2019年8月26日月曜日

8/24 明治安田生命J1リーグ第24節 VS ジュビロ磐田 @ ヤマハスタジアム

スタジアムヤマハスタジアム(磐田)主審山本 雄大
入場者数11,482人副審中井 恒、山際 将史
天候 / 気温 / 湿度曇 / 27.3℃ / 70%第4の審判員小屋 幸栄
ジュビロ磐田磐田
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • フェルナンド フベロ
 
  • 監督
  • ロティーナ

<監督・選手コメント>

ジュビロ磐田 フェルナンド・フベロ監督
セレッソ大阪 ロティーナ監督

ジュビロ磐田 山田選手、荒木選手
セレッソ大阪 丸橋選手、水沼選手、マテイ・ヨニッチ選手、奥埜選手、清武選手、藤田選手、木本選手

明治安田生命J1リーグ第24節、敵地ヤマハスタジアムでのジュビロ磐田との一戦は0-2でセレッソ大阪が勝利。前々節の第22節は判定による不運で連敗を喫したが、前節、そして今節と勝利したことで第17節以来の連勝を飾った。

■メンバー

ジュビロ磐田は今節からパラグアイでキャリアを積んできたスペイン人のフェルナンド・フベロ監督が指揮を執る。新監督ということでメンバーなど不確定な要素が大きかったが、先発メンバーは前節から3人を入れ替えのみ。出場停止のルキアンに代わり1トップに入ったのは中山。そして左SHにはアダイウトンが起用され、ボランチには今季の先発は1試合のみ、途中出場を含めてもこの試合が8試合目で第8節以来の出場となるムサエフが起用された。
ということで布陣は4-4-2(4-2-3-1)。前節に引き続き4バックとなっている。
またベンチにはここのところベンチ外となることが多かった大久保が入った。

一方、セレッソ大阪の先発メンバーだが、こちらは前節から1人のみを入れ替え。前節出場停止だったデサバトが先発に復帰し木本がベンチスタート。その分ベンチから外れたのも舩木だけで、この夏加入した鈴木孝司は2試合連続でベンチ入りとなっている。

■磐田は4-4-2でセット

立ち上がりの注目ポイントはフベロ新監督の初戦ということで磐田がどの様な形で守備を行うかという部分だった。布陣は予想通りの4-4-2。取りに行くのか、引くのか。どこからなのか。
4-4-2でセットする磐田
セレッソのキックオフから試合が始まると、磐田はセレッソのCBにまでアプローチをかけに行くようなことはせず、ハーフウェイを超えたあたりの位置から4-4-2でセットする形になっていた。
まずはブロックを作り、ブロックの前ではボールを持たれてもOKという考え方なのだろう。
そしてこの4-4-2はSHとSBの立ち位置も含めてきっちり3ラインを作って守ろうするポジショニングになっていた。
バックパスなどではアプローチに行く
ただしチャンスとあれば取りに行く。例えばセレッソがバックパスをしたりした時には一気に前に出てボールを奪いに行こうとする場面も見られた。
この時きっかけとなっていたのはほとんどの場面で山田。山田が前にアプローチをかけると他の選手も連動して距離を詰めていくという形になっているようだった。
なのでおそらく基本は4-4-2でセットする。そしてチャンスであれば取りに行っても良い。その時にみんなついていこうという約束事だったんだと思う。

■セレッソの対応

松田を最終ラインに残す
キックオフ当初、磐田が4-4-2でセットする様子をみたセレッソは、2CBと2ボランチの2-2でビルドアップしようとしていたが、磐田が奪いに来るというプレーを見せると松田が最終ラインに残って水沼がサイド張る形に立ち位置を変える。
松田がサイドに出る
しかし丸橋の突破から清武がシュートを放つもカミンスキーがセーブ、そこから再び押し込む形でゴールラインを超えるもカミンスキーがセーブしたボールが清武の手にあたったとしてハンドの判定となった8分のプレーの少し後ぐらいなので15分頃からだろう。
磐田のプレスがそれほど組織的ではないと判断すると、松田が3バックの右では無く前に出て水沼が右のアウトから中にポジションを取る形に立ち位置を再び変え、藤田がCBの間に落ちるなどで、2CBと2ボランチでビルドアップをする形になる。
ブロックを維持できなくなっていく磐田
すると磐田はこのセレッソの立ち位置とビルドアップに対して4-4-2のブロックの3ラインを維持できなくなっていく。SHは出てくるセレッソのSBに引っ張られ、SBは中に入ってくるセレッソのSHに引っ張られ。となるとバックパスに対して前から行っても後ろは付いていくことができなくなる。
そうなるとボランチの2人は中にいることができなくなりバラバラになっていく。
そして18分に秋山かアダイウトンかが内側に入った水沼を倒してファール。
丸橋が美しいFKを直接決め18分にセレッソが先制する。
この丸橋のFKはスピード・コースともにパーフェクト。さすがのカミンスキーもノーチャンスという素晴らしい一撃だった。このキックをコンスタントに蹴ることができるならFKで何点でも取れると思う。
磐田にすると秋山かアダイウトンかが水沼を倒してしまった場面。ここはセレッソが左から攻めていたので逆サイドから展開してきたボールなのだが、先程のセレッソが立ち位置を変えたことからアダイウトンはもうどこを守っているのかわからないぐらいの状態になっていたので秋山はちょっとかわいそうでもあった。
スペースが生まれる
また磐田が4-4-2の3ラインを維持することができなくなっていったことでセレッソはゴールキーパーも絡んだビルドアップで中央に入った清武や水沼が磐田のボランチの裏でボールを受けたり、瀬古やヨニッチからも縦パスが入る様になる。
そしてこの時点で清武や水沼のところにアプローチをかけるのはSB。しかしここにSBが出てくるとアダイウトンと松本の裏にはスペースが生まれることになっていた。

