- 82' 稲本 潤一
-
スタジアム | 札幌ドーム | 主審 | 今村 義朗 |
入場者数 | 21,640人 | 副審 | 塚越 由貴、細尾 基 |
天候 / 気温 / 湿度 | 屋内 / 22.8℃ / 44% | 第4の審判員 | 佐藤 裕一 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 四方田 修平
- 監督
- 大熊 清
試合経過
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85'
-
82'
-
78'
- 75'
-
71'
- 69'
-
65'
-
45+2'
-
14'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 9 | 13 | 13 | 12 |
CK | 4 | 6 | 5 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 12 | 15 | 10 | 13 |
警告/退場 | 3/0 | 1/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 大熊清監督北海道コンサドーレ札幌 四方田修平監督
セレッソ大阪 杉本選手、柿谷選手、ブルーノ・メネゲウ選手、リカルド・サントス選手、ソウザ選手
セレッソ大阪 田中選手、関口選手、山下選手、キム・ジンヒョン選手
北海道コンサドーレ札幌 ク・ソンユン選手、内村選手
北海道コンサドーレ札幌 稲本選手、宮澤選手
開幕から8試合連続無敗で迎えた第9節となったアウェイ札幌ドームでの北海道コンサドーレ札幌戦は0-1で札幌が勝利。セレッソは2009年同様開幕からの無敗記録を9節の札幌ドームで止められることとなった。
■メンバー
セレッソの先発メンバーは前節と同じ11人。ベンチでは怪我で離脱していた茂庭が復帰し、前節からは椋原が外れている。一方の札幌は堀米が3試合ぶりに先発復帰し、福森が最終ラインに落ちる3-4-1-2。
前節山形戦の後半の戦い方に手応えを感じたか、前線はその後半の組み合わせであるジュリーニョがトップ下に入り、今季初先発となる内村が都倉と2トップを組んでいる。
■セレッソがボールをもつ前半
前半は立ち上がりからセレッソがボールを保持し攻めこむ時間が増えていきます。札幌の守備陣形 |
この形は最近3バックを使うチームで良く使われているやり方で、最終ラインのCBにまでは追いかける事はしないものの、最終ラインのボール回しに対して前線の3人がスライドしてSBやボランチにボールが入れば激しくプレッシャーをかけにいく、また2ボランチ脇のスペースに関しては最終ラインに入ったWBが前に喰い付いてプレッシャーをかける。と言った形で使われており、最終ラインは5人いるので1人が前に喰いついても4人が残っているので安心、むしろどんどん喰いついていけという様な計算になっています。
なので構えた所から一気にプレッシャーをかけにいく迎撃型プレッシングとして使われているのが一般的です。
それを踏まえてこの試合の前半を振り返ってみましょう。
この日の札幌は守備のスタート地点が低く設定されていたんだと思います。
「思います」というのは低いってだけでなく、それ以上に立ち上がりは札幌の前線の守備が曖昧になっていました。
これはセレッソにも言えることですし、例えば群馬や千葉もそうでしたが、前線の守備の指示が「行け」と「行くな」しかまるで無いように感じるほど、守備のスタート位置が下がった時に前線の守備が何もしていない状態になってしまいます。
前線の3人は一応スライドはするものの簡単にそこをボランチが縦関係になったり、サイドに出して間に合わないと簡単に一列目の守備を通過させてくれるので、セレッソは札幌の一列目の守備の制限を受けない場所でフリーで前向きでボールを持つことが出来る場面が多数見られました。
ダブルボランチ脇のスペースを使う |
杉本とブルーノ・メネゲウの両サイドが前にいるので堀米やマセードの両WBは札幌のダブルボランチの両脇にあるスペースを前に出て潰しに行くことができない。なので柿谷が下がったり、ボランチが出てきたり、SBが上がったりして簡単にここを使うことが出来る。
ここでボールを受けられるとダブルボランチが動かざるをえなくなるので、そうなると真ん中にもスペースが出来る場面が増えるという札幌にとってあまり良くない状況となって行きます。
