2016年4月30日土曜日

4/29 明治安田生命J2リーグ第10節 VS 京都サンガFC @ キンチョウスタジアム

第10節
2016年4月29日(金)16:00KO 金鳥スタ

スタジアムキンチョウスタジアム主審井上 知大
入場者数14,883人副審馬場 規、藤井 陽一
天候 / 気温 / 湿度晴 / 17℃ / 38%第4の審判員谷本 涼
スターティングメンバー
セレッソ大阪C大阪
 
京都サンガF.C.京都
 
  • 監督
  • 大熊 清
 
  • 監督
  • 石丸 清隆
セレッソ大阪C大阪
京都京都サンガF.C.
今回対戦今季平均
データ項目セレッソ大阪京都サンガF.C.セレッソ大阪京都サンガF.C.
FK11151214
CK13865
PK1000
シュート19111410
警告/退場1/01/01/02/0

<監督・選手コメント>

セレッソ大阪 大熊清監督
京都サンガFC 石丸清隆監督

セレッソ大阪 柿谷選手、キム・ジンヒョン選手、田中選手、リカルド・サントス選手、ブルーノ・メネゲウ選手、ソウザ選手
京都サンガFC 堀米選手、菅野選手
京都サンガFC 菅野選手、本田選手、アンドレイ選手、堀米選手、下畠選手

明治安田生命J2リーグ第10節。セレッソ大阪にとってGW連戦中唯一のホームゲームとなる京都サンガFC戦はセットプレーから2失点を喫し0-2で敗戦。今シーズン初黒星となった前節に引き続き連敗となりました。

■メンバー

セレッソはこの試合に向けメンバーを入れ替え。この試合に向けて澤上の起用など様々な形が試されたが最終的に選択したのは前節早めに交代をさせ、コンディション的にも疲れが見えると判断したリカルド・サントスを先発から外し、1トップに起用したのは普段の右サイドから移し開幕戦以来のFWでのスタートとなる杉本。そして右サイドには今シーズン初スタメンとなる関口が入り、またCBはここ2試合先発を続けていた田中から茂庭に戻している。

一方の京都は基本的にはシーズン初勝利となった6節以降の先発メンバーを継続。ただ、前節から怪我の高橋祐治に代わって再び先発復帰していた染谷が前日練習で怪我との事で、これまで左SBだった下畠がCBに。そして左SBには名古屋から加入の本多が入る。
また細かい部分で注目だったのは両SHで、普段は右SHに左利きの堀米、左SHに右利きの山瀬と利き足と逆の選手を配置しているのですが、この試合では右SHに右利きの山瀬、左SHに左利きの堀米といつもとポジションを入れ替えています。

■立ち上がりの失点

この試合は前半立ち上がりの8分に京都が先制する所から始まります。
先制点は右サイドのCKを左利きの堀米が蹴ったインスイングのボールからアンドレイがボレーで決めたものでした。
セレッソのCK守備
セレッソのCK守備はニアポストに関口、ストーンに山村が入りこの2人はマークを持たない選手。後はマンツーマンです。
京都サンガのCKはGK前に1枚立たせて5枚が飛び込むという形。
マーカーは、GK前に入るダニエル・ロビーニョに対して松田、アンドレイに対して山下、本多に対して丸橋、菅沼に対して杉本、下畠に対して茂庭、イ・ヨンジェに対してソウザという関係になっています。

京都のHP内にある試合後の堀米選手のコメントにはありませんがセレッソ側のHPでは、セレッソのCKは「『ストーン』(※ニアポスト付近で、壁になる相手選手)の裏が空くというのは、分析でも出ていました。」と話している様にまさにストーンに入る山村の裏でアンドレイがマンツーマンで守る山下のマークを外して入りボレーで決めています。
このストーン裏は実はマンツーマンで守る場合に狙われやすい場所です。
そもそもマンツーマンの守備の場合は人について対応するので、どうしてもマークを外されたり前に入られたりする危険性はあります。その中でニアに速いボールを入れられるとどうしても対応できないので「ストーン役」としてニアの速いボールを跳ね返す専門のマーカーを持たない選手を守備側にとって危険な場所に置いているのですが、そうなるとイコールそこをギリギリ外した周辺の場所も守備側にとって危険なスペース。ストーンの前はまだストーンが前に出て対応出来やすいのですが、裏はどうしても対応しにくいので、そこに速いボールを入れて味方選手が飛び込むというのがCKでのセオリーの1つにもなっています。
なので同じマンツーでもストーンをはっきり2枚置いたりするチームもありますし、例えば京都だとキッカーの利き足を見てニアポストとストーンの中間ぐらいのポジションを取る選手と、ストーンの選手を置いたりする場合もあります。
ちなみにセレッソの場合はニアポストは完全にニアポストにポジションをとらせストーンは1枚という形にしていています。
またこの試合では立ち上がりからCKを奪われており、1本目は左サイドから山瀬がインスイングのボールで蹴り、その時はストーン周りに選手を集め、その中から一人だけイ・ヨンジェがバックステップしてファーに移動して外からファーに飛び込む本多と合わせて2枚で狙おうという形。(山瀬のボールが大きくなりすぎ合わなかった。)
2本目は右サイドから堀米がインスイングのボールでストーン前に低くて速いボールを入れ、そこにアンドレイを飛び込ませ、失点したのは3本目のCKです。

