2019年3月7日木曜日

3/6 YBCルヴァンカップCグループ第1節 VS 大分トリニータ @ 昭和電工ドーム大分



<監督・選手コメント>

大分トリニータ 片野坂知宏監督
セレッソ大阪 ロティーナ監督

大分トリニータ 伊佐選手、小島選手、丸谷選手
セレッソ大阪 ブルーノ・メンデス選手、水沼選手、瀬古選手

2019年のリーグカップ、YBCルヴァンカップが開幕。セレッソ大阪の第1節は敵地昭和電工ドーム大分で大分トリニータと一戦は、前半に先制するも試合終了間際の2失点で逆転負け。黒星スタートとなった。

■YBCルヴァンカップ

昨季はACLに出場していたため、優勝した2017年大会以来2年ぶりのグループステージからの参加となるYBCルヴァンカップ。その2年前からはレギュレーションも若干変更になっている。
以前のルヴァンカップグループステージはACLグループステージ出場4チームを除く14チームで戦われていたことから、奇数となる7チームずつの2グループでで1回戦のグループリーグを戦うことになっていた。つまり節毎に試合の無いチームが必ずあり、さらに3チームとはホームで戦うが、3チームとはアウェイで対戦するというホーム・アンド・アウェーの原則からも外れた形となっていた。
しかし昨季から前シーズンに降格したチームの内、最大2チーム(ACLグループステージ進出チーム数により変動)を加えた16チームが参加。その結果4チームを4つのグループに分け、4チームによるホーム・アンド・アウェーでの対戦が可能となった。ACLやUEFAチャンピオンズリーグのグループステージと同じフォーマットである。

ということでセレッソ大阪が入るCグループには、セレッソ大阪、ヴィッセル神戸、名古屋グランパス、大分トリニータの4チームが入り、ホーム・アンド・アウェーの2回戦、計6試合が行われることとなる。
グループステージが終わると、各グループ上位2チームの8チームがホーム・アンド・アウェーで戦うプレーオフステージがあり、プレーオフステージを勝ち抜いた4チームとACLグループステージ出場の4チームを加えた8チームでプライムステージ(ノックアウトラウンド)が行われる。

また一昨季にもあった「21歳以下の選手を1名以上先発に含める」というレギュレーションは継続。さらにこれは一昨季は対象外だった決勝も対象となっている。

■メンバー

大分トリニータの先発メンバーは、やはりルヴァンカップということでリーグ戦前節からは11人全員を入れ替え。
GKには今季早稲田大学から加入した東京オリンピックを目指す代表チームでも出場している小島がプロ初先発。3バックには下部組織出身のルーキーで前節途中出場でプロデビューを果たした高畑、昨季途中に千葉からの期限付きで加わり今季その期限を延長した岡野、昨季はボランチのレギュラーだった丸谷の3人。
WBは左は山口時代に対戦したことがある星で、右には昨季は神戸から期限付き移籍でプレーした山形でブレイクし、今季大分に完全移籍で加入した小林成豪。
ボランチにはこちらも大卒ルーキーの長谷川と、小学校時代から下部組織・トップ昇格と清武と共に歩み昨季大分に帰ってきた小手川。
シャドゥにはベテラン馬場と、昨季山口でブレイクし浦和から期限付きで加入しているオナイウ阿道。1トップには大阪体育大学で2学年下の澤上と2トップを組んでいた伊佐が入る。
この11人で今季開幕から2節までに先発した選手は0、途中出場も丸谷、馬場、高畑、オナイウの4人だけだが、ルーキー、新加入選手以外は昨季の主力だった選手もいる。
布陣はリーグ戦2試合と同じ3-4-2-1となっていた。

