2017年10月14日土曜日

明治安田生命J1リーグ 第29節 vs サガン鳥栖 プレビュー

2017年10月15日 17時00分:ベストアメニティスタジアム

予想スタメン

国際Aマッチウィークを終え、この試合を含めてラスト6試合。いよいよシーズン終盤となる明治安田生命J1リーグ第29節、セレッソ大阪は敵地ベストアメニティスタジアムでサガン鳥栖と対戦となる。


■前回の対戦

今シーズンはリーグ戦とルヴァンカップのグループリーグで2度の対戦があるサガン鳥栖。
まず最初に行われたのは3月18日にキンチョウスタジアムで開催されたリーグ戦第4節。山村の今シーズン初ゴールで1-0とセレッソ大阪が勝利している。

山村が前線で先発を掴んで2試合目となるこの試合のセレッソの布陣は4-4-2。左右のサイドハーフは柿谷と清武となり、ボランチ以下はいつものメンバー。しかしGKはキム・ジンヒョンが腰痛で離脱していたため、丹野が務める事に。またベンチにはミッドウイークのルヴァンカップで活躍した木本と丸岡がリーグ戦で今シーズン初のベンチ入りを果たしていた。

一方の鳥栖は、フィッカデンティ監督が東京時代から使っている4-3-1-2。直前に加入が発表されたビクトル・イバルボが初先発となり、豊田と2トップを形成。トップ下には夏にドイツに移籍した鎌田。中盤の3センターには福田、高橋、原川が入り、最終ラインは右から藤田、キム・ミンヒョク、谷口、吉田。GKは権田が務めている。
またベンチには、この後5月にU-20ワールドカップに出場した田川やチョ・ドンゴンが入っていた。

前述の様に、この試合でリーグ戦今季初ベンチ入りとなった木本は山下が負傷交代となったことで開始7分にCBとして交代出場。ルヴァンカップではボランチとして出場していたので、CBとしては今シーズン初出場。昨シーズントップチームでの出場はソウザと交代でボランチとして投入された長崎戦1試合のみ。23試合に出場したU-23でもCBだったのは2016年4月16日の長野パルセイロ戦の1試合のみだったので、公式戦としてはほぼCBデビュー戦と言える状態だった。
しかし、その木本がヨニッチと共に安定したプレーを披露。イバルボのコンディションはまだまだという感じだったが、豊田や途中出場となったチョ・ドンゴンを完封してみせた。

ただ、この日の守備は個々がというよりも組織的に機能していた。
4-4-2のブロックは縦にも横にもコンパクトな状態を維持。柿谷と清武の両SHは中央に絞ることで鳥栖のインサイドハーフ福田と原川にプレーするスペースを与えず、またインサイドハーフの外側にいるSBにボールが出るとブロック全体がスライドすることも徹底できていた。
ポジションの特性上、SBとCBの間、トレーラーゾーンやハーフスペースといわれる場所に入りやすいインサイドハーフの原川に一度このゾーンでボールを受けられ危ない場面もあったが、それ以外はきっちりと防いでみせた。
一方で攻撃面ではSBとSHによる縦への攻撃が機能。3センターの鳥栖にどうしてもできる両サイドのオープンスペースを巧みに使いボールを前進させる事に成功していた。
先発でコンビを組んだのが2試合目ということもあり、杉本と山村の役割分担が整理できていない面もあったためフィニッシュまで持っていくことが出来ない時間帯もつづいたが、70分にCKからのこぼれ球を清武が大外でフリーになっていた木本へクロス。これを木本がヘディングで折り返し、山村が押し込んでセレッソが先制した。
その後は山村を最終ラインに下げた5-4-1にするも、ファーストディフェンスの問題でのちに5-3-2に修正。最後や鳥栖に攻め込まれる時間が続いたが、そのまま1-0で逃げ切りに成功。
この試合がセレッソのリーグ戦今シーズン初勝利となった。

2度目の対戦となったのは4月26日に開催されたルヴァンカップBグループ第3節。アウェイベストアメニティスタジアムで行われたこの試合は壮絶な打ち合いの末、4-4の引き分けで終了している。

