2018年4月30日月曜日

4/25 明治安田生命J1リーグ第11節 VS ジュビロ磐田 @ ヤマハスタジアム

スタジアムヤマハスタジアム(磐田)主審上村 篤史
入場者数13,884人副審聳城 巧、清野 裕介
天候 / 気温 / 湿度晴 / 23.5℃ / 42%第4の審判員鈴木 規志
スターティングメンバー
ジュビロ磐田磐田
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • 名波 浩
 
  • 監督
  • 尹 晶煥
ジュビロ磐田磐田
C大阪セレッソ大阪
今回対戦今季平均
データ項目ジュビロ磐田セレッソ大阪ジュビロ磐田セレッソ大阪
FK18101617
CK4455
PK0100
シュート1021011
警告/退場2/01/01/01/0

<監督・選手コメント>

ジュビロ磐田 名波浩監督(ジュビロ磐田公式)
セレッソ大阪 尹晶煥監督

ジュビロ磐田 松浦選手、川又選手、山田選手
ジュビロ磐田 新里選手、田口選手、松浦選手、川又選手、山田選手(ジュビロ磐田公式)
セレッソ大阪 杉本選手、丸橋選手、藤本選手、ヤン・ドンヒョン選手

リーグ戦での連戦が続く明治安田生命J1リーグ第11節。前節から中2日で迎えたジュビロ磐田対セレッソ大阪の一戦はジュビロ磐田に一方的に押し込まれる時間が続いたが、杉本がPKで同点ゴールを決め1-1の引き分けに終わった。

■メンバー
前節ホームでV・ファーレン長崎に敗れているジュビロ磐田。ホームでの連敗は許されないと意気込む今節は前節から3人を入れ替え。前節は中村俊輔が怪我で離脱したこともあって2トップでスタートしたものの名波監督は機能していなかったと判断し、FW小川航基に変えてシャドウで山田大記を起用。さらに右WBには小川大貴から櫻内に、ボランチには上原から山本康裕へと変わっている。
山田大記は中村俊輔と2シャドウで出場していた第7節ガンバ大阪戦以来となる先発出場。この試合に敗れ第8節以降はポジショニングで勝負れきる松浦がシャドウのポジションを掴んでいる。

一方、前節ベガルタ仙台に逆転勝ちをし、ACL広州恒大戦、大阪ダービーと続いたショッキングな連敗から再び上昇気流に乗せていきたいセレッソ大阪。中2日でアウェイに乗り込む今節は、前節から3人を入れ替え。前節2016年11月以来にリーグ戦で出場が無かったFW柿谷と右SH水沼が先発復帰。さらにCBでは前節復帰した藤本が入る。藤本のカップ戦以外での先発出場は2016年のJ2最終節、または昇格プレーオフ決勝以来となる。
ということで、前節怪我から復帰後初先発となった清武は左SHで中2日ながら連戦。また山村は広州恒大戦から4試合続けての先発となっている。

