2011年8月3日水曜日

7/31 Jリーグ第19節 VS鹿島アントラーズ @長居スタジアム

■セレッソ大阪 1 - 3 鹿島アントラーズ
セレッソ大阪:乾(22')
鹿島アントラーズ:田代(38') 田代(45+2') 小笠原(90+3')

フォーメーション
■セレッソ大阪
GK:21 キム ジンヒョン
DF:3 茂庭照幸 14 丸橋祐介 17 酒本憲幸 22 上本大海
MF:5 中後雅喜 7 乾貴士 10 マルチネス 16 キム ボギョン 23 倉田秋
FW:15 小松塁
SUB:1 松井謙弥 2 扇原貴宏  4 藤本康太 6 山口螢 13 清武弘嗣 25 黒木聖仁 19 永井龍
交代:中後→清武(64') 小松→永井(64') マルチネス→黒木(75')

■鹿島アントラーズ
GK:21 曽ヶ端準
DF:22 西大伍 3 岩政大樹 6 中田浩二 7 新井場徹
MF:14 増田誓志 40 小笠原満男 8 野沢拓也 11 フェリペ ガブリエル
FW:9 大迫勇也 30 田代有三
SUB:1 杉山哲 5 アレックス 10 本山雅志 15 青木剛 16 本田拓也 25 遠藤康 33 イゴール
交代:大迫→青木(65') フェリペ ガブリエル→アレックス(75') 新井場→本田(84')

乾貴士のラストマッチは鹿島アントラーズ戦。
セレッソは骨折の高橋に変わって酒本が右SBに入り戻ってきた清武はベンチスタート。
一方の鹿島は左SBに新井場が入り、トップは興梠がケガの為、田代と大迫でスタート。
セレッソは試合が無かったが、今シーズン苦しんでいる鹿島は水曜日にリーグの延期分でガンバに負けているのでこの試合は気持ちよく勝って乾を送り出してあげたい所

■鹿島のセレッソ対策
鹿島のマッチアップ
鹿島のフォーメーションは4-2-2-2。同じ4-2-2-2の柏は2-2-2の部分をずらす事でセレッソのSBとボランチを抑えようとしてきたが、鹿島が選んだのは4-4-2の形にすること。
守備の時は野沢とフェリペ・ガブリエルが両サイドに開いてSBを、CBとボランチに対しては2トップとボランチの1枚で見るような形にしてきた。

特に興味深かったのはCBとボランチの所。
鹿島の守備1
CBがボールを持った時は、2トップとボランチの1枚の3人でパスの出しどころを抑えてしまう。セレッソのCBは対人守備には抜群の強さを誇るけど、つなぐ能力は高く無い。CBの両方にプレッシングに来たら後ろにはつなげるGKのジンヒョンがいるのでそこを使ってマークをずらしたりという事ができるのだけど、ボールホルダーにはあまり来ずに受ける方を捕まえられるのでそれもできない。

鹿島の守備2
って事でセレッソはボランチの2枚をCBの近くにまで下がるようにする。
こうすると同じように2トップとボランチの1枚がついてくれば、広がってしまった中央のスペースをボランチ1枚で守ることになってしまうんだけど、鹿島はそれも織り込み済みの様子。
マルチネスと中後の2枚がCBの近くまで引けば鹿島のボランチの1枚はマークを離して中央のゾーンに戻ってしまい、セレッソの2CBと2ボランチの前に鹿島の2トップが立ちはだかるという形に変わる。
って事でセレッソは低い位置から裏をめがけたロングボールが増えるのだけど、鹿島のCBは岩政と中田浩二という跳ね返す能力が非常に高い2枚なのでこれではなかなかチャンスは作れない。しかも、セレッソは押し込んだ形を作れないままなので、ボールを奪われてしまっても高い位置からのプレッシングができずという悪循環になる。

ただ、鹿島もこのあたりが今ひとつ調子が出てないんだろうなと思わせる所だったんだけど、狙い通りの形でボールを奪われているにもかかわらず何度かチャンスはつくるものの前線で変化をつけることができずにいた。

ここまでは全くボールを前に運べないセレッソ。
しかしセレッソはボランチとSBだけでボールを運ぶチームではない。
って事で10分過ぎから乾がそれを思い出し、引いてきてボール運びに加わるようになる。
そして22分。
ボールを引き出そうと引いてきた乾が抜群のターンで前を向きドリブル開始。そしてそのまま3人を抜き去りスーパーゴールを決める。
ボールを受ける。前を向く。そしてドリブルと乾の魅力が凝縮されたまさにゴラッソだった。

