2018年12月3日月曜日

12/1 明治安田生命J1リーグ第34節 VS 横浜F・マリノス @ 日産スタジアム

スタジアム日産スタジアム主審西村 雄一
入場者数30,608人副審唐紙 学志、野村 修
天候 / 気温 / 湿度晴 / 17℃ / 42%第4の審判員山岡 良介
横浜F・マリノス横浜FM
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • アンジェ ポステコグルー
 
  • 監督
  • 尹 晶煥

<監督・選手コメント>

横浜F・マリノス アンジェ・ポステコグルー監督
セレッソ大阪 尹晶煥監督

横浜F・マリノス 扇原選手、仲川選手、畠中選手
横浜F・マリノス ウーゴ・ヴィエイラ選手、扇原選手、中澤選手(横浜F・マリノス公式)
セレッソ大阪 山口選手、水沼選手、杉本選手、キム・ジンヒョン選手

2018年の明治安田生命J1リーグ最終節。セレッソ大阪は敵地日産スタジアムで横浜F・マリノスと対戦し1-2で勝利。今季最終戦かつ尹晶煥監督にとってもラストゲームとなる試合で勝利し、2018年は7位でシーズンを終えることとなった。

■メンバー

横浜F・マリノスの先発メンバーは前節より2人入替え。山中が負傷離脱した影響で前節は左SBにイッペイ・シノヅカを起用したが今節は畠中を5試合ぶりに起用。また大津に代わって喜田が3試合ぶりに起用されている。
このメンバーでもわかるようにマリノスは10試合ぶりに3バック+ダブルボランチの布陣を採用。4-3-3では左WGに入る遠藤が左WBへとポジションを移している。
そして開幕前には今季限りでの引退もほのめかせていた中澤が8月15日の台22節以来となるベンチ入りとなっていた。

一方、セレッソ大阪の先発メンバーも前節より2人入替え。山下に代わって木本、柿谷に代わって山村が起用されている。
同じポジションの選手同士の入替えということで布陣はいつもの4-4-2。
また柿谷はベンチからも外れているので澤上がベンチ入りとなっている。

■マリノスの3バック

マリノスの布陣は登録上3-5-2となっているが3-4-2-1とも取れる形で要するに3バック。
普段の4-3-3とは異なるのだが、プレビューでも書いたようにマリノスの、特にボールを持っている時のやり方としてはそんなに大きな違いは無い。
マリノスのボール保持1
マリノスはボールを持つと3バックは開き両WBは前にでて3-2-5の様な立ち位置になっていた。
これは4-3-3であれば、CBが開いた間にアンカーが下がり、SBが上がり、WGがインサイドに入ってきた時と同じ形。
マリノスのボール保持2
さらにここから3バックの左に入る畠中が前に出てCBが開くという形も見せていた。

この上2つの形のメリットはセレッソが4-4-2で作るブロックの間のポジションをとれること。
5レーンとも言われているがマリノスのボールを保持を基本としたアタッキングフットボールの根幹とも言える形である。

しかしこの日は4バックではなく3バックを採用してきた。その理由の大きな1つは山中の不在もあるだろうが山中は前節も不在。そんな中、前節は4バックだったが今節3バックにしてきた理由は対セレッソということもあったのではないだろうか。

マリノスは今季のポゼッション率がリーグ1位であることからもわかるようにボールを持つことをベースにしている。ボールを持つということは当然ながらボールを失わないということでもあり、そのために必要なのが先に紹介したポジショニング。しかしこれだけではまだ半分。十分ではない。
ボールを持つチームがもう1つやらなければいけないのは、ボールを速く奪い返すこと。
なのでマリノスは守備の時に前線からプレッシングを行う。
しかし対戦相手のセレッソは、前線からプレッシングを受けた時はキム・ジンヒョンにボールを戻して躊躇なくロングボールを蹴ってくる。
おそらくこの試合でマリノスが3バック+2ボランチを採用したのはこれに対応するためだろう。
4-3-3で3-2-5の形になった場合はアンカーが3バックの中央、SBがボランチの位置と全てのポジションの選手が入れ替わっている。
しかし最初から3バック+2ボランチにしておくと、もしロングボールを蹴られてもこの5人は本職の選手がそのままのポジションで守備ができる。

■オープンな試合に

こうしてボールを保持しながらサッカーを行うマリノスに対してセレッソも高い位置から守備を行った。
普段は敵陣からボールを奪いに行く守備を行うことはほとんどないセレッソだが、ミシャシステムなどのポジショニングで優位性を作りに来る相手には4-4-2のブロックがズラされてしまうことも多いので、敵陣の高い位置から守備を行う。

