スタジアム | 大阪長居スタジアム | 主審 | アンマル アルジネイビ |
入場者数 | 9,885人 | 副審 | アハメド アルラシュディ、ザイド カマル |
天候 / 気温 / 湿度 | 曇り / 6℃ / 54% | 第4の審判員 | ヤコブ アルハンマディ |
メンバー
スターティングメンバー |
- スターティングメンバー
- GK 32 リュウ ディエンズオ
- DF 5 ジャン リンポン
- DF 6 フォン シャオティン
- DF 28 キム ヨングォン
- DF 35 リー シュエポン
- MF 2 リャオ リーション
- MF 8 ネマニャ グデリ83'
- MF 11 リカルド グラル
- MF 27 ジョン ロン67'
- FW 7 アラン75'
- FW 29 ガオ リン
- 控えメンバー
- GK 40 リュウ シーボー
- DF 23 ドン ハンウェン
- DF 25 ゾウ チョン
- MF 15 ジャン ウェンジャオ75'
- MF 16 フアン ボーウェン83'
- FW 17 ヤン リーユー
- FW 20 ユー ハンチャオ67'
- 監督
- 尹 晶煥
- 監督
- ファビオ カンナバーロ
試合経過
-
86'
-
83'ネマニャ グデリ
フアン ボーウェン -
75'アラン
ジャン ウェンジャオ - 67'ジョン ロン
ユー ハンチャオ - 65'リャオ リーション
-
53'ガオ リン
- 35'リカルド グラル
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 15 | 23 | 14 | 23 |
CK | 10 | 5 | 7 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 9 | 9 | 8 | 9 |
警告/退場 | 1/0 | 3/0 | 1/0 | 3/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 尹晶煥監督セレッソ大阪 山口選手、高木選手、マテイ・ヨニッチ選手、柿谷選手
今季ホーム開幕戦となるAFCチャンピオンズリーググループリーグの2試合目、セレッソ大阪対広州恒大の一戦は0-0の引き分け。セレッソは勝ち点4としグループ首位を守った。
■メンバー
セレッソの先発メンバーはACLグループリーグ初戦から4人を入れ替え。GKのキム・ジンヒョン、最終ラインの松田、ヨニッチ、丸橋、ボランチのソウザ、山口、右SHの水沼は第1戦に引き続き先発となったが、ヨニッチとコンビを組むCBには山下、左SHには高木、2トップには山村とヤン・ドンヒョンを起用してきた。
CBの山下と清武が負傷離脱したことにより左SHで加入後初先発となった高木は予想できる範疇であったが、少し驚いたのが2トップをまるまる代えたこと。
尹晶煥は対戦相手や今週末から始まるリーグ戦を踏まえて今季もターンオーバーを行ってくるようだ。
これにより柿谷と杉本はベンチスタート。さらに丹野、田中裕介、木本、福満、秋山らがベンチに入る。
田中裕介は昨季以来全試合でベンチ入りしており、ある種セレッソにとって最も欠かせない存在といえる。
そして中国超級リーグで7連覇中、ACLでも2013年、2015年と2度の優勝経験を持つ広州恒大。
セレッソとも2014年のACLラウンド16で対戦し、セレッソホームでのファーストレグでは1-5と大敗。グループ内で前評判が最も高いチームといえるだろう。
先発メンバーは1-1の引き分けに終わったブリーラム戦から3人を入れ替え。
GK、元レッドブル・ザルツブルクのアラン、ブラジル代表キャップを持つリカルド・グラル、中国代表ガオ・リンのアタッカー陣、FC東京や大宮アルディージャでもプレーしたキム・ヨングォンを中心とするDFラインはそのままながら中盤のメンバーが入れ替わっている。
その中でも注目なのがセルビア代表のキャリアを持ち今季天津から加入したネマニャ・グデリ。
