2018年5月22日火曜日

5/20 明治安田生命J1リーグ第15節 VS サンフレッチェ広島 @ エディオンスタジアム広島

スタジアムエディオンスタジアム広島主審西村 雄一
入場者数20,219人副審馬場 規、金井 清一
天候 / 気温 / 湿度晴のち曇 / 23.3℃ / 49%第4の審判員武田 光晴
スターティングメンバー
サンフレッチェ広島広島
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • 城福 浩
 
  • 監督
  • 尹 晶煥
サンフレッチェ広島広島
C大阪セレッソ大阪
今回対戦今季平均
データ項目サンフレッチェ広島セレッソ大阪サンフレッチェ広島セレッソ大阪
FK1191616
CK9355
PK0000
シュート1691011
警告/退場0/00/01/01/0

<監督・選手コメント>

サンフレッチェ広島 城福浩監督
セレッソ大阪 尹晶煥監督

サンフレッチェ広島 パトリック選手、稲垣選手、ティーラシン選手
セレッソ大阪 キム・ジンヒョン選手、山口選手、マテイ・ヨニッチ選手、高木選手

FIFAワールドカップロシア大会による連戦もいよいよ最後。リーグ戦中断前最終戦となる明治安田生命J1リーグ第15節、セレッソ大阪は敵地エディオンスタジアム広島で首位独走中のサンフレッチェ広島との一戦は0-2でセレッソ大阪が勝利。1試合少ないながらも7勝5分2敗勝ち点26の4位で中断期間を迎えることとなった。

■メンバー

14節終了時点で12勝1分1敗と史上最高ペースで勝ち点を積み上げ、首位を独走するサンフレッチェ広島。先発メンバーには、林、和田、野上、水本、佐々木、柴崎、青山、稲垣、柏、パトリックといつものメンバーが並び、パトリックとコンビを組むのはティーラシンとなっている。

一方のセレッソ大阪。セレッソはACLの関係で2週間ぶりの試合ということもあり負傷者も続々復帰。杉本とヤン・ドンヒョンの高さがある2トップに清武と福満のSH。ボランチにはオスマルと山口が入り、最終ラインには松田、ヨニッチ、山下、丸橋でGKキム・ジンヒョン。
パトリック対策として片山のSB起用もあるかと思われたがそのまま。またソウザもコンディションを戻しているとのことだが、ヤン・ドンヒョンとオスマルが起用されたため今節はベンチ外となった。

■最初にチャンスを作ったのはセレッソ

お互いロングボールを蹴り合う様な形で始まったこの試合。ロングボールに対するアクションの違いから立ち上がりはセレッソが広島陣内へ攻め込む場面が続く。
サイドチェンジからの攻撃
狙ったのは佐々木の外側。セレッソは清武を中心に左サイドでボールを持つ形が多く、それに対応するために広島は全体がスライドする。それでできたオープンサイドへ展開するという対広島としては比較的スタンダードな形だ。
前半5分のシーン
開始5分に迎えた決定機は単純にいうとこのオープンサイドへの展開からだが、広島の守り方を効果的に活用した形。広島は4-4-2のブロックを中央に絞ってゾーンで守る形をベースにしているが、入ってきた選手を捕まえるとそのまま人についていく。なので、前節の仙台戦などではミスマッチとなる相手に対して6バック化していたこともあった。
最終的に人を捕まえてしまうのでこれが広島の守備の強さ、粘り強さにもつながっているのだが一方でスペースを空けてしまうことになる。
この場面ではスローインからだったが清武がインサイドから左サイドに斜めに出ていったことに対して稲垣が清武について左サイド深くまでついていく。
その結果バイタルエリアには青山1人。そして丸橋がボールを受けた時に青山は丸橋からのクロスを警戒し最終ラインのカバーに入ったのでバイタルエリアにいる山口は完全にフリー。その結果佐々木の外側から入ってくる福満にフリーでボールが渡り、ワンタッチで折り返したクロスを杉本がシュートしネットを揺らしている。
残念ながらオフサイドと誤審されたことで幻のゴールとなったが、準備して広島の守備の形を完全に攻略した形だったといえるだろう。