一方のセレッソ大阪の先発メンバーは、こちらは木本を除く10人を入れ替え。
GKには大分でプレー経験もある丹野。3バックには片山、木本、瀬古。ボランチには藤田とデサバト。WBは水沼と松田。シャドゥには田中亜土夢と高木が入り、1トップにはブルーノ・メンデスとなっている。
セレッソのメンバーで注目なのはまず3バックの左に入った瀬古。尹晶煥からも大きな期待を受け2年前のルヴァンカップでトップデビュー。U-23では素晴らしいフィードで話題を集めていた。
そしてもう1人は松田だろう。昨季までの不動の右SB/右WBなので起用自体はなんの驚きもないが、注目したいのはそのポジション。いつもの右ではなく左WBで起用された。プレシーズンでは右SBや右WBで起用されていたこともあったが、途中出場となった開幕戦ではシャドゥ、そしてこの試合では左WBとこれまでとは全く違うポジションで起用されている。
ちなみにセレッソでは、丹野、片山、瀬古、藤田、田中亜土夢、高木の6人が今季初出場。残り5人のうち木本と水沼を除く、デサバト、松田、ブルーノ・メンデス3人は今季初先発となる。
ちなみにこの試合でベンチ入りした清武は、出場は無かったものの対戦チームの選手として初めて大分に凱旋した。

■立ち上がりの攻防

試合の入りは積極的にという感じで両チーム敵陣からボールを奪いに行く場面も見られた立ち上がり。
共に3-4-2-1ということでマッチアップが噛み合っている中、大分はGKが積極的にDFラインのボール回しに加わったり、ミシャシステムの様にボランチの1枚が最終ラインに入ることでボール保持を安定。さらに片野坂体制4年目の大分に対してロティーナ体制3試合目ということもあり、セレッソ側にミスが目立ったことで序盤は少し大分がボールを持つ時間の方が長いという形で始まる。

しかし10分を過ぎたころから大分も敵陣からボールを奪いに行くこともなくなったのでセレッソもボールを持つ時間が増えていくことに。
その後は両チーム共にボールを保持しながら攻め、自陣で守るという形で試合が進んでいくこととなる。

■逆足WBの狙い

セレッソがボールを保持できるようになってからもいくつかミスは散見されたが、これまでの2試合と比較しても安定してボールを繋ぐことができるようになっていることは感じさせた。
そして23分。セレッソが逆足WBの強みを活かした形で先制に成功する。

リーグ戦の過去2試合では左利きの舩木を右WBで起用していたセレッソ。しかしこの試合では右利きの松田を左WBで起用。これまでとはサイドを入れ替えていた。
そして実は入れ替わっていたのはこのWBだけではない。
開幕戦では右シャドゥに右の大外レーンでプレーできる水沼を置き、中央には柿谷。左シャドゥには中央でもプレーできる清武、さらに左WBには左の大外レーンでプレーする丸橋を起用していたが、この試合では左シャドゥに左の大外レーンでプレーできる高木を置き、中央にはブルーノ・メンデス。右シャドゥには中央でもプレーできる田中亜土夢、そして右WBには右の大外レーンでプレーできる水沼を起用。つまり開幕戦からは左右のWBだけでなくシャドゥも含めた前線の組み合わせをぐるっと左右入れ替えてきたのだ。
先制点の場面
そして23分の先制点の場面。デサバト、藤田とつないで逆サイドの松田にボールを展開した時に松田と対面する右WB小林成豪は松田の前にポジションを取る。この時オナイウは中央に絞っているので小林成豪のポジションはあくまで少し距離をとった松田の前。左サイドでは松田、高木、ブルーノ・メンデスと小林、丸谷、岡野と3対3の状況なのでアプローチをかけられない。
もし松田のポジションが左利きの丸橋や舩木なら縦に行かれることを警戒しないといけないので、縦を切る小林のポジションは正解だ。
しかし松田は右利き。距離が空いていることで中央へ少し持ち出すと、そのタイミングで一旦裏を狙う素振りを見せた高木が戻ってきて松田とワンツー。そしてこの高木の動きとワンツーに対応するため少し前に出た丸谷の背後のスペースに飛び出したブルーノ・メンデスへ松田がスルーパス。
ブルーノ・メンデスは2タッチ目のコントロールを失敗しかけたが、上半身の強さを使って岡野を押さえ込み、左足でゴールに流し込んだ。
この一連の流れは左WBの松田が右利きだからこそできるプレーである。
さらにもう1つ注目したいのはスルーパスを出した後、松田は中央に飛び込んでいること。
得点シーンでは、プロデビュー戦となったGK小島のポジショニングが怪しかったことは否めないが、もしここでブルーノ・メンデスがシュートを打てなくても、折返しを合わせることもできた。
逆足WBを使った崩しのパターンとしては最高の形である。

