■加入・放出選手
シーズン開幕にあたって10選手がチームを離れ、13選手を獲得。シーズン中には4選手がチームを離れ、1選手が復帰している。
OUT
北野貴之(退団→横浜FC)
田代有三(ウーロンゴン・ウルブズ)
橋本英郎(東京ヴェルディ)※2016年中にAC長野パルセイロへ期限付き移籍
武田博行(東京ヴェルディ※期限付き移籍)
米澤令衣(レノファ山口FC※期限付き移籍)
小暮大器(愛媛FC)
ベサルト・アブドゥラヒミ(FCアスタナ※期限付き移籍満了)
玉田圭司(名古屋グランパス)
池田樹雷人(バンコクグラスFC※期限付き移籍)
中澤聡太(引退)
IN
大山武蔵(札幌大谷高等学校)
茂木秀(桐光学園高等学校)
斧澤隼輝(セレッソ大阪U-18)
舩木翔(セレッソ大阪U-18)
森下怜哉(セレッソ大阪U-18)
山内寛史(早稲田大学)
山根永遠(サンフレッチェ広島ユース)
マテイ・ヨニッチ(仁川ユナイテッドFC)
福満隆貴(レノファ山口FC)
圍謙太朗(FC東京)
水沼宏太(FC東京※期限付き加入)
清武弘嗣(セビージャFC)
シーズン中OUT
庄司朋乃也(ツエーゲン金沢※期限付き移籍)
丸岡満(V・ファーレン長崎※期限付き移籍)
清原翔平(徳島ヴォルティス※期限付き移籍)
椋原健太(サンフレッチェ広島)
シーズン中IN
米澤令衣(レノファ山口FC※期限付き移籍から復帰)
■シーズン開幕前
J1昇格シーズンということもあり開幕前にチームを離れた選手でレギュラークラスは0。田代、玉田、中澤、ベサルト・アブドゥラヒミの4名と2016年シーズン中に既に期限付き移籍でチームを離れていた橋本にはリーグ戦での出場があったが、ベースとなるメンバーは2016年と変化が無い。
また新加入選手のうち下部組織からの昇格3名を含めた7名は新卒選手。ということで実質的にはGKを除くとトップチームでは4人がチームを去り、4人が加入した事になる。
セレッソの場合セカンドチームがあるので人数的にはどうしても多くなるのだが、通常シーズンを戦う上で、トレーニングの質の確保や、出場機会などを含めチーム内で一体感を持たせることができるだろう最大人数は30人程度だと言われている。
それが、シーズン開幕時点では23歳以上の選手だけで既に27人もの選手がいるため、23歳以下の選手はトップチームに絡めない、もしくは23歳以下の選手がトップチームに絡むと23歳以上の選手で行き場のない選手が出てくる可能性があるという人数面での不安。
またそれだけの人数がいるにもかかわらず27人中CBはヨニッチ、山下、茂庭、藤本の4人、ボランチは山口、ソウザ、山村、木本、秋山の5人しかいない(木本はプレシーズンで主に務めていたボランチとして計算)というポジションバランスの不安。
この2点がシーズン開幕前に懸念されたことだろう。
■タイトル以外にも大きかったルヴァンカップ
多すぎる編成という人数面での問題は、実際に2017年のリーグ戦で5試合以下の出場に終わった選手が23歳以上のフィールドプレイヤーで7名(途中移籍の選手を含む)も生むこととなった。2016年の9名に比べると少なくはなっているもののまだまだ多い。
そして23歳以下の選手でリーグ戦に出場したのは丸岡の4試合と西本の1試合のみ。たった2人しかいない。
またリーグ戦の半分にあたる17試合以上に出場した選手も15名
もっというと1000分以上プレーしたのは、杉本、柿谷、山村、清武、水沼、ソウザ、山口、松田、丸橋、ヨニッチ、山下、木本、丸橋、キム・ジンヒョンの13人で、この13人のプレー時間合計が31,645分。リーグ戦34試合の11人合計が33,660分なので31645分/33660分、リーグ戦の94.01%はこの13人がプレーしていたことになる。
メンバーを固定する傾向の高いレヴィー・クルピが率いていた2013年でも1000分以上プレーしていたのが14名。またその14名のプレー時間の割合が92.60%だったことを考えると、これ以上に偏っている2017年はかなりメンバーを固定していたことがわかるだろう。
また当時のメンバーは全29人(実際にシーズンを通して登録されたのは30人だったが、1人は武田洋平の大怪我の後シーズン中に急遽加入した多田大介)。2017年は23歳以上の選手だけでも27人いるので条件はさらに厳しくなる。
そんなチーム状態がおかしくなりかねない厳しい状況を救ったのはルヴァンカップ。
ルヴァンカップは初タイトル獲得という大きな記念すべき大会となったのだがそれ以外にも2017年のチームにとって重要な大会だった。
2012年のナビスコカップでサガン鳥栖と対戦した際、開始わずか2分で選手交代をさせたことを覚えている方もおられるかと思うが、尹晶煥はレヴィー・クルピとは異なりカップ戦ではターンオーバーを行う。