NACブレダの下部組織出身でAZやアヤックスとオランダでキャリアを積んだセンターハーフで、スピードは無いが身体の強さとテクニックを兼ね備え、AZ時代はキャプテンも務めていた選手である。
本来広州のボランチには10番の中国代表チョン・チーがいるが怪我で離脱。そのため急遽グデリを獲得したそうだ。
前回対戦時の2014年は外国籍選手にエウケソン、ムリキ、ディアマンティがおり、左サイドでプレーするムリキを警戒するあまり当時の監督だったポポビッチは山口蛍の右WB起用という奇策を用いたものの、その結果中盤での支配力が低下。1-5の大敗という苦い経験を思い出させる広州恒大。
当時からキム・ヨングォンを除く外国籍選手は入れ替わっているが、その28番キム・ヨングォンだけでなく、29番ガオ・リン、6番ファオ・シャオティン、2番リャオ・リーション、5番チャン・リンポン、ベンチの16番ファンボーウェンらは前回対戦時にも出場していた。
ちなみに監督はあのファビオ・カンナバーロである。
■広州のフォーメーション
登録上は4-4-2になる広州だがフォーメーションは4-3-3というか4-2-3-1。7番アランが1トップで11番グラルがトップ下といえる。
ただ両サイドに関しては少しバランスがちがっていて、29番ガオ・リンはFW登録になっているように頻繁に最前線にいるがもう1人の27番ジョン・ロンは少し下がり目。
というよりも7番アラン、11番グラル、29番ガオ・リンの3人は流動的にポジションを変え、27番のジョン・ロンはそれをカバーするという形になっていた。
そのため29番ガオ・リンが右に行けば27番ジョン・ロンは左に行くし、グラル、アラン、ガオ・リンが3トップの様なポジションを獲ればジョン・ロンは中盤に下がる。
そして前線3人と中盤のつなぎを担っているのが8番のグデリ。
ブリーラム戦ではチョン・チー不在が如実に表れ中盤から前線への展開が上手くいかない時間も多かったので、この試合ではグデリの起用に踏み切ったというところなのだろう。
■序盤は定まらなかった守備のスタート位置
この試合で前半ペースを握っていたのは広州。その要因となっていたのはロングボールによる攻撃だった。シンプルに背後を狙う広州の攻撃 |
セレッソはいつもの様に4-4-2の組織をつくりそのブロックを高くしようとするが、それに対して広州はシンプルにロングボールをDFラインの背後に入れる形で対応。この図では6番のフォン・シャオティンからとなっているが、キム・ヨングォンからも両SBからの長いボールが入る。セレッソの守備のスタート位置よりも手前から蹴ってくる。
これに最初に反応するのが流動的に動く前線の3人。そして27番のジョン・ロンやダブルボランチがセカンドボール回収役となっている。
そしてこのセカンドボール回収役の3人は、ボールを失った時のファーストディフェンダーとしても機能。そこに流動的に動く3人のプレスバックと合わせ、ボールを失った時は高い位置で奪い返そうする。
広州のこの戦い方はかなりシンプルなのだが、セレッソはかなり手を焼くこととなる。
そもそも広州の選手はほとんどの選手がガタイがいい。尹晶煥はもちろんそれを踏まえて山下や山村とヤン・ドンヒョンの2トップという選択となったのだろうが、ガオ・リンだけでなくテクニカルなイメージのあるグラルも競り合いに強い。
なので簡単に大きく跳ね返すということが難しく、セカンドボールに対しての出足や守備への切り替えが速い。またさらにセレッソはどこかで数的有利をつくってボールを落ち着かせるということもあまりしないので自陣でボールを失う場面も多かった。
ボールを失った部分だけを取り上げるとセレッソの選手がミスをしたようにみえるかもしれないが、そのミスは広州の選手に時間とスペースを奪われ、圧力を受けている中で起こっているので、ミスというよりも広州にそのように持ち込まれたという方が正確だろう。
