2020年2月18日火曜日

2/16 YBCルヴァンカップBグループ第1節 VS 松本山雅FC @ ヤンマースタジアム長居

スタジアムヤンマースタジアム長居主審山岡 良介
入場者数6,679人副審田中 利幸、松井 健太郎
天候 / 気温 / 湿度雨 / 15.4℃ / 90%第4の審判員松本 大
VAR
AVAR
セレッソ大阪C大阪
松本山雅FC松本
 
  • 監督
  • ロティーナ
 
  • 監督
  • 布 啓一郎

全ての試合において 21 歳以下の日本国籍選手を 1 名以上先発に含める。※1

※1 但し、以下の場合は出場義務を負わない。
・対象選手1名以上が日本代表試合または日本代表の合宿その他の活動(ただしA 代表またはU19以上のカテゴリーの日本代表に限る)に招集され、試合日に不在の場合。
・対象選手が試合エントリー後の怪我等のやむを得ない理由により出場ができない場合。

<監督・選手コメント>

セレッソ大阪 ロティーナ監督 ブルーノ・メンデス選手、丸橋祐介選手、清武弘嗣選手、アン・ジュンス選手(セレッソ大阪公式)
松本山雅FC 布啓一郎監督 田中隼磨選手(松本山雅FC公式)

■メンバー

今季は東京オリンピックの影響もあり、さらにACLと足並みを合わせる形でリーグ戦の開幕を前にルヴァンカップがまず開幕するというスケジュール。
セレッソは仙台、浦和、J2から参加の松本と共にBグループに入り、初戦は松本との対戦となる。

リーグ戦の開幕戦まで1週間あるということでメンバーはほぼ主力組。
セレッソ大阪の先発メンバーは先週のプレシーズンマッチ京都戦に出場していた選手をベースに負傷の藤田に代わって木本が1つポジションを前にして、21歳以下枠に該当する瀬古がCB。そして左SHには柿谷が起用された。

一方の松本山雅FCは、昨季をもってJリーグ加入以降一貫して監督を務めてきた反町康治氏がついに退任。後任にはかつては市船の監督として名を馳せ、その後はJFAで育成年代の代表監督を歴任。そして岡山のコーチを経て昨季は群馬の監督としてJ2昇格を達成した布啓一郎氏が就任しており、その結果選手の入れ替わりも激しくどういうメンバーになるのか予想がつきにくい中での試合となった。
そんな松本の先発に名を連ねたのは、GKは昨季までの守護神守田が鳥栖へと移籍したことで、かつての守護神でありながら昨季は2ndGKとしてリーグ戦3試合出場の村山を起用。DFラインは右からベテラン田中隼磨、橋内、浦田、髙橋。MFは昨季はガンバでもプレーした鈴木雄斗、藤田息吹、塚川、杉本太郎。FWには榎本と阪野が入る4−4−2。
メンバーも入れ替わったが、布陣も反町体制では一貫して使ってきた3バックではなく4バックとなっていた。

■立ち上がりの失点・得点

この試合は開始5分で失点するという思わぬ形でのスタートとなる。
失点シーン
試合の入り方としては悪く無かった。しかしロングボールを入れられたあと、左サイドのスローイン後の対応で左CHで先発した木本が久々のポジションということもあってか安易にサイドに出て行きどこをカバーするのかがハッキリしない中途半端なプレーをみせたことで、デサバトもサイドに出て行かざるを得なくなり、その結果サイドに侵入された時のSB、CB、CHのセオリーとなるポジショニングが取れず、そこを松本が上手く綺麗に繋いだことで鈴木雄斗が豪快にゴールへと蹴り込んだ。

しかしその2分後にはセレッソが同点に追いつく。
同点ゴール
得点の形としては右サイドで松田が左SH杉本と1対1の状況を作り杉本を抜いてからのクロスを柿谷がファーサイドで折り返し、そこをブルーノ・メンデスが押し込んだというもの。
この得点のポイントは松田の突破ももちろんだが、突破した後に松本の選手が誰もカバーにいくことができていないという点だろう。 そうなったのは松本もセレッソと同じ4−4−2ではあるが人を捕まえるタイプのやり方をとっているので、松本の左SB高橋はインサイドに入った坂元を捕まえているため。
その結果杉本が1対1でかわされてしまうと誰もカバーに行けず、フリーの松田に対してボールウォッチャーになる。そこで大外折り返しという鉄板パターンでブルーノ・メンデスが押し込んだ。

