- 59' 柿谷 曜一朗
スタジアム | キンチョウスタジアム | 主審 | 野田 祐樹 |
入場者数 | 13,495人 | 副審 | 聳城 巧、権田 智久 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 11.7℃ / 48% | 第4の審判員 | 武部 陽介 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 大熊 清
- 監督
- 服部 浩紀
試合経過
-
88'
-
81'
-
71'
- 63'
-
59'
-
20'
- 17'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 8 | 12 | 14 | 14 |
CK | 7 | 3 | 5 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 20 | 11 | 12 | 9 |
警告/退場 | 1/0 | 0/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 大熊清監督ザスパクサツ群馬 服部浩紀監督
セレッソ大阪 関口選手、杉本選手、茂庭選手、山下選手、ブルーノ・メネゲウ選手
ザスパクサツ群馬 舩津選手
ザスパクサツ群馬 松下選手、瀬川選手
明治安田生命J2リーグ第2節、セレッソ大阪は敵地で水戸ホーリーホックと対戦。10,420人とケーズデンキスタジアム水戸の歴代最高観客数を集めた中、セレッソは柿谷曜一朗のJリーグ復帰後初ゴールを守りきり0-1で勝利した。
いよいよホーム開幕戦となる第3節は、昨シーズンダブルを喫してしまったザスパクサツ群馬との対戦。どちらも全勝で迎えた対決は柿谷曜一朗の芸術的なゴールでセレッソが1-0で勝利し、開幕からの連勝を3に伸ばした。
■メンバー
連勝中という事で先発メンバーは両チームとも前節と全く同じ。
セレッソは右SBの松田が水曜日の紅白戦で痛め田中が先発に入るのではないかとの報道もありましたが、翌日には部分合流しており無事先発メンバー入り、ベンチには大卒ルーキーの澤上がプロ入り初のベンチ入りを果たし、椋原も今シーズン初のベンチ入りとなっています。
一方のザスパクサツ群馬はベンチメンバーも前節と同じです。
■高い位置から来なかった群馬
4-4-2でブロックを作る |
敵陣側などと「など」を入れた理由はまた後ほど。
とにかく追いかけ回す守備以外の形をとってきました。
これは前節の金沢戦でもそこを外されてボールを運ばれる場面が多かった事や、それをやってもボールを奪えない可能性が高いと考えたのか、その理由はわかりませんが、守備のスタートは変わっていました。
ただ、すべてリトリートかといえばそうではなく、おそらく使い分けようというのが狙い。ただ、その使い分けがうまく行っていないのか開始早々から服部監督は前線の選手に前から追わせる様な指示も出していました。
ただこの群馬の守備は上手くいっていませんでした。
■簡単にボールを運ぶ事が出来たセレッソ
群馬のブロックを作った守備の前にセレッソは立ち上がりから何度もボールを運ぶ場面が見られます。
1列目の守備 |
最初に群馬の守備のスタート地点を「センターサークルの敵陣側など」と「など」を入れたのは守備のスタート地点がバラバラだったから。
プレッシャーに行くときと行かない時の使い分けの判断を選手が戸惑っていたのかもしれませんが、2人それぞれがバラバラに守備をするので1人の単独行動なら簡単に外される。また、ポジションがバラバラなので、1列目である2トップの裏や横のスペースもセレッソが何もしなくても空いてくる。
そして例えば追いかけ回さない時でも、ボランチへのパスコースを切るなど役割が見られれば、そこから2列目以降の守備がどうこうといった形になるのですがそれも無い。
なのでセレッソは難なく群馬の守備の1列目となる2トップの後ろや横のスペースにボールを送る事ができていました。