■セレッソの守備
ただ、シャドーが引いてきてボールを運ぶってのを思い出したのはどうやら乾だけの様子。
特にこの日は倉田の出来があまり良くなく、いつも見せる(シュートに難があるものの)ボールを上手く受けてってプレーがほとんど見られなかった。

セレッソの守備
って事でやっぱり鹿島ペースが続く。
鹿島は守備の時は4-4-2になるんだけど、攻撃の時はやっぱり4-2-2-2で流動的に動く。具体的には2トップはサイドに流れるし、攻撃的MFの位置の2は中央にもふんだんに入ってきてその空いたスペースにはSBが入ってくる。
さっきも書いたけど、ボールを上手く運べないので前からのプレッシングができない、なので後ろで固めるしか無い。なので、セレッソはその中央に入ってくるフェリペ・ガブリエルと野沢はマルチネスと引いてきたボギョン、そしてその後ろに中後って形で対応する。
ただ、こうなると鹿島のボランチ、小笠原と増田の所がどうしても空いてしまうので、やっぱり鹿島がボールを持つ時間のほうが多くなっていた。

■落とし穴
この日のジンヒョンは前半から好セーブを見せていた。鹿島のやり方もあってつなぐボールは少なかったもののゴールキックでは強烈なロングキックも見せていた。09年から一緒にやってきた乾のラストマッチということで気合もはいっていたのだと思う。
が、背後にいた田代に気づかず痛恨のミスをしてしまう。

ジンヒョンは全く田代に気がついてなかった。
当然茂庭は気がついていたので指示を出していたがジンヒョンには伝わらなかった。
また大迫も6秒をアピールしていた。
スタジアムでも「あ、ちょっと危ないかも」って空気があった。
時々こういうプレーは見るけど、実に鹿島らしい抜け目のなさだった。

そして気落ちしたジンヒョンは終了間際のセットプレーでも完全にポジショニングをミスしてしまいさらに失点。
まあこの前から鹿島ペースだった事もあってか、少しセットプレー時のゾーンが低くなってしまっていたのだけど、それも影響して中途半端に前にでて触れないという最悪のポジショニングになってしまった。

■ボギョンの可能性
ああいうミスで失点してしまったのでもしかしたらGKを代えるかもと思っていたが、クルピはあえて交代なしで後半に挑む。
しかしセレッソの攻撃が活性化されるのは乾が下りてきた時のみという状況はかわっていない。
ただ、ボールを前に運び出すとボギョンと乾が今までなかったぐらいスムーズなコンビネーションを見せ始める。
これまでボギョンはシャドーの位置であまり上手く絡めなくて苦労してきたんだけど、後半は乾と近い位置でプレーする事でこれがこの2人のラストというのが惜しいぐらい今までと違った輝きを少し見せ始めていた。
乾も今シーズンは色んな事をやろうとし過ぎていた事もあって、から回っていた部分も見受けられたんだけど、50分頃のワンツーの繰り返しや、最後はちょっとボギョンが感じる事ができなかったけど56分のパス交換からのスルーパスは、香川と一緒にやっていた時の様なプレーだった。

■クルピ2つのミス
清武・永井投入後
勝ち点上でもどうしても落としたくないゲームということでクルピが動く
動きが良くなかった小松を永井に、攻撃に厚みを加えたいという狙いであろう中後と清武を代える。
そしてそれに対して鹿島も大迫を青木に交代させ4-2-3-1に代えてくる。
個人的にはこの交代は失敗だったと思っている。
この日の中後は悪くなかった。で、鹿島の守り方や乾以外のシャドーがほとんど下りてこないのでチーム全体で後ろでボールを落ち着ける事もあまりできていない。
ならば代えるべきはシャドー、時に動きの悪かった倉田を清武に代えて、ボランチの所を代えてリスクを増やす必要は無かった。
現にこの交代の後から前に行ってしまうボギョンって事もあってカウンターを受ける場面が増えてしまっていた。そしてその結果マルチネスと黒木を代えざるを得なくなってしまった。またボギョンのポジションが下がった事で乾とのコンビネーションがみられることも少なくなった。

そしてもう1つがあのPK。
ボギョンが倒されたのでチームオーダーとしてボギョンがキッカーという事はわかる。
だけど、あの場面では一度乾にボギョンも譲った。
見なおしてみたら、清武、龍、大海、乾に言われてしぶしぶだけどボギョンも乾に譲る事を了承している。
いくらチームオーダーとはいえ中でもう決まった事を代えてはいけなかった。
チームオーダーが絶対ならもっと早くにピッチ内に伝えなきゃいけなかった。
こうなってしまうとやっぱりリズムはおかしくなってしまうものでボギョンのPKは曽ヶ端に止められてしまった。

