- 71' 山村 和也
スタジアム | 町田市立陸上競技場 | 主審 | 池内 明彦 |
入場者数 | 10,112人 | 副審 | 山際 将史、熊谷 幸剛 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 15℃ / 37% | 第4の審判員 | 河合 英治 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 相馬 直樹
- 監督
- 大熊 清
試合経過
- 89'
-
88'
-
87'
- 85'
-
82'
- 80'
-
72'
- 71'
-
60'
-
37'
- 21'
-
2'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 20 | 15 | 20 | 15 |
CK | 7 | 6 | 7 | 6 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 16 | 7 | 16 | 7 |
警告/退場 | 4/0 | 2/0 | 4/0 | 2/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 大熊清監督町田ゼルビア 相馬直樹監督
セレッソ大阪 山村選手、ブルーノ・メネゲウ選手、山下選手、丸橋選手、松田選手
セレッソ大阪 キム・ジンヒョン選手、杉本選手、関口選手、柿谷選手
町田ゼルビア 森村選手、李漢宰選手
町田ゼルビア 畠中選手、深津選手、李漢宰選手、鈴木孝司選手
2016年の明治安田生命J2リーグ開幕戦。今季は例年より1週早い2月最終週の開幕となった一戦は、昨季大分との入れ替え戦を制しJ2昇格を果たした町田ゼルビアと史上最多の10,112人を集めたアウェイ町田市立陸上競技場で対戦し、CKからの山村のゴールを守りきり2013年以来となる開幕戦勝利を飾った。
■メンバー
セレッソのメンバーは新戦力7人が先発に入る予想通りの構成ながら、配置はキャンプ終盤に固まったかと思われた柿谷トップ下、杉本右SHの4-2-3-1ではなく、杉本が前線でリカルド・サントスと並び柿谷が右SHに入る4-4-2。前線にロングボールを増やそうという狙いだったらしい。
ベンチには玉田、関口、田中裕介ら昨季の主力メンバーが入っている。
一方の町田は昨季と同じ4-4-2。
昨季の主力である鈴木孝司、鈴木崇文、李漢宰、森村昂太らの中に今季の新戦力である山形から加入の中島、千葉から加入の谷澤らが入っている。
尚、CBにはヴェルディから期限付き加入の畠中が入り、元セレッソでのキム・ソンギはベンチスタートとなっている。
■バイタルエリアスカスカ問題
試合の立ち上がり12分にソウザのFKから大外で山下が合わせるも町田のGK高原の正面だったというビッグチャンスをセレッソが作ったこの試合。
町田は序盤なかなかシュートまで持っていく事はできていませんでしたが、この決定機の前の9分にはなんとかジンヒョンが先にブロックしたものの鈴木崇文のクロスに鈴木孝司が飛び込む場面を作るなど、セレッソは立ち上がりから危うさを見せていました。
例えばこの9分の場面は最初町田の左サイドの攻撃からはじまったもので、後ろに戻してサイドチェンジした時にブルーノ・メネゲウが深追いし、それを外され右サイド(セレッソの左サイド)をボールを運ばれた形でしたが、実はそのブルーノ・メネゲウが深追いする前の町田の左サイドの攻撃の時にセレッソの中盤は右SHの柿谷はもちろん山村、ソウザと2人のボランチまでもが同サイドにいるという異常な光景が見られます。
もちろんこの場面でのブルーノ・メネゲウは暴走なんですけど、そもそもその前にボランチが同サイドに出ているってのも問題です。
この後もこの様な光景はこの試合を通じて見られるのですが、こうなってしまう理由はそもそもセレッソの守備の形にも問題がありました。
マッチアップ |
なので守備では目の前の相手を捕まえようという考えだったのかもしれませんが、セレッソの守備は比較的高い位置から人を捕まえにいっていました。
約束事として見受けられたのはサイドに出た時に逆サイドのSHは戻ること。
マンツーマンという訳ではありません。
がしかし目の前の相手が動けばついていく。
ボールサイドへのアプローチ |
狙いとしてはこの時にこのサイドでハメてボールを奪うだったり、ボランチに戻したところを山村で奪う。他にはSHにボールが入る前SBのところでボールを奪うって感じなのでしょうか。
逆サイドのSHが入ってくると… |