服部監督の指示や動きを見ていると、セレッソがDFラインでボールを持っている時はその前に2トップを置いておきたいようでしたが、守備のスタート地点もポジションもはっきりしておらず、2列目との間が開きすぎていて2トップがとんでもない距離をスライドしないといけなかったり、2度追い、3度追いと何度も追わせ続けないといけなくなっていたりと、あきらかに狙いは破綻していました。
そしてそれに加えて群馬の守備を悩ませたのはソウザのポジショニング。
この日のソウザはセレッソが最終ラインでボールを持つときに2トップ横の左サイドにポジションをとっていました。
群馬の1列目となる2トップに対してセレッソはCBと山村に加えてその2トップ脇にソウザがいる事で4人いる事になるのでボールを持つには十分な人数が揃っているので当然楽にボールを持てるのですが、その1列目がCBに寄せればソウザが簡単に空く、さらにソウザにボールが渡った時にこのサイドでボールを持つ事で丸橋は高い位置にポジションを取ることができ、相手の2列目の対応を惑わすことにもつながっていました。
喰いついてくる2列目 |
例えばここで2列目が前に出た時に3列目、つまり最終ラインも上がればブロックはコンパクトなままなので問題はないのですが、1列目と2列目の守備が連動できていないのでボールホルダーがフリー。なので群馬の3列目は裏のスペースを恐れて上がることができない。となると2列目と3列目の間にスペースを作ってしまいます。
これは開幕戦でセレッソのバイタルがスカスカだった事と同じメカニズムです。
セレッソはソウザのポジショニングで群馬の守備を惑わす事ができていたものの、基本的には柿谷が下がるしかなかったのでビルドアップの仕組みとして成立していた訳ではなかったのですが、そこに群馬の2列目が喰い付いて間にスペースを作ってくれるので簡単にボールを運ぶ事ができていました。
これをもってセレッソは立ち上がりから次々とチャンスを作ります。
シュートまでもっていけたのは8分の柿谷に喰い付いてその後ろでソウザがフリーとなり、スルーパスをリカルド・サントスがシュートを放った場面などそれほど多くありませんでしたが、セレッソはこれまでの試合よりも簡単にボールを運ぶ事ができていました。
またプレー中に加え、プレーが切れた時には近いポジションの瀬川を呼んで指示を出している等群馬はおそらく前線の守備に何度も修正を図っていましたが、なかなか改善の兆しが見えませんでした。
■実はセレッソにも同じ守備の問題点が
17分〜 |
石川は元広島でアウェイで優勝を決められた試合ではゴールを決められ、昨シーズンは水戸でホームでの試合は丸橋対策として効果的なプレーを見せた石川です。
そして20分過ぎからセレッソも群馬にボールを運ばれシュートに持っていかれる場面が見られるようになります。
これは一柳よりも石川が効果的なプレーができていて改善されたという事では決してありません。その理由の1つは実は群馬が守備で抱えていた問題と同じ問題をセレッソも抱えていたからです。
セレッソも1列目の守備に問題を抱えています。
リカルド・サントスは中盤のブロックに入る事も苦にしない献身性を持ち合わせています。また柿谷も時にはここ開幕からの2試合で中盤に下がって守備をする場面も見られます。
しかしチーム全体で考えると、群馬の守備と同じように1列目の守備のスタート地点が決まり、そこでその2人で相手の何を制限するのかを徹底する事の方が重要です。
柿谷は以前から1人で相手に向かって全力で追いかけスライディングする場面がありますが、あれは奇策としては面白いものがあるものの、実際の守備としてはそれほど効果的ではなく、全部カットしてしまうなら別ですがそんな事はありえないので、むしろやり過ぎると暴走でしかなくなってしまいます。
実はセレッソもその1列目の守備が曖昧。さらに2列目は喰いつくことになってる。なので群馬の選手よりも例えばボールを奪えるエリアや、個々でカバーできるエリアが広いってだけで実際は群馬の守備と基本的な構造はあまり変わらない。なので20分過ぎからシュートまで持っていかれる場面が続く様になります。
■攻撃の問題
また前半からセレッソがかなり攻め込んでいたという印象を持っている方も多いかもしれませんが、前半のシュート数はセレッソ7本・群馬5本とそれほど大きな差はなく、セレッソにとっての決定機も30分の杉本の折り返しをブルーノ・メネゲウがシュートした場面と、終了間際の45分カウンターからブルーノ・メネゲウのパスを受けた柿谷が左足でシュートを放った場面の2つほどしかありませんでした。