ただ、前半終了間際にセレッソが得たCK、丸橋のボールをソウザが合わせるも枠外となったものも基本的には狙っている場所は同じでソウザがフリーになっています。
CKの守備は完璧なものはなくどうしても一長一短があって何が良いかというのは一概に言えない所なのですが、京都はセレッソのCK守備の空きやすいポイントを発見し、良いキッカーで丁寧に狙ったという事なのでしょう。

■機能していない前半

早い時間に先制点を奪われたセレッソは失点直後からスグに攻勢をかけようとしますが、11分には石櫃のロングスローをアンドレイがスラしイ・ヨンジェがフリーでボレーシュートを放つという決定的な場面を作られてしまいます。しばらくは京都の攻撃を受ける時間が続きます。
そうなった1つは杉本のポジショニング。これまでのそうであったように杉本はどうしても前線の真ん中でとどまっていられずサイドに流れてしまうのでしばしばトップに誰も居ない状態になってしまいます。
そしてもう1つは開幕戦からひつこいほど言っている1列目の守備問題。
石櫃のロングスローにつながるまでの展開でも、2トップの間や横を簡単に何度も縦パスを入れられており、2トップの守備はもはや何も無いも同然の状態になっていました。

守備では簡単に前にボールを入れられ、攻撃では前にボールが運べないという展開が続き石櫃のロングスローで決定的な形を造られた後から、柿谷がマイボールの時の動きを変え、ボールを奪うと低い位置に降りてボールを運ぶプレーに参加するようになります。
リトリートを選択する京都
このセレッソの動きに対して京都は守備でリトリートを選択。自陣で4-4-2のブロックを作ります。
ちょっと京都のブロックが低すぎるかもと思わせる事もあったのはリードしている影響もあったのだと思われますが、セレッソが低い位置で人数をかけてボールを持つ様になるとスムーズにリトリートを選択し、またそのブロック形成が速かったのはきっちりと仕込んできたからなのでしょう。
石丸監督は試合後の会見で左右のSHを入れ替えたのは左サイドの攻撃を活性化する為と言っていますが、おそらく守備の事も考えての事だと思います。
普段の京都は両SHに逆足の選手を入れ、SHが中に入ってSBがその外側を上がるというのが攻撃の形。この形はスタートのフォーメーションである4-4-2からあえてポジションバランスを変える事で相手の守備を動かす事を狙っているのですが、逆に言えばボールを失った瞬間は自分たちも守備の形である4-4-2からは離れた状態になっているのです。

これは2010年から2011年にかけてのクルピ時代の3シャドーを思い出してもらうとわかりやすいかもしれませんが、クルピ時代の3シャドーはシャドーの選手があえてポジションバランスを崩し自由に動き、両SBも同時に前に出てくる事で相手のブロックを動かしていました。バランスを崩す事で相手のバランスを崩すという考え方です。
ただ、特に2011年に多かったようにそのバランスを崩す形が諸刃の剣となる可能性もある。
このシーズンはボールを失った時に主にSBの裏などをカウンターで狙われまくりました。
これはあえてバランスを崩していたからこそ起こっていた現象で、攻撃の時の形が守備の形から大きくポジションを動かしている。なので守備の形に戻るまでにどうしても一定の時間がかかってしまいそこを狙われていた訳です。

