スタジアム | 埼玉スタジアム2002 | 主審 | 福島 孝一郎 |
入場者数 | 41,803人 | 副審 | 平間 亮、木川田 博信 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 11.5℃ / 37% | 第4の審判員 | 池内 明彦 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 鬼木 達
- 監督
- 尹 晶煥
試合経過
- 90+6'
-
90+2'
- 81'
-
79'
- 78'
-
71'
- 64'
-
59'
-
52'
-
51'
- 48'
-
46*'
- 42'
- 26'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 18 | 17 | 18 | 17 |
CK | 3 | 3 | 3 | 3 |
PK | 1 | 0 | 1 | 0 |
シュート | 12 | 8 | 12 | 8 |
警告/退場 | 1/0 | 2/0 | 1/0 | 2/0 |
<監督・選手コメント>
川崎フロンターレ 鬼木達監督セレッソ大阪 尹晶煥監督
川崎フロンターレ 大久保選手、中村選手
川崎フロンターレ チョン・ソンリョン選手、奈良選手、大久保選手、谷口選手、田坂選手、車屋選手、阿部選手、小林選手、長谷川選手、エドゥアルド・ネット選手、守田選手、家長選手(川崎フロンターレ公式)
セレッソ大阪 山口選手、清武選手、杉本選手、高木選手
リーグ戦チャンピオンとカップ戦ウィナーが対戦するスーパーカップ。
Jリーグ開幕を直前にし埼玉スタジアム2002で行われた、2017年明治安田生命J1リーグチャンピオンの川崎フロンターレと第97回天皇杯全日本サッカー選手権ウィナーのセレッソ大阪が対戦は2-3でセレッソ大阪が勝利。2017年の2冠達成に続き、2018年最初のタイトルを獲得した。
■メンバー
シーズン開幕を目前にした2018年度最初の公式戦となるFUJI XEROX SUPER CUP。川崎フロンターレ、セレッソ大阪共に今季新加入選手はベンチ入りに留まり、スターティングメンバーには昨シーズンのタイトル獲得に貢献した選手が並んだ。
川崎フロンターレのスターティングメンバーは、GKにチョン・ソンリョン。最終ラインには右から田坂、奈良、谷口、車屋。中盤の底にはエドゥアルド・ネット、森谷。2列目には家長、中村憲剛、阿部。1トップには小林。
ベンチには新井、登里、大島、長谷川、守田、知念、大久保。大島、ルーキーの守田、東京から復帰の大久保はベンチスタートとなっており沖縄での浦和戦で負傷したエウシーニョがメンバーから外れている。
一方のセレッソのスターティングメンバーは、GKにキム・ジンヒョン。最終ラインは右から松田、ヨニッチ、山下、丸橋。中盤には水沼、山口、山村、清武が並び、前線には柿谷、杉本。
ベンチには丹野、田中裕介、福満、秋山、高木、ヤン・ドンヒョン。
当初発表されたベンチメンバーには木本も入っていたが体調不良ということでメンバーから外れベンチメンバーは6人に。その中に新加入選手はここ埼玉スタジアムを本拠地とする浦和から加入の高木とヤン・ドンヒョンの2人が入る。またソウザも通常のトレーニングには参加しているが、コンディション不良ということでメンバーからは外れている。
なお、この試合は5人までの交代が認められている。
■ベースとなるのは4-4-2の守備
開始わずか48秒で杉本が最初のシュートを放った様に、この試合は立ち上がりからセレッソペースで試合が動くこととなった。4-4-2の守備 |
川崎はボール保持の時にエドゥアルド・ネットが最終ラインに下がって3バック化、両SBを上げ両SHが中に入るという形を持っているが、これに対してセレッソはボールを中心にしたゾーンディフェンスで4-4-2のコンパクトなブロックを形成。ボールからゴールへの直線距離、つまり中央をしっかりと固めていた。
セレッソが中央をしっかりと固めていたことは前半立ち上がりの時間帯からわかりやすくピッチで見られている。
この試合は13時35分キックオフということで、前半立ち上がりの時間帯はちょうどピッチ中央からバックスタンド側が日向、メインスタンド側が日陰となっていたのだが、試合の立ち上がりに左サイド(バックスタンド側)でボールを保持し川崎が攻め込もうとした時、セレッソの選手は全員日向にいた。
またこのカードはルヴァンカップ決勝以来の対戦となるが、その時はセレッソが早めに先制したこともあり慎重になるあまり少しブロックが下がりすぎていたことにもつながっていた。
しかしこの試合では柿谷と杉本の2トップが昨季よりもボールホルダーにアプローチに行くことができていたので守備のスタート位置も低くなりすぎず安定していた。