これでセレッソは前半の立ち上がりから札幌ゴール前にボールを運ぶ回数が増え、何度もFKも獲得。
23分の状況 |
こうやって前半は立ち上がりからいい形でボールを持つことができていたのですが、千葉戦と違っていたのはセットプレーで決めることができなかったということ。
セレッソの攻撃はボールを持って運ぶわりには再現性が低く、毎度書いているようにその場その場の思いつきアイデア求む状態。
なのでスペースが被ってしまったり攻め切れない場面も多く、ボールを失う事も増えるので、チャンス自体はそれほど作れていた訳ではありませんでした。
そして30分過ぎ頃から札幌は前線の守備を少し改善してきました。
最初にCBにまで行かないのはそのままで、守備のスタート地点が前に出たわけではありませんでしたが、ボールの受け方が悪かったり、バックパスや2度目3度目のパスの時には立ち上がりには行かなかった場所にまでプレッシャーをかけにいく場面が見られ始めます。
これによって立ち上がりに比べ中盤で引っ掛けられる事も増えていきます。
そうなると完全に札幌を押し込められなくなる時間も増え始める。そして押しこむことができている時は素早い攻守の切り替えで高い位置での守備や相手のカウンターに対しても後ろで1対1の対応で札幌の攻撃の回数を減らすことができていたのですが、押し込められなくなると前線で規制できない守備の問題点が出てき始め、札幌にゴール前までボールを運ばれる場面も増え、CKから増川がヘッドで合わせる場面や、ジュリーニョからのクロスを都倉がシュートに持ち込もうとする場面、終了間際にはジュリーニョが個人技からシュートを放つ場面等も見られるようになっていました。
■オープンな状況に
0-0で迎えた後半、驚く事に立ち上がりの早い時間からオープンな試合になっていきます。前半から少しその傾向は見られその時は一時的なものだと思っていましたがそうではなかったようです。
前節北九州に対して最後は5バック、いやそれ以上の6バックに近い形にされたということもあって、セレッソはこの試合でもその可能性を警戒して必要以上に早い時間に点をとらないとと考えたのかもしれません。
間延びしたオープンな展開に |
札幌のシステムは5-2-3なのでこうなると両WBが下がり中盤にスペースができやすく、また中盤はセレッソは柿谷を含めた3人に対して札幌は2人なので、ボールホルダーがフリーでなりやすい。なので簡単にボールを運べるのですが、例えばここからペナ角を取るとかいった狙いもないので、当然そこからの動きのパターンやバリエーションなんかがあるはずもない。
なので上がってきたSBをクロスを上げるか、中央で柿谷、山村、ソウザの3人がアイデアを見せるしか無い。
ただ、クロスに関しては札幌はWBがいるので中で3人待っているだけではなかなか難しい。
そうなるとセレッソがシュート迄持っていく為に何か出来る場所は中盤のセンターのみ。そしてここではジュリーニョに対してセレッソはボランチ、主にソウザが見る場面が多い事もあり、札幌は守備の時にジュリーニョがソウザについて中盤に入る場面もあって常に数的有利という訳でもない。
というかピッチはこれだけ広いのに、人数が集まっている中央の狭い場所でしかプレーしないといういびつな状況になっていきます。
その結果ここでボールを奪われるとセレッソも完全に間延び状態。
後半の立ち上がりにして、まるで試合終了間際の様なお互いのゴール前にボールが行き来するオープンな状況となっていました。
この状況は札幌にとっても決して良いものではありません。
50分にはセレッソが4対4の状況でボールを運ばれゴール前でブルーノ・メネゲウの前を思いっきり空けてしまいシュートを放つ場面を作ります。
この場面でのブルーノ・メネゲウのシュートはヒットせずソンユンがキャッチ。この場面はその後の展開も含めてセレッソにとってこの試合で最も大きなチャンスでした。
というのもこの場面札幌は最終ラインから福森が前線に出た後に奪われてからのカウンターだったのですが、札幌はこの後リスク管理を徹底。
セレッソは間延びしているので前線に3枚残すことはチャンスにつながるのでそれは変えず、最終ラインから攻め上がった時にはボールを失ってカウンターを受けることも考慮して速く攻めて行くのではなくボールを繋いで全体で上がっていく。
一方速く攻めれるときは少ない人数で攻めることを徹底してきました。
もちろん札幌も前線に3枚攻め残りをしていることも多いのでセレッソが札幌のゴール近くまでボールを運ぶ場面も作りますが、これにより後半は札幌がチャンスを作る場面も激増。