■磐田のボール保持

前半のボール保持率は磐田が35%、セレッソが65%ということでほとんどの時間はセレッソがボールを持っていたのだが、そんな中でも磐田のボール保持で特徴的だったのが左SHのアダイウトンのポジショニングだろう。
左サイドで開くアダイウトン
アダイウトンは常に左に開いた位置にポジションをとらせていた。
これはアダイウトンにフリーでボールを受けさせ持ち味である突破力、推進力を活かそう、そしてアダイウトンが開くことでセレッソのCBとSBの間を開けようとう狙いがあったんだと思う。
実際にアダイウトンにボールが入った時に左SBの秋山が内側に入ってくるというプレーは開始5分から見せていた。この左サイドはアダイウトンがいるのでやり方もハッキリしており、今後に可能性を感じさせるものだったと思う。
しかし一方で右サイドはどちらかといえば中途半端。松本はサイドに開くというより中央に入ってくることも多く、小川との関係もハッキリしておらず何をしようとしているのかという狙いが見えにくかった。今後改善されていくのだろうが、この試合ではハーフタイムで松本が交代になったのは仕方ないかなという感じだった。

■どこで相手にボールを持たれているか

前半のボール保持率が35%だったとはいえ、磐田もセレッソが先制点を奪って以降は少しずつセレッソ陣内にボールを運んだり、シュートまで持っていったりという場面も見られるようになっていた。
なのでDAZNのアナウンサーの方も「磐田にチャンスが無いわけではない」といったニュアンスの発言をしていたが、セレッソと磐田のボール非保持の状態で決定的に違うのは、相手にどこでボールを持たれているかということだった。
セレッソは4-4-2のブロックを維持しているので、磐田が例えば左サイドでアダイウトンがボールを持ったとしてもブロックの前や外。田口やムサエフがボールを持ったとしてもセレッソのブロックの外。
磐田がシュートまで持ち込んだとしても、敵陣にまでボールを運んだとしてもその周りや前にはセレッソの選手がいて、守備ブロックがある。なので実際に磐田にはチャンスらしいチャンスはほとんど無かった。

一方でセレッソは磐田の4-4-2の立ち位置を崩しているので先に書いたボランチ裏や、SBの開けたスペースなど磐田のブロックの中や裏でボールを持つことが出来ている。
42分にキム・ジンヒョンも加わったビルドアップからボランチ裏の清武、そして左SBの秋山が水沼についてきたためできたアダイウトンの裏のスペースに松田が飛び出しクロスという形をつくると、その3分後の45分に田口のパスをインターセプトしたところから同じスペースに水沼が飛び出し、そこからドリブルで持ち込みゴール。
セレッソが0-2とリードを広げた。
そしてここで前半終了。この試合でも前半を無失点で終えたので、今季ここまでのリーグ戦24試合での前半の失点数1を継続。1試合平均の前半失点数は0.04失点/試合となる。

■磐田が押し込むもボールを持つ位置は変わらず

後半開始〜
後半開始から磐田は2人替え。中山に代えて大久保、松本に代えて荒木を投入する。

荒木が右SHに入ったことで小川との関係も良くなり、さらに磐田にはもう後が無いということで積極的に前に圧力をかけるようになり、セレッソ陣内にボールを運ぶ回数は増えた。なのでここから荒木のクロスに田口が飛び込んだり、荒木やムサエフがシュートを放ったり、大久保がオーバーヘッドで狙ったりと磐田がチャンスを作り始める。
しかし、後半の磐田に対してもセレッソは先程書いたボールをどこで持たせるかという原則は維持していた。
ということはこの磐田のチャンスの様な場面も実は磐田がボールを持っているのはセレッソのブロックの前。なのでシュートは打っているがセレッソの守備陣系を崩せているわけではなく、シュートを打っている選手にスペースや時間はそれほどなく、実際のところはそこまでチャンスにはなっていなかった。

