2011年7月12日火曜日

7/10 Jリーグ第3節 VSサンフレッチェ広島 @広島ビッグアーチ

■サンフレッチェ広島 1 - 3 セレッソ大阪
サンフレッチェ広島:李(2')
セレッソ大阪:倉田(33') 清武(49') 小松(51')

フォーメーション
■サンフレッチェ広島
GK:1 西川周作
DF:24 森脇良太 8 森﨑和幸 19 盛田剛平
MF:14 ミキッチ 6 青山敏弘 7 森﨑浩司 16 山岸智 15 髙萩洋次郎 9 李忠成
FW:11 佐藤寿人
SUB:34 中林洋次 22 横竹翔 17 服部公太 20 石川大徳 35 中島浩司 10 ムジリ 30 山﨑雅人
交代:髙萩→中島(46'HT) 青山→横竹(60') 佐藤→ムジリ(60')
退場:森﨑和(42')

■セレッソ大阪
GK:21 キム ジンヒョン
DF:3 茂庭照幸 14 丸橋祐介 20 高橋大輔 22 上本大海
MF:5 中後雅喜 7 乾貴士 13 清武弘嗣 16 キム ボギョン 23 倉田秋
FW:15 小松塁
SUB:1 松井謙弥 4 藤本康太 17 酒本憲幸 32 尾亦弘友希 6 山口螢 26 村田和哉 11 播戸竜二
交代:倉田→山口(69') 小松→播戸(76') 高橋→酒本(81')

他の何処とも違うサッカーを見せる両チームの対戦。両チームともボールを大事にするし、ある意味では似ているけどスペースの使い方だったり考え方だったりが実はまったく異なる非常に興味深いカードなんだけど、去年のアウェーは広島に退場者が出て5-0、ホームは9月の炎天下の中でのデーゲームというとてもサッカーができるようなコンディションでは無い中での対戦となってしまいJ1に上がってからの相性があまり良くない。
セレッソはケガの治療でマルチネス、出場停止でピンパォンが欠場となりその位置それぞれボギョンと小松。
一方の広島は青山がスタメン復帰とシャドーの位置にムジリではなく高萩をいれてきた。

■広島のセレッソ対策
広島ボール保持時
3バックの広島はよく知られるように攻撃の時は4バックになる。なのでセレッソとはきれいにマッチアップする。
丸橋の裏のスペースへ1
丸橋の裏のスペースへ2
広島がこの日狙ったのは丸橋の後ろ。
後ろから丁寧にボールをつないでくるプレーが多い広島だけど、実は長いボールで選手を走らせるプレーも得意で、その中心なのがCBの位置にいる森崎兄弟。この2人から丸橋の裏へミキッチを走らせるパスをどんどん出してくる。
で、この時に李がボールホルダーに近寄ったり中に入っていったりする動きを見せるので上本が丸橋のフォローになかなか入れない状況になっていた。

開始2分で丸橋がミスから失点していた事もあってか、前半立ち上がりの時間帯は完全にミキッチが優勢。なんとかジンヒョンがセーブしたものの1本は完全に裏を取られてクロスを李に合わされたり、抜けられたミキッチを後ろから倒してしまったりとここから決定機を何度か作られてしまっていた。

シャドーとボランチのマッチアップ
守備でのセレッソ対策は入れ替えてきた2シャドー。
広島は守備の時には3バックになる。基本は引いて守るのでミキッチ・山岸の両WBも最終ライン近くまで戻っていくんだけど、この日はボールを失えばまず李と高萩がボランチのところにプレッシャーをかけるというのを徹底してくる。

ただ、広島は開始2分で先制しているのでそれほど積極的にという訳ではなく、まずボランチのところにシャドーが行って攻撃を送らせカウンターは防ぐ。そしてあとは自陣でしっかり守って丸橋の裏へカウンター狙いといった構図になっていく。

