撃もほとんど見られない。
結果的にこの試合を通じて考えると、このガンバのボールホルダーにアプローチをかけきれない守備に対してセレッソは有効な攻撃ができなかったことが結果を分けた要因の1つとなった。
ビルドアップの変化
もう1つ変わったのはビルドアップ。
林投入後最初のプレーでガンバはマテウスがCBの間に下がって3バック化。そしてそこからドリブルで持ち上がってセレッソのボランチが出てきたところでパスコースを作って遠藤に当てるという形を見せたのだが、これはここまで全く無かったプレー。
これまではセレッソがミドルゾーンで4-4-2のブロックを作る守備に対してCBからボランチへのパスコースを見つけられず、最初からSBに出したり長いボールを使ったりしていたのだが、まず3枚で4-4-2の1列目2トップの裏にボールを運びそこからという形に変えてきた。

ガンバはこれまでの試合で、相手の高い位置からの守備に対してあまり有効な手を打てずボールを運ぶことにも苦労している試合も多かった。なので、おそらく立ち上がりは「慎重に」という意味もあったのだろう。
しかし、ここまでの時間で後ろで数的有利を作ればセレッソの1列目は外せると判断した。なのでここでビルドアップの形を変えたのではないだろうか。つまり遠藤がマテウスを連れてクルピ監督とガンジーさんと4人で話しをしていた内容はこのボールの運び方じゃないかと個人的には思っている。

こうしてビルドアップの形を変えたことで、ガンバはそれまでよりも高い位置にボールを運べる様になっていった。
とはいえ、先に書いたようにそもそも守備があまりはまっていなかったので押し込むというわけではなく、26分に倉田のクロスからファン・ウィジョが頭で合わせる場面はあったが、ボールを持ってもブロックの外側を使ったサイドばかり。中央を崩すとかブロックを崩すとまでは持っていくことはできていない。
しかし、ボールを運べるようになったことはガンバにとって大きかった。

きっかけになったのは山口のパスが中盤で高江にインターセプト。39分のファン・ウィジョのドリブルに対してヨニッチが倒してしまって与えたPKは、ガンバが林を投入してから変わった部分が活きたといえるものだったのかもしれない。
このPKをファン・ウィジョ本人が決めて、41分にガンバが先制する。

■徹底

先制したガンバはここで戦い方を再び変える。
前線にファン・ウィジョだけを残し、守備の時には遠藤も中盤に戻ってくる4-4-1-1に。そしてボールを奪えば迷わずファン・ウィジョを走らせるロングカウンター。
4-4+1のラインはもう下げてしまってOK。一旦アプローチに出るとゴールから遠ければ最悪ファールでも良いので相手にプレーさせないというもの。
平たく言えば相手にサッカーをさせない、試合を殺しにかかった。

このガンバの徹底ぶりは凄まじいもので、ロングカウンターを狙うファン・ウィジョは先制後からの前半だけで繰り返しのファールでイエローカードをもらうほど。さらに同じく前半にマテウスもヒジを振ってイエローカードを受けている。

後半に入ってもガンバの戦い方のベースは変わらず。前半にファン・ウィジョがイエローカードを受けたことでムリをさせるようなロングカウンターは減ったが、マイボールで余裕のある時にはミドルゾーンでブロックを作るセレッソに対して1列目を外すところから始まるビルドアップでボールを持つ時間作ることで対応する。

このガンバの守備に対してセレッソは効果的な攻撃は繰り出せず。チャンスになりそうなのはカウンターなのだが51分の山口のクロスは林がセーブ。62分の松田のクロスのニアに高木が飛び込んだ場面もシュートを枠に飛ばせずと数少ないチャンスも決められない。
逆に55分にはガンバがボールを持ち左サイド(セレッソの右サイド)で遠藤が松田を引き出し、その裏を藤春が上がっていき入れたクロスに藤本が合わせた場面はキム・ジンヒョンがスーパーセーブを見せるが、決められてもおかしくない場面だった。
このSBを引き出しSB裏でSHと競争する形はFC東京戦で狙われたのと同じものだ。
63分〜
63分、ガンバは藤本に代えて米倉をそのままのポジションに投入。
藤本はSHのポジションから下がってボールを受けることができるのでビルドアップの時に助けてくれるのだが、この状況であればそれもそんなに必要ない。それよりもサイドでカウンターの槍となれる米倉ということなのだろう。

なかなかサッカーをさせてもらえず、またボールを持ってもそうなると割り切って4-5-1の形で引いて守るガンバに対して攻めあぐねるという状態が続くことで焦りも見えるようになってきたセレッソ。なので唯一可能性を感じさせるカウンターの場面でも判断ミスが出てくるようになる。
77分〜
77分、セレッソは水沼と丸橋に代えて清武と片山を投入。そのまま清武は右SH、片山は左SBに入る。
尹晶煥監督はかなり悩んでの交代だったようだが、前半から右サイドでは水沼が中に入って松田がその外側を上がる、一方左サイドでは柿谷が流れてボールを受けるので高木がそのままサイドを縦に行くという形になっていたので中でプレーできる清武と、サイドは高木がいるのでロングスローでスクランブル状態を作れる片山をということなのだろう。
実際に投入直後に片山のロングスローから、こぼれ球を清武、高木とミドルシュートを放つ場面を作っている。