■広島がペースを握るきっかけとなった1列目の守備の差

しかし10分頃から広島がペースを握る展開となっていく。
そうなったのは1列目の守備の差。お互い4-4-2で守り、攻撃でも守備への切り替えのスピードのことを考え、ボランチの1枚が下がるぐらいでビルドアップのスタート時に形を変える様なことはほとんどしない。
なので、選手個々の能力もあるが重要になってくるのは守備の精度。
広島の守備
広島は4-4-2の1列目となる2トップがしっかり一旦帰陣し、そこからボランチへのパスコースを消してCBのボール保持に対してサイドに誘導するのでSBにボールが入った時のSHのアプローチも非常に速い。
杉本とヤン・ドンヒョンの2トップはどちらもボールを受けに来るプレーが多いので、左サイドでボールを持って福満へのサイドチェンジという形はあるもののそこまでの形を作れないことが多かったり、アプローチを受けた中で出すのでミスになったり。結果、ボールの出しどころに困ってしまう場面が続いた。
セレッソの守備
一方セレッソの2トップは、昨年からそうだったがボランチへのパスコースケアとサイドへの誘導が曖昧でなので中央が消しきれないことからどうしてもSHが中央に絞ったポジションを取る時間が長くなる。サイドより中央の方がゴールへの距離は近いので1列目の守備で中央を消せていないのでSHとしてはしょうがない。
サイドからSBの裏へ
しかしそうなるとDFラインからSHへのパスコースが空く。開幕戦のマリノス戦で「SBをインサイドハーフ化させる形に対してSHが絞って対応するとWGへのパスコースが空いてしまう」ということを書いたが、1列目の守備が曖昧だとそれに近い状況が起こる。
その結果広島のSHに簡単にボールが入ることとなり、それに対してSBがアプローチに出る。
そこで広島はそのSBが出た後の裏のスペースに2トップの1人を走らせる形を取ってきた。
相手のSHに対してSBが出た時の裏問題は、これまでここでも何度も書いているように今季結構やられていて、それが今季の失点数増加(特にクロスから)につながっている要因なのだが、そこを広島もきちんと準備してFWの選手を走らせてきた。

両チームとも守備への切り替えは速いので押し込むことができるとセカンドボールを拾って攻撃を続けることが出来る。
だが、セレッソは押し込むことが出来ない一方、広島は押し込む形を作ることが出来ていたのでペースは広島が握ることに。左SHの柏が右サイドにも出てくる得意の右サイドで人数をかける攻撃も見られるようになっていき、ティーラシン、水本、青山、稲垣、柏と広島がシュートまで持ち込む場面が続くようになる。
キム・ジンヒョンの好セーブと守備陣が粘り強く対応したことで無失点に抑えていたが、試合は完全に広島ペース。
最初の決定機はオフサイドだったので、セレッソ最初のシュートは41分に清武のFKを杉本が合わせた場面まで時間がかかってしまった。

あと、この右サイドに左SHまで流れてくる「片方のサイドに人数をかける攻撃」はかつてヨーロッパでも見られた形なのだが、これに対しては「守備も片方のサイドで人数をかけてしまおう」という対策方法がある。
しかし広島の場合それを許さないのがパトリックの存在。
パトリックはこの右サイド攻撃の時かならず逆サイドの大外で待っている。ということは片方のサイドに寄せて守備をしてしまうとパトリックはスペースのある状態でSBとマッチアップすることに。残念ながらSBでパトリックと互角に競り合える選手は見当たらないので、なかなか対応が難しいのが現状だ。なので個人的には片山をと考えたのだがこの試合で尹晶煥はそれをやらなかった。

■広島がペースを握りながらも少しずつオープンに
52分〜
後半立ち上がりの52分に清武が前回負傷いた箇所に違和感を感じたのか高木と交代。
尹晶煥もフルで使うことは考えていなかっただろうし、試合終了後も歩いていたのでそれほどひどくはなさそうだが、おそらく何か違和感を感じたのだろう。

後半も立ち上がりこそセレッソがボールを運ぶ場面もあったが、前半同様に広島ペースに。
57分の柴崎のCKから野上のヘディングシュートの場面では松田の腕にあたってゴールポストに跳ね返されたが、ここでもノーファールの判定。
松田の手が動いているので普通にPKだと思うが、これで双方の決定機が誤審で流れることとなった。

その後も最初の守備で制限出来ていないためにSBを引き出された裏を使われるセレッソ。
64分の左サイドで松田を引き出した後のスペースにティーラシンが出ていき上げたクロスをパトリックが合わせた場面は決定機だったがキム・ジンヒョンのスーパーセーブでセレッソが何とか凌いだ。