■人への意識が強いジュビロ磐田

磐田の高い位置からの守備の形
3-4-2-1の布陣を取るジュビロ磐田。立ち上がりの守備は5-2-3の形で高い位置から守備を行う。
5-2-3になっているのはセレッソのDFライン4人に対して1トップ2シャドウの3人、ダブルボランチに対してダブルボランチの2人が見る形になっているから。
なので立ち上がりにセレッソのSBが開いて少し前に出て、ボランチの1人が少し低めのポジションを取ると、その時は川又が前にでて山田と松浦が開き、田口がシャドウと同じ高さに出ているという1-3-1-5に見える並びになっている。
磐田の下がっての守備
しかし、磐田はこのプレッシングを外されると、下がって5-4-1でブロックを作る形に変化。
一旦下がってからブロック無いに入ってきた相手に対して目の前にいる選手がアプローチに出るという形になっていた。
磐田の迎撃型守備
そして10分を過ぎたころから見せるようになったのは5-4-1のブロックを高く設定した迎撃型のプレッシング。連戦中なので流石にCBに対しても追いかけ回す守備をずっと続けることは難しいということなのだろう。高い位置からのプレッシングが出来ない状況になるとムリをして追いかけるのではなく、一旦は5-4-1の形でセット。1トップに入る川又は最初からCBまで追いかけることはあまりないが、そこからSBやボランチに出た時は2列目の4人で強めにアプローチをかけてくる形を取る。
ここまで書いた内容からもわかるように磐田の守備は人への意識がかなり強い。
右サイドで攻撃の起点を作る磐田
一方、攻撃に関しては組み立ては右サイドが中心。立ち上がりこそ何度か前から追う姿勢も見せたが、セレッソの守備が前からというよりも自陣で4-4-2のブロックを作る形がメインとなっているので、最終ラインでは難なくボールを持てる。なので布陣としては3バックなのだが、WBの櫻内が前にでて3バックの右に入る高橋が右SBの様にサイドに開いて縦に出てきたり、そこに山田が降りてきたりしてボールを持つ形をつくる。
ここからは右サイドをそのまま縦に狙う形もあるが、逆サイドのギレルメに大きくサイドチェンジをする形もあり、ギレルメは推進力を活かして縦への突破や中へのドリブルで相手布陣を動かしにかかる。

また磐田の攻撃としてはこれだけではなく、ボールを奪ってすぐ、低い位置から一気に最終ラインの裏に飛び出す川又や松浦に長いボールを入れる形もある。

ただ、先程のボール保持攻撃でも裏に走らせるボールを使った攻撃でも、磐田の攻撃は仙台の様にグループとしてのポジショニングで優位性を作るというよりも、出し手と受け手の2人のアイデアで成り立っているようなイメージ。なのでボールを失うことも多い。
失っても5-2-3もしくは5-4-1の守備でカバーできるので多少無理目でもイメージがあっていて可能性があれば出してしまおうということなのだろう。

長いボールを使った攻撃でいえば5分にあったセレッソのCKが3本続いた3本目、カミンスキーがボールをキャッチしたところから始まったカウンターがその象徴的なシーンで、一旦山口のカバーでカウンターは止められたので多くのチームではここでスピードダウンしボール保持攻撃へと切り替わるタイミングだったが、下がったボールを受けた田口はワンタッチで一気に逆サイドの前線へ長いボールをいれた。このボールは流石に難度が高く下がった清武がカットすることになるのだが、個人的には磐田らしい攻撃だなあと感じた。

ここまで書いた内容でもしかしたら察した方もおられるかもしれないが、今の磐田のやり方は攻守ともに、J2で猛威を振るっていた3バックの戦い方に比較的イメージが近い。しかし違うのは選手個々のクオリティ。いわゆるJ2らしいチームはJ2で猛威を振るいJ1に昇格するものの、その戦い方はJ1では通じず1年で降格するというパターンが多いのだが、磐田の場合は選手個々のクオリティは紛れもなくJ1クラス。その選手が高木監督曰く「粘り強い戦い方」を徹底するので、磐田は昨季・今季と安定した成績を残しているのだろう。

■ボランチから前へボールを出せないセレッソ

ボランチとSBが捕まえられるセレッソ
立ち上がりの10分ぐらいまでは相手のプレッシングをかいくぐり、ショートパスやロングボールで何度か敵陣深くまで攻め込んだセレッソだったが、10分以降ぐらいから攻め込むことにも苦労するようになる。
そのポイントになっていたのが、先程紹介した磐田の人の意識が強い守備。迎撃型になったもののセレッソのSBとダブルボランチはボールを受けるとすかさず磐田の5-4-1の4人に激しいアプローチを受ける。
この日も清武がレーン移動して中に入ることで浮き気味のポジションをとっていたのだが、ボランチとSBはこのアプローチを外しきれずそこにはボールを届けられない。またロングボールを蹴っても新里・大井・高橋の3人が待ち構えている。さらにボランチがアプローチを受けて低い位置にいるのでセカンドボールも取り切れないという事になっていた。