ただこの交代は正直微妙だった。もちろん片山のロングスローは大きな武器で、確実にスクランブルを作れるのだが、丸橋の担っていた中盤でのつなぎの部分はどうしても無くなる。なので結果的にはボールを持った状態から前線にボールが入る回数がかなり少なくなってしまうことになる。
82分〜
81分、ガンバは遠藤に代えて中村を投入。役割は遠藤と同じく攻撃の時は前に出るが守備では中盤に入る。それをフレッシュな選手でということなのだろう。
一方のセレッソも82分に山村に代えてヤン・ドンヒョンを投入。こちらは山口のワンボランチにして2列目に清武、柿谷、高木を並べ、その前にヤン・ドンヒョンと杉本が2トップで入るという形だ。
山村は連戦の影響もあってか疲労からミスも増えていたこともあるだろう。しかしそれよりも前線に高さを加えた、丸橋抜きの組み立てよりもよりスクランブルにということなのだろう。

しかしセレッソはこれもなかなかうまくいかず、カウンターでも高木はクロスを上げきれない。これは承知の上だが、逆にカウンターからファン・ウィジョに決定的なシュートを放たれる場面も出てくる。

アディショナルタイムにはそれまでも何度か見せていた林が不安定な前への飛び出しでセレッソはチャンスを作るも、高木のループ気味のシュートは林が自作自演の好セーブを見せノーゴール。
そしてそのまま試合終了。1-0でガンバ大阪が勝利。セレッソの連勝は4でストップすることとなった。

■その他

セレッソとしては一番イヤな展開になってしまった。
どちらのチームのサポーターでも無い方から「ガンバはクルピを呼んでこういうサッカーがしたかった訳でも無かっただろう」という声を見たが、もちろんそうだろう。
しかし、この試合はそれでも良い、このままこの戦い方をという形では無かったとしても、勝てば良いという試合だったのでここまで割り切れたんだと思う。
昨季の順位も上、さらにカップ戦2冠、そして今季も3位のセレッソはいつものサッカーをしようとする。しかし、今季この試合開始前には最下位でまだ1勝のガンバは逆になりふり構わず戦える。プレビューで懸念したそんな両チームの立ち位置の違いがこの結果を産んだといえる。
ガンバはまるでカップ戦ファイナルの様な戦い方を選びそれを全うし、セレッソはそれに飲み込まれてしまった。

セレッソにはボール保持攻撃の形やサイドの守備など問題はあるが、チーム全体を考えるとガンバはセレッソ以上に問題を抱えていることは間違いない。
なので、セレッソとしてはいつものやり方で対応しようとしたのだろう。
しかし、結果論かもしれないが、この試合のことだけを考えるならもう少し臨機応変というか、例えばいつも以上に高い位置からの守備をするなど相手を消しにかかってもよかったのかもしれない。

とはいえ、上の順位を狙うにはこの1敗を必要以上に引きずっても仕方がない。ここからもまだ連戦は続くので、次の試合に向けてしっかりと準備して欲しいところだ。





4 件のコメント :

  1. 高江がそこそこ効いてるなと思いましたがマテウスも跳ね返しをやってたんですか。
    それにしても酷くがっかりした試合でした、去年からAkiさんが言及している、元鹿島の岩政が言うところの、自分たちのサッカーを貫くだけでは勝てない、相手に合わせて自分のやり方を変化させて戦う必要がある、これのまんまだと思いました。
    人によって感想は違うと思いますが、終盤のバタつき具合が去年のAガンバ戦で逆転された時の混乱っぷりと被り、ゲームをコントロールする力が去年から変わってないのがなお一層失望させられました、頭を使わずフィジカルやテクニックのごり押し攻撃ではかなりの限界を感じます。
    近年の迷監督コレクターっぷりを見ると監督交代など言うつもりは1ミリもないですが、このままユン監督が長期政権となると物足りなさが出てきますね。

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    1. コメントありがとうございます。
      尹晶煥は全体的にみるとそれほど自分の都合でサッカーするわけではないですが、この試合に関して言えばもっと相手をみても良かったとは思いました。
      選手も含めてですけど。

      あと確かに物足りなさを感じることもありますが、現実問題としてこれ以上の監督を取れるかというと厳しいものもありますからね。
      ヨーロッパで現役バリバリの監督なんてまずムリですし。
      なので個人的にはここまで植え付けたことをさらに徹底するって形でも良いとは思っています。

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  2. いつも拝読させていただいております。

    今回もありがとうございます。

    試合後、選手ではない私にとっても、気持ちを切り替えるために前を向くために冷静な分析が必要と思っていました。



    ブログだけでなく、ツイッターも勝手に見させていただいております。
    入院されていたのでしょうか。
    軽はずみに言ってはいけないことかもしれませんが、
    お体、お大事にしてくださいね。

    では、失礼します。

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    返信
    1. コメントありがとうございます。
      そうなんです、入院してました。
      今は一応退院したんですが、まだ社会復帰・スタジアム復帰はできていません。
      仕事は先でも良いですが、スタジアムには早く戻りたいです(笑)

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