押し込んだ形では、57分のジュリーニョのクロスに都倉が合わせる場面や、62分の福森がFKを放つ場面、縦に速い攻撃では64分のCKから内村が裏に飛び出す場面などチャンスを作っていきます。
71分〜 |
一方の札幌はマセードに代えて上原を投入。
ここはそのまま入れ替えです。
78分〜 |
一方の札幌は深井に代えて稲本を投入。こちらもそのままのポジションで入れ替えです。
この一連の交代を見てわかるのは札幌はボールは運ばれるもののこの状態で収支がプラスになると判断している所。一方のセレッソはプラスと判断しているのかどうかはわかりません。
ただ、玉田がボールを持った時には中に入っていってDFラインの前でボールを持てるので、79分にあった玉田が中央でボールを持って、隣の山村に出した所で前にぬてけていく松田へスルーパスを出した場面は、スルーパスが長くなりソンユンにキャッチされたもののここまでにない可能性を感じさせる崩し方でした。
しかし直後の82分、関口とポジションを入れ替えた玉田から中央に柿谷へパスが入り、そのボールをダイレクトでソウザに落とそうとしたものの、そのボールが短くなってしまい稲本がカット。
そこから都倉のポストプレーを経由してジュリーニョが右サイドで走る内村へ。
内村が中央に向かってドリブルすることで自分の前のスペースを開け、そこに飛び込んだ稲本にスルーパス。それを稲本がスライディングしながらシュートを放ちゴール。
札幌が先制しました。
直接的な発端は柿谷のパスミスからでしたが、札幌がずっと狙っていた、収支がプラスになると判断していた所での攻撃でした。
85分〜 |
櫛引は3バックの左に入り福森が左のアウトサイドに、堀米が1つ前にでて都倉も右サイドに入る5-4-1に。徹底的に守るフォーメーションです。
一方のセレッソも同時に田中に代えて澤上を投入。リカルド・サントスを下げてどうしても中央にいられない杉本を1トップにしたことで澤上投入と同時に山村を前線に上がるように指示します。
ここから繰り広げられるのは前節同様可能性の低いロングボール大作戦。
前線に澤上、山村、杉本の3人がいて、両サイドに玉田と関口+両SB。ただロングボールに対してチャンスとあらばソウザと山下も上げる。
となると必然的に柿谷が後ろに下がることとなり、丸橋、松田と共に低い位置からの砲台に。
ジュリーニョが試合終盤にも関わらずロングシュートを放ってくれたりしたのでセレッソは思っていた以上にロングボールを放り込むことはできたものの、前節の北九州ほどゴールに近いサイドの位置までボールを簡単に運ばせてもらえるはずもなく、また高い選手をとにかく前に出し最後にはキム・ジンヒョンも上げたもののセカンドボールをどうやって拾うのかという狙いもわからないまま試合終了。1-0で北海道コンサドーレ札幌が勝利となりました。
■その他
開幕からなんとか勝利を重ねていたもののここでついに敗れてしまいました。開幕からずっと同じ問題点を抱え、コントロールできていたゲームは殆ど無かったのでしょうがないですね。いつかはこうなってしまいます。
ここまでを例えるなら、基礎学力を上げるような勉強をほとんどせずに、比較的頭の良い人を集めてざっくりとした傾向を伝え、本番の時に体調がよくなることを考えて試験に挑んでいたって感じですからね。
例えば後半の間延びした状態は、特に何かをするわけでもなく時間を過ごし選手を投入していましたがどう捉えていたのでしょう。「結果的」に「自分たちのミスから向こうのリズムを作ってしまった」訳ですが…
コメントでも「今年は内容よりも結果」といったものもいただくことがありますが、「内容」って別に「美しい」とか「楽しい」とかってことではなく、「効果的」という意味が近いので、結果を得る為には内容が必要だと僕は思っています。
そういう意味でここまでは内容に乏しいものばかりでした。
しかし、HTコメントで出している「追い越す動き」も何をどうしたいのかがよくわかりませんが、終了後の会見は全体を通してどうしたいのか僕にはよくわかりません。
的確な分析ありがとうございます。失点に繋がった中盤戦。監督はミスによる自爆としか捉えてませんが、私もご指摘同じく「選手の遊兵化」が問題だったと思うんですよね。攻めの形が分からないからボールを持っていない選手がどこにいるべきかはっきりしない。だから実質の参加人数が少なくなる。その繰返しがセットプレー以外機能しないチームになったんだと(これすら効率的に機能しているか疑問ですが)。今からセレッソを機能させるには、どういうチームワークが必要とお考えでしょうか?