京都の話に戻りますが、石丸監督はいつもと異なりこの試合では両SHを利き足を同サイドに入れてきました。という事はSHが中に入る回数は減るわけで、SBが上がってきても近い位置にいる。という事は、ボールを失った瞬間でも普段より守備の形である4-4-2に戻りやすい形になっていたという事です。

セレッソは素早く作られる京都のこの守備ブロックに手を焼きます。
セレッソには相手の守備ブロックをチームとして広げる手段もなければ、崩す共通理解もないので当然といえば当然なのですが、ボールを持つ時間は増えるもののチャンスはほとんどつくれないまま時間がすぎていきます。
また京都がこの形を早い時間から徹底できたのは、前線にイ・ヨンジェというカウンターマスターがいるので、中盤でボールを引っ掛ける事ができて前にボールを出せばカウンターでチャンスを作れる可能性があるという判断もあったのでしょう。

30分頃からセレッソは強引に個人技から関口がシュートまで持っていく場面を作ったり、その後京都がDFラインが下がりすぎる現象がおき、33分にはセットプレーの流れから山下が飛び込む場面、42分にはショートコーナーから丸橋のクロスをソウザがヘディングシュートを放つ場面、アディショナルタイムにはカウンターでブルーノが個人で運んでシュートを放つ場面などを作っていきますが、京都の守備ブロックの前にどれもシュートを良い形で打てたとは言えないものばかり。
そして前半終了間際のアディショナルタイムのCKはソウザがフリーでヘディングシュートを放ちますが菅野がスーパーセーブ。
前半は0-1で終了となります。

■再び立ち上がりにセットプレーで失点するセレッソ

後半立ち上がりの48分。再びCKから失点します。
今度は左サイドからのCKでキッカーは左利きの堀米。前半とは逆にアウトスイングでのボールです。
アウトスイングのボールという事で関口がニアポストから少し離れたストーンと中間ぐらいの位置にポジションを取りますが、今度のボールが入ったのはストーンから少し離れた所。本多が丸橋に競り勝ってゴール。本多は身長はありませんが身体能力が高く結構ヘディングは強い選手なので競り負けてしまいました。

52分〜
この失点直後の52分、セレッソは関口に代えてリカルド・サントスを投入します。
この交代は2点目を奪われた直後とはいえ、まだまだ時間がある後半開始間もないというタイミングで、また下がったのが関口というちょっとわかりにくい交代でしたが、おそらくこの交代の理由はシンプルで、先ほどの失点が原因だと思われます。
先ほど本多に競り負けた丸橋ですが、これまでの試合ではマークをするという役割を担っている訳ではなく、関口が入っているニアポストを松田とサイドを変えながらやっています。
しかしこの試合ではリカルド・サントスがおらず代わってはいったのが高さのない関口。
それでCKから2失点しており、しかも2点目は丸橋という事で普段の形に戻したという事なのでしょう。
しかしその投入直後のCKで2失点目と同じ形で今度は杉本の担当だった菅沼がフリーでヘディング。枠をはずして事なきを得ますが、あまり関係なかった感じですね。

■菅野の隠れたファインプレーとPKでのスーパーセーブ

あとこのCK直後のプレー。TVには映っていませんでしたが、菅野が隠れたファインプレーを見せていました。
このCKの時に前線に残っていたのは柿谷。菅沼のヘディングシュートが外れた時に実はするすると後ろに残っていた石櫃と佐藤の裏に移動。ヘディングシュートが惜しかったこともあったのかこの移動にこの2人は全く気がついていませんでした。そこで菅野ペナルティエリア内から全力で走ってきて石櫃に裏に柿谷がいることを指示。キム・ジンヒョンは柿谷をめがけて思いっきりゴールキックを蹴りますが、石櫃は菅野からの指示で柿谷に気がついており戻り始めていたのでボールをトラップした柿谷に身体を寄せる事ができ、佐藤もカバーリングに間に合い、結果菅野が大きくクリアする事ができました。
この場面はキム・ジンヒョンからのボールを考えても柿谷が抜け出すことができていた可能性が高く、ここでもし1点を返していればその後セレッソがかなり勢いを持って攻め、京都の最終ラインが下がってしまう可能性も高かったので、菅野の隠れたファインプレーだったと思います。

