2018年10月22日月曜日

10/20 明治安田生命J1リーグ第30節 VS FC東京 @ 味の素スタジアム

スタジアム味の素スタジアム主審岡部 拓人
入場者数28,053人副審大川 直也、森川 浩次
天候 / 気温 / 湿度曇時々雨 / 16.3℃ / 90%第4の審判員権田 智久
FC東京FC東京
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • 長谷川 健太
 
  • 監督
  • 尹 晶煥

<監督・選手コメント>

FC東京 長谷川健太監督
セレッソ大阪 尹晶煥監督

FC東京 橋本選手、丹羽選手、林選手
セレッソ大阪 清武選手、キム・ジンヒョン選手、山口選手、田中裕介選手

2018年の明治安田生命J1リーグも終盤となる第30節。味の素スタジアムでのFC東京対セレッソ大阪の一戦は終盤にカウンターから清武が決め、セレッソが第25節以来4試合ぶりの勝利をあげた。

■メンバー

FC東京の先発メンバーは、9試合ぶりの勝利をあげた前節名古屋戦と同じメンバーがメイン。前節に先発復帰した永井と大森がこの試合でも引き続き先発メンバーに名を連ねており、代わっているのは1名のみ。累積警告でこの試合は出場停止となるチャン・ヒョンスに代わって丹羽が第24節以来FC東京では4試合目の先発となっている。

一方のセレッソ大阪の先発メンバーだが、この試合では8月8日のスルガ銀行チャンピオンシップ以降続けていた3バックからこの日は昨年からの基本布陣でもある4-4-2へとフォーメーションを変更。さらに松田、山村が負傷離脱したこともあり、2トップには杉本と柿谷。中盤には清武、ソウザ、山口、水沼。最終ラインには丸橋、山下、ヨニッチ、田中裕介。GKにはキム・ジンヒョンが並び、オスマル、木本、高木はベンチスタートとなった。

■セレッソの新しい4-4-2

セレッソのビルドアップ
久々の4-4-2となったこの試合。以前の形と異なっていたのは左サイドの関係性。
これまでも左SBの丸橋は高い位置に出る、左SHの清武は中に入るという印象が強いがそれはあくまで2手目。SBが最初にボールを受ける位置は自陣、その前の左SHのスタート地点は左サイドで開いた位置となっていたのだが、この試合ではボールを保持するとオートマチックに丸橋は高い位置に出て、清武は中央へ。また丸橋が最初にボールを受けるのは敵陣となってることが多かった。
この2つは同じ様に感じるかもしれないが結構大きな違いがあり、以前の形だとポジションを崩すのはアタッキングサードに侵入してから。ビルドアップは守備時と同じの4-4-2のまま行うので途中でボールを失った時もそのまま4-4-2で守備に入ることができたが、スタートからポジションを移動するのでビルドアップは丸橋が左、水沼が右で幅をとって清武がトップ下の3-2-3-2の様な形で行うことになる。ということはビルドアップでボールを失うとこの3-2-3-2の様な形で守備を行う必要があり、3-2-3-2の様な形でどうやって守るかという準備が必要となるからだ。
実際に、この試合では東京の攻め方も考えて対人の強さを買われて左CBで起用されたであろう山下は丸橋の裏を狙うディエゴ・オリヴェイラに対してスムーズにアプローチに出ていたし、その時にヨニッチと田中裕介がスライドしてくる動きもそんなにぎこちなさは無かった。

そして以前の様にボールを持たないならそもそも形を変える必要は無くむしろそれがリスクにもなるので、4-4-2から3-2-3-2の様な形へと人が移動するやり方をとるということは以前よりもボールを持つことを考えているということでもある。前節までの3バックは相手の攻撃機会を少なくすることを考えてかなりポゼッションに振ったサッカーをしていたのであまり感じないかもしれないが、前回の4-4-2と比べるとかなりボールを持つことを考えた形になっていた。