決定的な場面の内1つめの30分のは、前半20分すぎからブルーノ・メネゲウとリカルド・サントスのポジションを入れ替える形を取り始めたのがきっかけでした。
これもどこまで準備されていた形なのか、それとも単なる2人のアイデアなのか、正解はわからないですが、(22分に最初の入れ替えをみせており、そうなった流れをみると後者っぽいですが)リカルド・サントスがサイドでプレーする事で、それまでリカルド・サントスとの競り合いが見せ場だった川岸が自分の前からそのターゲットがいなくなる事で引っ張られる形となり、その歪から最終ラインにギャップができはじめたというのが大きなポイントでした。
ところで杉本が松田とのワンツー気味のパス交換で杉本がハーフスペースに入り込んだという形。
ブルーノ・メネゲウのシュートは相手GK清水に止められてしまいますが、十分可能性を感じさせる形でした。
あと45分の柿谷の左足も、前に喰い付いたところで入れ替わるような形でカウンターに入れたのがポイントでした。
しかしその他の場面は、群馬の守備ブロックがボールを運ばれた時に低い位置にまで下げられるようになった事もあってミドルシュートや、シュートの場面で相手に距離を詰められてしまっている形がほとんど。
前節同様、攻撃の場面はどういう形で相手を崩そうとしているのかという共通理解を感じられる様な場面はほとんどなかったので、そうなるとどうしても個人技炸裂待ちといった状況になってしまいます。
後半立ち上がりも、ちょっとラッキーな形だった相手が喰い付いて開けた広大な右サイドのスペースを杉本が使い、そこからのクロスが相手にあたってコースが代わりそこにブルーノ・メネゲウリカルド・サントスと飛び込んでシュートを放った場面以外はブロックを下げた相手を崩す事には至っておらず、やっぱり個人技炸裂待ちといった状況になっています。
ただ、群馬は守備でブロックを落としているということは、ボールを奪っても攻撃の距離が長くなってしまい、こちらもここまでカウンター気味の攻撃をメインにしてきていた事からセレッソゴール前までボールを運ぶ回数自体が減り、特に後半に入ってからはセレッソゴールに迫る様な場面も作れなくなっていました。
■個人技炸裂
ただ、個人技炸裂待ちの中でも1試合に1回は個人技を炸裂させてくれる選手がセレッソにはいました。
59分、ブルーノ・メネゲウからのクロスをリカルド・サントスが折り返したボールがゴール前の柿谷の足下に。リカルド・サントスの折り返しは少しマイナス気味になってしまいゴールに背を向ける形になってしまっており、さらにトラップも少し足下にボールが入りすぎていたのでできるプレーはかなり制限されてしまっていたのですが、そこから右足でボールを少し動かしダブルタッチの容量ですぐさま左足ヒールでシュート。
ここまで好セーブを見せていた清水もさすがにこの予想だにできないタイミングでの予想だにできないシュートを止めることができずセレッソに先制ゴールが決まりました。
おそらくファーストタッチは本人がイメージしていた通りではなかったかと思いますが、そこからシュートに持っていくプレーは世界中でも柿谷にしかできないものだったと思います。
まあちょっと一か八か感はありましたが(笑)。
■リード後の展開
その後ビハインドを負った群馬は少し前がかりに。
なのでセレッソとしてはさらに追加点のチャンスは広がるのですが、ソウザのシュートは清水がセーブ。
63分〜 |
一列目の守備が機能していないセレッソは、全体的にブロックが下がってしまう場面もありましたが、決まらなかったものの逆に丸橋からのロングボールで柿谷が裏に抜け出す場面も作っています。これはセレッソの攻撃がというよりも完全に柿谷個人のシュートミスでした。
71分〜 |
杉本が左SHに回るいつものパターンです。
この交代の後、ソウザのパスから松田が個人技で右サイドを破りシュート、そのこぼれ球を杉本が頭で押し込みに行きますが、今度は清水が個人技でセーブ。
セレッソに追加点は決まりません。
ただ、75分にカウンター気味に高橋に裏に抜けられたシーンはかなり危ない場面でした。
