スタジアム | 昭和電工ドーム大分 | 主審 | 池内 明彦 |
入場者数 | 17,233人 | 副審 | 相樂 亨、岡野 宇広 |
天候 / 気温 / 湿度 | 曇 / 11.6℃ / 50% | 第4の審判員 | 吉田 哲朗 |
メンバー
- 監督
- 片野坂 知宏
- 監督
- ロティーナ
<監督・選手コメント>
大分トリニータ 片野坂知宏監督セレッソ大阪 ロティーナ監督
大分トリニータ 三平選手、岩田選手
セレッソ大阪 ソウザ選手、奥埜選手、柿谷選手、清武選手
2019年明治安田生命J1リーグ最終戦。敵地昭和電工ドーム大分での大分トリニータ対セレッソ大阪の一戦は0-2でセレッソ大阪が勝利。
18勝5分11敗勝ち点59の5位でシーズンを終えることとなった。
■メンバー
大分トリニータの先発メンバーは、前節の仙台戦では3-1-4-2の布陣をとったが今節が予想通り3-4-2-1へ回帰。ということで1トップにオナイウ阿道、2シャドウには小塚と三平、ボランチには小林裕紀と長谷川、両WBには松本と田中達也、3バックは岩田、鈴木義宜、三竿、GKに高木という予想通りの布陣。今シーズン限りでの現役引退を発表した丸谷がベンチに入る。一方のセレッソ大阪の先発メンバーは前節と同じ11人。清武が初めてアウェイチームの選手として昭和電工ドーム大分のピッチに立った。
またベンチには高木が怪我で離脱したこともあり今節も澤上が入っている。
■敵陣から網を張るセレッソ
大分は自陣でボールを保持しながら相手がボールを奪いに来たところを裏返してボールを運び、アタッキングサードでは少ない手数でフィニッシュまで持っていくという疑似カウンターを得意としている。なので前節に大分に対して仙台が行い結果を出した自陣のスペースをとにかく消してしまうというのも大分対策の方法の1つだ。
そしてこの試合でセレッソが取ったのは敵陣から網を張るという形。
敵陣から網をはるセレッソ |
そして2トップは前線からアプローチをかけるのだけども一気に距離を詰めてボールを奪いに行くのではなくジリジリと距離を詰める。
これにより大分は3バックでボールを持ったとしても出しどころが無いという状態に陥った。
サイドでの対応 |
清武を引きつけることが不十分なら清武がそのままWBに対してアプローチをかける。
中央もカバーする |
では1トップのオナイウに縦パスを狙ったとしてもそこはヨニッチと瀬古のCBコンビでチャレンジアンドカバー。
そしてもし三平への縦パスをソウザがインターセプト出来ないなら、瀬古がアプローチに出てソウザがプレスバックし自陣で4-4-2のブロックを作ってしまうという形で対応するので、自陣からのパスワークで相手を外しながらボールを前進させ、一気にチャンスを作ってしまうプレーを得意とする大分にほとんど何もさせない、大分は満足にボールを運ぶこともできないという状態に陥らせることに成功していた。
■プレス回避でも上回るセレッソ
セレッソも大分同様に自陣からパスをつなぐ戦い方をする。その組立部分でもセレッソが上回っていた。セレッソのプレス回避 |
それに対してセレッソは右サイドからビルドアップをすることが多いのだが、水沼、奥埜、藤田のサポートが同じ位置で顔を出すので普段通り安定。
右サイドから左サイドへと展開する形も何度も見られた。
プレスをかけられた時に逆サイドまで展開するというのは、もう完全にプレス回避に成功したということである。
ということで試合のペースを握っていたのは完全にセレッソだった。
立ち上がりからいくつかビルドアップでのパスミスや足を滑らせてピンチを招く事もあったが、大分にとってはボールを運べない、奪い返せない、やりたいことができない、強みを発揮できないかなり難しい試合になっていたと思う。セレッソの2トップ、SHのアプローチポジショニングは秀逸だった。
ということで29分、セレッソはソウザの直接FKで先制することになるのだが、直接FKを繰り返し狙っていたのである意味必然だった。
セレッソにとってピンチだったのは41分に列を下げる動きをする小塚に対して上手くアプローチを掛けられず、そこからオナイウにDFラインの背後に飛び出された1本ぐらいだっただろう。
■大分の変更にも対応
後半開始〜 |
このメンバー構成は仙台戦での3-1-4-2と同じ。三平とオナイウの2トップに小塚、ティティパン、長谷川の中盤という形になる。
この交代は前線からの圧力を高めたいこと、そして41分の小塚からのパスでオナイウが抜け出した形の様なプレーを増やして行きたかったんだろう。
