2019年4月8日月曜日

4/5 明治安田生命J1リーグ第6節 VS 川崎フロンターレ @ 等々力陸上競技場

スタジアム等々力陸上競技場主審西村 雄一
入場者数21,494人副審聳城 巧、中井 恒
天候 / 気温 / 湿度晴 / 18.2℃ / 43%第4の審判員鈴木 規志


川崎フロンターレ川崎F
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • 鬼木 達
 
  • 監督
  • ロティーナ

<監督・選手コメント>

川崎フロンターレ 鬼木達監督
セレッソ大阪 ロティーナ監督

川崎フロンターレ 奈良選手、田中碧選手、知念選手
セレッソ大阪 柿谷選手、都倉選手、清武選手、ソウザ選手

今季2度目の金曜日開催となった明治安田生命J1リーグ第6節、セレッソ大阪は敵地等々力陸上競技場で川崎フロンターレと対戦し1-1の引き分けに終わった。

■メンバー

川崎フロンターレの先発メンバーはミッドウィークにACLはあるが中4日あるため今季リーグ戦初勝利を挙げた前節と全く同じ11人。GKチョン・ソンリョン、DFラインは右から鈴木、奈良、谷口、登里。中盤ボランチには守田と田中碧、右に家長、左に阿部、トップ下に中村憲剛。1トップには知念が入っている。新戦力を獲得したが怪我人やチーム全体のバランスを考えると現時点ではこの11人がベストというところなのだろう。

一方セレッソ大阪の先発メンバーは前節から1人入れ替え。怪我で欠場していたデサバトが先発復帰し奥埜がベンチスタート。他はキム・ジンヒョン、片山、ヨニッチ、木本、松田、ソウザ、丸橋、柿谷、清武、都倉が並ぶ。前節とほぼ同じメンバーが並ぶ先発メンバーだが、この試合で少し変えてきたのが左右のシャドウ。これまでの試合では柿谷が右、清武が左に入っていたが、この試合では清武が右、柿谷が左と左右を入れ替えてきた。

■セレッソのボール非保持

立ち上がりこそバタついた時間帯もあったが、前半の45分間のゲームを支配したのはセレッソだった。
その要因となっていたのがボール非保持時のセレッソの振る舞い。
セレッソのボール非保持は2段階からなっていた。
敵陣にボールがある時のセレッソのボール非保持
敵陣にボールがある時は、最初から自陣にリトリートをするのではなく敵陣からアプローチをかけていた。
前線の1トップ2シャドウが中央を切りながら4バックに対してアプローチ。ボランチの田中碧と守田に対してもデサバト、ソウザのダブルボランチが距離を詰める。
これはDFラインから簡単にボランチにボールを付けさせないためだ。
実際に前半序盤は谷口からの縦パスをソウザ、デサバトのところでインターセプトする場面が何度か見られた。
なので川崎はSBを使いボールを保持しようとする。
そうなるとセレッソはWBを前に出す。
すると残りの3バック+逆サイドのWBはスライドし4バックを形成するような立ち位置を取る。
例えば川崎が谷口から登里に対してボールが出ると松田が1つ前に出て登里にアプローチ。その時に片山、ヨニッチ、木本、丸橋の4人が最終ラインに下がって逆サイドの柿谷も中盤へ。
つまり清武と都倉の2トップに松田、デサバト、ソウザ、柿谷の中盤、片山、ヨニッチ、木本、丸橋の4バックの4-4-2の様な形になる。セレッソが敵陣でのボール非保持でも4-4-2っぽく見えた理由はこれ。なのでもし奈良から鈴木というパスなら丸橋が前で松田が後ろという感じで左右が入れ替わる。
この前線からのアプローチを止めるのは自陣までボールを運ばれた時。つまりこのアプローチを外された時。
そうなると2段階目の形へと変化を見せる。
自陣にボールがある時のセレッソのボール非保持
2段階目は5-4-1で守備ブロックを作る形。
特徴的なのは2列目の4のポジショニング。川崎はボール保持の時に両SBを高い位置に挙げてくるのだが、ボールが入らない限りこのSBは無視。大外レーンには目もくれず中を締める。これにより家長、阿部の両SHは中に入ってセレッソのボランチ脇にポジションをとっていたりしていたのだがそこにボランチからボールが入ることはほとんど無かった。
サイドにスライドする5-4-1
そうなると川崎はSBを経由して攻撃をすることになるのだが、ここでSBにボールが入ると初めてセレッソのシャドウはアプローチ。その時に中盤の4人、最終ラインの5人もスライドし、このボールの位置を中心に5-4のブロックを作る。この時の中盤の4人の距離はもちろんかなり近い(つまり締めている)状態。ゾーンディフェンスのトレーニングで選手の距離を一定化させるために「ヒモ」を使うという話があるが、まさに前半の5-4-1のブロックは短めのヒモで繋がっている状態だった。

