- 46' エウトン
スタジアム | キンチョウスタジアム | 主審 | 村上 伸次 |
入場者数 | 10,719人 | 副審 | 中野 卓、川崎 秋仁 |
天候 / 気温 / 湿度 | 曇一時雨 / 20.6℃ / 60% | 第4の審判員 | 大西 保 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 大熊 清
- 監督
- 関塚 隆
試合経過
-
90+2'
-
90'
- 80'
-
73'
- 46'
- 46*'
-
38'
-
32'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 8 | 9 | 12 | 11 |
CK | 6 | 5 | 4 | 4 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 19 | 7 | 13 | 11 |
警告/退場 | 0/0 | 0/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 大熊清監督ジェフユナイテッド千葉 関塚隆監督
セレッソ大阪 ソウザ選手、丸橋選手、ブルーノ・メネゲウ選手、リカルド・サントス選手
ジェフユナイテッド千葉 近藤選手
ジェフユナイテッド千葉 吉田選手、エウトン選手
前節の金沢戦で引き分け開幕からの連勝が4で止まったセレッソだったが、本拠地キンチョウスタジアムで昇格争いのライバルとも目されるジェフユナイテッド千葉に2-1で勝利。無敗記録を伸ばし単独首位となった。
■メンバー
セレッソは前節途中交代した茂庭が結局左足モモ裏の肉離れとなり離脱。ここまで全試合同じ先発メンバーだったが、この試合では茂庭に代わりCBにはSBが本職でありながらもプレシーズンからCBでも試されてきた田中。
またその田中のポジションはキャンプから左CBに入る事が多かったのですが、この試合での田中は右CB。山下が茂庭と組んでいる時同様に左CBとなっていました。またベンチにはSBのバックアップとして椋原、ボランチのバックアップとして扇原が入っています。
一方の千葉は前節のメンバーから1人を変更。これまで2トップの一角として好プレーを見せポジションを掴んだかに見えた吉田眞紀人でしたが今節はベンチスタート。前線で船山とコンビを組むのは2節以来4試合ぶりの先発出場となるエウトンが入っている。
吉田ではなくエウトンとなったのは高さや強さの問題でしょうか。
■機能しない千葉の守備
立ち上がりの数プレーはお互い長いボールを多用する姿勢を見せ両チームとも慎重に入るのかと思われたが、5分頃からセレッソがボールを繋ぎ始めると千葉を圧倒。8分には中盤で杉本とのワンツーで千葉の最終ラインと中盤の間にフリーで前向きにボールを受けた柿谷からのスルーパスでリカルド・サントスが左足でシュートを放つも惜しくもポスト直撃。またその跳ね返りのボールを柿谷がダイレクトで押し込もうとするも枠を外してしまったがセレッソが決定的な場面を作る。
そしてさらに直後の9分にはセレッソのサイドチェンジに阿部が喰い付き、松田から阿部の裏にいる杉本へスルーパスを送り、杉本の折り返しを柿谷がシュート。
そのシュートはイ・ジュヨンにブロックされてしまったが、それで得たCKからこぼれ球を田中が振り向きざまにボレーで右足を振りぬく等次々に決定的な場面を作り、もはや圧倒的なセレッソペースとなっていきます。
そうなっていった最大の要因は千葉のディフェンス。
4-4-2の守備ブロック |
セレッソがボールを持つとここから4-4-2でセットするのですが、まずその2トップがパスコースを切るのか、それとも相手がどこかまで入ってきたらプレッシャーをかけにいくのか、などが全くはっきりしない。
CBからSBへボールが出たり、ボランチが1枚最終ラインに降りてボールを動かすと横にスライドするのですがただ行くだけ。
そして2トップのラインより後ろにボールを運ばれるとそこで終わり、プレスバックもなし。
なので4-4-2でセットしているものの1列目の守備は皆無に近い状態です。
1列目の裏でフリーでボールを持てる |
そしてそこにボールを運んでも千葉の2列目が前に出てプレッシャーをかけに来る訳でも無い。