この状況に対してセレッソは山村とヤン・ドンヒョンの2トップを中心に高い位置から相手を制限しようとしているのだが、上手く限定できないので2列目以降の連動性を欠き全体が間延びすることに。
そんな中で広州はアランが2度のチャンスをつかむが、1つはキム・ジンヒョンがセーブ、もう1つは山下がシュートブロックし枠を外れている。
また13分には後ろから左サイドを飛び出した27番にマイナスのクロスを入れられるが、山下がカバー。この場面はSBの裏を完全に取られ、山口が慌ててカバー、DFラインも後ろ向きで対応する中だったのでマイナスのクロスはかなり危険な形だったのだが、そこをいち早くしっかりとカバーしていた山下のファインプレーだった。
また広州は、セレッソがボールを運んだ時に7番アラン、11番グラル、29番ガオ・リンの3人は前残りしていることも多く守備では4-3で守るといった場面も頻繁にみられた。
そのため、22分にはソウザのミドルシュートのこぼれ球を山村がシュートするといったセレッソの決定的な場面もあったが、広州の前残りしている3人はボールを奪い返された時の動き出しも速くセレッソにとってかなり厄介だったので、決定機の数から言っても広州にとって収支はプラスに出ていたといっても良いだろう。
ただ、広州の攻撃はスペースに対して7番アラン、11番グラル、29番ガオ・リンの3人が出ていった際には脅威だが、セレッソがしっかりとブロックを作ってスペースを消してしまうと、両SBが積極的にあがってくるのだが、だからといってそれで何かが出来るという訳でもない。
その結果、前半の終盤になると徐々にセレッソの守備のスタート地点も定まりだし、広州がチャンスを作る場面も少なくなっていった。
■徐々にセレッソがペースをつかむ
広州の選手がハーフウェイライン上に7人が並びいきなり前に仕掛けていくもあっさりとボールを奪われるという謎のキックオフで始まった後半。広州は前半と同じような形で攻めようとするが、前半終盤からセレッソの守備のスタート位置が定まる様になったことで安定。逆にセレッソが攻めこむ場面も見られるようになる。また広州は単純な背後へのロングボールの効果が薄れたことでCBの2人と2番のリャオ・リーションがボールを繋ごうとするプレーを見せるが、あまりスムーズではなく2番と6番の間でビルドアップのミスが起こる場面が見られるようになった。
1つ危なかったのは10分の場面。攻め残ったの29番ガオ・リンに抜け出されかけるが、ここはヨニッチが対応しシュートまで持ち込ませなかった。
ただ、すこし難しさを感じさせたのが山村とヤン・ドンヒョンの2トップがあまり良い関係を築けていたなかったところ。
昨季から山村は前線が本職ではないこともあって、前線に入った時にはコンビを組む相手、杉本や柿谷の動きを見て自分のポジショニング、動き方を決めているようなプレーが見られるが、この試合ではヤン・ドンヒョンもおそらく加入間もないこともあってだと思うが、山村に合わせようというプレーが多い。
その結果2人の役割や狙いがはっきりとせず、大きい2人が前線にいるというだけになってしまっていた。
ヤン・ドンヒョンはもう少し真ん中で背負ってプレーしてくれたらありがたいんだが。
■ゲームを支配し始めるセレッソ
67分〜 |
20番ユー・ハンチャオはブリーラム戦で先発していた選手。27番ジョン・ロンは流動的に動く3人の調整役的な役割をになっていたが、20番のユー・ハンチャオはアタッカー。
初戦引き分けていることもあってこの試合により勝ちたいのは広州。そういった思惑が見える攻撃的な交代を先に見せたのが広州だったが、試合の流れが変化することは無かった。
75分〜 |
そして同時にセレッソは高木に代えて柿谷を投入。柿谷は今季初めて左SHでの出場となる。
このポジションを代えたのはその少し前から高木が守備で戻れない場面が見られるようになっていたからだろう。少し前にあった5番ジャン・リンポンがインナーラップを見せた場面はソウザが何とかついていってカバーしたが、高木がしっかりとポジションに戻っていたらこの状況は無かった場面だっった。