川崎はここで詰まるとサイドを変える。
例えば鈴木が詰まった時だと、川崎のサイドの変え方は鈴木から奈良に戻し、奈良から谷口へと一気にサイドを変えるのでは無くステーションパスで中央の選手を経由する。(CBだけでなくボランチの時もある。)
これはプレビューで書いたようにサイドで幅を取っているのはSBなので一気に長いボールでサイドチェンジをしてボールを奪われるとかなり危険なカウンターを受けやすくなるというのが1つ。そしてもう1つはサイドチェンジの途中は相手がスライドをしている途中でもある。そしてそのスライドの途中はズレができやすい。なのでそのズレをついて攻撃を加速させるための縦パスを狙っているからである。
サイドチェンジに対する動き
この川崎のサイドをチェンジに対してもセレッソは特徴的な形でアプローチをかけていた。
先程の鈴木→奈良→谷口というパス回しの場合であれば、奈良に対してまずトップの都倉がアプローチをかけ、さらに谷口に対しては清武が中盤から1つ前に出てアプローチをかける。
そして清武がいた中盤の右には松田が後ろから出てきて、左サイドからずれてくるデサバト、ソウザ、柿谷と中盤の4を作る。さらに最終ラインも残りの4人でスライドしてくる。
つまりボールホルダーには常にアプローチをかける形で4-4-2の形へと変化させていた。
セレッソが自陣でのボール非保持でも4-4-2の様に見える時間があった理由はこれである。
ここで川崎の攻撃がスピードアップしないと、再び5-4-1へと戻る。

このボール非保持の振る舞いはかなり効果的だった。
中村憲剛はボールを受けることができたとしてもすぐに窒息してボールを失う回数も多かった。
前半折り返してのボール支配率では川崎56%、セレッソ44%と川崎がリードしていたのだがそのほとんどは5-4-1の4の前でボールを持っているだけの時間帯だった。

そして今季は左サイドから攻めることが多い川崎が、前半折り返してののアタッキングサイドで左26%、中央18%、右56%とかつてないほど右サイドからの攻撃が増えていたのもセレッソのボール非保持時の振る舞いによるものだ。
川崎の攻撃が左サイドに偏るのは谷口と登里の左サイドの2人がで自陣で起点になれるからである。なのでこの日も当然ながら自陣では左へボールが出る。しかしセレッソはここにアプローチをかけた。そしてアプローチをかけることを止めるのは川崎が逆サイドへとボールを逃がすことに成功した時。つまり自陣で左から右サイドへとボールを展開させた時。
なので川崎のアタッキングサイドは圧倒的に右に寄ってしまうのである。
そして川崎は左サイドのボール運びでは阿部、登里に加え中村憲剛、家長まで加わってレーンを移動しながら流動的に行ってくるのに対し、右は時々中村憲剛がサイドに出てくるものの基本的にはインサイドレーンに入る家長とアウトサイドレーンの鈴木という2人の関係だけで行うことが多い。つまり左サイドに比べると整備されていない。
昨季まではエウシーニョというスペシャルな存在がそれをカバーしていたが、今季はエウシーニョがいなくなり右SBにはかなり苦労している。
それを踏まえロティーナはアプローチのかけ方などを準備することで川崎の攻撃を右へと誘導させていたと思われる。