よくCBからボールが出た所で一気にボールホルダーに対してプレシャーをかけて時間とスペースを奪いにくる守備をするチームもありますが、そんな様子はありません。
ボールを持っているセレッソの選手が時間もスペースも十分あるフリーな状態でボールを持っているので、寄せると出て行った後のスペースを使われる、また飛び込むと外されるという事を警戒している面もあるのだと思われますが、簡単にいえば守備のスタート地点がはっきりしていないという状況でセレッソは千葉の1列目と2列目の間で時間とスペースを十分与えられた状態でボールを持つことができていました。
ここで自由にボールを持てるとなんでも出来ます。味方の動き出しを見て自由なタイミングでボールを入れたり、相手にドリブルでつっかけて動いた所でそのスペースにパスを出したり。
また千葉の守備陣が唯一しっかり捕まえていたのは最もゴールに近い位置にいるリカルド・サントスなのですが、リカルド・サントスもここで逃げずに千葉のCBを引っ張ってくれるので、2列目を喰いつかせると2列目と3列目、MFとDFラインの間にスペースができ、そこに単純なワンツーで侵入したりとやりたい放題の状態。守備はゾーンであろうとなんであろうとボールホルダーにプレッシャーをかけるのが前提なのですが、それが全く出来ていなかったので千葉の守備ブロックは全く機能していませんでした。
また千葉の守備ブロックが機能していないと言うことは、ボールを奪えても押し込まれた低い位置だったり、不利な体制だったりするので、セレッソはボールを奪ってから高い位置でプレッシャーをかけやすい状態になっており、またそのプレッシャーによって千葉は無理めのロングボールや縦パスを入れるしか無い様な状態になっていたので攻撃に関しても全く機能していないという展開です。
20分すぎぐらいから、おそらくプレーが切れたタイミングで関塚監督から1列目と2列目に守備の指示が入ったんだと思われますが、それまでよりも少し1列目のスライドが早くなり、2列目が人に喰いつくようになりますがグダグダなのは変わらず、32分にブルーノ・メネゲウからのCKを、一度ソウザがニアで合わせますが当たりきらず、流れたボールを山下が詰めるもクロスバーに当たりますが、それをさらにソウザが頭で押し込んでゴール。ソウザと山下のヘディングでのワンツーみたいな形でセレッソが先制します。
さらにその6分後の38分には丸橋のFKからソウザが再び頭で合わせて2点目。
千葉に対してはこのセットプレーの高さはアドバンテージとなる事は明確だったのでそれを活かして2-0とリードを広げました。
その後千葉は流石に2点ビハインドで前がかりになってかボールを持って前に出てくる場面が続きますが、千葉の攻撃は事前に予想されたとおりセレッソの守備陣を動かす様な攻め方をしてこないので、1つ43分頃におそらく山下とソウザのコミュニケーションの問題が原因で船山にSBとCBの間に飛び出された場面以外はピンチらしいピンチもありませんでした。
■修正した千葉
後半開始〜 |
右SHの小池に代えて吉田、前半終了間際におそらくモモ裏を痛めた山本に代えて富澤を投入します。
そして後半開始直後の46分。立ち上がりから積極的に入った千葉に対して、セレッソのスローインを跳ね返されたボールに対してボールを取りきれないでいると逆サイドに飛び出したアランダがフリーになり、その折り返しをエウトンに決められてしまいます。
このシーンはセレッソの自陣でのスローインという事で縦に長いボールを入れるのがわかりきっていたのでセレッソは左サイドに大きく寄っていました。
そしてそのボールからのこぼれ球がごちゃごちゃした状態になり一旦杉本が奪いかけたので松田が完全にボールウォッチャーとなってしまい、サイドに飛び出したアランダへの対応が遅れています。
前半のダブルボランチの組み合わせは山本真希とアランダでアランダが後ろ目の役割となっていたのですが、富澤が入った事によりアランダが前目の役割に変わっていた事もあります。
ただ、ちょっとお粗末な守備になってしまいました。
後半の千葉は簡単に言えば両SBが高い位置を取り前がかりになりました。
ただ、その仕組みはチームとしてどこまで仕込まれていたのかはわかりませんが、富澤がマリノス時代によくやっていた動きに近いものでした。
富澤が落ちるビルドアップ |
