2019年6月20日木曜日

6/19 YBCルヴァンカップ プレーオフステージ 第1戦 VS FC東京 @ 味の素スタジアム

スタジアム味の素スタジアム主審東城 穣
入場者数5,943人副審五十嵐 泰之、森川 浩次
天候 / 気温 / 湿度晴 / 25.6℃ / 60%第4の審判員井上 知大
FC東京FC東京
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • 長谷川 健太
 
  • 監督
  • ロティーナ
全ての試合において 21 歳以下の選手を 1 名以上先発に含める。※1

※1 但し、以下の場合は出場義務を負わない。
・対象選手1名以上が日本代表試合または日本代表の合宿その他の活動(ただしA 代表またはU19以上のカテゴリーの日本代表に限る)に招集され、試合日に不在の場合。
・対象選手が試合エントリー後の怪我等のやむを得ない理由により出場ができない場合。

<監督・選手コメント>

FC東京 長谷川健太監督
セレッソ大阪 ロティーナ監督

FC東京 東選手、林選手、永井選手
セレッソ大阪 柿谷選手、山田選手、瀬古選手、圍選手

FC東京とのYBCルヴァンカップ プレーオフステージ。敵地味の素スタジアムでのファーストレグは1-0の敗戦。ホームでのセカンドレグは1-0で延長。勝ち抜けには2点差以上の勝利が必要となった。

■メンバー

各グループの1位2位チームが対戦するYBCルヴァンカップ プレーオフステージ。
ACLチームが参加するタイミングが次のラウンドからということもあってか、今回は「プレーオフステージ」という名称になっているが、ここからはホーム・アンド・アウェー方式で戦うため実質的には決勝トーナメント1回戦となる。

FC東京の先発メンバーは土曜日のリーグ戦前節から3人を入れ替えたのみ。外れたのはディエゴ・オリヴェイラ、大森、小川の3人で、前節は日本代表戦での負傷によりメンバー外となった永井、ナ・サンホ、太田が起用された。
今回FC東京の先発メンバーにはルヴァンカップの規定である「21歳以下の選手の先発起用」という条件は満たしていないが、トゥーロン国際大会に、GK波多野、DF岡崎が招集されていたため免除となっている。

一方セレッソ大阪の先発メンバーは、リーグ戦前節から8人が変更。
代わっていないのはデサバト、藤田のダブルボランチと右SBの松田のみ。これまでのルヴァンカップ同様にターンオーバーを行っており、GK圍、DFラインは松田、瀬古、山下、片山、両SHは福満と田中が入り、柿谷と高木の2トップとなっている。

■試合の流れ

開始早々の試合がまだ落ち着く前に、ごちゃごちゃっとした流れから右サイドで松田と福満の位置が入れ替わることになり、福満の裏で東にシュートを打たれるという場面があったが、5分を過ぎたころから、ボールを保持しビルドアップからボールを運んでチャンスを作ろうとするセレッソと、奪ったボールを早く縦に付ける、長谷川監督のいうところの「ファストブレイク」を狙う東京という構図がはっきりと現れた展開となる。

■セレッソのボックスビルドアップ

セレッソのビルドアップはCB2枚+ボランチ2枚の4人で行われる。
今季序盤は片山が3バックの右に入ったり、また4バックでも右SBの松田は前に出ず左の片上げ3バックにして3バック+ダブルボランチのような形をとっていたが、5月のリーグ戦第10節松本戦以降はリーグ戦では基本的にこの4人でビルドアップを行う形が増え、ルヴァンカップでも大分戦ではビルドアップ隊はこの4人。
なので前回のリーグ戦でFC東京と対戦した第13節もこの4人でのビルドアップをおこなっていた。
セレッソのビルドアップ
この2CB+2ボランチのビルドアップは相手の状況や動きを見ていくつかのバリエーションがある。
代表的なのがCBの間のボランチの1人が下がる3-1の形だが、この1も2トップの間なのか脇なのか。また鹿島戦で見せたボランチが間ではなく2CB脇に落ちるのか。
さらにはこの試合で多く見られた2-2のままの立ち位置を取るのか。
このバリエーションが増え、使い分けることができるようになったのが、相手のプレッシングを回避し、スムーズにビルドアップができるようになった理由の1つだろう。
ロングボールのターゲット
またビルドアップの中で興味深かったのはロングボールのターゲット。
セレッソは基本的にボールを繋ぐことを優先しているが、相手のプレッシングを受けたときにどうしてもGKがロングボールを選択しなければいけない状況はある。
この試合ではそのロングボールのターゲットとなっていたのが左SBの片山。
2トップが高木と柿谷なのでロングボールで森重とチャン・ヒョンスとマッチアップするのは流石に分が悪い。なのでロングボールはハーフウェイライン辺りで片山を室屋とマッチアップさせる形で使っていたのが印象的だった。