■ボール保持でもポジティブだったセレッソ

昨季川崎が連覇を達成した最大の要因はボール保持以上にボールを失った時の即時奪回。ネガティブトランジションの速さと精度だった。
そして今季も当然ながらその強みは残ったまま。浦和のボール前進にも問題はあったがゼロックススーパーカップで浦和に何もさせなかったプレッシングは記憶に新しい。

この試合だが、もちろん川崎の即時奪回プレッシングに苦しむ場面が無かったわけでは無い。しかし前半のセレッソはそれを外して何度もボールを運ぶことに成功している。
先程のボール支配率川崎56%、セレッソ44%も、川崎が前にボールを入れられず、セレッソの守備ブロックの前で停滞したボール保持を行っていた中で記録した数字だということを考えると実質的なボール支配率にはそれほど差は無かったと言える。
その要因となったのは、試合を重ねる毎に良くなっているボール保持の仕組みもそうだが、1つはボール非保持時のボールを奪い返す位置によるところも大きかっただろう。
先に書いたように5-4-1をベースにした守備ブロックを大きく崩される事無く意図した形のままでボールを奪い返すことができていたのだ。やはりサッカーは守備と攻撃が繋がっていると感じさせる。

そしてボール保持でアタッキングサードに入ってからの形も確実に成長を感じさせた。
この試合で最初に相手守備を崩したのはセレッソ。
8分に清武がハーフスペースを抜け出し折返した場面だ。
8分 ひし形を作ってのサイドを崩す形
この場面は再度でひし形をつくる仙台戦でも見せた形。
川崎の守備は各選手の受け持ちエリアに入ってきたゾーンミックス、いわゆる「ゾーン内でのマンマーク」。
なので清武から松田にボールが渡った瞬間の片山のインナーラップ(ひし形を変形させる動き)にボールサイドにいたボランチの守田はついていった。そこで清武は片山の内側にさらにインナーラップ。阿部は清武についていったのだが、松田のパスは守田と阿部の間を通り清武へ。クロスは合わなかったが完全にハーフスペースを攻略した。
解説の川勝さんもおっしゃられていたが、この場面では以前にも書いたように清武が全力のスプリントでは無いのがポイント。立ち位置さえきちんと取れていればスプリントで無くとも崩せる。むしろスプリントで無いからこそ、松田はタイミングをあわせられるし、清武もしっかりとボールをコントロールして中を見ることができた。
22分の先制点
そして22分の先制点の場面は左サイドの中間ポジションで浮いた柿谷を丸橋を経由して使う形。
先程の右サイドでひし形を作る形は押し込んでからの崩し方だが、こちらは相手がボールを取りに来たところで生まれたスペースを使う形だ。ソウザのドリブルに対して田中碧がアプローチをかけたことで柿谷が取った中間ポジションには大きなスペースがあった。
その分ここで反転することができ、さらに得らがCBの間から斜めに抜け出したことで川崎の最終ラインを押し下げ、柿谷にシュートを打つ時間とスペースが生まれた。
さらに守田が無理をすれば清武が脇にいたというのもポイントだろう。
柿谷のシュート自体も素晴らしいものだったが、そこに至る場面でも立ち位置が大きく影響した攻撃である。

ちなみに、この場面では知念が治療のためにピッチ外に出ていたため川崎は10人だったのだが、それはあまり関係ない。
というのもこの先制点から7分後の29分にも全く同じ様な形で丸橋から柿谷にボールが入っているからだ。
そしてこの29分の場面では、先制点の直後ということで柿谷に対して奈良がアプローチをかけた。しかしそうなると柿谷は清武へパス。そしてこの時間を使ってに一度オフサイドポジションにまで抜け出した都倉が鈴木のすぐ外側のオンサイドのポジションへと戻ると、そこから奈良と鈴木の間へと抜け出す動きに対して清武がスルーパス。都倉がボックス内にフリーで侵入。柿谷と都倉が合わなかったのでクロスまでに時間がかかり、結局合わなかったが、同じ立ち位置から相手の動きを見てルートを変え、チャンスを作っている。