この日の鳥栖も4-3-1-2。直近のリーグ戦でフル出場の豊田はベンチ外、イバルボはベンチスタートとなり2トップはチョ・ドンゴンと富山。中盤はトップ下の鎌田、3センターの小野、高橋、原川と主力級が並んだが最終ラインは小林、青木、スブットーニ、三丸の4人。GKには赤星が起用されている。マリノスから今シーズン加入した小林は、開幕前から期待を集めていたが負傷離脱もあってこの段階ではまだポジションを掴みきれておらず、リーグ戦で初先発となるのは5月7日の第10節からだった。

一方のセレッソはリーグ戦では控え組となる、いわゆるルヴァンメンバーが中心とんる4-2-3-1。1トップにはリカルド・サントス。トップ下には負傷明けの清武が入り、右
SHには当時リーグ戦では関口が出場を続けていたので水沼。左SHには夏に徳島へ期限付き移籍となる清原を起用。ボランチは秋山と木本が入り、最終ラインではCBに金沢へ期限付き移籍となる庄司、左SBには舩木が入っていた。

この試合はリーグ戦とは打って変わって激しい打ち合いとなるのだが、その要因となったのはセレッソが高い位置からのプレッシングを選択したから。
セレッソの先制点はそのプレッシングがハマったもので、アンカーの高橋からのミスパスを奪ったリカルド・サントスが決めわずか6分にセレッソが先制することになるが、その後前半に3失点。そのいずれもがプレッシングを行う事によって出来てしまったスペースを鳥栖に利用されたものだった。
4-3-1-2の鳥栖は中盤に3人+1人の計4人がいる。このことでセレッソのボランチは数的不利に追い込まれてしまう事が続き、最終ラインの押し上げも出来きれない。
その結果、鎌田、富山、高橋と立て続けに得点を奪われ3-1と逆転だけでなくリードを広げられることとなった。

しかし前半終了間際に再び高い位置からの守備から水沼が1点を返すと、61分にはCKから再び水沼が決めて3-3の同点に。その後も68分に鎌田にこの試合2点目のゴールを奪われ4-3とされるが、75分に田中が豪快なゴールを決め4-4の同点に追いついた。
その後鳥栖が4-4-2に、セレッソは舩木に代え丸岡を投入し田中が右CBとなる3-4-2-1に変更するも両者決めきれず4-4のまま試合終了となった。

■最近のサガン鳥栖

今シーズンは序盤から勝ったり負けたりを繰り返し、連勝が19節の広島戦、20節の清水戦での1度しかないサガン鳥栖。安定した成績を残せていないのは、夏の移籍期間にはチームの中心選手であった鎌田が移籍。さらに5月に谷口が大怪我で長期離脱。豊田や小野も離脱となった事も大きかっただろう。
しかし直近3試合は2勝1分と負け無し。さらに前節の勝利は首位鹿島の5連勝を止めた試合。しかも内容でも鹿島を完全に上回っていたということで現在のチーム状態は上々と言える。
その要因となっているのは、新たな形でチームが固まったこと。
布陣も4-3-1-2からクリスマスツリー型の4-3-2-1に近い布陣に変化している。

前線の軸となりCFに入っているのはビクトル・イバルボ。高さ強さ速さを併せ持つフィジカルモンスターはまだ3得点とゴールは決められないでいるが、戦術的には大きな役割を担っている。
そして新たにポジションを掴んでいるのがU-20ワールドカップにも出場した左利きの田川。こちらも高さ、フィジカルの強さ、スピードがあり、さらに幅広く動く事ができる。その田川が入っているのは左シャドゥで、右シャドゥにはシーズン序盤はインサイドハーフも経験した小野。中央で勝負ができるイバルボと、動けるシャドウの関係性は良好だ。そしてこの両シャドウは、サイドに開くのではなく中央に絞ったポジションを取ることで、SBとCBの間、トレーラーゾーンやハーフスペースといわれる場所を活用出来るようになっている。