■セレッソの広島対策
SBとWBのマッチアップ
広島のシャドーは先ずボランチのところには当たりに来るんだけど、WBは下がっていくのでSBの周りにはスペースがある。一応ボールが入れば当たりにはくるが、一旦の預けどころになるだけの時間とスペースは十分ある。って事でボランチから近い方のSBを経由してシャドーへという流れが出来てきて、立ち上がりは少し劣勢気味だったセレッソも徐々にボールが持てる様になる。

前からのプレッシング
セレッソのとった広島対策は前でのプレッシング。
前にも書いたように広島はボールを持てば森崎浩司がCBの位置まで落ちてフリーに後ろで数的有利をつくろうとする。これで広島は後ろでボールを落ち着かせてビルドアップ、または長いボールでスペースを狙うんだけどそれをもさせないという事で、早い切り替えから1トップの小松と3シャドーで徹底的にDFラインにプレッシャーをかけていく。

前からのプレッシング2
そうなると広島はGKを使う。
広島の計算としてはDFラインにプレッシャーをかけられてもこれで後ろで数的有利をつくってしまえば再び後ろから組み立てられるという事なんだけど、この日のセレッソはこの時点でDFラインとの枚数が合ってればGKの西川にもプレッシャーをかけに行く。

GKまで行けば絶対にどこかで空いている選手を作ってしまうし、後ろには広大なスペースをつくってしまうのでよほどの状況で無い限り普通はここまでは行かないし、ここまで行くような計算で守り方を組み立てる事はほとんどない。
でもこの日のセレッソはGKの西川までのプレスをゲームプランとして組み込んでくる。

そこで顕になったのは西川のキックの不安定さ
西川は足元の技術がしっかりしたGKと言われているが、止まっているボールやパントでは正確なキックを見せるものの、プレッシャーがかかると一気に正確性を欠くようだ。
また、例えば逆サイドや1つ奥の選手も見えなくなるようで、確率の低い、狙いのハッキリしないキックやミスキックが増えていく。

このプレッシングでマイボールの時間を増やす事ができるようになりゲーム全体が徐々にセレッソペースになっていく。
そんな中プレッシングからGKへのバックパスのミスから倉田が決めて同点にする。

さらにその9分後、この試合の流れを大きく左右する事件が起こる
試合の立ち上がりから不安定なジャッジをみせており、丸橋がミキッチを倒したファールからスタジアムとの信頼関係どんどん失っていっていた主審が42分森崎和幸のハンドを取り2枚目のイエローで退場。
徐々にセレッソがペースを握りつつあったが、このジャッジで完全にセレッソペースになる。

■数的有利とプレッシング
後半の形
後半に入り、シャドーの高萩と中島を交代。退場後一時的にDFラインに入っていた森崎浩司を中盤に戻し森崎和幸の入っていたCBの位置に中島を入れる。
さらにシャドーに入っていた李が佐藤と並んで2トップの様な形になる。

後半 前からのプレッシング
前半途中からGKの西川までにも行くプレッシングでペースを掴んでいったセレッソ。
相手が1人減ってしまったので、GKまで行ってもどこにも数的不利は生じないということでさらにプレッシングを強める。
また、李がシャドーではなくトップの位置に入ったことで、広島はボランチにプレッシャーに行く事が難しくなってしまい、ボギョンがフリーで攻撃に絡むことができるようになる。

そのままの勢いで後半49分・51分と立て続けに清武・小松が決めて1-3に。
終盤は暑さとリードでチーム全体が間延びしてしまい追加点をあげることができなかったもののそのまま1-3で試合終了。
セレッソはリーグ戦初の連勝となった。

■セレッソのプレッシング
審判以外でこの試合のポイントとなったセレッソの前からのプレッシング。
ヨーイドンに抜群の強さを持つCBを2枚揃えリスキーな2バックシステムをとり、シャドーの守備意識も高いセレッソは元々早い攻守の切り替えと前でのプレッシングという形を持っているチームなんだけど、この日はそれがより徹底されていたし、より効果的だった。
ボギョンのボランチということでどうしてもマルチネスよりも展開力が劣ってしまいポゼッションという面では不利になってしまう事も予想されたんだけど、前への強さという特徴がプレッシングでは効果的だった。