そして最後にジンヒョンのポジショニングミスをつかれて小笠原にロングシュートを決められて1-3。
やっぱり前半にGKのミス2つ、後半は采配でのミス2つ、と4つもミスをしてしまえば試合には勝てないよねって事で、乾のラストマッチは本当に悔しい敗戦となってしまった。

■その他
乾のラストマッチでもあり、リーグの中でも重要な試合だったこの試合で3失点とも全て自分のミスからとなってしまったキムジンヒョンにとっては非常に厳しいものとなってしまった。
3失点目は仕方がない部分があったけど、1失点目、2失点目はこの試合の後半から代えられてもおかしくなかったし、次の試合で外されてもおかしくない。それほどの全く言い訳のできないミスだった。そしてそれがよりにもよってこの試合で起こってしまった。
次の試合でどうなるかはわからないけど、ジンヒョンの足元のプレーはセレッソにとって非常に大切な武器の1つともとなっている。それだけに深く反省して早く立ち直ってほしい。

途中から出てきた清武。後ろも変わってしまったこともあるのかもしれないけどこの日のプレーは良くなかった。次の試合からは清武がエースにならなきゃいけない。

■乾貴士
乾がセレッソにやってきたのは08年のシーズン途中。代表で抜けるようになった真司のバックアッパーとして横浜Fマリノスからレンタル移籍でやってきた。
野洲高校で優勝しマリノスに入ったもののマリノスでは出場機会に恵まれてなく伸び悩んでいたのでセレッソに来た時は未知数だった。
それが、真司のバックアッパーとしてレンタルで入った男が、真司との抜群のコンビネーションを見せてセレッソの攻撃の中心となっていった。

また今の3シャドーは乾がいたからできた形だった。
乾がセレッソでデビューしたのは、真司と初めてプレーしたのは08年のホームでのサガン鳥栖戦だった。この時は4-4-2の両サイドだった。武器は真司と乾による高速カウンターだった。
そして今の3シャドーの原形ともなった真司との2シャドーを初めて組んだのはアウェーだったけど同じサガン鳥栖戦だった。乾と真司のコンビネーションが良いのでより近くでプレーさせようということで前線は1トップ2シャドーになった。カウンターだけでなくボールを持ってもサッカーができるように、この2人を最大限活かすようにということでこの形になった。

09年、この2シャドーがさらに進化した。
マルチネスがボールを持って、両WBが幅を作って、この2シャドーを活かした。

10年は真司が途中で抜けたもののこの2人に家長と清武が入って、もっとポゼッションに寄って4バック(2バック)で3シャドーになった。

11年は乾がエースになった。

乾はドリブラーだけど派手なフェイントでかわすタイプではない。
緩急とタイミングとコース取りで勝負して、そしてラストパスも出せる選手。
ボールを一度左に転がして相手の左足に重心がかかったらその右側をスペースだと認識してそこを使う、そんなプレーヤーだった。
そして香川も同じようにプレーする。だから他の誰もが空いてるって思っていないちょっとした場所もこの2人にとってはスペースになっていた。

しかし乾は良い時と悪い時の波が激しい部分もある。
悪い時のほとんどは気持ちが空回りして自滅していた。
だけど、この日の乾は強い気持ちを持ちながらも空回りせずに、気持ちが切れることなく最後まで素晴らしいプレーを見せていた。いつもなら切れてしまってもおかしくないPKの後も一番につめてたのは乾だったし、その後もチームを引っ張るプレーを見せていたのでこのプレーが出来れば確実にボーフムでも活躍できるはず。
テクニックやセンスは抜群だし、比較的誰とでも合わせる事ができるので活躍を期待しています。

2 件のコメント :

  1. こんばんは。「今日」は眠れそうにありません。

    ミスに関してはある種仕方ないと割り切れますが、あのPKの件に関しては悔いが残りましたね…。
    ボギョンが決めてたとしても、チーム内で違和感は消えなかったと思います。

    僕は普段から監督を支持してますが、あのPKだけは失敗だったと考えてます。まあ、その件に関して監督がコメントしてたのは救いでしたが(笑)

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  2. コメントありがとうございます。
    あのPKはクルピのミスだと僕も思っています。
    おっしゃる様にボギョンがあそこで決めたとしても違和感は残ったでしょうし、もしかしたら決めて同点に追いついていた方がその違和感は大きくなってたかもしれません。

    まあクルピも試合後のインタビューで長谷川のオッサンが話しを終わらせようとしているのにわざわざ自分から言い出したって事は反省してたんでしょうね。ちょっと言い訳くさかったですけど(笑)

    返信削除

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