■入っていかないダブルボランチ

ボランチのポジショニング
セレッソが2-2のビルドアップでミドルサードへボールを運んでからの形で、この試合で解説をされていた清水さんはしきりに「ボランチ2枚が入っていかない」というのを指摘されており、それがあたかも問題の様に語っておられたが、これは「あえて」そうしていた。
東京の4-4-2のブロックは中央圧縮されかなりコンパクトになっている。がしかし人へアタックをしかける意識は高い。特にボランチはボランチに対してアプローチをかけそこでボールを奪うことで一気にショートカウンターを狙っている。
なのでそれを逆手にとったのがこの狙い。セレッソのボランチは東京のボランチを引き出そうとしていたのだ。
そして引き出したスペースに降りてくるのが柿谷。そしてそれと同時に田中亜土夢と福満の両SHがハーフスペースに入り込み、松田と片山の両SBは大外レーンを前へ。
ここで例えばダブルボランチの1人が前に出ると、攻撃的だと感じるかもしれないが、実際はただ柿谷が使いたいスペースを消してしまうだけなのだ。

セレッソのこの形はかなり効果的だった。
リーグ戦での前回対戦時は東京の中央圧縮4-4-2に対してサイドで東京のSHを動かすことでサイドを攻略しようとしていたが、今回はまた異なる形で東京の中央圧縮4-4-2を動かす。むしろ今回の形の方がより効果が高かったかもしれない。

ここで柿谷が起点となりサイドへ展開すると、東京のSHはどうしてもSBへと引っ張られることが多くなる。
となると東京の4-4-2の2列目はボランチだけが前にでてSHが下がるいびつな形になる。
だからこそ、24分の瀬古から福満へと渡ったハーフスペースを切り裂く縦パスが入るのだ。
このパスはもちろん瀬古の技術と見逃さなかった判断が素晴らしいのだが、このパスコースを作ったのはチームとしての形だった。

■前回と変わっていた東京の形

セレッソはダブルボランチが前に入っていかないことがカウンター対策にもなっており、東京が狙うファストブレイクをあまり出させなかった。(それでも何度かは出されていたが。)
なので、東京も攻撃では比較的ボールをもった状態で行わなければならないようになっており、それに対してセレッソはいつもの4-4-2できっちりと対応できていた。
東京の攻撃の形
ただ、東京のボール保持の仕組みは前回とは少し変わっていた。
もちろんそれは右SHのレギュラーがチームを離れたからなのだが、前回対戦時は、右サイドがSHの久保が中央に、その外側をSBの室屋が出てくるという形になっていたが、今回左サイドで東は外だけでなく中央に入ってくる役割も担っていた。そして東が中に入った時にはその外側を左SBの太田が出てくる。つまり前回とは左右が逆になっていた。なので太田にとっては今季ビルドアップに貢献できる小川にポジションを奪われる形になっているが、こうして前を空けてくれて出ていける状態になるならプレーしやすくなるんじゃないかと思う。
ただ、一方で右SBの室屋は同じレーンの前にナ・サンホがいることが多かった。
43分の場面
しかし徐々にこの東京の右サイドが改善されていく。ナ・サンホが右のハーフスペースにポジションを取ることが増え、左SBの片山が、田中を追い越して室屋にまでアプローチに出てしまう場面が何見られるようになったからだ。
そして前半の終盤ごろからこの片山が引っ張られる動きが目立つようになり、41分に高萩が痛める直前のプレーで片山が室屋に食いつくプレーがあった直後の43分。
なんてこと無い東京のボール保持の中で片山が再び室屋に食いつき左SBが誰もいないスペースでナ・サンホがフリー。慌てて山下がスライドするがクロスを上げられる。中央で誰にも合わなかったが、ボールは逆サイドの大外にいた東へ。そして東からのクロスを中央で永井がヘディングで合わせてFC東京が先制する。
最後に永井と競っていたのは片山だったが、これはナ・サンホに裏を取られた時に山下が出ていったからで、その結果中央の並びは片山と山下が入れ替わっていた。

