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2020年12月10日木曜日

ロティーナ監督の退任について

 

■ロティーナ監督の契約満了を発表

11/27、セレッソ大阪はロティーナ監督の今シーズン限りでの契約満了を発表した。

このニュースの第一報は公式発表のちょうど一週間前、11/20の日刊スポーツだった。

ここから後を追うように各メディアが一斉に報道。

セレッソの報道は、移籍関連であれば交渉の材料とするための代理人側からのリークなのか不正確な情報が報じられることもあるが、人事に関する報道は何故か正確。まさかそんな事は無いとは思うが、まるで内部の人間が漏らしているのではないかと感じてしまうほどその通りに事が進んで行く。なので報道が出た時点でこうなることを予想した人は多かっただろう。

そして11/25の第29節大分戦終了後のフラッシュインタビューでキャプテンの清武があえて(そう感じさせる表情・話し方だった)公言。公式発表を待つばかりの状態にはなっていた。


過去の例を考えると、監督の退任の場合ホーム最終戦の直前にリリースがでることが多かったが、清武が公言した(クラブ側からすると公言してしまった)ために、ホームでの試合を3試合残してという少し早めのリリースとなったのだろう。

クラブ史上J1で最も高い勝率を記録している監督に関するリリースだということを考えると、コメントなども無い味気ないリリースだった。


■「攻撃的」なサッカーをするための監督交代

各メディアが報じた内容で印象的だったのが、いずれのメディアも監督を変える理由として「ロティーナ監督のサッカーは守備的であり、攻撃的なサッカーをするために監督を変える」と報じていたことだろう。

「攻撃的」というワードは、以前はクラブが好んで使っていた言葉。おそらくクラブ側から出たものではないかと予想される。


ただ、先に結論をいえば「攻撃的」というワードを使ったのは失敗だったと思う。


先にも書いた通り「攻撃的」はかつてクラブが多用してきた言葉。これが監督を交代させる理由になると考えていた可能性が高い。

しかしこの言葉には実態が無い。「攻撃的」とは何なのかもハッキリしない。

そしてこの曖昧な言葉で、ここ2年間のサッカーを、ロティーナのプロジェクトを否定することになってしまった。

2017年にカップ戦2冠を達成した。そして翌年、内部の問題からクラブ生え抜きのキャプテンが中心選手が移籍することになったものの、ロティーナが就任し現在のプロジェクトが始まったことで、2シーズン目の今季はクラブ史上初めて開幕前からリーグ優勝を目標として公言できるまでのチームになり、それに向かって戦った。

そんな4年間を過ごしたことで、もはや「攻撃的」なんていう曖昧な言葉では騙されないし、そんな曖昧な言葉で今のサッカーを否定されると納得なんてとても出来ない。

今のサッカーが「攻撃的」か「守備的」ではなく、なんとでも言える曖昧な言葉で今のサッカーを否定することが問題なのだ。

反発が出てくるのも当然だろう。

そしてそれは何もサポーターだけではない。

清武が「あえて」公言したこと、そしてその中で「僕たちがやってきたことが間違いではなかったということを証明したい」と語ったこと、キム・ジンヒョンが先日の横浜FC戦後のスタジアムインタビューで「ロティーナ監督の退任が決まって、そこから残り試合を全部勝ち続けたいと思った」と語ったこと。

彼ら選手たちにとっても、手応えを感じて、信じて戦ってきた2シーズンを否定されたことになる。


この状況を受けてか横浜FC戦終了後にロティーナ監督退任の第一報を打った日刊スポーツが「「解任」ではなく、発展的解消というイメージに近い。」という報道を出したが、正直なところもう遅い。


■退任となった実際の理由は?

これまで退任となる理由についてメディアでは「守備的から攻撃的に」といったものばかりが報じられているが、実際には金銭面の問題が大きいのではないかと予想している。要は「金が無い」のだ。


実際にセレッソ大阪の予算規模はJ1での中規模。昨季は赤字を計上。そして現在のコロナ禍である。

また、ロティーナとの契約は今季が2年契約の2年目。契約を延長するには新たに契約を巻き直す必要がある。

中規模の予算で優勝を狙えるチームを作ってみせたのだ。となると当然ながら条件も現在より上がる。

またさらにロティーナとの契約を延長するということは、現在のプロジェクトをさらにすすめることになる。となると今季の課題に手をつけざるを得ない。


しかしそれができる資金が無いということなのではないだろうか。

セレッソの前に指揮をとっていた東京Vでも2年契約の2年目で退任しているが、東京V側からは「契約を延長したかったが予算的にできなかった」とのコメントが出ている。


しかしその「金が無い」は本当なのか?という疑問は出てくる。

というのも、つい先日クラブが下部組織に風間八宏氏を技術委員長として招聘しているからだ。

風間氏を育成のポストにというのは、セレッソのみならず多くのクラブで考えたことがあるプランだと思う。

しかしそこでネックになってくるのは予算問題。去年までJ1クラブで指揮をとっていた人物であり、知名度も高い。かかる費用も当然ながら高額となる。


セレッソ大阪の場合、トップチームのあるセレッソ大阪と下部組織のあるセレッソ大阪スポーツクラブとは別組織。なので会計も別でありこの2つの組織の予算は別であるとも言える。