高木は、おそらく右SHの水沼と並んでボールを奪った時にはサイドでスプリントを見せて縦に言ってヤン・ドンヒョンと山村の中央へクロスを入れるというのがこの日の役割だったのだろう。前半の序盤は守備がハマっていなかったとこもあって回数自体が少なかったが、可能性を感じさせるプレーは見せた。
柿谷投入直後に丸橋のFKからヨニッチが折り返しヤン・ドンヒョンが流し込むもヨニッチがオフサイドでノーゴール。確かにヨニッチは蹴った瞬間にオフサイドポジション。
そして、この試合ではソウザのセットプレーの精度が今ひとつだったこともあって、このキックからセットプレーのキッカーは全て丸橋に変わることとなる。
ただ、柿谷投入で左サイドの攻撃はさらに活性化。清武はいないが、柿谷はためを作ることができ、そこに丸橋にソウザが絡む事で広州を押し込む場面も増えていった。
33分にその左サイドから柿谷がドリブルでボックス内に侵入。CKを獲得すると、丸橋のキックからソウザが合わせネットを揺らすも、丸橋のキックの時点でタッチラインを割ってしまったということでノーゴール。
このボールも確かに空中でタッチラインを割っていた。
左足のインスイングのボールでゴールに近いエリアを狙うとどうしてもこうなってしまうことが多い。
その後35分にキム・ジンヒョンのミスキックからカウンターを浴び、ボックスすぐ外で山下ファール。そのFKをキム・ヨングォンが壁の下を狙うがキム・ジンヒョンが何とかセーブ。広州が後半に作った最大のチャンスはこれだっただろう。
ちなみにボール全体がゴールラインを越えないかぎり得点には認められない。
しかし、その直後には再びセレッソが攻撃、柿谷がボックス内からシュートを放っており、得点に近づいているのはセレッソだった。
83分〜 |
そしてセレッソも山下に代えて杉本を投入。山下は1枚カードを貰っており、さらに直前にあったキム・ジンヒョンのミスキックからカウンターを受けた際にファールで止めていたこともあっての交代ということだろう。
これで山村がCBに。山村は前半にファールを受けたヨニッチの治療中もCBに入っていたが、リーグ戦開幕前に既に公式戦でFW、MF、DFの3つのポジションをこなしたことになる。
さらに86分には水沼に代えて福満を投入。水沼にもミスが増えていたための交代だろう。
この出場で福満は、地域リーグ(九州総合スポーツカレッジ)〜JFL(HOYO/ヴェルスパ大分)〜J3(レノファ山口FC)〜J2(レノファ山口FC)〜J1(セレッソ大阪)〜ACL(セレッソ大阪)に出場したこととなった。
ここからはセレッソが攻め込む場面が続く。
43分には柿谷のクロスに杉本が頭で合わせるもGKリュウ・ディエンズオがスーパーセーブ。
決定的な場面だった。
さらにアディショナルタイムには福満がボックスすぐ外からミドルを狙うも2番リャオ・リーションが身を投げだしてブロック。
最後までゴールネットを揺らすことはできず0-0の引き分けで終了。勝ち点1を分け合うこととなった。
■その他
前半30分すぎぐらいまでは少し厳しい展開になったが、それ以降は優勢だったのはセレッソ。勝ち点3が取れる試合だっただけに少し悔しい試合ともなった。
しかし広州に対して0-0、済州、広州の2試合を経て勝ち点4は決して悪くない、上々の結果だといえる。裏のカードでは済州がブリーラムに勝ったので、2試合終了時点で、勝ち点4でセレッソが首位、2位は済州で勝ち点3、3位は広州で勝ち点2、4位はブリーラムが勝ち点1となった。
そして広州恒大だが、個々のクオリティの高さは感じたものの現時点でのチームとしてのクオリティはそこまで高くなかった。
次の対戦はグループ最終戦となる4月17日で時間もある。さらにアウェイでの戦いとなるのでチームが改善される可能性も十分あるが、この2試合を終え現段階ではセレッソにグループ突破の可能性は十分あると感じた。
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