ということで序盤は4-4-2でブロックを作る東京に対してセレッソがボールを丸橋と清武を移動させてボールを保持するという展開となる。

ただ、このボール保持攻撃はこの試合を通じて微妙なままだった。
その要因は、ここまでも「3-2-3-2の様な形」と書いてきたように、常にこの形という訳ではなかったこと。左サイドはオートマチックに丸橋が幅を作るポジションを取るが、右サイドでは基本水沼なんだろうが、水沼も4-2-2-2の2列目の様に中に入ってしまい右サイドは誰もいない状態になっていることも多かったこと。
また3バック化している田中裕介と山下が前節までの3バックで見せていたような攻撃の起点となるプレーはほとんど無かったこと。
そして2トップが足下でボールを欲しがるばかりで背後を狙うプレーがほとんど無かったことだろう。
ボールを持つ以上この様な部分が整理されていないと、よく言われる「ボールをもたされる」状態に見えてしまう。
4-4-2での守備
一方守備に関しては、攻撃で形を変えているので最初はそのままボールホルダーにアプローチをかけるが、そこで相手に時間をかけさせることで4-4-2の形を整えブロックを作って守る。
この決められたポジションに戻るという動きは、昨季から徹底されてきたことだけあり比較的すばやく戻ることができていた。

■FC東京の攻撃

2トップを走らせるFC東京
東京の攻撃はボールを奪うと2トップをスペースに走らせてそこにボールをどんどん出すというかなり縦に速い形となっている。
これは前回対戦時もそう。永井とディエゴ・オリヴェイラの2トップはスペースに走った時にめっぽう強くどちらも1人で一気にボールを運んでしまう。東京のストロングポイントだ。
ただ、この2人はシンプルに走らせても2人だけでゴールを奪ってしまう強さも持っているが、これだけでは攻撃が単調になる。
なので東京としてはSHやSBが攻撃に絡ませたいのだが、このサイドの選手が出てくるまで待つとなると前線にこの2トップが活きる為に必要なスペースが無くなってしまう。
右SBの室屋はかなり早いタイミングでとんでもない数のアップダウンをこなすことで何とかこれをカバーしようとしているが、2トップが速いこともあって両SHなどは追いつけないことも多く、2人だけで攻めきれないと最終的に攻撃が手詰まりになってしまうことも多い。
この2トップとSHらをどう絡めるかというのは東京の課題なのだろう。

この試合でも室屋が頑張るのでサイドからチャンスを作る場面もあったが、セレッソの帰陣が速いこともあって2トップだけで攻めきれないと結局は手詰まりになってしまうことも多かった。

ただ、東京がこの課題が解消というか目立たなくできるのはボールを中盤の高い位置で引っ掛けた時。高い位置でボールを奪うことができれば2列目のスタート地点とトップの距離も近いので2トップに間に合う。なので東京が作っていたチャンスは中盤で、主にソウザからボールを奪うことが出来た時だった。
そして、セレッソから見るとこの試合ではソウザが何度か中盤でボールを奪われ危ないカウンターを受ける場面が多かったのだが、その理由となっていたのは先にも書いた3バック化している両サイドが前節までの3バックとは異なり攻撃の起点になれていなかったから。
そのためほとんどの攻撃はボランチから始まっており、また右サイドの関係性も曖昧だったこともありどうしてもボールの出先は左サイド偏重になる。そこを東京の2列目やプレスバックに捕まってという形だった。
高萩のポジショニング
あともう1つ東京がこの2列目とトップの距離を近づけたいという狙いが見えたのはボールを奪ったタイミングでの高萩のポジショニング。
高い位置に出ている丸橋の近くにわざとポジションを取りそこでボールを受けることで丸橋が自分のポジションに戻るタイミングを遅らせ、東や大森のSHがトップに近づける時間を作っていた。

