- 52' 清原 翔平
- NHK BS1スカパー
スタジアム | キンチョウスタジアム | 主審 | 西村 雄一 |
入場者数 | 17,086人 | 副審 | 名木 利幸、西尾 英朗 |
天候 / 気温 / 湿度 | 雨 / 14.9℃ / 84% | 第4の審判員 | 荒木 友輔 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 大熊 清
- 監督
- 長澤 徹
試合経過
-
90+1'
-
90'
- 86'
-
83'
- 78'
-
76'
- 72'
-
52'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 13 | 11 | 17 | 10 |
CK | 6 | 4 | 4 | 4 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 16 | 8 | 13 | 9 |
警告/退場 | 2/0 | 0/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 大熊清監督ファジアーノ岡山 長澤徹監督
セレッソ大阪 柿谷選手、キム・ジンヒョン選手、清原選手、丸橋選手、酒本選手、澤上選手
セレッソ大阪 清原選手、キム・ジンヒョン選手
ファジアーノ岡山 岩政選手、矢島選手
ファジアーノ岡山 岩政選手、中林選手、矢島選手
ファジアーノ岡山 中林選手
Jリーグ全試合の中で一番最後に行われる試合となるJ1昇格へのラスト1枠をかけたJ1昇格プレーオフ決勝。2年連続の出場となるセレッソ大阪は本拠地キンチョウスタジアムでファジアーノ岡山と対戦。試合が進むにつれ雨足が強くなる中での一戦はセレッソ大阪が清原のゴールで奪った先制点を守りきり1-0で勝利。J1昇格を決めた。
■メンバー
セレッソのメンバーはベンチメンバーも含めて準決勝の京都戦と全く同じ。柿谷と澤上の2トップにSHに杉本と清原、ボランチにソウザと山口、最終ラインには左から丸橋、藤本、山下、松田とならび最後尾には守護神キム・ジンヒョンが構えている。ただ1点変わっているのは藤本と山下の立ち位置。今シーズンは山下が左CBに入る事が多かったがこの試合では山下が右、藤本が左に入っている。
一方のファジアーノ岡山は、押谷がインフルエンザでメンバー外となり先発メンバー入りを果たしたのは今季主にスーパーサブとして活躍を見せていた豊川。それ以外は準決勝の松本戦と同じメンバーですがベンチには11/3の第39節町田戦で左眼窩壁骨折となった竹田が復帰。攻撃に変化をつけるスーパーサブとして期待されているのは藤本と酒井といったところでしょうか。
セレッソの選手は11/28にコロンビアで起こった航空機事故により亡くなった2012年のチームメイトであり選手やサポーターからも愛されたケンペスの背負った9番とケンペスのネームが入ったユニフォームを着用し入場、そしてキックオフ前にはケンペスを始めとするシャコペエンセの選手やスタッフに対する黙祷が捧げられました。
■立ち上がりにペースを握ったのはセレッソ
柿谷がキックオフのボールを大きくキム・ジンヒョンにまで戻しキム・ジンヒョンが前線に蹴り出す事で始まったこの試合、立ち上がりにペースを握ったのはセレッソでした。5-2-3の2の両脇 |
また岡山の前線からの守備に対してはキム・ジンヒョンを使ってロングボールを蹴る、サイドを変えるという事ができていたのも守備のハメどころを作らせなかった事も大きかったでしょう。
伊藤が降りる5-3-2 |
ただ、例えば岡山の5バックはWBがSBに喰いつきやすく、中央の3枚も左の片山はサイドに簡単に出てくるけど、逆サイドの篠原は中央にとどまりたがるといった形に対してサイドの基点からチームとしてどう狙うのかというところは見受けられず、また岡山も中盤の枚数が合わない事で下がって中央を固める形をとる時間帯が長かったためにセレッソはミドルシュートがほとんど、特にソウザは前半セレッソのシュート9本中7本を打っていました。
■前半は自重した岡山
セレッソがボールをもつ時間が長かった前半ですが、岡山にとってもこれは想定内だったのかもしれません。引き分けでは敗退、昇格するためには勝つしかない岡山は前半は0-0でOK、リスクをかけずに戦おうという狙いは持っていたと思います。
