2017年10月21日土曜日

明治安田生命J1リーグ 第30節 vs ヴァンフォーレ甲府 プレビュー

2017年10月21日 14時00分:キンチョウスタジアム

予想スタメン

前節の鳥栖戦でリーグ戦の連敗にストップをかけたセレッソ大阪。今節は本拠地キンチョウスタジアムにヴァンフォーレ甲府を迎えての一戦となる。


■前回の対戦

前回の対戦は4月22日の明治安田生命J1リーグ第8節。敵地山梨中銀スタジアムで行われた試合は、杉本のゴールでセレッソが先制するもセットプレーから畑尾がゴールを決めて1-1の引き分けに終わっている。

この試合のセレッソはいつもの4-4-2。関口が右SHに入り前線は杉本と山村。清武と水沼はベンチスタートとなっている。一方の甲府は3バック、3ボランチの3-1-4-2-。3バックは左からエデル・リマ、新井、新里。3ボランチは左から田中佑昌、兵藤、小椋で、WBには阿部翔平と松橋。前線はドゥドゥと堀米が起用されていた。しかし前半15分に3バックの中央で先発した新井が負傷交代。そこからは交代で入った畑尾が3バックの中央を務めている。

甲府の3-1-4-2は実質5-3-2。2トップがセレッソのCBにプレッシャーをかけに行くことは稀で、ボランチの前に立つことがほとんど、最終ラインには5枚が並び、中盤の3枚が左右にスライドする。
こういった形を取る事で立ち上がりからセレッソがボールを持つ展開になる。
ただ、セレッソはボールを持っての攻撃は未整備で、攻めあぐねる時間が続いていた。
そうなるとはっきりとした狙いを持った甲府がカウンターを見せる。セレッソのSBは攻撃の時にフリーになれる事が多いので高いポジションを取るが、ボールを奪うとドゥドゥと堀米のスピードある2トップはセレッソのSBの裏のスペースを狙っていた。
セレッソが攻撃の時に狙っていたのは両サイドの奥。柿谷や関口がサイドの奥に飛び出す回数が多く、甲府は実質5バックで守るため幅を使う事で中央に隙間を作ろうという狙いが見えた。
また後半に入ると、ラインを下げ過ぎたくない甲府が守備のスタート地点を少し前に移すが、そうなるとセレッソは背後のスペースを狙う場面も増えていた。
先制点はその背後のスペースを使った形。山村がロングボールに競り勝つと、そのボールを受けた柿谷がワンタッチで背後のスペースで送る。そこに飛び出した杉本が流し込み後半立ち上がりの48分にセレッソが先制する。
しかし62分にセットプレーから畑尾が頭で合わせて甲府が同点に追いつく。このセットプレーはゾーンで守るセレッソに対して十分準備してきた跡が見えるものだった。

同点に追いつかれてからはセレッソは関口に代わって入った清武と柿谷がインサイドに入り4-2-2-2の形にして攻勢をかけるが、甲府も選手交代ですぐに対応。終盤には山村が足をつらせたためソウザがトップ下に入るが、両者ゴールは遠くそのまま引き分けに終わっている。

■現在のヴァンフォーレ甲府

ヴァンフォーレ甲府は10節から19節の10試合勝利から遠ざかり、さらに20節にガンバに勝利して以降21節から26節までの6試合を再び2分4敗と勝ちなしとなると、降格圏となる16位に順位を落とした。
しかしここから反撃。27節のマリノス戦に勝利すると、28節の柏戦でも勝利し今季2度目の連勝。さらに前節の東京戦を1-1の引き分けで終え、3試合負け無しとチーム状態としては上向きで今節に挑む形となる。

ここ数試合で、前回対戦時からいくつかのポジションは選手が入れ替わっている。
最も大きな変化となっているのは前線のポジション。前回対戦時にちょうどポジションを掴みはじめた形だったドゥドゥはそのポジションを不動のものとしているが、コンビを組むのは夏の移籍期間に獲得したリンス。かつてガンバ大阪でプレーしたアタッカーだが、加入後7試合で4ゴールと大爆発。現在の甲府にとって欠かせない存在となっている。
ガンバ時代にはサポーターから「仕上げのリンス」とも呼ばれた様に、優勝した2014年には主に交代出場で活躍を見せていたリンス。交代出場で活躍をしていたのはリードした展開の中で投入される事で、前がかりになる相手チームからカウンターでゴールを積み重ねていたからなのだが、甲府ではその時の様な状況をチームとして1試合を通じて作る。つまり相手が攻め込む事で相手陣内にスペースを作り、そのスペースをカウンターで狙うというのがゲームプランとなっている。これがリンスの持ち味に完全にフィットしたのだろう。
共にスペースがある時に相手に向かって、ゴールに向かって仕掛ける事が出来るドゥドゥと共に、細かいパス交換というよりも単独で、そしてシンプルにゴールを狙ってくる。