■オープンになりかける後半

後半開始〜
後半開始から東京は高萩に代えて大森を投入。大森は左SHに入り東がボランチに下がる。

後半になると東京がリードしたこともあってか、セレッソは柿谷が下がってくるスペースが生まれず起点はサイドに。54分に飛び出した福満がチャンスを迎えるが、ゴール前でボールを失い、さらに後ろから飛び込んできた松田が勢い任せにシュートを打つも、ブロックされカウンターを浴びるというなんとも言えない形に。(松田の思い切りの良さは魅力の1つだが・・・)ということでこのプレーに象徴されるように試合は突然オープンになる。
58分〜
そして58分、セレッソは藤田に代えて奥埜を投入。そのままボランチに入る。
これでオープンになっていく流れを少し食い止めたセレッソ。東京はリードしているのでカウンター狙いということでボールは持たせてくれる。
ただやはり中央にスペースは無いので基本はサイドから。61分にセレッソは左から右サイドへとボールを動かし、2対2での崩しから松田のクロスに柿谷が飛び込むも合わない。

今季のセレッソはこれまで失点すると勝てないという状態が続いていて、特に守られると攻めきれないという場面がよく見られる。
この試合でも結局そうなってしまったのだが、今のセレッソはそうなるとブロックの手前からワンツーなどのコンビネーションを狙うばかりになる。おそらくセレッソの選手たちはそういう形が好きなんだろう。
ただ、この時ってボランチは結構フリーだったりすることが多い。相手が引いているのでここまでアプローチをかけられないからだ。
なのでもっと背後を狙っていいんじゃないかと思う。優先順位が最も高いのはDFとGKの間。もし通ればゴールに直結する場所だ。ただそこはかなり狭い。なのでそこが無理なら次はボックス内のハーフスペース。ハーフスペースはゴールラインまで使えるのでDFとGKの間よりはスペースがある。ヨーロッパのチームなんかはガンガンここを狙ってくるのに対し、今のセレッソはどうもこの背後への意識が乏しい。

■交代で試合を動かそうとするも

67分〜
63分、東京は矢島に代えてディエゴ・オリヴェイラを投入。カウンターで追加点を狙おうということだろう。一方セレッソは67分に福満に代えて山田を投入。高木が右SHへと移動する。

お互いの狙いが見える交代策で、セレッソも山田がチャンスを迎えるが決められない。
80分〜
さらに76分、セレッソはデサバトに代えて木本を投入。木本はそのままボランチに。80分に東京はナ・サンホに代えてユ・インスを投入する。

木本の投入目的の1つは2点目を奪われないこと。つまりカウンター対策という面もあっただろう。ただしそれだけではなく、この交代からセレッソはビルドアップの形が変わる。
木本投入後のビルドアップ
それまで2CBと2ボランチでビルドアップを行ってきたが、ここから2CB+右SBの松田+ボランチの木本とビルドアップの枚数は変えずに構成を変える。
もう1人のボランチである奥埜は東京のボランチの背後へ。つまり前半はFWの柿谷がやっていた役割をボランチの奥埜にやらせるようにした。

そしてここからもセレッソは田中亜土夢、東京はディエゴ・オリヴェイラ、とお互いチャンスは迎えたがそのまま試合終了。ルヴァンカップ プレーオフステージのファーストレグは1-0でホームのFC東京が勝利した。

■その他

チャンスに決められずアウェイでのファーストレグは1-0の敗戦となったが、1-0だとFC東京も今度セレッソホームのセカンドレグで90分間を守ってカウンター狙いというわけにはいかないだろうからそこまで悪くはない結果だったと言えるだろう。2点目を奪われなかったのは大きい。
リーグ戦での東京戦から1点を取るか取られるかというロースコアゲームが試合が続いているので得点力という面で不安が無いわけではないが、チャンス自体は毎試合作れているので続けていくことが大切なのだろう。
個人的には、本文中に書いた通り背後をもう少し意識してほしいところではあるが。

これでセカンドレグで2点差以上の勝利、もしくは1-0で延長・PKを制することが必要となる。
チームとしてレベルアップしているところは毎試合感じられるので、FC東京は強敵ではあるがセカンドレグでの逆転に期待したい。



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