前半途中からセレッソはビルドアップでのボールロストが増えたのでチャンスは東京の方が多かったが、セレッソはボール保持ではなくカウンターでチャンスを作る場面がいくつかみられ0-0で前半終了。
セレッソがカウンターでチャンスを作るようになったのは、東京がボールを持った時にどうしても攻撃が停滞してしまうので高萩も上がってくるようになり、セレッソがボールを奪った時にカウンターの起点を潰すポジションをとっていたのが橋本1人になっていたからだった。

■試合が動いた後半

後半は序盤こそ50分の柿谷のヘディングなどセレッソにもチャンスがあったが、前半同様に東京が攻め込む時間が増えていった。
ただ、東京もボールを持つとスペースが無くなるのでどうしても攻撃が停滞。ビッグチャンスと言える場面はカウンター気味に2トップが走る形なのだが64分のディエゴ・オリヴェイラの突破は山下が抜群の対応でシュートまで持っていかせなかった。
東京は試合を通じてかなりチャンスを作った様な印象があるかもしれないが、ディエゴ・オリヴェイラのシュート数2/枠内0、永井はシュート数1/枠内1、リンスもシュート1/枠内0、前田はシュート0と前線の選手がシュートを打てていた訳ではなく、チーム全体の枠内シュートもこの永井1本と室屋1本の計2本しかない。
そしてセレッソは、後半でも先程のディエゴ・オリヴェイラのチャンスの直後にカウンターで水沼がシュートまで持っていったように、カウンターではどの時間帯でも可能性はありそうだった。
69分〜
先に動いたのは東京。69分、永井に代えてリンスを投入。仕掛けることができるし周りも使えるので永井とはタイプは違うが、スペースがある状態で前向きにプレーした時に怖さがある点では共通しているので、やはり東京はボール保持攻撃では停滞気味。可能性があるのは室屋の飛び出しなのだがセレッソも中をしっかりと締めて跳ね返すことが出来ていた。
82分〜
さらに82分にはディエゴ・オリヴェイラに代えて前田を投入。
投入10分前ぐらいからは完全に東京がセレッソを押し込んでおり、セカンドボールもほぼ回収するという状態だったので、これまでの3人とは明確にタイプが異なりクロスへの飛び込みにも強さがあるので押し込んだ中でも最も仕事ができる前田という判断だったのだろう。

セレッソはこの時間帯はカウンターも出来ないかなり厳しい状況だったが、昨季の様に4-4のブロックで粘り強く対応することができていた。

そんな展開だった84分。太田のクロスが大きくなり丸橋にボールが渡ると丸橋は一気に前線に残る杉本に。
東京はかなり押し込む時間帯になっていたことから残っているのはCB2人で、杉本はマッチアップした丹羽を背負ってボールをおさめると右サイドを駆け上がる水沼に展開。ここでFC東京も橋本と室屋が戻り水沼は少し厳しいシュートを打つことになったがそのこぼれ球を清武がボレーで押し込みゴール。
セレッソがロングカウンター一発で先制する。
セレッソは前半から東京のボランチが出たところの裏からカウンターを繰り出しており、後半にも杉本が起点となりかけたところに東が遅れてタックルにいくという場面があったが、この時間帯の東京はかなり前がかりになっていたので完全にCBの2枚だけ。杉本はここでの丹羽との勝負に勝ったことがこのカウンターが始まった大きな要因となった。
90+1分〜
その後88分に東京は太田に代えて小川を投入。セレッソも89分に水沼に代えて高木、90+1分にソウザに代えてオスマルを投入。

東京は89分に室屋から一気にリンスが裏に抜け出すが、シュートは枠外。
セレッソがこのまま逃げ切りに成功し0-1で4試合ぶりの勝利をあげた。

■その他

久々の4-4-2となったこの試合。東京の攻撃にバリエーションが少なかったこともあるが守備ブロックは最後まで崩れること無かったのは収穫だった。
一方攻撃では先に書いたように様々な課題があり、このやり方を続けるならここを解決していかないといけないだろう。
3位とは勝ち点2差。1試合延期があるので3位を争う他のチーム(札幌以外)より1試合多く、また鹿島との直接対決も残しているので十分チャンスはある。


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