■広島の対プレッシング
前でのプレッシングに脆さを見せた広島。
特に前線にでかくて強い強烈なFWがいない広島にとって、前にも書いたけどGK西川のキックの不安定さがより厳しいものとなった。
またこれはどっちが原因かはわからないけど、顔を出してあげるなどまわりのボールを受けに来る動きも物足りなかった。
セレッソはきっちりスカウティングしここを狙ってきた訳だけど、この日の状況なら広島はこれからもココを狙われる可能性はあるんじゃないかと思う。まあFWにはスピードがあるのでDFライン次第では逆にピンチになってしまう事もあるんだろうけど。

■森崎和幸の退場
この試合の主審はホントに酷かった。
立ち上がりから比較的ファールをとりがちな姿勢をみせていたので、両チームやスタジアムとの関係はあまり良くなかった。
そしてそこで起こった丸橋のファール。
ちょうど目の前であのプレーが起こったんだけど、最初に手をかけた場所は確かにペナルティエリアの外だったけど、倒したのは完全に中。微妙な判定というよりも普通はPKだろうというファールを外としたジャッジで一気に信頼関係は崩れた。

そこからスタジアム内の広島サポは全ての判定に不信感を持つようになってしまい、さらに主審もその雰囲気にどんどん飲み込まれていきカードを連発。
最終的には森崎和幸の退場となってしまった。
スタジアムではあのファールはよくわからなかった。
リプレーでみると確かに森崎和幸の右手が紛らわしい動きをしていたけど、実際あのハンドの場面で近くにいた清武が広島ベンチ前で給水中に広島ベンチと同じように首をかしげていたので、やっている選手達もよくわからないハンドだったんじゃないかと思う。(試合後のJAGSで清武が「微妙」を連発していたようだけど)

最初広島ペースで徐々にセレッソがペースを取り戻していっていた流れで、さらに得点もお互いのミスで同点となっており、さあこれからといった中での退場だったので非常に残念なものとなってしまった。
お互いに個性の強いチームの対戦で、これから両チームがどうして行くかと興味深い状態だったのに…
もちろんセレッソが勝つに越したことは無いんだけど、個人的には非常に残念だった。
このまま行けばスペースに対する感覚の違いなど、もっと面白いものが見れただろうに…

以前にも書いたけど、審判はもしカードでゲームをコントロール出来ると思っているならそれは大きな間違いだということに気がついて欲しい。
確かに広島はシャドーの動きを捕まえきれていない場面もあったし、前からのプレッシングで慌てて遅れてしまっていた場面も多かったのでファールも多くあったとは思うけど、あれだけカードが出てしまう内容ではなかった。

それにしても広島とはどうも相性が悪い(笑)

2 件のコメント :

  1. このゲームの分析を見ても、やっぱりセレッソと広島はJ2時代から異質というか、面白いサッカーをしてますよね。そして確かにこのゲームの審判は酷かったですね(笑)自分がもし広島サポなら恐らくブチ切れてます。。(笑)セレッソは両SBが攻撃の時は二枚同時に上がるので、ボランチとCBの連携やリスクマネジメントが大事になると思うんですけど、去年のアマラウが果たしていた働きってそういう意味では大きかったんでしょうか?

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  2. コメントありがとうございます。
    アマラウは謎のポジショニングをちょくちょく取るので僕はあまり評価してなかったんですよね(笑)
    両SBが高い位置を取るのでその後ろにはどうしてもスペースが出来ますが、いくらスペースがあってもそこに相手よりも早く入れるなら全く問題はないわけなので、ボールを奪われた瞬間にどんな状況(形)になってるのかってのが重要です。その時の状況が去年より今年の方が悪いから厳しい状況も増えてるんじゃないかと思います。
    なので、去年との一番の違いはボールを持っているときのゲームコントロールにあるかと思います。

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