その岡山は守備では先程書いたように5-2-3と5-3-2と中盤の人数を変えながらも中央の人数を増やす形で守りを固めていたり、前半途中からは豊川と伊藤のポジションを入れ替えインサイドハーフとして中盤の守備にも参加できる伊藤を丸橋と杉本のサイドに置くなどの処置をとってきていました。
しかし一方の攻撃では普段よりもロングボールを多用してきませんでした。
それはセレッソの2トップがCBにまでプレッシャーをかける事をほとんどせず、またボランチがボールを引き出すために下がっても追いかけない、出来る限りスペースを埋めようという守備をしていたからかもしれません。セレッソは1列目の守備でそれほど制限できていた訳ではありませんが、岡山もビルドアップとして再現性をもって仕込まれた形があるわけではなく、またおそらく矢島にも前半は自重するように指示がでていたと思われますので、可能性があったのはCKから岩政が藤本のマークを赤嶺とのスクリーンで振り切ったシーンぐらい。それほど多くなかった赤嶺に対するロングボールも、セレッソが藤本と山下のポジションを普段と逆にすることで赤嶺と山下がマッチアップする回数を増やし、ほとんどの場面で競り勝っていた事もあったでしょう。
■後半仕掛けてきた岡山
後半の開始早々矢島からパスを受けた三村がボックス内でシュートを放つ場面をつくり、さらに49分には左サイドから片山のクロスに豊川がヘディングシュートを放つ場面と、どちらもキム・ジンヒョンのセーブでゴールは許しませんでしたが前半とは異なりセレッソのゴールに迫る場面を立て続けに作り始めます。こうなった要因はロングボールと矢島でした。
岡山のロングボール |
その時3バックとボランチは後ろに残るいわば5-0-5の様な間延びした状態を作り出します。
この形に対してセレッソは最終ラインの4枚だけでは人数も足りないしセカンドボールを拾われる可能性が高いので中盤も下がる。そうなると、前線では澤上がかなり頑張っていたもののチームとしてどこからどのようにして守るかという形が希薄なセレッソでは特にどうしても引っ張られて間延びしてしまう事になります。
間延びを謳歌する矢島 |
通常このような3-2-5の状態を作ったとしても中盤の2枚のボランチはカウンターケアを考え中央に残るポジションをとったりする事が多いのですが、矢島はチームの中でこの状態での自由を与えられているようでまったく気にせずに自由なポジションを取る。
ボールと逆サイドに1人でいたり、ロングボールが蹴られた時に1人だけ全く別のタイミングで動きだしたりと、試合の流れと一見関係なさそうな動きをします。
アウェイ岡山戦でもこの矢島が中央からいなくなることでそのスペースを使いセレッソがボールを奪ってカウンターを見せる事がありましたが、守備側にとっては矢島がどこにいるか捕まえづらい状況になる事も事実。また矢島もこの状況ではかなり自由を与えてもらっているのでやりやすかった事もあるでしょう。
J2ではほとんどの対戦チームがこの岡山のロングボールによる間延び作戦に引っ張られて受けてしまい、間延びした状況と岡山の前線のハードワークを外せるようなチームも無いのでこの矢島のプレーが岡山にとってリスクがある形ではあるのですが、収支はプラスになっていました。
しかしその直後、セレッソのスローインで、清原に対して岡山が人数が揃っていたのに不思議な対応となっていて清原が上げたクロスを矢島がクリアして得たCKから。
丸橋が蹴ったボールに対してソウザが岩政の前に入り混み合わせようとしたボールがこぼれたところでいち早く反応したのが清原。倒れ込みながら降った左足で流し込みゴール。セレッソが先制点を奪います。
清原は今シーズントップチームで3ゴールを決めていますが、その内2つは今回と同じCKのこぼれ球。そしてもう1つもホーム岡山戦でのゴール前でもつれたところからのゴールで、今季全てのゴールがこのパターン。
それをこの決勝でも見せてくれました。
■前がかりになる岡山
失点した事で2点が必要になった岡山は、後半からのロングボールと矢島のフリーダムな動きでさらに勢いをまそうとして来ますが、ロングボールは藤本と山下が、フリーダムな矢島からの攻撃はセレッソのフリーダムソウザがサイドに前にと危険なところに躊躇なく飛び込みボールを刈ってしまう個人能力の高さを発揮し岡山にそれほどチャンスを作らせません。72分〜 |