この磐田のアプローチと対峙することでコンディションの厳しさを特に感じさせたのが山口と山村の両ボランチ。山村はACLのアウェイ広州戦からの連戦。山口は中断期間も日本代表での活動があったのでおそらくセレッソで最も試合に出ている選手。なのでコンディションが厳しいのは当然といえば当然なのだが、磐田のアプローチは人対人なので細かいパスワークと少しのマークを外す動きで外せないこともないと感じていたのだろうが、実際にはその途中でミスが出たり、外しきれなかったりするので結局は前にボールを届けられない。
その結果、柿谷や清武が下がってくるのだが、そうなると磐田の最終ライン5枚に対してセレッソの前線の人数が減ってしまうので磐田は入ったボールに対して躊躇なくアプローチに行くことができていた。

25分に磐田の先制点も結局その形から。
セレッソは磐田の人に対するアプローチに対してボールを動かして外そうとするがそこから山口がミスパス。そのボールを奪った松浦のクロスに川又が頭で合わせてゴール。ミスからのボールロストなので松浦がボールを奪ったときにはCBの間が大きく広がってしまっており、そこでの川又の動き出しに対して藤本は何も出来なかった。

この失点後も展開は変わらず。山村のインターセプトからカウンターで清武のクロスに杉本が飛び込もうかという場面はあったが入って行けず。
ボランチから前にボールを出せない時間が続くとどうしても前線の選手の動きも少なくなり、この内容であれば前半シュート0本というのも納得のものだった。

そして44分には高橋のロングボールに対して藤本が後手を踏んでしまい川又に背後でボールを受けられたとことから始まった磐田の攻撃で、ボックス内で丸橋が松浦を後ろから身体を当て倒してしまうというプレーがあったものの主審はノーファウルの判定。
正直このプレーはPKだったと思うがここで失点をしてしまうと試合が決まってしまうところだっただけに、セレッソにとってはかなり助かった。

■攻撃時のポジショニングに修正をしたセレッソ

前半の戦い方を受けてセレッソはボランチを代えるかな?とも感じたが交代はなし。
ソウザ、オスマルが離脱している中では山口と山村の信頼がかなり厚いということなのだろう。
ただし、若干の修正は行っている。
SHのポジショニングが変わる
変わったのは攻撃時のSHのポジショニング。前半は清武が5-4-1の泣き所でもある中央に入ってプレーすることが多かったが、後半に入るとサイドに開くことでSBがシャドウからのアプローチを受ける前にシンプルにSHに入れることが出来る、そしてそこを起点にSBがさらに縦に上がれるようにした。また2トップの選手もSBがボールを持った時にボールサイドに流れるプレーを見せるようになった。
このSHがサイドに開くポジショニングは、実は前半から右サイドでは行っていた。前半から水沼はサイドに開くポジションを取ることが多かった。
もちろん四方から囲まれ沢山の選手が最初からいる中央よりもサイドの方がスペースもあるし人も少ない。なので前半は左サイドに比べると右サイドからクロスが入る回数の方が多かった。
ただしかし、単純にサイドから縦、縦へとボールを運んだところで中には磐田のCBが3人。よほどピタリと合わない限りは難しい。なので中央を使って相手を動かしながらサイドも使うというのが本当は理想だ。
しかし前半を見る限りはそれが全く出来そうにない、というか実際に出来ていない。
なのでシンプルにまずはサイドから縦へという形にしたのだろう。
この形をとることで前半ほとんど高い位置に出られなかった丸橋も前で清武が受けてくれることで高い位置に出られるようになった。もちろん磐田の中央はかなり堅いので決定的なチャンスにつながることは少ないが、前半よりもまだボールを運ぶ回数は増えていった。

そしてこの形は思わぬ流れで同点ゴールを産むことになる。
丸橋がサイドに流れた杉本へ縦にボールを送ることで相手陣内にボールを運ぶと、そこを起点に一旦はサイドチェンジ。とはいえ磐田も5-4-1にしっかりセットしている。
しかし再び左サイドにボールを展開し、丸橋にボールが入った時に清武がサイドに流れたことで杉本への斜めのパスコースが空く事に。このパスを受けた杉本がターンし突破をしかけたところで大井が杉本をボックス内で倒してしまいPKの判定。
この試合セレッソ1本目のシュートとなるPKを杉本が決めて56分にセレッソが同点に追いつく。