松田はこの試合でも最初の選手交代となる61分に下がっており、またリーグ戦でも先発出場は無いが、開幕戦ではシャドゥで起用されたり、この試合では左WB。そしてプレシーズンマッチではボール非保持時4-4-2の右SB、ボール保持時3バックの右と様々なポジションをこなしており、またいずれのポジションでも適応しているので、ロティーナ監督の信頼は割と高いのではないかと思う。
松田本人というよりもチーム全体のビルドアップの精度が上がってくればもう少し出場機会も増える様な気がする。

この先制ゴールの後の前半は、ボール非保持時にはきっちりと中を締めたブロックをつくり、大分にボールを持たれていてもブロックの外側で回しているだけという場面がほとんど。大分にチャンスらしいチャンスは作られていない。
またボールを奪った時には縦にも横にも広くピッチを使ってボールを動かす場面も見られた。
ただ時々高木のポジションが外に引っ張られて怪しかったり、ボール保持でもミスが全く無いというわけではなかったが、リードしていることもありWBを使った横幅と、敵陣の深さだけでなく自陣でGKまでもを使った奥行きはこれまでの試合以上に上手く使えていたと思う。

■敵陣から守備を始める大分

両チーム共に選手交代なし、前半の終盤から大分はオナイウと馬場のポジションを入れ替えていたのもそのまま継続という形で始まった後半。立ち上がりはセレッソも前半同様に少し敵陣からボールを奪いに行こうとする場面が見られたが、大分は明確に守備のスタート位置を高い位置にしていた。
これは先制を許し、その後良い形でボールを持つことができなかったからだろう。リスクを負った形だ。
昨年のワールドカップでもそうだったように、今のサッカーの守備は攻守の切替時を除くと自陣でブロックを作って守る形がメインとなっている。もちろんレッドブルグループなどが行っているストーミングというやり方もあるが、これはあくまで振り切った特殊な形で、ポゼッションサッカーでいうところの毎試合保持率70%を目指したバルセロナの様なもの。逆に言えばサッカー界全体がブロックを作って守る形になっていっているからこその、あえて逆に思い切って振り切った形だと言える。
ちなみに自陣でブロックを作る形がメインとなっていった理由は、世界的にポジショナルプレーの理解が進み自陣からのビルドアップが大きく進化したから。
大分が鹿島を下した開幕戦などはまさにそれを活かした試合で、セレッソも今季から取り組んでいるサッカーもその流れに沿ったものである。

この大分の変化に対してセレッソは、やはりミスはあるものの、56分の水沼のサイドチェンジから松田が中に入ってシュートを放った場面の様に、後半の序盤は前に出てくるところを裏返してのボール運びや、またそれを見せてのボール保持という形に持ち込むことができていた。

■60分過ぎから動き出す両チーム

66分〜
セレッソは61分には松田に代えて舩木、63分に片山に代えて山下を投入。
この交代はコンディションや今後のリーグ戦を踏まえてのものだろう。
そして大分も66分に小林成豪に代えて岩田を投入。
岩田は普段3バックの右に入っている選手だが、積極的に前線に出てくる。
この試合では普段ボランチの丸谷が3バックの右に入ってボール保持の基点となっていたので岩田はそのままWBのポジションに入る。