また中盤でチャンスを掴みつつあるのが島川。今季開幕前に山口から完全移籍で獲得したボランチなのだが、現在は3ボランチの中央で、勝利したマリノス戦から3試合連続先発出場中である。
この島川は仙台でプロキャリアをスタートさせ、その後期限付き移籍でプレーした秋田では米澤と共にプレー。さらに2016年には山口に移籍するも、怪我もあってポジションをつかめず、シーズン途中から再びJ3の栃木SCに期限付き移籍していた選手なのだが、そもそもは柏レイソルの下部組織出身で。酒井宏樹、工藤、武富、指宿、千石らと同期の柏レイソル黄金世代の1人。当時の柏レイソルユース監督だった吉田達磨氏にとって、良く知る選手の1人だ。
それまでこのポジションに入っていた兵働に代わって島川が入る事によって、高さと運動量をくわえた形になっている。

戦い方自体は5バックで守り、カウンターを中心に狙うという形になっており前回対戦時から大きな変化は無い。
ただ、5バックの守備は、ポゼッションはリーグで最も低い数字ながらも、失点数がリーグ6位の33となっておりかなりの強さを発揮している。
特に強さをみせているのがクロスの対応。5-3-2で守る事から相手チームは両サイドを広く使ってクロスを中心に攻撃をしかける事が多いのだが、甲府は3バックの両サイドにエデル・リマと新里という高さに強い選手を起用している事が特徴的。クロスに対しては彼らが跳ね返している。
そして3バックの中央に入る新井はどちらかといえばスピードに特徴があるタイプ。スペースに関しては新井がそのスピードを活かしてカバーするという形になっている。

また攻撃に関してはカウンターが中心となっている事は間違いないのだが、ボールを持った時に効果的なプレーを見せているのが左CBのエデル・リマ。この選手はボールを運ぶ事もできるし、そこから左足でパスをつける事も出来る。
中盤のセンターで島川がプレーするようになったとはいえ、全体的にはパスで変化をつけるような選手は少ないのだが、遅攻になったとしてもその中でエデル・リマがボールを運ぶプレーから相手を動かし攻撃の形を作ろうとしている様子は見られる。

■プレビュー

セレッソのメンバーはおそらく前節と同じ。山村が欠場となる前線には柿谷が杉本と2トップを組む形となり左SHには清武。またCBには木本が入る事になるだろう。

一方の甲府だが、前線のリンスとドゥドゥの2トップ、3バックのエデル・リマ、新井、新里の3バックは不動だろう。両WBにはマリノス戦の後半途中から起用され、柏戦、東京戦では先発だった、左WB松橋、右WB小出がこの試合でもそのまま先発になりそうだ。
中盤に関してはセンターに島川、左に田中佑昌、右に小椋と並ぶのがここ最近の定番の形だが、この試合では本来は左WBの阿部翔平が田中佑昌に代わってインサイドハーフで先発するのではないかとの情報もある。
田中佑昌は抜群の運動量を武器に、守備はもちろん攻撃の時に2人だけで行ってしまうドゥドゥとリンスに追いつく事ができる重要な選手なのだが、阿部翔平にはWB/SBとしてアップダウンを繰り返していた運動量もあり、さらに左足の正確なキックはセットプレーのキッカーとしても基調な存在となり得るので、もしかすると阿部翔平が3ボランチの一角として出場があるのかもしれない。

試合のポイントとなるのは、やはり甲府のカウンターをいかに封じるかというところだろう。
散々話題になっているが、セレッソはホームで甲府に勝った事が無い。
そして負けた試合ではそのほとんどがカウンターで失点を喫している。特にクルピ時代にはSBの裏のスペースをチームとしてカバーする策をもっておらず、というかチームとしての取り組みをほとんどしない監督だったので、そこを狙われ失点を重ねていた。
今シーズンのセレッソは当時と比べるとチームとして取り組む形があるので、改善されている部分もあるが、それでも3連敗していた時は必要以上に前がかりになり、ボランチ裏を簡単に使われるなど未成熟なところをみせていた。
ルヴァンカップの大阪ダービーを経た、前節鳥栖戦では改善された様子が見られていたが、この試合ではさらに大切となってくるだろう。
そのためには守備への切り替えのスピードはもちろんだが、90分を通して1点を奪えば良いというゲームコントロールが重要だ。得点の方法としてはセットプレーにもチャンスは十分あるだろう。
また、前回対戦時には、サイドの奥を使う事で試合をコントロールし、カウンターの脅威を抑える事もできていた。この形は前節甲府と対戦した東京も、数的不利となった後半に同じような形でカウンターの脅威を抑えていた場面もあったので、参考になる部分もあるだろう。

勝利するチャンスは十分ある試合なので、ルヴァンカップ、鳥栖戦で立て直しつつあるチーム状態をさらに上向けていきたい。



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