2018年12月9日日曜日

セレッソ大阪 2018年シーズンレビュー vol.1

2018年12月1日のJ1最終節、翌12月2日のJ3最終節をもってセレッソ大阪の2018シーズン全日程が終了。今季は様々なことが起こったシーズンだった。そこで今回から2018年のセレッソ大阪シーズンレビューとして、例年同様今年も何度かに分けて書いていこうと思う。
まずは第1回として2018年シーズンの総括から。


■13勝11分10敗で勝ち点50 39得点38失点

トップチームのリーグ戦最終成績は13勝11分10敗で勝ち点50の7位。ACLはグループリーグ敗退。YBCルヴァンカップは準々決勝敗退(初戦敗退)。天皇杯は4回戦敗退。
昨季リーグ戦3位。ルヴァンカップ、天皇杯のカップ戦ダブルタイトルを獲得し、4つのタイトルの可能性をもって挑んだ今季のチームにとっては少々寂しい成績となった。

その大きな要因の1つに過密日程があったことは間違いない。
1月1日まで天皇杯を戦い2週間にも満たないシーズンオフで今季がスタート。それに加えワールドカップイヤーということで過去に例を見ないほどの超過密日程でACLとの連戦続き。
もちろんこのスケジュールは事前にわかっていたことだし準備した部分もあるだろうが、けが人が続出したことを考えると予想以上に厳しいスケジュールだったのではないだろうか。

とはいえ、これだけ厳しいスケジュールの中でも13勝11分10敗で7位。これはセレッソがACLに出場したシーズンとしては過去最高の成績である。
「良い成績」では無かったが「悪い成績」でも無かった。
しかしクラブは尹晶煥監督との今季限りでの契約満了を発表。
正確に言えばクラブが尹晶煥を切ったのではなく2年契約を終え新たに契約を更新しなかったという形だ。
こうしてクラブ初のタイトルを、さらに2つももたらせた尹晶煥監督は、
通算94試合、49勝23分22敗、146得点、103失点
でチームを離れることとなった。

■今季は何を目指したのか

2018年はここまで書いた成績以外にも様々なことが起こったシーズンだったが、その根本部分にあるのはチームとしての今季の方針にあったのではないかと考えている。

今季の方針は、(これも今季の過密日程が影響した形だが)例年とは異なり平日にしかも大阪市の外れて行われたため参加できなかった人も多かっただろうサポーターズコンベンションで語られており、下記でその内容を確認することができる。

「セレッソ大阪サポーターズコンベンション2018」レポート【第2部(1)】チーム方針説明

【チーム方針説明】◆資料 2018年度チーム強化方針(PDF/1.18MB)

チーム統括部 部長 大熊清氏が担当した2018年度チーム強化方針ついて。
まずPDFの資料のところから触れると、序盤の概念的な部分は飛ばして、気になるのは2017年シーズンの振り返り4の「今後の課題」のページ。
ここでは昨季のチームの具体的な課題を書いているが、その一番目に上げているのがポゼッション率47%。
2番目以降に上げている、ペナルティエリア脇のスペース使われる率 がリーグ7番目やバイタルへのパス成功率などは結果に直結する明確な課題ではあるが、ポゼッション率はチームの戦い方に関する部分であり結果との直接的な関係は無い。
しかしクラブとしてはここを課題だとしている。

そして大熊清氏が語った内容によるとここをさらに突っ込んでいて、ポゼッション率を50%や60%にしていきたいとのこと。
クラブとしてはポゼッション率が50%を切るのは課題で60%に近いポゼッションサッカーをしたいと考えていたということである。

それならばなぜ尹晶煥なのかという話しだ。
尹晶煥のサッカーはボールを保持することにこだわらないことは以前からわかっていた。そしてそれで昨季は結果を出した。しかしクラブが目指していたのはポゼッションサッカー。しかも60%である。
今季J1トップの横浜FMが59.2%だということを考えると目指す60%はやり方が全く異なるスタイルを取らなければいけない数値であることがわかるだろう。
言ってみれば今季は蕎麦屋にフレンチを作らせようとしていたということである。

ポゼッションを上げる理由として過密日程を挙げ、同じ文脈で走行距離とポゼッション率との関係に触れているが、例えば今季ポゼッション率が最も高い横浜FMが走行距離2位であったり、走行距離が2番目に少ない鹿島の今季のポゼッション率が50%を切る49.2%(11位)であるように実際のところポゼッション率と走行距離に直接的な関係は無い。