セレッソがボールを中心に守備のスタート地点を下げすぎずにきっちりと4-4-2のブロックを作っていたことで、川崎はほとんど縦パスを入れられない状態になっていた。
柿谷がチョン・ソンリョンと交錯してしまった少し後ぐらいからトップ下の中村憲剛も2トップ脇に降りてきてビルドアップに参加するようになるが、そうなると1トップの小林はさらに孤立する。
またサイドを経由してボールを運ぶにもセレッソの守備ブロックはきっちりとスライドし、ボールホルダーにも距離を詰めてアプローチに行くので思うようにサイドも動かせないまま。
2CBとエドゥアルド・ネットのところにまでボールを奪いに行くわけではないので、後ろでボールを持てる分時間の経過と共に川崎のポゼッション率は上がっていくが、ただそれだけという展開になっていた。
この様な展開となった事について川崎の選手は「芝が長くボールが走らなかった」ことなどを理由にしていたり、また川崎の選手のコンディション面について言及している記事なども見られる。確かに昨季の川崎は狭いところでも中央突破にこだわりそれを「自分たちのサッカー」とし、実際に結果を残したチームではあるが、正直なところセレッソにとっては天皇杯決勝で戦ったマリノスの様に前線の両サイドで幅を作って4-4-2のブロックをより広げようとするチームの方がどう考えてもやりにくい。
川崎の選手のコンディション面などわかりかねる部分はあるが、狭くしている場所に突っ込んでくることが多いので、序盤から昨年同様にセレッソがインターセプトでボールを奪い返す場面も多くみられた。
■攻撃面
ペースを握ることができたのはもちろん守備だけが要因ではなく攻撃でも機能していたから。ボールを奪った後に素早く前線に当てるというのがファーストチョイスというのは昨季と同じ。
柿谷がサイドのスペースで、杉本が中央で、起点となりボールを収めて、そこに両SHがスプリントでサポートに行く。
セレッソは4-4-2の守備が安定しているので、ブロックの前でボールを失う事に関しては問題無い。なので積極的に長いボールを使って速く攻めることができる。
また長いボールだけだと警戒されるので、ボールを繋いで攻めることもできる。
特にこの試合ではブロックを作る守備のスタート位置が昨年よりも高くなっていたこともあり、ボールを奪い返す位置も高くなる。そのためボールを奪ってからの選択肢が昨季よりも増えたように感じた。
今季はボール保持率を昨季よりも上げていきたいという狙いを持っているようだが、この試合を見るかぎり例えば川崎のように後ろでボールを動かしながらというやり方は取らない。つまりポゼッションサッカーをやっていきたいという訳では無さそうなので、ポイントになるのは守備のスタート位置ということになりそうだ。
またチャンスメイクの形に関しては今季もやはりサイドが中心。
昨季の終盤に見られた形ではあるが、左サイドでは柿谷と清武、丸橋がポジションを入れ替えながら彼らの個人技を活かした形。右サイドは水沼と松田のシンプルなコンビネーションということになる。
また、これも昨季の終盤ぐらいから見られていたものではあるが、左サイドのコンビネーション時の水沼はクロスに対して中に入っていくという動きが増えている。
逆サイドにボールがある時に中央のポジションを取ることも多い清武に対して水沼は外にいることが多く、クロスに対してもボックス内に入っていかないことも多かったが、2トップの1人である柿谷がコンビネーションでサイドに出ることが増える分中の人数は少なくなるので、水沼が中に入るということになっているのだろう。
26分の先制点もやはりサイドから。
左サイドで柿谷、清武、丸橋が絡んで入れたクロスはクリアされるが、スローインから逆サイドに展開し水沼と松田に山村が絡んで入れたクロスを杉本が納めてターン。落としたボールを山口が蹴り込みセレッソが先制した。
■川崎の狙い
サイドチェンジ時のスライド |
ただ、川崎はボールを保持している時に3バック化する。つまりSBがWBの位置にいる。ということはセレッソのSHよりも前にいる。
なのでこの試合では逆サイドのSBにボールを出された時、そこに最初にアプローチにでるのはセレッソのSB。この図でいうと、エドゥアルド・ネットから田坂にサイドチェンジが出た時に丸橋が出ることになっていた。
ただ、こんな場合でも昨季はSHが戻ってくることも多かったのでもしかするとこの試合のためかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
セレッソがこういった形で守っていた中でさらに先制したことで川崎はより攻撃に力を入れることとなるが、先制後川崎は攻撃での狙いを絞ってきた。
狙ってきたのは先程のサイドチェンジからスライド時に起こるSBがアプローチにでる形を利用したものだった。
中盤にスペースを開ける |