リーグ戦開幕前のカップ戦ということでどうしてもプレシーズンマッチ感の強い立ち上がりの失点となったが、すぐに追いつくことが出来たことで嫌な流れとならなかったのはちょっとラッキーだった。

■対2トップのビルドアップ

松田が最終ラインに残る片上げ3バック
先週のプレシーズンマッチ京都戦では対1トップということでCB2枚でのビルドアップを行なっていたセレッソ。この試合では松本が2トップということで主に松田を最終ラインに残し丸橋と坂元で左右ワイドに立たせた形でビルドアップを行なっていた。
しかし同点になってからも前半の序盤〜中盤ぐらいまでは決して上手くいっている訳では無かった。
坂元のドリブル
松本の4−4−2は人にマンツーマン的な人を捕まえる意識が強い。ということで松田に対しては杉本が早めにアプローチを掛けてくる。これを利用して松田はヨニッチにボールが入った時に杉本を連れて動くことで坂元へのパスコースを作り、そこから坂元の突破力を活かすという形は作れていた。がしかしこの形だけでは、松本の4−4−2を効果的に動かせている訳では無い。なのでスライドは間に合うのでチャンスには繋がりにくく、また4−4−2の内側へのパスに対しては動かせていない分距離が近く迎撃気味に激しくアプローチを受ける。ということでボールは持っているが効果的に運べているというわけでは無かった。
SBとSHにCHが絡む
しかし30分を過ぎた頃から少しずつスムーズにボールが運べる様になってくる。
そうなったのはそれまでのSBとSHの関係に加えてCHも絡めるようになったこと。松田が残る3バックから松田がサイドに出た時にボールサイドのCH(デサバト)が落ちてくる。ここには松本のCHも安易にアプローチには出られないのでその結果SBとマッチアップしていたSH、この場面では杉本がどちらに行くのかという決断に迫られる。
杉本はこれまでの様に松田に行くと奥埜へのパスコースが空くことになり、行かなければ松田はフリー。そこから坂元が内側に動くと左SBの高橋は当然坂元についていくので松田はどんどん侵入できる。
ここでは右サイドを例に書いたが、左サイドの丸橋、柿谷、木本の関係でも同じ様な状況を作っており、その結果前半の終盤はアタッキングサードへとスムーズにボールを運べる様になり、サイドの深い位置からチャンスを作る様になっていった。
CHが最終ラインに落ちる
そしてHTに指示があったのだろう。後半に入ると最初のプレーで木本をDFラインに下げてSBを両サイドに張らせ、メンデス、柿谷、坂元で広げた間に下がる奥埜へと瀬古が縦パスを入れるプレーを見せる。よりハッキリとCHを使って2トップに対して数的有利を作り、そこからビルドアップを行う形に変わった。

松田が最初からサイドに出ている分、後半立ち上がりに松田が高橋にボールを奪われカウンターを受けるというピンチを招いているのだが、まずはセレッソのビルドアップの形の話し。

■松本山雅のやりたいこと

8年間にも及ぶ反町体制を終え新体制となった松本。立ち上がりの失点は木本のポジショニングについて書いたが、松本のやりたいことが出来た形でもあった。
松本が狙っていたのはFWをサイドに流れさせそこに長いボールを当てる。そしてSHで素早くサポートに入るという形。これでサイドの奥に起点を作ってクロスを入れ、もう1枚のFWとSHでフィニッシュの形を作ろうというもの。そこでセカンドボールを拾うことが出来なかったとしても、カウンタープレスをかけ素早くボールを奪い返すことを狙ってくる。実際に最初の失点場面も榎本が丸橋のサイドに流れてそこにロングボールを当てて得たスローインからクロスを入れてという形だった。

そして立ち上がりの得点シーンの他は中々ビッグチャンスとまではいかないもののそれなりにやりたい事が出来ていたし、やろうとしていることも見えていた。
しかしセレッソがビルドアップの形を徐々に調整していき、ボール保持の形を安定させていくと松本のSH高いポジションを維持できなくなる。
そうなるとFWへのロングボールのサポートやカウンタープレスが間に合わなくなり、ボールを奪っても2トップを走らせるだけの単発ロングボールばかり。前半の終盤はセレッソが松本を押し込むという状況になっていた。