夏には東京からフィッカデンティの教え子である河野を獲得しており、勝利した26節の甲府戦では東京時代を同じく河野がトップ下に入り、前線に豊田とイバルボが並ぶ従来の4-3-1-2を採用していたが、引き分けとなった27節の浦和戦、勝利した前節28節の鹿島戦では田川と小野を起用した4-3-2-1を採用しており、これにより絶対的な存在であった豊田はベンチを温める事も増えている。
また最終ラインでも前回対戦時から若干の変更があり、右SBには小林祐三がポジションを確保。谷口が長期離脱となっているCBにはチョン・スンヒョンが起用されている。
チョン・スンヒョンは谷口の負傷離脱後に獲得した選手。韓国U-23代表としてリオオリンピックにも出場しており、前所属の蔚山現代では尹晶煥監督の下でプレーしていた教え子でもある。

■プレビュー

鳥栖のメンバーは、素晴らしい内容を見せた鹿島戦と同じ11人を選択する可能性が高そう。
むしろあれだけの内容を見せ、さらに国際Aマッチウィークによる中断期間があったので変える理由が無いといったところだろうか。

一方のセレッソのメンバーだが、中断期間中に代表勢3人を欠きながらルヴァンカップの準決勝2試合を行っており、さらにに山村が負傷離脱。代表3人の復帰以外にもメンバーの変更が予想される。
今節は日曜日開催ということや、ルヴァンカップから2日間オフとしたことでいつもよりも全体的なスケジュールが1日分後ろにずれた事もあって各社の報道がまちまちとなっているが、土曜日になってルヴァンカップで先制点を決めた柿谷を前線で起用する可能性があるとの報道が出ている。
山村が欠場となることは決まっており、通常なら代役となるのはリカルド・サントスもしくは澤上となるが、柿谷が前線で起用されるとなると、左SHには福満がJ1初先発となる可能性が高そうだ。
そしてCBに入りそうなのは木本。これまでも何度かCBで山下に代わって先発出場を果たしているが、勝ち抜けがかかったルヴァンカップ準決勝セカンドレグでも先発。さらには劇的な決勝ゴールも決めているので、今節もこの試合同様先発はヨニッチと木本となる可能性が高そうだ。

ルヴァンカップ準決勝では劇的な勝利でクラブ史上初となるルヴァンカップファイナリストとなったセレッソ。
しかしリーグ戦では今シーズン初の3連敗中となっているため、過去J1リーグ戦、ルヴァンカップ合わせてでは2分2敗と一度も勝利した事がないベストアメニティスタジアムとはいえ勝利を挙げたい一戦となる。

試合のポイントとなるのは、セレッソのディフェンス。
4-3-2-1の鳥栖は機動力のある2シャドウと2枚のインサイドハーフが先にも書いたように、最初からSBとCBの間、トレーラーゾーンやハーフスペースといわれる場所に立っており、ここを活用しやすい構造となってる。
それを防ぐために必要なのは、守る場所と捨てる場所をはっきりさせること。つまり4-4-2のブロックをいつも以上にコンパクトにすることが必要で、捨てた場所にボールを運ばれた時にはコンパクトなブロックを維持したままスライドすることが重要となる。
前線の田川、小野、イバルボのいずれもがチャンスの数の割にはシュートをミスしてしまいゴールを決められないことも多いが、もちろん決まる事もある。そのためにはチャンスを作らせない対応が必要で守備ブロックを徹底しなければいけない。

一方で、鳥栖の守備は以前と同様に中盤の3人がかなりの運動量が必要な、オーバーワーク気味の形となっている。ほぼ全ての試合で走行距離ナンバーワンを記録する高橋の様に走れる選手もいるのだが、しかしここでも4-3-2-1にした効果が表れている。
3人がスライドすることでスペースが出来てしまいがちだった中盤を埋めているのは、小野と田川の2シャドウ。小野はシーズン途中まではインサイドハーフでプレーしていたため問題なく中盤のプレーもこなせるし、田川も幅広く動くことができる。
とはいえ、サイドに最初に出てくるのはインサイドハーフの2人。基本的に中央を絞る形で守るので、セレッソはサイドを起点に斜めのパスなどでチャンスを作りたい。また柿谷の前線起用となれば、背後のスペースも効果的になってくるだろう。

リーグ戦でのここ3試合はチーム状態が悪くなってしまっていることがはっきりと分かるほどだったが、ルヴァンカップの勝利でチーム状態は上向きになったはず。
丁寧に戦うことで、チャンスをものにし勝ち点3を奪いたい。

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