なので2人のインサイドハーフの関係はビルドアップの出口になろうと小塚が下がりティティパンが飛び出すという形になっているので前半と同じ3-4-2-1に見える時間帯も多かったし、さらに守備の時に1列目の2トップでのアプローチを外され自陣でブロックを組む形になると、三平が左に落ちて、ティティパンが右に入る5-4-1で守る形は継続されていた。
キム・ジンヒョンから清武へ |
しかしそうなると今度はキム・ジンヒョンの出番。2CBと2トップで枚数を合わされたとしてもGKはフリー。なのでキム・ジンヒョンから重心を前へと移した中盤3人の背後に入る清武や水沼、奥埜のところに直接縦パスを入れることで大分のプレッシングを外しにかかる。
そして54分に追加点。
FKから右につないで松田のクロスは一旦跳ね返されるも、三平のクリアを再び松田が回収。
もう一度松田のクロスは跳ね返されるが、清武、ソウザとつなぎ、ソウザからの浮き球パスを松田が三竿に競り勝ちヘディングで柿谷に落とすと、柿谷は丁寧に後ろから入ってくる奥埜へ。奥埜は落ち着いてゴールへと流し込んだ。
ボックス内でワンタッチのパスが2本つながり前を向いた選手にボールが渡ると例え人数が揃っていたとしてもさすがに守備側はかなり苦しい。
■安定した戦いで逃げ切りに成功
66分〜 |
ビルドアップの出口になる小塚 |
さらにボールを奪ってからのボール前進は前半から安定していたので押し込まれるという状況ではなく、セレッソもチャンスを作っていた。
90+2分〜 |
そのままインサイドハーフに前に仕掛けられる選手を投入してきた。
87分にオナイウにボールを奪われ嶋田がシュートを放つもポストに救われる。
そして90分にソウザに代えて鈴木孝司、90+2分に柿谷に代えて片山を投入し、そのまま0-2で逃げ切りに成功。
2019年最終戦は盤石の試合で勝ち切ることに成功した。
■その他
いくつかミスもあったが、試合運びとすればほぼ完璧な内容だった。90分間試合をコントロールし続け、大分には全く良いところを出させず、チャンスを作る。シーズンラストゲームにしてベストゲームといえる試合だったと思う。
ここでシーズンが終わってしまうのはもったいない、このチームをもう少し見続けていたいと思わせる試合だった。
18勝5分11敗勝ち点59、39得点25失点の5位。
25失点は2008年の大分につぎ、2011年の仙台と並ぶ歴代2番目に少ない失点数。
前半4失点は年間30試合制だったシーズンも含めてJリーグの歴史上最も少なかった。
今季の総括は改めて書こうと思うが、タイトル、ACLには届かなかったものの充実した、来季に大きな期待を抱かせるシーズンだったと思う。
セレッソっていい成績を残したシーズンはだいたい「ラストゲームが一番いいゲーム」って感じで終わって、でもなぜか次のシーズンそのまま入れない、ってことが多いようなイメージがあるんですよね。今回はそんなことがないといいなと思います。
返信削除分析お疲れ様です。一つ気になったのが、セレッソの守備。試合中にも思ってたんですが、セレッソの前線が大分にやってたことって、ヴィッセル神戸の前線がセレッソにやってたことに似てるなと思いました。前線が飛び込まずに睨みをきかせて、サイドバックに流れたところを取り所にするあたりがそっくりです。もちろんセレッソ神戸で最終ラインの人への食い付き方は違うんですが。
返信削除これは偶然でしょうか。あるいは、こういう数的優位を作ってビルドアップするチームへの対策として普遍的なものなのでしょうか?
もし後者の場合、来期はセレッソがやられる側になると思いますので、そこが心配です。
分析ありがとうございます。
返信削除今年で退団かと言われる、この試合を含めて感謝するべき数々のゴールを放ってくれたソウザを見てて思ったことです。最後にケチをつけるのも良くないのですが、1年近く指導しているはずなのに相変わらずポジション認知や次のプレー判断が遅いなあと感じました。
今やってるサッカーで選手の認知や判断を速める指導ができないのであればこれ以上の洗練されたポジショナルサッカーはできないと思うのですがどうなんでしょう?
Akiさんが何度か指摘されてるようにロティーナはユン時代のように前線にボールのおさまるフィジカル屈強なFWがいないと攻撃が成り立ちにくいようなので、来季、今年以上の成績を残すためにはそういう屈強なFWが補強するしかないのかなあと思いました。
贅沢なケチをつけてるのはわかるんですが、もう少しでリーグタイトルに届きそうなのであれこれ言ってしまいたくなりますね。