■同点ゴールと交代

この試合は前半と後半で一気に様相が変わった。前半を支配したのはセレッソだったが、後半は川崎が支配した。
そして後半開始早々の49分に知念のゴールで川崎が同点に追いついた。
形としては家長のクロスを田中碧が向けで落とし知念が抜け出した形。ヨニッチが入れ替わられてしまったところで決まりだった。

ロンドン・オリンピック得点王の肩書きを引っさげ鳴り物入り加入したレアンドロ・ダミアンを押しのけ現在川崎の1トップを掴んでいる知念。彼には身体能力の高さというわかりやすい武器もあるが、それ以上に現在ポジションを掴んでいる要因となっているのは「余計なことをしない」からだろう。
知念のヒートマップ
試合後に紹介されたヒートマップを見ると清々しさすら感じさせるが、90分間常にCBと戦い続けているのだ。これにより相手DFを押し下げ中盤の選手がプレーするスペースを作っている。流動的にポジションを移動させる前線の選手の中で、逆に常に同じポジションにい続けることはかなり重要である。
51分〜
51分、セレッソは松田に代えて山下を投入する。同点後となったこの交代だが同点前から準備されていたそうだ。この交代の狙いとしては本当かどうかわからないが、松田がイエローカードを受けていたからとのこと。松田は注意を受けてさらにイエローカードという流れだったので、本当だとしてもなんとなく理解できる。
そして51分という交代時間だが、この時間帯の交代をロティーナはよくやる。
その理由としては相手の出方を見極めたいからだそうで、一般的な監督であればHTで交代させるような事情でもあえて5分ほど引っ張って相手の布陣に変化はないかどうかを確認する。また試合が動いてから交代させることで、相手の対応を遅らせようという狙いがあるようだ。

■川崎に試合を支配されたのは

後半1つ目のピンチで川崎に同点に追いつかれてしまったのは想定外だっただろうが、後半に川崎に試合を支配された要因を探る。
WBの裏にポジションを取るSH
後半、山下が入る前も後もセレッソのボール非保持時の動きは変わっていない。敵陣ではアプローチをかける。
しかし川崎はこの時のSHのポジションを変化させていた。SBにボールが出た時に前に出てくるWBの裏にSHが出ていくようになっていたのだ。
この形は、前節松本戦でも前半はSBがWBの猛烈なアプローチを受けボールロストを繰り返していたのだが、後半に入るとそれをかわすために行っていた動きと同じ。なのでHTに鬼木監督の指示があったのだろう。
しかしセレッソはここをカバーするために4バック化してスライドするという方法を取っていた。なので松本の様に簡単にWBが出られなくなり押し込まれるということは無い。
しかし川崎はWBの裏に選手を置き、前半よりも比較的長いレンジのパスを早いタイミングで入れるようになる。そして自陣でのボール保持の時にセンターを経由しない長いレンジのサイドチェンジも多用するようになる。
それにより前半はセレッソのアプローチによって右に誘導されていたが川崎の自陣からのボール前進が、左サイドでも運べる様になった。
つまりセレッソの2段階守備の1段階目はあまり機能しなくなっていった。
ちなみに川崎の同点ゴールも守田からの長いサイドチェンジから始まっている。
後半の自陣でのボール非保持
この変化により前半よりも早いタイミングで敵陣に入り始めた川崎。
とはいえセレッソにはまだ2段階目の5-4-1のブロックがあるのでそれで対応する。
56分の奈良からの縦パス
しかしこの5-4-1は時間の経過と共にほころびが見え始める。ほころびが最初に出たのが56分の場面。奈良からヨニッチと木本の間にスルーパスを入れられ知念に抜け出されてしまった。最後の1対1はキム・ジンヒョンがセーブしたがかなり危険な場面である。
この場面は、先に書いたようにステーションパスでサイドを変えようかという形で川崎が前半から行っていたことと同じ。前半は先に書いたように都倉とシャドウの1枚が前に出てボールホルダーにアプローチをかけ、WBが前に出て4-4-2化することでセレッソは対応してきた形である。
しかしこの56分の場面では、まず田中碧がボールを持っていた時に柿谷は逆サイドということもありルーズなポジションをとっていた。
そこで田中碧がソウザと柿谷の間を通して家長へのパスを出そうかというモーションを入れる。これに対して柿谷はあわててソウザとの間を閉めようとする。
しかし田中碧は奈良へ。この時都倉は前半と同じ様に谷口との距離を詰めたのだが、柿谷は奈良へ寄せきれない。
ということでボールホルダーにアプローチをかけられず、柿谷とソウザの間がからヨニッチと木本の間へパスを通されてしまったのだ。
ちなみに81分にも同じ形で奈良から知念と交代した小林へ、柿谷と奥埜(デサバトと交代)の間からヨニッチと木本の間を通されている。