ということで自陣からボールを繋ぐマリノスと高い位置から奪いに行くセレッソという図式になるが、前節もそうなってしまったようにセレッソの守備は前から奪いに行った時にボランチと
CBの間にスペースを作ってしまうことがある。
その結果、セレッソが高い位置でボールを奪い返す場面もあるものの、スペースを使われて一気にボールを運ばれる場面もある。
また、マリノスも最終ラインで3+2を作っていたなっていたがそこでセレッソも何度か基点を作ることに成功。すると高いディフェンスラインの背後をつかって一気にボールを運ぶ場面もあるという両チームのゴール前を行き来するオープンな試合となっていった。
開幕戦で対戦したときも同じ様な展開になっていたので、お互いの戦い方を合わせるとオープンになりやすいのだろう。
しかしセレッソは突破された時の帰陣が速く、またマリノスも3バックの一角に入るチアゴ・マルチンスがスピードでカバー。シュートを打ち合うという展開にはならなかった。チアゴ・マルチンスは単純な走るスピードも速いが特に反転するスピードが抜群に速かった。

ただ、お互いゴール前までボールを運ばれた時。つまり撤退したときの守備の質ではセレッソの方が上。ということで19分のクロスのこぼれ球を杉本が左足でシュートを放った場面、21分に山村のスルーパスから水沼がDFラインの背後に抜け出した場面、36分には山村の落としから再び水沼。45分の清武のボレーと得点に繋がりそうなチャンスはセレッソの方が多く、マリノスのシュートはミドルシュートがほとんどだった。
しかしセレッソも最後は低い位置で抑えているため、33分の仲川、松原が立て続けにシュートを放った場面があったように、何か1つ起こればマリノスにも十分ゴールが起こり得る、そんな展開で試合が進んでいった。

■試合が動いた10分間

0-0のまま迎えた後半の立ち上がり。先に試合を動かしたのはマリノスだった。
50分、仲川がカットインからボックス内に侵入。シュートは木本がブロックしたもののそのこぼれ球がディフェンスラインの背後に出てしまい、そこに入ってきた天野が流し込んでゴール。マリノスが先制する。
セレッソが最後に押さえている位置が低いので何か起これば失点につながりそうというまさにそのものの形だった。

しかしマリノスも決して守れている訳でも試合をコントロール出来ている訳でもはない。
なのでその直後には丸橋のクロスに杉本が左足で合わせる場面を作る。
そして55分。敵陣の高い位置で松田が天野からボールを奪い返すと水沼とのワンツーで右サイドを抜け出し折返し。これを山村が落ち着いて決めセレッソが同点に追いつく。
松田が天野からボールを奪い返したプレーはファールだったと思うが、ポゼッションのチームなので仕方ないとはいえ、あの位置で切り返すのは流石に危険だった。

先制されたもののすぐに同点に追いついたことで勢いを増したのはセレッソ。
特に追いついた形が前で奪ってショートカウンターだったということもあるだろう。前で奪ってショートカウンターという形をいつくか続ける。
そして60分、そのショートカウンターから奪ったCKでセレッソはショートコーナーを敢行。
丸橋、ソウザと左右のキッカーを揃えるセレッソのCK、特にニアへの速いボールは相手チームにとって最も注意すべき形となっている。そこでショートコーナーを選択したためマリノスはキッカーへのアプローチが遅れた。そして普段とは異なる軌道でボールが入ってくるので中の対応も遅れた。
松田のクロスを木本が合わせたシュートはクロスバーを叩くが、そこ跳ね返りを清武が押し込んでゴール。セレッソが逆転に成功する。

■試合をクローズするセレッソ

66分〜
セレッソが逆転したことを受けてマリノスは一気に2枚替え。
65分に松原と喜田を下げて久保とウーゴ・ヴィエイラを投入する。
この交代によりマリノスの布陣は、扇原がアンカー、その前に天野と久保が並び、両ワイドに遠藤と仲川、2トップに伊藤とウーゴ・ヴィエイラが並ぶ3-1-4-2に。
仲川と遠藤はWBというよりもWGなので4トップにも近いかたちだ。
マリノスはここまで、前線にボールは運ぶが最後の局面ではセレッソに守られいい形でシュートまで持っていくことは出来ていない。なので人数をかけてということなのだろう。そもそもビルドアップの形としてはあまり変わっていない。
一方、セレッソも66分にソウザから秋山へと交代。こちらはそのまま同じポジションに入る。