それにより、リーグ戦で出場の少ない選手にとってルヴァンカップ決勝までの13試合は貴重な出場機会となった。
ルヴァンカップ13試合中で半分以上にあたる7試合以上に出場したのは11人。そのうちリーグ戦でも半分以上に出場しているのは13試合全てに出場した木本、11試合に出場した田中、8試合に出場した関口、7試合に出場した水沼の4人。
12試合の福満、10試合のリカルド・サントスと秋山、9試合の茂庭、8試合の丹野、7試合の清原と藤本の他7人は、全員のリーグ戦出場試合数を足しても36試合にしかならない面々だ。
この傾向はプレー時間でみるとさらに顕著で、ルヴァンカップで300分以上プレーした選手17人のうちリーグ戦で1000分以上プレーした選手は、木本、水沼、ヨニッチ、キム・ジンヒョン、丸橋の5人のみだ。
これにより、2017年はリーグ戦・ルヴァンカップのJリーグ公式戦で5試合以上出場した選手は27人となり2016年の20人に比べると7人も増え、その中には丸岡、舩木、斧澤の23歳以下の選手3人が含まれている。
また2016年は丸岡と西本の2人だけだった23歳以下のトップチーム公式戦出場選手も、2017年は丸岡、舩木、斧澤の3人に加え庄司、岸本の2人、U-18所属の瀬古くん、喜田くんの2人の計7人に増加した。
尹晶煥はシーズン開幕時点ではルヴァンカップで優勝はもちろん、決勝まで勝ち抜くことも想定していなかったとは思うが、この13試合は出場機会の少なかった選手にとって、チームマネジメントという意味でも大きな公式戦となったのではないだろうか。
そういった意味でも、例えばプレーオフステージは意味がないという感想も多かったようだが、チームにとっては非常に大きな公式戦だったし、ノックアウトステージに進み他のチームではリーグ戦に出場しているメンバーを起用するようになった中でもホームゲームでは従来のルヴァンカップ出場メンバーを起用し続けたのもチームにとって重要なポイント。そしてその中で優勝を掴み取ったというのはチームにとって本当に大きいトピックだった。
■フォーメーション
2017年のセレッソは一貫して4-4-2で戦った。山村が前線に起用されていたシーズン序盤は4-2-3-1とも言われていたが、実際の試合をみるとほぼFWとしての役割だったので4-4-2としている。完全に4-2-3-1だったといえるのはルヴァンカップで清武をトップ下に起用したサガン鳥栖戦ぐらいだろう。プレシーズンでのポジション |
2トップのファーストチョイスは杉本と柿谷。山村はボランチのファーストチョイスで山口とコンビをくんでいた。
ソウザよりも山村の方が優先順位が高かったのはポジショニングの問題があったから。
4-4-2のブロックを作る守備を導入した尹晶煥は中盤、特にボランチの選手には緻密なポジショニング、ポジション修正を求めたのだが、プレシーズンのソウザはなかなかそれに馴染めなかった。ただ、ソウザの攻守における個人能力は捨てがたく、山村と何度もいれかえていた。
またSHは清武と水沼。清武が加入したことで、水沼が外れてしまうかと思われたが杉本をFWに固定したことで右に水沼、左に清武という形になっている。
最終ラインに関しては、松田が怪我で出遅れたこともあって右SBに田中が入ることも多かったが、回復と共に松田のプレー時間が増えたという流れだった。
リーグ戦でのポジションと先発試合数 |
プレシーズンから大きくかわったのは山村と柿谷のポジション。山村が前線に、柿谷が左SHへと移動している。
柿谷が左SHにまわったのは水沼と清武の2人ともが怪我をしたことによる影響も大きかったが、山村の前線はプレシーズンから準備されていたことでもある。
プレシーズンでボランチのポジションを争っていた山村とソウザは、どちらもサブ組にまわった際には前線で起用されていたからだ。
第2節に浦和に完敗した後、山村が前線でポジションをつかむこととなった。
ただ、この図を見てもあきらかなようにリーグ戦で先発出場した選手は20人しかいない。これはJ1最少人数。先に書いたようにこのチームにとってルヴァンカップがかなり大切だったことがここからもわかる。
そして層の薄さが懸念されたCBとボランチについては、CBではヨニッチが34試合全てに先発出場でき、ボランチではソウザが33試合(途中出場1試合)に出場、山口が32試合に出場し、その全てでフル出場となったことで、大きな問題にはならなかった。
vol.3に続く…
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