56分セレッソはソウザからのふわっとしたボールを受けようとしたリカルド・サントスが下畠に倒されPKを獲得します。
この場面もそうですし前半から京都は最終ラインを下げすぎる場面がいくつもありました。
またリカルド・サントスは前線でとどまれる選手なので、下畠は身体の入れ合いに敗れボールをバウンドさせてしまった時点でかなり不利な状況となっていました。
しかしこのPKを菅野がセーブ。
リカルド・サントスのキックはタイミングを外し悪いシュートではありませんでしたが、菅野は残した足でボールに反応しました。

■何も起こせないまま過ぎていく

アンドレイのFKを丸橋が顔面でブロックした後あたりの60分頃からセレッソは柿谷と杉本のポジションを入れ替え、杉本とリカルド・サントスの2トップになる場面も増えてきます。
68分〜
68分、セレッソはソウザに代えて扇原を投入、京都はダニエル・ロビーニョに代えてエスクデロを投入。お互いそのままのポジションです。

セレッソは人を代えて状況の打開を狙いますが、京都のブロックに手を焼き縦パスを思うように入れられないのは人の問題ではないのでどうにかなるはずもない。
リカルド・サントスのPKの場面同様に京都のディフェンスは下がりすぎる事があるので、ブルーノ・メネゲウからのロングボールを杉本が落として柿谷がボレーで狙う場面や、扇原のロングパスから柿谷が前線で足下に収め、杉本がシュートを放つ場面を作るが、決められない。
そもそもそれは再現性の高い攻撃ではないので、個人技が炸裂しないとどうしても難しいという状況です。
78分〜
78分セレッソは茂庭に代えて田中を投入。京都はイ・ヨンジェに代えて有田を投入します。
京都の交代はわかりやすいものでしたが、セレッソの交代はちょっとわかりにくいものでした。
もしかしたら茂庭のコンディションに問題があったのかもしれません。
また京都のブロックを崩すためにボールを運べる田中を入れた可能性もあります。
投入直後は扇原とポジションの確認をしているので、2人が起点になるように考えていたのかもしれません。
ただ、投入後の攻撃も何がしたいのかわからないものだったのでそうじゃない可能性もあります。

ブロックを崩す形もなにもないまま前がかりになるセレッソ。京都もカウンターのチャンスをつり84分にはエスクデロ、山瀬と続けざまにシュートを放つもキム・ジンヒョンがスーパーセーブで追加点は許さない。
87分〜
87分に京都は堀米に代え、期限付きで3年間JFLでプレーしていた國領を投入。
そしてそのまま逃げ切り京都が0-2で勝利、セレッソは連敗となりました。

■その他

これまでも出ていた問題点がはっきりと結果につながってしまうという厳しい敗戦となりました。
プレビューにも書きましたが、これまではなかなか力関係的にそうはさせてもらえなかったものの、京都にとってはメンバー的にも監督としても本来こういう戦い方がやりやすいのかもしれません。

ただ、セレッソにとっては本当に厳しい試合でした。
やはりビルドアップで相手を動かすことができないし、相手を崩す形も無い。そして1列目の守備は機能しません。
前節初めて負けたのでこの試合に向け何か修正があるかもという期待があったかもしれませんが、初めて負けたのがたまたま前節なだけでこの問題点は勝っている時からずっと出ていたしその間に一切修正できていなかったので、メンバーは変えたものの根本的な問題点に修正が加えられなかったのはやっぱりという所かもしれません。
ただ、そんな中でも個人技を中心に強引にゴールに迫る場面は作っていたので、そういう所に期待していくという事になっていくのでしょうかね。チャンスの数だったり決められる可能性は低くなってしまうでしょうけど。
本心かどうかはわかりませんが、HTコメントによると前半は悪くなかったそうですし。
試合終了後のコメントはちょっと何を言ってるのか本格的にわからないです(苦笑)。



http://your-action-kumamoto.jp/


2 件のコメント :

  1. 今シーズン初めて観戦にいきました。
    もしこの日がセレッソ初観戦だったとしたら二度と来ないと思うような試合内容でした。

    Akiさんが毎回指摘されてるように、ビルドアップのかたちがないので、攻撃のスイッチの入る瞬間がなく
    ボールを持 ってから受ける相手を探す、
    パスがカットされる、バスがずれるの繰り返し。
    とにかく90分間ワクワクする瞬間がなかったのが一番辛かったです。

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    返信
    1. コメントありがとうございます。
      確かにそうかもしれませんね(苦笑)
      チームとして何をしようとしているのかが見えないというのが一番つらい所です・・・

      削除

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