それによって、前半は左サイドの長澤のみが中に入ってくる動きを見せていましたが、右サイドでも吉田が中に入ってセレッソの4-4-2の2列目と3列目の間にポジションをとって来ます。
セレッソにとってコレが非常に厄介でした。
このビルドアップの形は、前節金沢が取ってきた3-1-4-2のフォーメーションと同じなんですよね。
前節の金沢戦でも金沢相手にボールポゼッションで劣った様に、この中に入ってくるSHと外から上がってくるSBをセレッソはどうしても捕まえられません。
前節の金沢戦でも書きましたが、中に入ってくるSHをSBは受け渡したい、けどボランチは目の前にアランダがいるので受けてしまうとアランダが空いてしまう。またビルドアップで前にボールを運ぶと富澤も出てくる。しかしSBはそうは言っても渡さないと外から千葉のSBも出てくる。
セレッソの守備は4-4-2の形ですが基本的に人につく形なのでどうしてもどこかで後手になってしまいます。
またそうなるとさらに出てくるのがセレッソの守備で1列目が機能していないという問題。
前半は前から単純にプレッシャーに行けばよかったのですが、相手がビルドアップで3バック化して追いきれなくなるので単純に前に出て行く事が出来ません。
となるとセットして役割と守備のスタート地点を決めてとなるのですが、2節の水戸戦でも書きましたがこの2人がどうやって守るのかが曖昧です。
その結果セレッソは押し込まれることになり、押し込まれると今度は前半にセレッソがやっていた様な単純に前からプレッシャーをかける守備が千葉の方が機能しやすくなってきます。
その結果試合のペースは完全に千葉となりました。
62分の千葉の攻撃で長澤のクロスに逆サイドからSBの多々良が飛び込んだ場面なんかは前半にはありえない攻撃の形です。
ただ、この千葉の形はビハインドもあってリスクとる形でもありました。
なのでボールを奪った時にSBの裏を取れればチャンスになります。
50分に丸橋がシュートを放った場面や52分にリカルド・サントスがシュートを放った場面は千葉の左SBである阿部の裏が取れたからでした。
73分〜 |
おそらくこれは結局SHが引っ張られて守るしかないサイドの守備とSBの裏を突きたいという事だったのでしょう。
SBの裏ではありませんでしたが、投入直後の75分には左サイドから右に展開して関口のクロスをソウザがシュートするもイ・ジュヨンにブロックされる場面を作ります。
80分〜 |
最終メンバー |
そしてそのままセレッソが2-1で逃げ切りに成功。開幕からの無敗記録を6に伸ばす事に成功しました。
■その他
前半はセレッソのゲーム、後半は千葉のゲームという試合でした。
それはそれぞれのチームの良さが出たという一面もありますが、それぞれのチームの問題点が出たという事でもありました。
セレッソは後半押し込まれる場面も長かったので、そうなるとどうしても本職ではない田中のCBでは厳しくなってしまう場面も出ていたのですが最後は身体を張って止める場面も何度もありましたし、またCKからフリーのエウトンの頭に合わされた場面や壁パスで船山が抜けだした場面ではキム・ジンヒョンのスーパーセーブで事なきを得ることが出来ました。
押し込まれていたので中澤を投入してラインを落として守りきるという判断もあったとは思いますが、もしその判断をしていたら最後の山村の交代はできなかったので、結果的に難しい判断を我慢して正解でした。
ただ結果が出ているとはいえ、この試合も含め問題点は開幕からずっと同じなので何とかならないものかとは思わざるを得ません。
■攻めながら決められない理由
この試合だけの事ではないのですが、この試合でも前半の2ゴールはいずれもセットプレーから。もちろんセットプレーからの得点に問題があるわけではないし、今季は高さもあるチームなので大きな武器の1つで良いし、それでじゃんじゃん点が取れれば全く問題ではないのですが、実際のところ大熊監督になってからは、どちらかといえばセットプレーの得点が増えたというよりもセットプレー以外での得点が減ったという感じになっており、正直な所、セレッソの攻撃で攻め込んでもゴール前でグダグダになったり、シュートをミスしたり、結局ミドルシュートしか打てなかったりという場面が特に今シーズンはよく見ることになっています。
それは、攻撃の形、ビルドアップからシュートに持っていく手順が無いからなんですよね。