ただしこれは今のセレッソの課題でもある。セレッソは相手にブロックの外で持たせようとするので、相手がボールを運んでくるということはブロックが下がるということでもある。そしてそこからさらにサイドに振られて押し込まれてとなるとブロックはどんどん下がってしまうのだ。
そうなると、相手にスペースも時間も与えなかったとしてもピンポイントで合わせられることもあるし、事故も起こりえる。
セレッソも60分の磐田が取りに来たところを裏返し、清武のパスに松田の落としからデサバトがシュートというチャンスも作っているが、ボール保持の時間を増やすなど、相手が前に圧力をかけてきた時にブロックを下げないためにどうするのかというのは部分は今後改善していかないといけないだろう。

相手にどこでボールを持たせるかという部分の徹底はおそらく今のJリーグでセレッソがナンバーワンで、これが異常なまでの前半の失点の少なさや、リーグ最小失点の要因になっているのは間違いない。
しかしこれが押し込まれるということと背中合わせになっている部分もあり、後半に相手が前がかりになってきた時に今のセレッソはなかなかそれを跳ね返す(押し上げる)ことが出来ていない。
今のセレッソが勝ち点を落としているのは全て押し込まれた状況からという形になっているので、ここをどう改善していくのかというのは今後の大きな課題だといえる。
72分〜
セレッソは72分に最初の交代。この試合では少しミスも多かったデサバトに代えて鈴木を投入。奥埜をボランチに落とす。
77分〜
そしてさらに77分に清武に代えて片山を投入。片山は右SHに入り水沼が左SHに。
片山はフィジカルが強いのでアダイウトンのサイドに当てようというころなのだろう。
そしてこの交代からはビルドアップの時の3バック化も松田を残し片山が右サイドに開く形に。これはボールを失った時のネガティブトランジションを考えてのことだろう。
85分〜
83分に磐田がムサエフに代えて山本を投入。セレッソも85分に水沼に代えて木本を投入。木本はボランチに入り奥埜が左SHへと移動する。

セレッソはこれでしっかりと試合をクローズ。
0-2で勝利し、今季12回目のクリーンシートを達成した。

■その他

確実に的確に勝利した。
藤田のコメントにある「磐田の新監督が前のチームでやっていたサッカーやスタイルを僕たちに落とし込んでくれました。」というのが少し話題になっていたが、今や公式戦であれば世界中の試合をみることができる。なのでフベロ監督が4-4-2を使うことや、戦い方の傾向であったり、セットプレーの守備はゾーンであることなんかは事前に落とし込むことができていたのだろう。
とはいえこの試合が新しいチームに来ての初戦。なので以前率いていたチームと同じ様な戦い方をするかどうかは未確定だった。
そんな中で10〜15分で相手の戦い方を見極め、自分たちはどうするかを決め、それを遂行した戦い方は見事だったと思う。

そしてフベロ監督だが、この試合でやろうとしていた戦い方はヨーロッパ的でオーソドックスな4-4-2でスペイン人っぽいなと感じた。わりとロティーナ+イバンとやりたいことは似てる部分がありそうだ。
ただ、その分いわゆる「残留請負人」的な人では無いとも感じたので、残留するには純粋にここからどれだけ戦い方を徹底してチームに上積みできるかどうかだろう。
残り10試合。セレッソは最初の10試合で3勝2分5敗だったが、磐田がここからの10試合で同じ成績ならおそらく残留にはたどり着けない。





2 件のコメント :

  1. レポートご苦労様です。
    磐田との戦術的な差がはっきりしていたので、
    BSの中継でもセレッソの今季目指すサッカーがかなりわかりやすく見えたと思います。

    磐田のこれまでの戦いでいうと、攻撃時にどういうルートをとっても結局はポジショニングや運動量の関係で山田のところでフィニッシュする形になりやすく、その山田がイマイチいい体勢でシュート撃てない(もしくは余裕がない)ので得点にならない、というのが多かったのですが、このゲームではその「山田に入る形」すらほとんどなかったのでかなりセレッソの戦術が整理されてるなと。

    逆に、セレッソの攻撃時にメンデスや奥埜がフィニッシュする時点でもう少し余裕があればもっとプレッシャーの厳しい相手からでも得点が増えるのではないかな、とも思えるゲームでした。

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    1. コメントありがとうございます。
      セレッソはこの試合でも中央を閉める守備ができていたと思います。
      逆に攻撃場面ですが、ボランチを上げない、つまり前にあまり人数をかけないという戦い方をしているので、おそらくポイントとなるのが背後。これを徹底し攻撃に奥行きを作り厚みをもたせることができるかが、今及び今後の課題だと思っています。

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