そこで見せたのが、家長がサイドに出ていく動き。これを高い位置でするとCBがついていくのだが、ちょうどブロックの中間ぐらいから動き出すとセレッソのボランチがついていっていた。
つまりこの家長の動きにボールサイドのボランチがついていくことによって、4-4-2のブロックを作って締めていたセレッソのダブルボランチの間が広がる事になっていた。
川崎が狙ったのはこの仕組みを使ったもの。サイドチェンジから家長が縦に抜けてそこの空いたスペースに中村が入ってくるという形を見せ始めた。
川崎がこの試合初めてボックス内でシュートを打った37分のシーンはこのボールサイドのボランチを動かしてセレッソのダブルボランチの間を広げる動きから始まったものだった。
後半開始〜 |
大久保は投入直後こそ小林と2トップのポジションをとっていたがよりも中村と同じトップ下といえる様なポジションを取る。
大久保と大島のポジショニング |
■得点を重ねるセレッソ
川崎が攻勢を強めようという後半立ち上がりだったが、追加点を奪ったのはセレッソ。大久保のオフサイドで得たFKをキム・ジンヒョンが大きく蹴り出すと、そのボールに競ったのはヤン・ドンヒョン。奈良との競り合いのボールが流れたもののそのこぼれ球を杉本がヘディングで左サイドで出てきた清武にパス。このボールを清武が頭でつついて田坂と入れ替わるとGKとの1対1を落ち着いて流し込みゴール。48分にセレッソが0-2とリードを広げた。
2トップの高さが特徴的なゴールだが、それ以上に前にボールが入った時のSHのスプリントが活きたゴールだった。
その直後にヤン・ドンヒョンが空回りするように不用意にハイボールに対してボックス内で車屋を倒してしまってPKを与え、それを小林が決め51分に1-2となるが展開はかわらず。
セレッソの中央を締めた4-4-2のブロックを何とかわろうとするが、セレッソもそれを許さない。山口と山村の中盤センターはカバーリングも速くまたヨニッチと山下のCBも中央に対する意識が高いので簡単には崩させない。
71分〜 |
ビハインドの川崎はさらにボールをもってあくまで中から攻めようとするが、それに対してセレッソはボールを奪って速く攻めることでチャンスを量産。ヤン・ドンヒョンもしっかりと前線で起点になることができていた。
そして78分にそのヤン・ドンヒョンのスルーパスから高木が抜け出して追加点を決めて1-3とさらにリードを広げた。
81分〜 |
アディショナルタイムに山村が不用意なプレーで自陣ゴール前で長谷川にボールを奪い返され、大久保に決められたものの試合はそのまま終了。
最後はセレッソは5-4-1にしたことで後ろに人数はいるものの、2トップとことなりディフェンスのスタート位置が定まりきれず全体に少し下がりすぎるところは見られたが、その辺りは昨年同様5-3-2との併用という形になるのだろう。
■その他
スコア上は2-3と1点差だったが、内容では完勝といえるものだった。途中にも書いたが、川崎はシーズンに入りコンディションが上がればそれでも中を割ってくるという場面がでてくるのかもしれないが、正直もっと幅を使われたほうが守りにくい。
まあでもやっぱり中を割ってくるのだろう(笑)。
セレッソは昨季のチームをベースにしているのでこの時点でもしっかりとやりたいことができていた。今季はワールドカップイヤーということもありかなりの過密日程となるが、このベースがある限り大きく崩れることは無いだろう。
この時点でこの完成度のチームを見せることができたのは特筆すべきことだといえる。
よく考えるとセレッソの歴史上、前年の結果を残したチームから監督も選手もここまで継続した形で翌シーズンに挑めたことは無いので、今季は期待できるんじゃないだろうか。
ただ、ボールサイドのボランチを動かす形は他のチームも狙ってくるかもしれないので、結果を残すにはもちろんさらなる改善も必要だろう。4-4-2と5-4-1、5-3-2だけでなく4-1-4-1なんかも併用できれば面白いとは思う。
とても幸先の良いスタートを切ることができましたね。
返信削除テレビ観戦でしたが、とても安心して見ることができました。
杉本選手、チャンスを決めきらないといけないところはこれからの課題の一つだと思いますが、パスや身体の使い方が一昨年までと比べ物にならないぐらい上手になってますよね。
テレビ観戦をしていると、え?!、と思う動き方が多くありました。
今シーズン、本当に楽しみです。結果はもちろんですが、選手の皆さんにはケガのない1年を過ごしてほしと思います。
Akiさん、今シーズンも素晴らしい分析と考察を楽しみにしています。
今シーズンもよろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
削除スコア以上の内容だったと思います。
こちらこそよろしくお願いします。