2019年7月15日月曜日

7/13 明治安田生命J1リーグ第19節 VS 名古屋グランパス @ ヤンマースタジアム長居

スタジアムヤンマースタジアム長居主審岡部 拓人
入場者数16,382人副審中野 卓、鈴木 規志
天候 / 気温 / 湿度雨 / 22.9℃ / 87%第4の審判員上村 篤史
セレッソ大阪C大阪
 
名古屋グランパス名古屋
 
  • 監督
  • ロティーナ
 
  • 監督
  • 風間 八宏

<監督・選手コメント>

セレッソ大阪 ロティーナ監督
名古屋グランパス 風間八宏監督

セレッソ大阪 高木選手、マテイ・ヨニッチ選手、藤田選手、木本選手、瀬古選手
名古屋グランパス エドゥアルド・ネット選手、中谷選手(Jリーグ公式)

2019年明治安田生命J1リーグ第19節、セレッソ大阪が本拠地ヤンマースタジアム長居に名古屋グランパスを迎えての一戦は3-0で完勝。ちょうど3ヶ月前の4月13日に最後の敗戦を喫して以降続くリーグ戦ホームでの負け無し記録を伸ばした。

■メンバー

セレッソ大阪の先発メンバーは前節と全く同じ11人。ということでミッドウィークの天皇杯でも先発した3人は中3日、中2日で3試合目となる。
またベンチには前々節に先発から外れたレアンドロ・デサバトが復帰している。

一方の名古屋グランパスの先発メンバーは前節より3人入れ替え。前節開始早々に負傷交代となった丸山、ガブリエル・シャビエル、前田が外れ、米本、マテウス、長谷川アーリアジャスールが加わった。
ランゲラク、エドゥアルド・ネット、ジョアン・シミッチ、マテウス、ジョーがメンバーに入りしていることでガブリエル・シャビエルはベンチ外となっている。

■名古屋の思惑

3-1-4-2の名古屋
名古屋の布陣は予想と異なったのは米本とシミッチのインサイドハーフ左右の立ち位置ぐらいで、その他は予想通り前節湘南戦で丸山が負傷交代したあとから続く3バックでスタート。中盤は3バックの前にエドゥアルド・ネットが入っている。
ボール保持時の変化
この布陣では3バックの両サイドに本来SBの選手やWBにもSHの選手が起用されているのだが、名古屋はボール保持の時にエドゥアルド・ネットが最終ラインに落ちてそこからビルドアップを始めることが多い。
それを踏まえると3バックにしていわばミシャシステムのような最終ラインの枚数変化を取り、両WBが前にでることでボール保持では普段の4-4-2のような立ち位置を取れるという思惑だったのだろう。
そしてこの布陣であれば守備面だけでなく最終ラインの司令塔として重要な役割を担っている丸山が不在であっても、エドゥアルド・ネットとシミッチという2枚の司令塔を置くことができる。
DAZNの中継でアナウンサーの若田部さんが実際に取材をした時に聞いたという「海外の指導者は自由を制限するが、制限されているものを自由にしたい」との風間監督の考え方にとってはこのいわゆる司令塔、ピッチ上のコンダクターの存在は非常に重要である。

しかしエドゥアルド・ネットはあくまで中盤の選手。CBとしてのプレーには守備面で不安がある。
ボール非保持時の変化
なので守備の時にはエドゥアルド・ネットは中盤に戻り、両WBを最終ラインさげて5-3-2の陣形を作る。
こうしてこの布陣であればボール保持時の強みを持ちながらボール非保持時の強度もある程度確保できるという計算だったのだろう。
とはいえこの5バックの布陣にはできるだけなりたくない。
そこから出てきたのが名古屋の選手が試合開始前に言っていたという「前から守備に行く」という言葉。
前線からのアプローチ
名古屋の2トップ+2インサイドハーフでセレッソの2CB+2ボランチは噛み合っている。なので名古屋の2インサイドハーフがセレッソの2ボランチを捕まえながら、名古屋の2トップがセレッソの2CBにプレスをかけることでサイドにボールを誘導して、そこにボールサイドのWBが前にアプローチをかける(逆サイドのWBは下がる)。