ここからはボールをもって攻めようとするマリノス、下がって受けてカウンターを狙うセレッソという図式がはっきりとする。
セレッソは4-4-2で中を閉めて守る。となるとサイドが開くので遠藤、仲川の両ワイドから攻撃しようとするマリノス。
しかしセレッソの2CB、2ボランチは堅い。なのでセレッソも何度もカウンターを繰り出す。
83分〜
80分、セレッソが前半に少し足を痛めていた清武に代えて田中亜土夢を投入。
82分、マリノスは畠中に代えて中澤を投入。
83分、セレッソは水沼に代えて福満を投入する。
カウンター狙いを始めてからはセレッソがボールを運ぶのは徹底してボールを奪われにくい外。昨季から積み重ねてきた形だ。なのでスプリントを落とさないようSHをフレッシュな選手に入れ替える。
一方、マリノスの交代は色々と考えてしまう交代だが、今の所まだ何も発表されていない。

この83分の交代直後に混戦になったとことから仲川が決定機を迎えるがキム・ジンヒョンがセーブする。
85分〜
そして85分、尹晶煥の5という合図と共にセレッソは山村が最終ラインに下がる5バックへと変更。
89分には扇原得意のDFラインの背後へ落とすパスでウーゴ・ヴィエイラが抜け出しかけるもコントロールをミスしキム・ジンヒョンがキャッチ。

そのままセレッソが5分のアディショナルタイムをしのぎ1-2で終了。
セレッソはこの2シーズンで横浜F・マリノスと6度対戦し5勝1分。尹晶煥は率いた2年間でマリノスに1度も負けることはなかった。

■その他

開幕戦と同じくガチガチの試合というよりはお互いが攻め合うオープンな展開となった最終節。
開幕戦では攻めきれず引き分けとなったが最終節ではきっちりと勝ちきった。
ハードワークなどのイメージが先行しがちな尹晶煥率いるチームだが、ラストゲームとなったこと試合はまた別の尹晶煥のチームらしい試合だったのではないだろうか。
シーズンの総括については別の機会に譲るが、先に書いたようにマリノスとは5勝1分、そして川崎にも5勝1敗。さらにはFC東京からも4勝0敗と特に関東のチームには強かった。
また今季の最終順位は7位。昨季の3位に比べると低いが、ACL出場年の成績としては過去最高。もちろん良くは無いが決して悪い結果では無かったと思う。

移籍の噂などが出はじめ既にやきもきする時期にはいっているが、ひとまずは尹晶煥監督にこの2年間を感謝したい。




4 件のコメント :

  1. 尹監督の5の合図に、解説の秋田さんが
    「あと5分と言うことでしょうね」と言ってましたが、
    山村が下がった事に気づいたのが
    アディショナルタイム位?だったのには笑えました。

    今年もお疲れさまでした。
    何だかんだとありましたが、総括期待しています。

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    1. コメントありがとうございます。
      解説は急遽決まったの?というぐらいセレッソだけじゃなくマリノスのサッカーも見ていない感がすごかったですよね(笑)
      ありがとうございます。

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  2. いつもブログを楽しみに拝見しております。
    2018年のマリノスは最終節こそ得失点で余裕はあ
    りましたが、仙台戦、H長崎戦での大量得点がなか
    ったら降格してたシーズンでしたw
    攻撃スタッツ上昇の裏に垣間見えるチャンス構築
    率の低さと7度の逆転負けというオーガナイズの脆
    さが今年の実態です。
    監督も素材から必要な部品を作れる人でははない
    し、戦術的に割り切る所もないのでこのオフの編成
    が来季の残留の命運を握りそうだなと。

    セレッソさんは噂通りの監督が就任した場合、既存
    選手へのお手本役としてタカの獲得に動きそうだ
    なぁと勝ってに予想してます。
    お金あるクラブなのでその場合は代替補強の費用と
    カイケの給与負担が出来る金額は欲しい所です。

    長々と大変失礼致しました。来年も楽しみにしております。

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    返信
    1. コメントありがとうございます。
      確かに大量得点が無かったら危なかったかもしれませんが、大量得点を取れるサッカーはしてましたから(笑)
      とはいえチャンス構築率の低さは課題でしたね。

      タカが帰ってきてくれるなら願ってもないところですが、おそらく無いと思いますよ(笑)。
      もはやマリノスのキャプテンですし、タカが出ることになった張本人(熊)はすっかりクラブ幹部に音をおろしていますから。

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