このやり方だとボランチが捕まえなければCBの前で空けてしまうので捕まえてもらわないと困るのですが、ただボランチとしては捕まえると対面のボランチを空けることになるし、さらにそこに引っ張られるとCBの前にスペースを空けてしまう事になります。
簡単にいえばこれがボランチが空く状況で、同サイドに流れるのはSHがSBを捕まえることが出来ておらずそこにボランチが釣り出された時だったりします。
なので、この状況が頻繁に起こっていたのは、ボールサイドでのアプローチが上手くいってなかったからともいえます。
■ビルドアップグダグダ問題
ボールサイドでのアプローチが上手くいかなかったのはボールを失った時の状況にも問題がありました。
ボランチの1枚が降りる |
ここでは山村が降りていますが、特にどちらがというのは決まっていない感じでソウザが降りる場面もある。ただ宮崎キャンプでもやっていたようにボランチを縦関係にしてビルドアップをしたいんだと思われます。
ただ、宮崎でもそうだったように3バック化しても特に何をするわけでも無い。
2トップに対して3人だからボールは持てるってだけでそこからの狙いはよくわからない。
SBは詰まる |
セレッソのSHは縦のコースとしてサイドに開くが町田のSBに捕まえられている。
なのでSBは困る。
SBとしては残された選択肢は2トップめがけてのロングボールぐらいなので、ロングボールを蹴るという形になります。
ただ、先にも書いたようにセレッソはロングボールを増やそうと杉本をリカルド・サントスと並べてたとの事なので、そうであればもしかするとSBはそんなに困ってた訳では無いのか?という事になりますが、そのロングボールも狙いを持って蹴れていたのは立ち上がりぐらい。またSHがサイドにいるしボランチは後ろにいるしでセカンドボールを拾える形もほぼなかったので、アレを狙い通りと言われるとこちらが困ってしまいます。
なのでボールを失う。ただ守備では高い位置から捕まるのが狙いなので前線の選手は前から行く。すると必然的に間延びする。間延びするとボランチの受け持つエリアが広がる。しかし相手は捕まえにいく。となるとよりボランチがいなくなる。バイタルエリアスカスカという事につながっていきます。
このビルドアップが全く出来ていない問題は宮崎での練習試合でも主にサブ組で見られていたので、サブ組の全日本大学選抜戦を見てください。
http://analyzingcerezo.blogspot.jp/2016/02/217-vs.html
■前半の試合展開
バイタルエリアに入り込まれる |
特にその空いたスペースに森村が自在に侵入する場面が目立つ様になります。
バイタルでフリーになっているので鈴木孝司に背後をとられる場面も増えるが、セレッソは茂庭、山下の個の能力で良い形でシュートを打たせない様にし、打たれたシュートもキム・ジンヒョンがセーブする事で何とか防ぐが、前半27分にはセレッソのシュート数を越え試合は完全に町田ペースになっていく。
また守備ではしっかり4-4-2でセットしそこから入ったボールに対してポジションを取ってくるので、セレッソのグダグダなビルドアップでは全く崩せる気配は無かった。
ただ、町田はちょっとファールが多いのがきになるところでした。
■柿谷をトップ下に
後半開始〜 |
これは宮崎キャンプでの広島との練習試合や大阪に帰ってきてから関西学院大学との練習試合でもやっていた形です。
ボールを運ぶ |
左サイドでは、ブルーノ・メネゲウは柿谷の空けた中に入り、そしてその外を丸橋が上がる。
右サイドでは、杉本がサイドで相手を背負って足元でボールを受ける事ができる。なのでそこで松田が上がっていく時間が出来る。
と少しボールを運べるようになります。
広島との練習試合でもこの形はあったので、柿谷がトップ下になればこうなる事はわかっていた事。それだけに前半はロングボールを狙っていたそうだが何をしたかったのか全く意味がわからない。
ただ、この形はマシになった程度で良い訳ではありません。
そもそもビルドアップのスタート地点となっているボランチの1枚が降りて3バック化する形が、そこから何も無いので後ろの3人が相手のプレッシャーを受けずにボールを持てる以上の効果が無いから柿谷が降りると前線の人数を削ってるだけでしかないからです。
なので、56分に杉本がシュートを放った場面はあったものの、継続して相手を崩しにかかる場面を作る事は出来ていませんでした。
またさらに守備の問題は変わらず。
ロングボールによるボールロストが減ったので前半よりも間延びする回数は減ったものの、ボランチが動いてしまう光景は変わらず。
これはソウザが動くからっていうシンプルな人の問題ではありません。実際にソウザだけでなく山村も動いてしまうから後半も同サイドに集まる場面も見られます。
NumberWebにあった丸岡満の記事、