この2トップ、2インサイドハーフ、前に出たWBのところでボールを奪うことができれば最高。ただし奪えなくともプレッシャーをかけることで次のボールを回収する。
名古屋の思惑としてはこんなところだったのではないだろうか。

■名古屋の思惑を打ち砕くセレッソ

試合の立ち上がりはセレッソが名古屋がどのようにプレーするのかを見ていたこと、そしてリーグ戦7試合勝ちなしの名古屋にとってはこの試合では是が非でも勝ちがほしい。ということで、名古屋が積極的に前に出てくる形で始まる。
しかし時間の経過と共に徐々にセレッソがペースを掴んでいくことになる。
長いボールを入れる
セレッソが行ったのはまず名古屋3バックの両脇に長いボールをいれてそこにトップの選手を走らせたこと。
松田を残す3バック化と清武がインサイドに入る
そして丸橋は上がるが松田は最終ラインに残る3バック化でボール保持を安定。
本来なら松田とマッチアップするのは和泉になるのだが、ここに行けば水沼に後ろを取られる。
さらにセレッソの左サイドではマテウスの内側で清武が浮いたポジションを取る。
これにより名古屋の選手はどこで誰を捕まえるかが混乱。
6分にはキム・ジンヒョンのスローから清武、そしてWB裏を上がる水沼にボールが届き中央で奥埜がヘディングで狙うという、わずか3本のパスで決定機を作っている。
キム・ジンヒョンがキャッチした米本の強引なシュート(もう可能性の低いシュートを打つしかなかった)名古屋のボール保持とセレッソのボール非保持、そしてそこからのセレッソのボール保持と名古屋のボール非保持。
まだ名古屋にもセレッソにも疲労がない立ち上がりに起こったこの場面はこの試合を象徴するようなシーンだった。
ロングボールの使い方
そしてこの試合でセレッソが多用していた長いボールだが成功率はかなり高かったのではないだろうか。
ボールを受けたトップは後ろから入ってくるSHに高確率で落としパスをつなげていた。
というのも後ろから入ってくるSHはほぼフリーだったからだ。
フリーになるのは名古屋のインサイドハーフはセレッソのボランチにアプローチをかけようと前へのベクトルと持っているから。そしてセレッソトップは背後に走ることで名古屋のDFラインを押し下げる。WBもSBにアプローチをかけたい。となるとボランチと最終ラインの間にはスペースができ、そこにセレッソのSHはサイドから内側に入ってくるので名古屋の選手は誰が捕まえるのかがハッキリしなかったのだ。

これをきっかけにズレが起こってくる中でもっともそのズレが大きくなるのは当然ながらボールと逆サイド。
14分には、メンデスのクロスは逆サイドに流れるがそのボールを丸橋が拾った時には名古屋ディフェンスの中央は大混乱。惜しくもボールに乗ってしまったのでシュートには至らなかったが、丸橋のクロスに奥埜が飛び込んだ場面は決定機だった。