藤本佳希はシャドゥに、シャドゥに入っていた伊藤をボランチに下げます。
ここまで伊藤はシャドゥを基本としながらも中盤のカバーにも入っていて、関戸と伊藤の2枚がカバーできる事が矢島の動きの保険にもなっていた選手。
それを伊藤1枚にするというのはかなりリスクを負った形です。
ここから岡山は最終ラインからのロングボールもさらに増やし、低い位置でボールを持てると岩政を高い位置にあげていってロングボールを入れるなどかなり圧力をかけて来ます。
78分〜 |
一方の岡山も78分に三村に代えて酒井を投入。そのままの左WBですが、パワーがありヘディングも強い酒井をという事でしょう。
岡山の前線に圧力をかける形をセレッソは正面から受けてしまっていて、あきらかにラインを下げすぎなのですが、藤本康太や山下、山村、そして杉本もしっかり下がって跳ね返す。
岡山は80分以降はもはやなりふりかまわずどこからでもロングボールを入れる形に。
91分〜 |
86分に岡山はさらに澤口を竹田に代え、片山が右WBに、岩政が完全に前線に張りっぱなしの状態に。
91分にセレッソはソウザに代え秋山を投入。ボランチを3枚に。
松本戦で決勝点を奪った岡山のパワープレーに対して、セレッソはあきらかに下がりすぎなのですが、その全てを跳ね返し、セカンドボールも与えない事で岡山に75分以降で打たれたシュートは3本、しかしそのいずれもがディフェンスがシュートをブロックするというスクランブル状態もほとんど作らせず試合終了。
アディショナルタイムには山口が独走カウンターを見せるもシュートは防がれてしまうという試合を決めきるチャンスを逃してしまいましたが、それ以上に岡山がおそらく自信を持っていた前へのパワーを正面から跳ね返し続けるという強さを見せて逃げ切りに成功。J1昇格を決めました。
■その他
J1昇格を決めました。ホントに長くて、何もない、色々な意味でツラいシーズンでしたが、最後の最後に昇格を掴む事ができました。この決勝に関しても、戦い方がハッキリしている岡山に対して効果的な戦い方をする事ができませんでしたが、前面に出してくるパワーを前回のアウェイでの対戦同様受けきり跳ね返し続ける力強さを見せたと思います。
色々思うところはありますが、とにかく本当によかったです。
これでもし昇格できなければ何もないシーズンになってしまうところでした。
今シーズンのまとめについては改めて。
本当に昇格出来て良かったです。
返信削除曜一朗の足が心配です。残り10分位走れてなかったし、最後はソウザより曜一朗変えてほしかった。
ソウザが尹さんの下でどんな活躍するのか期待してます、残ってくれーい!
今年は辛いサッカー内容での分析でしたが楽しく見さしてもらいました。来年も楽しみにしてます。
初めまして
返信削除今シーズンは勝っても勝たなくてもホームゲーム観に行くだけで一杯一杯で、ツイッターはフォローさせて頂きましたがブログの拝見はできました。
いつもバックスタンドの野次も多いとこで観てますが、昨日は☔で寒い中、ラインを上げろ、下がるな、攻めろ、守るな(どうせ守りきれんやろもあったけど)、と周りから声援が聞こえ皆同じこと思ってるんやと少しhotしました。
また、愛媛選までボールを走らせないで選手を走らせるチームがホームでピッチに水巻き巻くってましたが、それがホームでの勝率の低さや思いもよらない愛媛選での勝だけでなく、プレイオフの結果に繋がったかなとも思いました。
来シーズンに向けまずは補強(今の
クラブ、フロントの体制や今日のプレスリリースには?がありますが)、そして来年はこのブログを楽しみたいものです。
長文失礼しました。
分析ありがとうございます。個人的に岡山の攻撃、特に前半が機能していなかったのが、前の3人の距離が長すぎたように思うのですが、いかがでしょうか。プレビューにもあった通り、岡山はロングから赤嶺がボールを受けて、二人が受けとる形を得意としています。でもpoでは何故か残り二人が両サイドまで展開してました。あれではセカンドを取れませんし、そもそも山下がほとんど封印してましたが。後半の攻め(5人あがる)は、それに対する修正だったのかと考えておりました。
返信削除こう書いたものの、では何故岡山は前線3人に散開陣形を取らせたのか分からず。何か効果的な狙いがあったのかは不明ですが。