手順が無いから、シュートに持っていくための形は、選手個人のアイデアや閃き、即興で成り立っています。しかしそのアイデアは言い換えれば思いつきで、それを短い時間しかないその場その場で思いついているからどうしても確率が下がってしまうし、ミスが増えてしまいます。
実際選手の個人技であったり自主性は、手順を作る事と相反するものではなく、もっといえば選手の得意な形を活かすためにこそ作るし、だからこそミスも減るという考え方がもやはスタンダードになってきていると思うんですが…
こういう部分は「連携」という便利な言葉でまとめてしまいがちですが、正体はそういう事なんだと思っています。
先日、「実際のプレー中に選手はどこまで考えてやっているのか」という話しをしていたので、最後に少しだけ余談となりますが書いてみました。
レビューお疲れ様です。
返信削除しかしなぜ、攻撃の形を作れないんでしょうかね。
態々言うまでもないですが、何でもかんでも「監督の所為」とは思えません。J2と天皇杯取っているお方ですからね。何にもできないというのはまずありえません。
J1大宮時代はイマイチでしたが、J1とJ2は何もかも違うなんてことは言うまでもないこと。
しかし、今日の試合展開を見ると選手は監督の言葉を真面目に聞いてるのか?と疑いたくなります。監督がハーフタイムに言ったことすらも守れてないですし。
いずれにせよ、選手にはもうちょっと考えてプレーして貰いたいですね。
あと決定機を外しすぎなので、それも改善して欲しいです。ポストに当ててしまうのは監督を言い訳に使うことはできません。
コメントありがとうございます。
削除何でもかんでも「監督の所為」とは僕も思いませんが、攻撃の形を作れないのは「監督による所」が大きいと思いますよ。
また、おそらく監督は特別それが必要だとは考えていないじゃないですかね。
個人的には、今のサッカーの流れを考えると、組織対個人といった構図なんかは存在しないですし、むしろ相互関係をいかに高めるかといった所に進んでいると考えていますので例えば攻撃の形も必要だとは思っていますが、結果を残すためにそれが絶対に必要なものかといえばそうでも無いわけですし、監督はそこを重要視していないのではないかと感じています。
いつもレビューありがとうございます。
返信削除監督には規律を求めるトルシエのようなタイプと自由を与えるジーコみたいなタイプがいると思いますが、大熊監督は後者のようですね。特に攻撃に関しては選手個人の閃きやアイデアに任せるといったところでしょうか。
個人的には日本人は型にハマったサッカーの方が向いているが対策されると何もできなくなりやはり上を目指すのであれば、自由なサッカーが良いと思うのですが。それには戦略眼に長けたピッチ上の監督のような存在が必要になってくると思うので、今のセレッソのメンバーを見ると難しいのかもしれません。
何にしろ今の監督のままでは、やり方は変わらないと思うので選手が話し合って攻撃のパターンをいくつも作れればいいですけどね。
とりあえずリカルドは外して玉田、柿谷の2トップ、二人とも自由に動き回らせて0トップのような形でやってみるのはどうかなと思うのですが。
今の形だと柿谷が下がってビルドアップに参加しないとなかなかボール運べないですし、そうなるとリカルドが孤立して当ててもうまく繋げない。
今のメンバーのままうまくいく気がしないんですけどねえ。
コメントありがとうございます。
削除監督のタイプで規律と自由というのはよく言われますね。
ただ、現在のサッカー界の流れはもはやそのどちらか二者択一という事ではなくなっていると個人的には考えています。
また日本代表なんかを見ていても感じることですが、戦術的な戦いをすると型にハマってしまうし、個人に任せるとブラジルワールドカップ本大会やドイツワールドカップの様なチームにしてしまう。なのでどちらが向いているというより、どちらも足りないから両方少しづつでも上乗せしていかないといけないと考えています。
あと玉田と柿谷の2トップは個人的にも見たい所ですが、自由にやらせるのはダメだと思いますよ。
玉田と柿谷の2トップになっても今のままだとビルドアップにどちらかが下がる事になるので、結局どちらかが前で孤立するか、どちらも下がって前に誰もいなくなるか、のどちらかで攻撃出来なくなってしまう未来が目に浮かんでしまいます(苦笑)。