セレッソに復帰した丸岡満の苦悩。「日本とドイツはサッカーが違う」
http://number.bunshun.jp/articles/-/825108
でもあった守備についての悩みと同じで、人に捕まえに行けと指示している割にはそれに対して連動性が無い。
中継で解説の水沼さんが途中で、ソウザが出た後に最終ラインに対して「下がりすぎだ」とジェスチャーしていると指摘しているのですが、それも同じ事です。
■個でチャンスを作る
ただボールを運べるようにもなった事で、個の力でチャンスも見られるようになります。
水沼さんが指摘した直後の65分。ソウザの縦パスを杉本が落として柿谷へ、柿谷のキックは当たりそこねになりますがそのこぼれ球をブルーノ・メネゲウが押し込んでゴールネットを揺らします。
結局このシーンはオフサイドをとられてしまったのですが、実際には土岐田が残っておりオフサイドではありませんでした。
そして71分、ブルーノ・メネゲウのCKを山村が頭一つどころか上半身が抜け出す高さでヘディングを合わせてゴール。
山村は以前から話題になっていた信じられないほどのジャンプ力を見せつける事となった。
町田はマンツーマンで対応していたが、セレッソには山村以外にリカルド・サントス、杉本、山下、茂庭とおり、山村のマーカーが森村というのはちょっと荷が重かった。
■先制後
72分〜 |
重松は昨季の主力選手です。
セレッソはこの得点の前に実はリカルド・サントスと玉田の交代を用意していましたが、この得点でキャンセルします。
先制して以降セレッソは柿谷も中盤のラインに戻って対応。
ブルーノ・メネゲウは前残りしたがるタイプですが、そこで遅れてもリカルド・サントスは中盤のラインに戻る献身性があるので4-5-1にできている。
80分〜 |
昨季はブロックを作る中で関口が行き過ぎてしまうこともあったのですが、今の守り方なら人に喰い付く事になっているので関係ない。
そしておそらくこれは茂庭の指示だと思われるが山村がフリーマンとして1枚残る事になる。
89分〜 |
さらに87分にはボランチの森村に代え191cmの戸島を前線に投入。
前がかりになります。
それに対してセレッソはソウザに代えて中澤を投入。
中澤は戸島にマンマーク。森村がいなくなった事で中央は山村でいけるという判断なのでしょう。
しっかり人数をかけて守る形にゼルビアはチャンスを作れず、逆に93分には杉本が突破から決定的な形を作るが惜しくも枠は捉えきれずで、そのまま終了。
0-1でセレッソが勝利した。
■その他
という事で何とかセレッソが勝利した。
とはいえ内容は攻守共にかなり残念なものでした。
まず攻撃でのビルドアップグダグダ問題。前半の酷さもあり、柿谷がトップ下に入る事で良くなった様に見えましたが、実際にはこの形もトップ下である柿谷がボランチに吸収される事になるので無駄に後ろに人数をかけすぎている事になり前線が孤立していく事が目に浮かびます。
実際練習試合の広島戦では時間の経過と共にそうなっていきました。
ボランチの1枚を下げて3バック化するならその3枚で2トップを外さないといけないのに、そこを何もできない、しない、からなんですけど、これをどう改善するのか。というか出来るのか。
もし出来ないなら、柿谷はもちろん杉本やブルーノ・メネゲウ、リカルド・サントスが何かを起こせるかどうかにかかってきます。
そして守備のバイタルスカスカ問題。
これは途中でも書きましたけど、高い位置からのプレッシングをしたいなら、単に人に追わせるだけでなくそれ相応の組織をつくらないといけませんが、現段階ではそれが全く見えません。
もしそれが出来ないのなら、高い位置からむやみに追わせる事を止めれば良いんですけどね。
普通に守備のスタート地点をしっかり決めて4-4-2でセットしてそこから守るとか。
現段階ではむやみに追うだけでそれでピンチを広げるという2014年終盤の芋づる式グダグダディフェンスと変わりません。
この試合では茂庭、山下、キム・ジンヒョンの個の能力で止めましたが、今後ずっとそれに期待し続ける訳にもいかないでしょう。
そして対戦相手の町田。
この試合ではセレッソがあまりに酷い内容だったのであまり書くことができませんでしたが、4-4-2でブロックを作って守り、そこから前線にボールを入れて攻める好チームでした。
とはいえ、あれだけチャンスを作りながら決められないと厳しいですね。
ただ、おそらくそれはカテゴリがが上がった事による問題で、例えばJ2からJ1へ初めて上がった時や、アマチュアからプロに入った時に最も戸惑うのはシュートブロックの速さやコースを切られる速さといったフィニッシュの部分なので、そういう部分で町田はまだ慣れていなかったという事なのでしょう。
今年も楽しみにしています!