返信削除コメントありがとうございます。
削除そうですね。あと付け加えると、この形って無理をすると戻るべき場所から離れてしまう事も増えるのでカウンターをバンバン受けかねないからそれもちょっと嫌だなあと思っています。
残念ながら今のところ大熊監督にそこを何とかしようとする気はなさそうなので、何でも良いから1つ必殺の形が欲しいんですけどね。曜一朗の裏抜けなんかはその1つになる可能性はあるのですが、それもやらなさそうなんでやっぱセットプレーぐらいしか無いのかなあ(苦笑)
セレッソサポではないですがよく拝見させていただいてます。結果が出ているチームの分析をすると内容より結果だという人は出てきますよね。内容のない結果には再現性もなく、継続性もありませんので、内容とはきちんと向き合わないといけないと思います。
返信削除コメントありがとうございます。
削除セレッソサポ以外の方に見ていただけるとより嬉しいです(笑)
内容は結果で証明していかないといけないという関係にあると思っているので、もちろん結果は大切なんですが、その逆、結果が内容を表すって事は無いと思っています。
それに、せっかくサッカーが好きでいつも見ているんだから結果だけでしか見ないってのはもったいないですしね。
いつも分析ありがとうございます。
返信削除文章から試合分析する辛さが伝わってきます。
去年の何度も出た奥行き、横幅が懐かしいです。
もう試合内容を考えると嫌になるので、この2試合結果の出ない原因は
北九州戦前に行った選手主催のBBQと思ったりして現実逃避してますw
コメントありがとうございます。
削除今シーズンはなかなか難しいです。
この前J2はJ2のサッカーがあるって感じのナンバーか何かの記事が出てましたけど、
1年ガッツリやった感想としては、J2はJ1以上に上と下の戦力差が大きいんだけど、J1以上に戦力的に劣るチームが勝ち点1を拾うのに徹底した戦い方をしてくるリーグだなあと感じています。
それだけに内容で対抗していかないといけないと思うんですけどね。
くそ!BBQのヤツめ!(笑)
はじめまして。フラッ太と申します。
返信削除コンサドーレのサポーターズブログ内でのたくっている俗に言う戦術厨です。
とてもわかりやすいレビューで非常に参考になります。
5-2-3でセットするとどうしたって2のところがつらくなる。
だから押し込まれるとセカンドボールが拾えずに苦戦するという認識でいましたが
なるほど、SHにWBが押し込まれてしまうと必然的に人数も足りずスペースも埋められずで
4バックの相手だとSBも攻撃参加してくるのでさらにつらくなる。
ソンユンが間一髪間に合いましたが、松田に抜け出されたときには「やられた!」と思いました。
コンサは高さのある選手が多く、単純なクロスの空中戦や放り込みでは勝ち目は薄い。
だから関口を入れるのはわかるんですが柿谷が出し手になってしまうのはどうなのかなあ、と。
柿谷を前に出してしつこく地上戦を仕掛けられたほうがコンサにとってはイヤだったでしょう。
J2はJ3への降格を避けるため勝ち点3を与えないかわりに勝ち点1でももぎ取るという試合になりやすく、
それ故に勝ち点3を取るのはどこが相手でも大変です。結果オーライではすぐに息切れしてしまう。
そのあたりがJ2の難しさであると同時に面白さでもあり、だからこそ内容にこだわる必要があると思います。
事後報告ではありますが、つきましてはこのブログを引用させていただきたく存じます。
長文失礼しました。
コメントありがとうございます。
削除ブログはもちろん引用していただいて構いませんので、じゃんじゃん使ってやってください。
去年5年ぶりぐらいにJ2を1年間戦って、
「J1よりも上と下の戦力差は大きいけど、J1よりも勝ち点を拾うための戦い方を徹底してくる」
という印象を強くもちました。
J2のレベルが上がったということの正体はそういう事なんだなと。
今のセレッソについてですが、開幕から同じ問題が一切改善されていないという状態で、正直かなり前途多難です。
一応は札幌戦の敗戦が今シーズン初めての黒星でしたが、負けてもおかしくない試合が続いてましたからね。。。