しかしこのジャッジに納得いかないのが磐田の選手。リプレーを見る限りこの大井のタックルは完全に杉本の身体にチャレンジしてしまっているのでPKを取られても仕方ないものだった。とはいえ、前半最後に丸橋が松浦を倒したプレーも通常ならばPK。なのにノーファウルとジャッジした。となると磐田の選手が納得いかないのも当然だろう。

■混乱のまま続く

前半の早い時間帯から主審のジャッジには一貫性が無く両チームの選手共にストレスを抱えていた。そんな中でPKの判定によるゴタゴタがあったことでもはや完全に主審がコントロールを失う事に。普通にファールの場面でももはやスタジアム内での信頼を失っているので、混乱したまま試合は続いていく。

ただ、磐田の攻撃は例えば前節の仙台と同じフォーメーションなのだが、グループでのポジショニングによる攻撃という形は無く、受け手と出し手の関係で作られていくものなので守備がずらされるという場面はほとんど無い。なので個人技での怖さはあるものの決定的な形までは至らず。
磐田はこの試合を通じて17本のシュートを放つことになるのだが、枠内シュートが2本しか無かったということがそれを象徴している。
74分〜
この状態を打開するために70分、磐田は櫻内に代えて小川大貴を投入。小川大貴の方が攻撃的に仕掛けることが出来る選手なので、より攻撃面でアドバンテージを作りたいということなのだろう。
一方セレッソは74分に水沼に代えて福満を投入。セレッソはサイドで攻撃が出来るようになり、その結果SBから斜めのパスも入れられるようになった。また同点に追いついたことで磐田も前に出てくるようになり、中央にスペースも出来ている。なので中央でもプレーできる福満という判断なのだろう。
とはいえ、磐田の3バックを動かす形が作れている訳ではないのでなかなかシュートまでも持っていくことは出来ないままなのだが。
82分〜
さらに磐田は80分にギレルメに代えて松本昌也を投入。一方セレッソも82分に柿谷に代えてヤン・ドンヒョンを投入。普通に考えたらボランチを代えたほうがとも思うが、このバタバタした展開の中で同点だし西本を入れるよりも外側からでも良いと割り切る。その中で可能性を高められる杉本とヤン・ドンヒョンの高さのある2トップということなのだろうか。
87分〜
そして86分、セレッソは清武に代えて高木を投入すると、磐田も87分に松浦に代えて中野を投入。
磐田はかなり前がかりになってゴールに迫るが山本康裕のシュートはヨニッチがブロック、そしてそのカウンターから88分にヤン・ドンヒョンがこの日2本目のシュートを放つもブロックされて枠外に。
両チームの交代策は大きな変化を産まないまま1-1でそのまま試合終了。引き分けで勝ち点1を分け合うこととなった。

■その他

この試合のセレッソはかなり苦しかった。
本文中にも書いたがボランチからほとんど縦にボールを入れられず攻撃もままならない。前半は本当にそんな展開だった。後半に入ってSHが開いてそこに縦に出すことで少しはボールを運べるようになったものの、5-4-1で固められるとブロックの外側からだと簡単に行くはずもない。そんな試合だった。
ただ、そんな苦しい試合でも1-1で引き分けることができたというのは、今後を考えるとかなり大きいものになるのではないだろうか。

一方の磐田にとっては、名波監督が不満を表しているように審判に勝ち点を奪われたと感じても仕方がない、アンラッキーな試合だったとは思う。
ただ、杉本のゴールは56分なので試合はまだこの後アディショナルタイムを含めると40分近くある。そんな中で効果的な攻撃があまりなかったのは事実としてある。
これも本文中に書いたように、磐田の攻撃は出し手と受け手の関係だったり小さなグループとしての形はあるが、大きなグループとして、チームとして、の相手を動かすというプランはあまり見られない。
そのあたりがここまでの得点数がリーグ14位。仙台戦こそ3得点を奪ったが無得点自愛も半分近い5度もある要因なのかもしれないと感じた。




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