そして22分、水沼のクロスをズレが大きくなるファーサイドで丸橋がボレーで合わせセレッソが先制する。
ファーサイドはマテウスと丸橋が1対1の状態で、マテウスは本来もう1列前の選手。水沼の切り替えしてのクロスが入ってきた時は丸橋を完全に見失っていた。
先制点の場面
そもそもこの場面、スタートとなったのは松田の最終ラインからの持ち出し。松田には2トップがアプローチに行けないのでフリーで持ち上がる。それに対してここまで何度も背後を取られていたことで5-3-2になっている名古屋は和泉が遅れて出ていく形になるのだが、そのタイミングで松田はハーフスペースの奥埜へ縦パス。
この奥埜に対して名古屋は中谷と吉田が寄せるが、奥埜はサイドの水沼に展開。
ということで水沼がサイドでボールを受けて顔を上げた時点でペナルティエリア内に入っているのはセレッソの選手がメンデスと丸橋の2人、そして名古屋の選手も宮原とマテウスの2人と2対2だった。
そして水沼に対して吉田が慌ててアプローチをかけに行くが切り替えし。ボックス内のDFがマークする選手とボールを同一視野に収められない時間がさらに続くことになる。
そしてこの時2対2は、ニアサイドのメンデスには宮原が身体をつけてマークしていたので、メンデスを離していなかった。さすがに本職のDFだけある。しかしファーサイドのマテウスは丸橋を離していた。なのでクロスが入ってきた時にマテウスは丸橋を見失っていたのだ。
そしてもう1つ触れておかなければいけないのは、水沼が切り替えしたことでクロスが入るまで時間はあったのだが、3バックの2人がサイドに引き出されながらもボランチの選手が誰もペナルティエリア内に戻ってきていないのも問題だろう。
この場面では最初から最後まで名古屋はどこを誰がどう埋めるのかがハッキリしていなかった。

■決定力不足ではない

先制したあともチャンスが続くセレッソ。24分の丸橋からメンデス、29分の清武、38分のメンデスと何度も決定機を作り、名古屋は誰が誰を見るのか、誰がどこを埋めるのかがハッキリしない状態が続いた。
名古屋も失点後は、チームとしての決定なのか個人としての決定なのかはわからないが松田のところに米本がアプローチに出るという形を取るようになったが、それでもセレッソはチャンスを作り続けた。
これはセレッソの選手は名古屋の選手の動きを見てからプレーを決めているからで、いわば後出しジャンケンをしているからである。

そしてここまで触れてこなかった名古屋の攻撃、ボール保持だが、前半の名古屋のボール支配率は54%。ボールを保持することはできていた。そしてボールを運ぶこともできていた。さらにシュート数もセレッソの6本に対して8本と上回っている。なのでこの数字だけみると「決定力に問題が」となりそうだ。
しかし、実際にこの試合の前半を見た人で「決定力の問題」と捉えた人はいないんじゃないかと思う。
むしろ決定力に問題を抱えていたのは2点、3点と決めるチャンスがありながら決められなかったセレッソの方。
前半の名古屋はボールを持つことはできていたが、セレッソのブロックを崩せず、苦し紛れのシュートを打つという展開が続いていた。

名古屋の攻撃がこういった形になっていたのは、ほとんどがセレッソのブロックと対峙する形で始まっていたからである。
対峙しないためには例えば縦に速い攻撃を取るという方法もあるが、ボール非保持でセレッソに思うようにボールを運ばれているのでボールを取り返した時には両WBは下がり最終ラインは低くなっている。
なのでボールを奪い返した時には前線には遠く離れた場所に2トップの2人だけ。セレッソは2CBと2ボランチの4人がいる。そしてさらに2トップのサポートに入るSHはこの試合ではWB。なので最終ラインから上がってくるだけの時間が必要となる。なので縦に速い攻撃はできなかった。

そして前回対戦時のプレビューでも書いたが名古屋の攻撃は、受け手と出し手の1対1の関係が10パターンあるというものに近く、3人目もその1対1に加わるという形。なので幅を作るや立ち位置で動かすという考え方はほとんどない。その結果、ボールを中心に守るセレッソの守備陣形は動かされることがなかった。

■4バックにする名古屋

後半開始〜
後半開始から名古屋は長谷川アーリアジャスールに代えて櫛引を投入。櫛引はCBに入り4バックに。ダブルボランチにエドゥアルド・ネットとシミッチ。トップ下に米本という形に変える。米本のトップ下というアイデアは少し意外に感じるが、前半の失点後に米本が松田にアプローチをかけに出る形に変えていたことの延長上だろう。
名古屋は基本的にラインを高くしておきたい、そのためには前から守備をしたい、なので何度も行ける米本が前だったのではないだろうか。
そして名古屋は4バックに変えSHがSHとしてプレーできるようになったことで徐々に前への勢いを持てるようになる。
58分〜
そしてさらに58分にはマテウスに代えて前田を投入。
右サイドから積極的にしかけさせる。