そして前半から少しその傾向はあったのだが、60分を過ぎたころから顕著に現れ始めたのが左シャドゥに入る高木のボール非保持時のポジショニングが曖昧になること。
基本は中を締めてから外という流れなのだが、最初から外に引っ張られてしまって間にパスを入れられたりする場面が目立ち始めた。
例えばオナイウが前節の名古屋の和泉の様に上手くポジションを取ることができていれば、このあたりの時間帯から大分にとってはもっとチャンスが、セレッソにとってはもっとピンチが作られていただろう。
75分〜
そして70分、セレッソはその高木に代えて福満を投入。大分は馬場に代えて後藤を投入。
どちらもそのままのポジションに入る。
さらに75分には大分は長谷川に代えて前田を投入。こちらもそのままボランチのポジションに入る。

こうして攻勢を強める大分に対してセレッソはこのあたりの時間帯から少しバタつき始める。
具体的にはボールを奪った後に一発を狙う長いパスが増えたり、またボール非保持時には大分の右サイドの丸谷と岩田のところにどういう形でアプローチに行くのか。WBが縦スライドするのか、シャドゥがスライドするのかが曖昧で、舩木が縦スライドでアプローチに行った時に福満がどこのポジションを埋めるのかがはっきりしない場面が見られ始める。
その結果ボールを奪っても落ち着けられず、セレッソはボールを持つ時間がかなり少なくなくなっていった。

そして89分、舩木から福満への縦パスをインターセプトされるというビルドアップのミスからショートカウンターを受け、インターセプトの勢いそのままに前に出てきた丸谷に決められ1-1の同点に。
さらにアディショナルタイムの90+2分にゴールキックを伊佐が落としたボールに対し大外から星が抜け出し、最後は後藤が決めて大分が逆転に成功。ロングボールに対して水沼と山下が同じ高さで並んでしまったことで、星に外側から抜け出された。星はそれまでほとんど目立ったプレーができていなかったが、最後の最後に抜け出されてしまった。
試合はそのまま2-1で終了。YBCルヴァンカップのグループステージ第1節は悔しい逆転負けに終わった。

■ロティーナの発言を読み解こう

いつもは雑感を書いている最後の項目だが、今回は少し趣向を代えてロティーナの試合後の会見での発言について考えてみよう。質疑応答の最後の質問は興味深いものだった。

最後の質問と回答は次の内容である

Q:前半から相手にボールを持たれる時間が長かったですが、持たせてカウンターを狙う形だったのか、試合の流れで持たれる時間が長くなってしまったのか?

「相手がボールを持つことはわかっていましたが、我々がボールを持つ時間もありました。その習慣を、今、身に付けていて、できていないところもありますが、より強調していきたいと思います。それでも、前半はボールを持ってプレーできたのですが、後半は特にロングキックを蹴ってしまって、自信を持ってボールを持つことができなかった。それが一番、改善すべきところだと思っています」

この最後のやり取りは質問に対して答えていないというか、質問と答えが噛み合っていない。
その理由は質問者はサッカーを攻撃と守備に分けているのに対して、ロティーナはボール保持とボール非保持に分けているからだろう。
なので質問者にとっては相手にボールを持たれているからカウンターがどうとかという話になるが、ロティーナはあくまでボール保持とボール非保持は状態。その中でどう振る舞うのかという話をしている。
だからこそ後半の終盤に増えた一発狙いのロングキックに対して、ボールを失う可能性の高いプレーとして言及し、それが押し込まれる時間が増え、失点に繋がったと言っているのだ。
試合終盤に失点してしまうことはそれまでの振る舞いに問題があり、ボール保持時のプレーを改善する必要がある。という話だ。

これを踏まえてロティーナのコメントを見ると、チームとしてどこを目指しているのか。そして現状はどうなのかということが把握できるのではないだろうか。
また試合の中で、ボール保持でどうしようとしているのか、ボール非保持でどうしようとしているのか。これらを見ることが今季のサッカーの理解に繋がっていくだろう。

僕もこのブログでわかりやすさを求めて攻撃と守備という言い方をよくするが、例えば攻撃的な守備とかという言い方があるように実際この2つは概念的でしかない。今後は気をつけようと思う。



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