ここを根本にして様々なことが起こったのが今季だったのではないだろうか。

昨季のサッカーに馴染んでいた選手は問題ないが、ポゼッションサッカーをやりたい、それこそが自分が活きると考えている選手は昨季と同じ様なサッカーをやろうとする監督により不満がたまっただろう。チームが取り組むとしているサッカーをやっていないのだ。
しかし繰り返すが現場はそもそも蕎麦屋である。そこにいるのは蕎麦職人でしかもそれで結果も出した。さらに新戦力として獲得したのも蕎麦屋の材料である。そりゃ蕎麦を作る。
この問題は比較的結果が出ていたシーズン前半戦は結果に隠れる形になっていたが、中断期間があけて結果が出なくなったことで一気に表面化したのだろう。

第21節札幌戦から第29節ガンバ戦の期間に戦い方を大きく変えたのも納得がいく。
この期間はそれまでの4-4-2から3バックへと布陣を変えたが、システム以上に大きく変わったのが戦い方。
ボールを持つことで相手の攻撃回数を減らすというものだったが、それまでのボール保持にこだわらない戦い方から一変、完全にボールを持つ戦い方に変えた。これもポゼッションサッカーの1つの形だ。この期間は55.7%のポゼッション率を記録している。

もちろんカップ戦2冠を達成したとはいえ、昨季のサッカーには課題もあった。
それは先の資料でも「ポゼッション率47%」と並んで今後の課題のところで記載されていたし、よく言われる夏場の失速問題もそうだろう。
しかしそれを解決する方法としての第一歩はあくまで精度を上げることのはずである。
例えば4-4-2のブロックのスタート位置を徹底し精度をより高めることで解決できる問題はたくさんあった。そうやってチームの戦い方は積み上がっていくものではないだろうか。別に1つのシーズンが終わったからといってそこで完成ではない。サッカーは続いていく。

もちろんクラブにはチームの戦い方を決める権利がある。監督を決めるのはクラブだ。
しかしそれならなぜ尹晶煥だったのか。なぜこの編成だったのか。そしてそれは今季に入って急遽変わったことなのか。
このあたりの齟齬が今季の誰も得をしない状況を生んでしまった原因だったような気がしてならない。

3 件のコメント :

  1. こんばんは。
    ポゼッションサッカーが悪いとは言いませんが、欧州もポゼッションからの転換を迫られているチームが増えてきている現状でなぜそこにこだわるのか甚だ疑問です。
    むしろポゼッションを得意とする横浜、川崎なんかに相性のいいサッカーをしていて、それはそれで強みだったと思いますし。
    監督が変われば戦術が変わるではチーム戦術にあった選手の獲得や育成もハマらないことが多いのではないかと思いますし、この辺が軸の無いクラブ、常勝軍団との差ではないかと。
    今はリーグ自体上と下に差はないですが、チームの特色、軸があるチームやお金があるチームとそうでないチームの差が今後開いていく中でセレッソの強くなるビジョンが見えないため不安しかないです。
    すくなくとも、先を見られたとして監督の契約年数ぐらいの未来しか見えないです。
    戦力が整わなければすぐ降格もありうるでしょうね。

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  2. 今期のレビューおつかれさまでした。
    総括はまだ終わっていませんが、今期も興味深く読ませていただきました。

    おそらく尹さんの退任に関して100%正しいと言える人などいないでしょうし、私もギャンブルには違いないと考えますが、チームの戦い方と言う長期的視点とは別にひとつ思うことがあります。つまり、現時点でのセレッソの戦力がひとつのピークに達しており、今後は主力の引退に応じて戦力低下が起きるのは避けられないのではないか、ということです。

    チーム方針と尹さんの指向するそれが乖離している、というのは理解できますが、同時にいまの選手たちに合ったサッカーとも乖離しているのだとすれば、選手を入れ替えて今期のサッカーを続ける「正しい長期戦略」にどの程度の価値があるのか、いまの戦力で出来ることをやって後のことはあと、じゃ本当にダメなのか。いろんな噂も流れましたけど、最終的に尹さんがチームを離れるに至ったのはそのあたりが大きいのではないでしょうか。

    ともあれ、この冬の補強なり移籍なりを経て来期の開幕時、そしてシーズンが終わったあと、この人事がよくも悪くも結果論的に語られるのは確実でしょうから、私としては結果で語ってくれ、としか言えないところです。

    いうまでもなく、この2年の尹さんの指揮に対してはいくら感謝しても足りません。
    これまで誰も出来なかったことをやってのけたのは確かですから。

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