そしてその直後にはカウンターから関口がボールを運んで山村がシュートを放つも枠外、その後関口のクロスにニアでリカルド・サントスが跳び込むも枠外とやはり決められません。
81分〜 |
澤上はこれがデビュー戦です。
この直後の守備で4-4-2になっているのを見て2トップになったと思われた方もおられるようですが、4-2-3-1も守備は4-4-2なので変わらず、また澤上が投入直後でフレッシュな状態だったというだけ。
並びは同じ4-2-3-1です。
88分〜 |
瀬川が左にまわりイム・チョンビンが右サイドに。
同時にセレッソもソウザに代えて中澤を投入。
セレッソはこの終盤の中澤投入は2度目の形で、大熊監督はこの形を気に入っているようですが、今回は前線の枚数が変わったわけでもないのでちょっと中澤のポジションが定まっておらずちょっと嫌な感じはしたものの、澤上の献身的なプレーもあって逃げ切りに成功。
セレッソが勝利し、開幕3連勝を飾りました。
■その他
開幕3連勝を決めたセレッソ。3試合で勝ち点9という最高の成績を収めることができました。
こうやって考えると開幕戦の勝利がかなり大きかったです。
ただ、まだまだ内容には不安を感じる場面が多いのも事実。
例え出来ていなかったとしてもチームとしてこういう事をやろうとしているという部分が見えれば、そこに至るまで何が足りないのか、そしてその為に何をしないといけないのかというモノサシができるのでまだ楽なのですが、ここまでの戦いでは結果が出ているものの、チームとしての部分があまり見えないので、今後も勝ち点を重ねていく事を考えるとどうしても不安を感じてしまいます。
それは守備だけでなく攻撃に関しても同じ事で、昨シーズン末からセットプレーと個人技炸裂でしか得点を取れていないのはチームとしてどこを使ってどうして相手を崩していこうというのがあまり出ていないからなんですよね。
なのでどうしてもアタッキングサードの場面でプレーが遅れたり、シュートを打つスペースや時間がなくなってしまっていることが多い。それはフィニッシュの精度とかって個人の技術的な部分以外にチームとして出来ることが沢山あるんじゃないかと思うんですがどうなんでしょう。
別に流れの中からの得点にこだわっているわけではなくって、セットプレーで点をとるんだって事や、個人技炸裂にすべてをかけるって事ならそれはそれで良いと思っていますが、ここ3試合をみるとそういうわけでも無さそうですし。
もちろん結果がすべてで、どんな内容でも結果で証明し続けないかぎりエクスキューズは許されないのですが、今だけでなく今後の結果を求める上で内容を求め続けないといけないと思っています。
なので矛盾しているようですが、結果よりも内容が大切だったりする訳です。
サイコロを振って勝ったって事じゃダメだなと。
開幕から3連勝は素晴らしいと思います。
返信削除でもAkiさんのご指摘のボールを運ぶこと、崩すことが出来ないのは心配です。
そんなトレーニングはしてないのでしょうか?
なにがしたいのか相手にも判らないというのが作戦ってことはないでしょうし。
>そんなトレーニングはしてないのでしょうか?
削除してるに決まってるでしょう。ただ新加入選手が多いので、まだ意識統一が出来てないんでしょうね。
監督も交代しちゃったので、また色々と一からやり直しですし。
最近は忍耐力のない人が増えましたが、今は我慢の時です。少しは待ちましょう。
ドーピングでいきなり強くなっても、長くは続きません。徐々に上がっていくのが一番です。
お2人方ともコメント有難うございます。
削除ボールを運ぶ形については、僕が知る限りは選手の自主性にまかせているといった感じで、そこに関する特別なトレーニングはやってないと思います。
もちろん他のメニューにもボールを運ぶプレーが含まれる部分もあるので、ボールを運ぶ事を自体をやっていない訳はありませんし、SBの位置取りなど約束ごとはありますが。
あと今はまだ我慢の時だというのは仰るとおりですね。
ただ、ここで僕が触れているのは「結果」ではなく「狙い」や「コンセプト」、
「上手くいったか、いっていないか」ではなく「何をしようとしているか」の話しです。
徐々に上がっていくために必要な「狙い」や「コンセプト」が現時点では見えない部分がある。
という事ですね。