こういった形で川崎がボールを保持するようになるとセレッソは色々な部分で苦しくなる。
というのも中盤の意図しているところでボールを奪えなくなったからで、ボールを奪い返したとしても陣形を崩され低い位置となると川崎の即時奪回を目指す守備がより効果を発揮するからである。
60分のCKを家長に合わされた場面などキム・ジンヒョンのセーブで失点はしなかったが、後半はセレッソが敵陣にボールを運ぶ回数自体が減ってしまった。

■柿谷は90分フル出場

73分〜
ここからセレッソは70分にデサバトに代えて奥埜、川崎は73分に知念に代えて小林を投入。
デサバトから奥埜への交代は、デサバトはボランチの位置で動きすぎないという長所があるのだが、それよりも空いてしまいがちな中盤を広くカバーできる奥埜を選択したということなのだろう。
88分〜
川崎は80分に中村憲剛に代えて長谷川を投入。長谷川が左SH、家長がトップ下、阿部が右SHという並びに変更。
さらに88分には阿部に代えてレアンドロ・ダミアンを投入。家長が再び右に出てレアンドロ・ダミアンと小林との2トップに変更。
そしてセレッソもそれと同時に清武から田中亜土夢へと交代。
ということで縦パスの場面など守備でルーズになっていたのだが、柿谷を90分間プレーさせた。

後半は川崎の方がチャンスも多かったが、ボール支配率が試合を通じても前半と変わりなく川崎56%、セレッソ44%に終わったようにセレッソが全く攻められなかったわけでもなく、FKから柿谷が狙った様にチャンスもあったが、試合はそのまま1-1で終了。
両者勝ち点1ずつを奪い合う結果に終わった。

■その他

前半はセレッソ、後半は川崎と見事に分かれる試合となった。
印象としては当然後半の方が残るものなので「負けなくてよかった」と感じるかもしれないが、引き分けが妥当だったと思う。
前半セレッソはペースを握ったのは守備がベースだったが、川崎戦ということでこれまでの戦い方からガラッと代えて引きこもってカウンターを狙っていたわけでも、後方からの押し上げをあえてしなかった訳でも、ブロックを崩さない約束事を徹底したからでもない。その上でペースを握ったので少なくとも前半の45分間はチームの自信につながるものだったと思う。
ただ、それだけに後半ペースを握られたのはちょっと意外というか驚いた。セレッソとしてはまだまだ改善しなければいけない事が多い発展途上の段階なのだろう。

■ロティーナの意図を読み解こう

今回は発言ではなく意図。というのも試合後のコメントではっきり語ってくれなかった、柿谷と清武のポジションを入れ替えたことについて触れたいからだ。

ロティーナは基本的にボール保持・非保持ともに相手を想定した戦い方を組み込んでくる。
なので当然この試合でも川崎の戦い方を踏まえ、ボール保持・非保持にいくつか特徴的な形が見られた。
そんな中で行った1つ、柿谷と清武のポジションを入れ替えた理由だが、おそらくボール保持、攻撃的な狙いの方が大きかったのではないかと思っている。
そこに至ったのは柿谷をフルタイム起用したから。もしボール非保持なら56分の奈良に縦パスを入れられた時点で交代を考えた様に思う。