返信削除なんとか勝てましたが、水沼さんが再三バイタルが空いてるって言ってたように、大量失点をしててもおかしくない守備のひどさでした。
Akiさんの言う通り、監督が最大の問題点ですね。
あんまり監督の言うことを聞かないで、ボランチは気の利いたポゼッションをとってもらいたいと思います。
コメント有難うございます。
削除そうですね、バイタルエリアがスコスコでした。
ただボランチがそこで勝手にポジションを取ると、前の2枚や両サイドはどうするんだ?
ってところも出てきますし、
前の2枚を見捨てるとしても、最終ラインの4枚とボランチの4-2で守るのか?
という問題も出てきます。
なので、水沼さんは「山村が」とおっしゃられていましたが、
そんな単純な問題でも無いというのが今の印象です。
お久しぶりにコメントします。いつもありがとうございます。今シーズンもよろしくお願いします。
返信削除素人ながら分からないなりにAkiさんの分析にふむふむ言ってます。Akiさんの監督采配が見たいですね〜。
コメント有難うございます。
削除こちらこそよろしくお願いします。
僕は見て勝手に言ってるだけなので、当然監督はムリですよ(笑)。
なぜ大熊兄弟はボールを追いかけまわしマンマークで守るサッカーしかしないのでしょうか?危険なスペースを埋める守備をなぜしないのか?いやできないのか?
返信削除相手チームからしたら楽ですよね。ガンガン食いついてきてスペース空けまくりですから縦パスらくらく通るしバイタルもスカスカ。
このサッカーに適応しようとしてる丸岡満がかわいそう。。。って思ってますが
実は素人には分からない高度な意図が隠されていたりするんでしょうか?
監督がやろうとしてるサッカーが知りたいですわ
コメント有難うございます。
削除ボールを追いかける守備をするのは、高い位置から守備をする事でショートカウンターをしたいからでしょう。
引いて守ると相手にボールを回される事にもつながりかねます。
また守備は高い位置からしたほうが良いという風潮もありますし。
なので、まとめにも書きましたけど、大熊さんはオシムさんの影響をかなり受けてるんだと思うんですよね。
実際オシムさんが代表監督の時のコーチでしたし。
なのでオシムさんの言ってた事と共通する事を結構言ってたりします。
ただ、オシムさんは頭の中にアイデアがあって、それを実現するためにいろいろ工夫してやっていたと思うんですが、そこが足りないというか無いというか…
そんな感じだと思います。
例えばマンマークで守るならマンマークで守るで良いと思うんですよ。
それがマンマークでも無いからグダグダで…
レビュー有難うございます。
返信削除山村のジャンプ凄く高かったですね。苦しい展開の中で、セットプレーから決めるのは
元鹿島の選手と言った所でしょうか。
酷い内容の試合でしたが、ここから誰がどのように修正していくかを
楽しみにしたいと思っています。
まぁ、本音は誰でもいいから修正してくださいかなw
コメント有難うございます。
削除山村の高さはこれまでも話題になってましたけどホントすごかったですね。
今のところ修正のイメージがわかないのがより不安を増幅させますが、
誰でもなんでも良いので修正してください、ですね(苦笑)。
いつも分析楽しみにしてます。
返信削除みなさんおっしゃるように、酷い内容だったと思います。
酷い内容でも勝てたことのみを収穫としたいと思います。それにしても、ビルドアップでのボールロストは酷すぎですね〜
もう少しだけでもましになることを願ってます
コメント有難うございます。
削除そうですね、勝てた事は最高でした。
ビルドアップの部分はビルドアップと呼んで良いのか?レベルでした…