そして迎えた後半。松本は再び高い位置から守備をすることでSHの位置を高く保ちたいということで後半立ち上がりの松田が高橋にボールを奪われるという形に繋がっていた。

■構造的に優位に立つセレッソ

こうして後半立ち上がりから再び前から行こうという姿勢を見せた松本だったが、すぐにそうは行かなくなる。
マッチアップ
そうなったのは後半のセレッソの立ち位置が全て4−4−2の間に立っているからで、また松本の2トップ脇を起点にしたビルドアップで芋づる式に動かされていくのでどうしても下がって守るしかない。セレッソが押し込むという場面が増えていったからだった。
松本のボール非保持の局面を見ても、迎撃型で入ってきたボールに対して強くアプローチに行くことができていた前半に対して、後半は動かされる分後追いになりファールが増えたということからも、松本が構造的に難しい状況に追い込まれていたことがわかる。
66分〜
松本は59分に榎本に代えてガンバから期限付で加入している高木彰人を投入。さらに66分には杉本に代えて中美を投入。なんとかフレッシュな選手を入れることで運動量でカバーしようとする。
しかし構造上で上回っているセレッソに対しては逆効果。変にアップダウンが増える分スペースも生まれ、柿谷、ブルーノ・メンデスと次々とチャンスを作り、スペースがある分坂元のドリブルもさらに活きる。そしておそらくそのスペースを使おうという狙いで66分に奥埜に代えて豊川を投入する。

このあたりの時間帯はもう時間の問題だったがセレッソが得点を奪ったのは71分。再三繰り返していたサイドを大きく使った展開から最後は丸橋が豪快に決めてゴール。セレッソが逆転に成功する。松本の守備ブロックは左右に動かされていることでアプローチをかけられず、また丸橋も同じような位置からこの試合2本目ということでリラックスしてシュートが打てたのだろう。

■行けば行くほど

75分〜
得点直後の72分、セレッソは柿谷に代えて清武を投入。すると松本は75分に塚川に代えて昨季はFC東京でプレーしていたジャエルを投入。交代直後はCHからFWへの交代ということで松本の選手もどういった並びになるのかが把握しきれておらず混乱が見られたが、どうやら4バックはそのままで中盤を藤田息吹がアンカーでインサイドハーフに鈴木雄斗と中美が並び前線は中央でストライカーが並ぶ4−3−3の様だった。松本は昨季後半に3−1−4−2を使っていたので藤田息吹のアンカー、中美のインサイドハーフは経験済み。サイドはSBが出ていくしかないリスクはあるが、ビハインドなのでという判断だったのだろう。

ただこうなるとセレッソにとっては待ってましたとばかりの状況。スペースに出ていった時が最も得意なブルーノ・メンデスが身体の強さを発揮してPKをゲットし79分に3点目。
もう前でハメるしかない松本に対してセレッソは落ち着いて剥がしてボール前進。
85分〜
85分にブルーノ・メンデスに代えて都倉を投入すると、90分にヨニッチのクリア気味のパスから豊川が上手く入れ替わりそのクロスを、都倉が空けたスペースに入ってきた清武が確実に決めて4−1。
後半はセレッソが完全に松本を圧倒し、今季の公式戦初戦を快勝で終えた。

■その他

本文中に書いた様に公式戦とはいえどうしてもプレシーズンマッチ感が強くなる試合だったが、失点はあったものの良い形で勝利することができた試合だった。
できれば後半の形を前半からできるようになりたいところだが、そのあたりは藤田直之不在の影響があったのかも知れない。
あと、坂元や豊川もプレシーズンからこのチームにフィットし活躍を見せているので本当に頼もしい。
坂元の存在は昨季の水沼よりも確実に攻撃の幅を広げているし、水沼が担っていたプレー以外の部分を豊川の闘争心でカバーできればありがたい。
ただチャンスの数からいえばもう少し早く試合を動かせていたはずで、これはどのチームもそうだが得点という部分ではさらなる改善を望みたいところである。
いよいよ来週からリーグ戦が開幕するが、今季は本当にチャンスなので結果にこだわって勝ち点を積み重ねていって欲しい。


1 件のコメント :

  1. プレシーズンマッチ感はわかりますけど、
    相手がJ2のチーム、先週もJ2のサンガとのゲームだった、
    というところも関係あるのではないですかね…

    ともあれ、チームがそういう空気に流されずしっかり勝った、
    というのはいいことだと思います。

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