柿谷を左で起用した狙いは先制点とその直後の場面。さらに73分の場面にあらわれていた。
先制とその後の場面について本文中でも説明したので割愛。もう1つの73分の場面とは、キム・ジンヒョンからソウザへとつなぎ、ソウザからボランチ裏への柿谷へパス。ここでドリブルでしかけ右サイドへの展開と攻撃の形を作った場面である。

この3つのシーンに共通しているのは、セレッソが自陣からボールを繋いでいるのだが柿谷にボールが入った時に相手の守備が少し後追い気味になっていること。
セレッソの自陣でのボール保持に対して川崎がアプローチをかけてきたところを逆に使った形だった。

川崎は早くボールを奪い返したいのでできるだけ前からアプローチをかけようとしてくる。となるとセレッソのボランチに対しては必ず川崎のボランチが出てくる。特に推進力があってボールを持つことができるソウザのところには必ず出てくる。
そこでセレッソは、出てきた川崎のボランチの背後に柿谷を置くことを狙ったのではないかと思われる。
柿谷はテクニックはもちろんだが、スピードもある。そして得点も奪える。また相手がボールを奪いに来たところを逆に使った形なので相手も帰陣途中。そんな中で前を向いて仕掛けさせるとJリーグでもトップクラスのアタッカーだ。
前半立ち上がりについったひし形を使った崩しは、相手を押し込んだ時の形。
しかしこの試合ではボール保持に優れる川崎に押し込まれる可能性も高い。
そこで疑似カウンターとも言える状況を作り、それを活かすための切り札が左シャドウの柿谷だったのではないだろうか。

守備面では特に後半途中からはかなり不安もあった。しかし試合は同点。勝つためには、得点を奪うためには柿谷は必要だと考え90分間起用した。
なのでもし後半立ち上がりに同点に追いつかれていなかったら、仙台戦の様に柿谷から田中亜土夢という交代もあったかもしれないと思っているのだがどうだろう。




10 件のコメント :

  1. 大変興味深く拝読致しました。
    ロティーナの采配に関してはリーグ戦序盤のアウェーゲームだからなのか、流れを変えられる高木選手を途中投入するのではなくむしろ同じような展開が推移するような選手交代をしていたのが印象的でした。
    あと、やはり左利きのCBの必要性を感じます。左利きでSBも4バックのCBも3バックのストッパーもこなせる大宮の河面選手なんてハマりそうですね。

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    1. コメントありがとうございます。
      ロティーナ采配についてですが、「オープンな展開にすることは良しとしない」という考え方が根本にあるんだと思います。
      左利きのCBは本当に欲しいです(笑)

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  2. いつもお疲れ様です。

    前半やりたいことが出来ていたのは奪った後に柿谷や清武を経由して前へとシンプルに繋げていたこと、相手が戻る間を与えずボールサイドとは逆を上手く使って攻めていたこと、早い時間にリード出来たことが大きいかと思いました。高さの無い登里のところで都倉が身体を張れていたりというところもありましたし。(ポストとしては機能してなかったですが。)清武が受けられていたうちは良い試合運びが出来ていた。中村憲剛にも決定的な仕事をさせずにある程度できていたとおもいます。

    しかし、やはりディフェンスラインが課題のように思います。
    ブロックを作って受けてリトリートする分には問題ないとは思うんですがブロックが間に合わないカウンターや、ディフェンスラインで繋ぐ際に寄せられる部分。特にヨニッチは長く持つのは苦手というのが見ていてわかります。