こうして前への勢いを強めていく名古屋だが、この前への勢いをより生んでいるのがボール非保持での振る舞いだろう。
4トップ気味のアプローチ
名古屋の4-4-2での守備はSHもかなり前にでて4トップ気味にアプローチに出てくる。
今季序盤はこの4トップ気味のアプローチで勝ち点を重ねていた。

がしかしこの4トップ気味のアプローチで難しいのはボランチの周りにスペースが生まれやすいことだ。4バックに対して4トップ気味にアプローチをかけるということはほぼマン・ツー・マン。ボランチの両脇を埋める人がいないのだ。
となるとそこを狙うのが清武。丸橋が前にでて清武が内側に入ることハーフスペースで清武を浮かせる。
そして、そこに瀬古から縦パスが入って一気に清武が抜け出したのが69分の場面。折返しは途中で櫛引にカットされたが、ビッグチャンスだった。

■個人技で打開を狙う名古屋とスペースを使ってカウンターを狙うセレッソ

75分〜
すると名古屋は73分にエドゥアルド・ネットに代えて相馬を投入。米本がボランチに下がり、相馬は左SH、和泉が右SH、そして前田が前線に移動する。
これはボランチ周りにできる広大なスペースを米本でカバーしようということなのだろう。
それを受けてセレッソは75分に奥埜に代えて高木を投入。高木の役割は背後への飛び出し。高い名古屋の最終ラインの裏はもちろんボランチとDFラインの間も広げたいという狙いだろう。

ということでここからはSHの個人技で打開しようとする名古屋とボランチ周りのスペースを使ってカウンターを狙いたいセレッソという構図。
名古屋のSH個人技突破は、一度相馬にボールが渡る前に水沼が前へ深追いしたことで、松田と相馬がスペースがある状態で1対1となり突破される場面はあったが、それ意外は基本的にセレッソはSHとSB、そしてボールサイドのボランチでSHの突破は阻止。
一方のセレッソの名古屋のボランチ周りを使ってのカウンターは、米本が幅広いエリアをカバーすることでなんとか対応していた。
がしかし、77分にブルーノ・メンデスがボランチ周りでボールを受けたところからのカウンターで高木が抜け出しGKと1対1に。一旦はシュートをランゲラクに弾かれるがこぼれ球を自身が詰めて78分にセレッソが追加点を挙げる。
95分〜
ここからセレッソは84分に清武に代えて田中亜土夢を投入、さらに90+5分には水沼に代えて片山を投入。
接触プレーで米本が動けなくなるという心配になってしまう場面もあったが、ピッチに復帰。
後がない名古屋はさらに前がかりになるが、セレッソは守りきり最後の最後にカウンター。
90+6分、片山からのパスを受けたメンデスがシミッチをぶっちぎりランゲラクの股を抜くシュートを決めて3点目。そのままセレッソが3-0で勝利した。

■その他

前半45分ではここまでの19試合で18試合目の無失点。そして90分でも10試合目の無失点。ホームゲームでは5試合連続無失点。そして3得点と素晴らしい勝利だった。
試合後のロティーナ監督のフラッシュインタビューで名古屋のことを「自分の中ではリーグで1番2番を争うリスペクトしたいチームだ」と語っていたが、おそらくそれはロティーナ監督と風間監督のチームの作り方、アプローチが対照的だからじゃないかと思っている。
そして今回勝負をわけたのも、この2人の考え方の差。
風間監督は「自由を制限する」としたが、それは「選手を守るもの」であり「選手の能力を引き上げるもの」であるというロティーナ監督の考え方を結果で表せたのではないかと思う。

名古屋はこれで8試合勝利なしの4連敗と厳しい状況が続いているが、この結果を踏まえ風間監督はどうするのか。おそらく今から根本的な考え方やチームへのアプローチの仕方を抜本的に変えることは無いだろう。その上でどの様なチームにしていくのか。は対照的である分、非常に興味深いところでもある。




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