しかしバックアップしている組織は同じ。財布は別だが財布に入るお金を用意してくれる人は同じなのだ。

ということは、一方には投資できるが、もう一方には投資できないと判断されたということになる。


■分岐点

今季から来季にかけては大きなチャンスであり分岐点だと感じていた。

何度も書いているが、今季はクラブ史上初めて開幕前からリーグ優勝を現実的な目標として捉え、選手が公言し戦ってきた。これは大きな一歩だったと思っている。


過去にも何度かリーグ優勝に迫ったこともあるが、リーグも後半戦に入りその時点でリーグ優勝が手が届くかもしれない位置にあるということでソワソワしだすというのが正直なところ。開幕時点では「優勝したいな」「何かタイトルをとりたいな」というぐらいでそこまで現実的な目標ではなかった。

チームとしては「あわよくば」もしくは「ワンチャン狙い」というクラスのチームだったからだ。


結果的にチームは今季目指した目標を達成できなかった。

達成できなかった要因としては、川崎Fが過去に例を見ないほど圧倒的に強かったこと、新型コロナウイルス感染症により超過密日程になってしまったことといった外的ものもあった。

しかしそれと同時に、選手層の問題、ストライカーの問題などの戦力的な部分や、クラブとしてのサポートの部分、そして目標達成が難しくなった時にチームが崩れかけたことなどの内的ものもあった。

そしてこの内的なものは、そのまま現在のプロジェクトを進める上でチーム・クラブに足りない部分、課題であり改善点だ。

それが本気で優勝を狙ったからこそ明確になった。貴重な財産である。


そんな今季得ることができた財産を活かすためにも、現在のプロジェクトを進めて欲しいと思っていた。


もしかするとこのプロジェクトを進めた先にも歓喜は無いのかもしれない。あったとしてもそこまでの道のりは思いのほか遠いのかもしれない。

しかしここまで進んだのはクラブ史上初。「ワンチャン狙い」からもう一段上の「優勝を現実的な目標として戦う」クラスのクラブ・チームになれる可能性がある絶好の手がかりだった。

そう考えると今回の決断は残念でならない。


■理由をあきらかにすべき

正式に退任が発表された直後の横浜FC戦でゴール裏に「フロントは納得のいく説明を」といった主旨の抗議の横断幕が掲げられた。


直後はそれに対して批判的な意見もTwitterでいくつか見たが、個人的にはクラブにどんどん要求すべきだと思っている。

納得できるものが出てくるかどうかなんてわからない。しかし要求すべきだと思っている。


ここまでメディアで報じられた「攻撃的」というワードや、状況から考えると「資金面」ではないかと書いたが、本当にそうなのかどうかはわからない。

現在のプロジェクトの先には歓喜が無いと考えたのか。それともこのプロジェクト自体に乗り気ではなくなったのか。もしくはより可能性の高いと考える別のプロジェクトが出てきたのか。

そのどれでもなく、このプロジェクトを進めようとしたがそのための資金が用意できないのか。

クラブはどういった理由で今回の決断に至ったのかをはっきりと言えばいい。


もし資金面が理由ならば、来季は今季よりもスケールダウンするということになる。

それを隠してカッコつけたところでお互いに不幸である。

会社の規模的にこれ以上先にはいけないのでこれまで通りの「ワンチャン狙い」のクラスで行くというのであればそう言えばいい。


個人的にはそう考えている。

3 件のコメント:

  1. サポーターにも来季どういったスタンスで臨むのか社長という立場にいるモリシがしっかり話してほしいですね。

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  2. この考えも1つだけど来季は4チーム下に落ちるのだからその中のチームの一つになってたら洒落にならない

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  3. まぁ、ユンさんからロティーナで戦ってきたこの4年で、育成からトップ確保した選手が瀬古ぐらいしかいなかったのをフロントが気にしたってのはあるんじゃないでしょうか。
    (川崎がなんだかんだ自分とこで育成した選手たくさん使ったのもあるでしょう)
    風間さんを呼んで育成中心をアピールしたこと、
    お金がない、という話と考え合わせるとこういう推論になりませんかね。

    監督のせいではないので表向きはこういう言い方にならざるを得ないのかな

    あとは…やっぱ言いたくないけどある選手を使ってくれ/生かしてくれ、
    とい邪推もできてしまいますがこれはさすがに不毛かな

    なんにせよ、ロティーナを切って若手を使うスタンスにするならそれはそれで、と自分は思いますが、納得できない人がたくさんいるのもまた当然だと思います。

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