    守備の選手をA(優秀)B(合格)C(課題)三段階で守備力、ボールコントロール能力についてそれぞれ評価するとヨニッチAC、木本BB、山下BC、片山CBといった感じ。
    ヨニッチは対空、対人守備に強くフィードは上手いけれどキープして繋ぐ上手さはそこまでない。スピードに難があるので50-50の相手選手近くで処理をする必要がある場面はバタつく。ポゼッションでキーパーからのパントやフィードが減り、ボールを持つ機会や時間が増えてやりにくそうにしている印象。
    木本は元々ボランチなだけあってどちらも高い能力を持っているが、視野が狭く死角に入られたり剥がされやすい。
    山下の売りはスピードを活かしたカバーリングや対空、対人守備ですがフィードやクロスと言ったロングキック、ドリブルキープはそこまでよろしくはない完全守備型。
    片山は守備能力はあまり高くなく、足元が上手い。前回書かせていただきましたがサイド向きの印象。足元のうまさはCBが出来る選手の中で一番なので最終ラインに置いておきたいんでしょう。

    同点直後フィジカルは強いが守備が荒い松田に代えて山下を入れて片山をウイングに置いたのは知念のフィジカルと、家長からのサイドチェンジからの阿部の切り込みとの両方に対応するため中は山下、外は片山のほうが守備面のリスクが少ないと考えたのではないかと推察しました。カードの問題もあるでしょうけど。
    守備も強く足元も上手い選手であれば問題ないのでしょうがそんなDFはなかなかいないですし。藤本や瀬古は試合であまり見ていないのでなんとも言えません。

    なので、1-0とリードしてもポゼッションを続けてカウンターを受けるリスクを伴うと1-0を守りきる、という展開は今後も少ないように感じます。同じ5バックでもユンサッカーはブロックで受けてリトリートを徹底していて守りきると決めた後はカウンター以外で不用意に出て行かなかったし、ボールを持たせる時間が長かった。

    個人的にリードした後の戦いかたや試合運びをどうするかに注目してしばらく見ていきたいと思います。

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    1. コメントありがとうございます。
      ちょうどルヴァンカップで4バックをやった後なのでわかりやすいかと思いますが、今の3バックは実は4バックでもありますから左右のCBのキャラクターが異なるのでしょうね。
      あとCBからのパスですが、実際に山下がパスで成長を見せていますが、海外サッカーを見る限り仕組みでカバーできる部分も実は大きいということは様々なチームが証明していますね。

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  3. ヨニッチがボールに釣られてしまった後の対応が悪いのが気になります。ヨニッチは食いつきすぎる癖があり、昨季も釣られたせいで空いたスペースを利用され失点っというシーンが3試合ぐらい連続であったのに未だに改善されてませんね。

    あと今のチームに真ん中で身体を張ることが出来るドンヒョンがいたら都倉をシャドーの位置に配置したりして、もう少しダイナミックな攻撃の形が出来てたかもしれないですね。
    今のチーム状況を見るとワントップが出来る選手が必要だと思います。
    それこそ知念みたいな選手が。

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    1. コメントありがとうございます。
      僕は今季のヨニッチに「食いつきすぎる」とは感じていないのですがそうですかね。
      あと個人的にドンヒョンも理想の1トップとはちょっと違うんですよねえ。
      というかドンヒョン、チーム始動時にはいてましたよ(笑)

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  4. いつも面白く参考に見てます。
    右サイドでは連動した崩しが何度かできていて左で少ないのは、松田片山コンビと、丸橋木本コンビのキャラクターや成熟度の違いですか?
    そもそも左で崩して左で仕留めるように仕向けているのですかね?
    松田はもともと1人で仕掛けるタイプではなかったですが、うまく連動してポジション変えたり裏抜けしたりと良い意味でイメージ変わりました。

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    1. コメントありがとうございます。
      左右の違いはルヴァン名古屋戦でも書いた今の3-4-2-1は3-4-2-1だけど半分は4-4-2だからだと思います。
      松田はWBだけどSHで丸橋はWBだけどSBなんだと考えると左右の違いがわかりやすいのではないでしょうか。

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    2. なるほどわかりやすいです

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  5. 右で崩しての間違いです。。

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