ただこの辺りの時間帯から時間の経過とともにセレッソの守備だけでなく広島の守備も徐々にアプローチが遅れてくる場面もみられ、オスマルから前線にボールが入る場面も見られるようになったが、前半にも書いたように杉本とヤン・ドンヒョンの2トップはどちらもボールを受けに来ることが多く崩しきれない。
ただし、高木が入ったことでスプリントを活かしたサイドアタックという形は増えていた。
71分〜
71分、広島はティーラシンに代えて川辺を投入。清武の負傷交代はあったものの実質的に先に広島が動いた。
試合がオープンになりかけていることもあり、1列目の強度を保つためにもここは必ず交代させているポジションだが、渡ではなく川辺というのはボールを持てているので間受けということも考えたのだろう。

75分に広島のビルドアップをオスマルがインターセプトで一気にショートカウンターに持ち込むが決められず。直後の78分には松田のクロスから最後杉本がシュートに持ち込むがヒットせず。
試合がオープンになっていっている分、セレッソも広島ゴール前に攻め込む回数も増えていた。

一方川辺投入後の広島だが、川辺が入ることで柏が右サイドに移動してきた時にスッと左サイドに移動し、ボールを奪われても柏に変わって左SHに入る動きを見せるので柏がより自由に動くことが出来るようになったのだが、ティーラシンがやっていたSBの裏に走るという動きは少なくなる。とはいえこれは川辺がというよりも攻める時間が多く決定機を作りながらもゴールが上げられない分、広島の攻撃がサイド深くというよりも比較的中央に寄っていったことの影響もあるのかもしれない。

■我慢した2トップとロングボールの対応

徐々にオープンにはなりながらも引き続く広島ペースといえる展開だったが、81分キム・ジンヒョンのパントキックからヤン・ドンヒョンが落としたボールに高木が抜け出し、林との1対1を決めてセレッソが先制点を奪う。
広島にとっては攻めながらも点を奪えなかった中で一発でやられたとも言えるゴールだが、このゴールに繋がったロングボールの対応で両チームにはこの試合の最初から違いがあった。

それはロングボールのターゲットに対応する選手。
カウンター気味や背後へのボールに関しては別だが、セレッソは試合の立ち上がりから広島がパトリックへのロングボールを蹴った時にそのパトリックと競り合っていたのはボランチのオスマル。そして2CBを含めた4人がカバーリングポジションをとっていた。
しかし広島は、杉本やヤン・ドンヒョンへのロングボールに対して主に競り合っていたのは水本か野上のCB。そしてもう1人のCBとSBが絞って3人でカバーリングポジションを取っていた。
そして水本と野上に対して杉本とヤン・ドンヒョンの2トップはやや競り勝つ場面も多かった。
試合序盤のセレッソの攻勢はロングボールに競り勝ったところから始まったものが実は多かった。
序盤以降は広島の守備ブロックが決まり、セレッソがロングボールで勝負する回数も少なくなっていったこともあるのかもしれないが、例えば開幕戦のマリノス戦では途中から杉本と競るのをCBのデゲネクからあえてボランチの喜田にしてデゲネクを後ろに置く形へと変えたが、広島はずっとCBのまま。また8節のFC東京戦では守備のスタート位置を後ろに下げてでもボランチをCBの近くにおいていたのだが、広島は特に何か対応を行っていたわけではなかった。
広島はおそらく4-4-2の守備時における1列目と2列目の距離を大切にしているのでボランチを下げたくなかったのだろうが、ここではそれが見事にはまった。
このロングボールからのセカンドボールはかなりシンプルな攻撃だが、今のセレッソのストロングポイントの1つでもある。

またこの試合での杉本とヤン・ドンヒョンの2トップは機動力に乏しく、特にボール保持攻撃でのヤン・ドンヒョンはいつ柿谷に変えても良いぐらいの出来だったが、尹晶煥はロングボールのことを考え我慢して残し続けたのだろう。本音では最初からもっとロングボールを使いたかったんじゃないかとも思うが。

そして続けざまの84分、先制点を奪われたことで広島が準備を始める中、スプリントで縦に出た高木に対して山口が長いボールを入れて一気に敵陣深くに攻め込むと、オスマルのクロスを跳ね返したボールが再び高木に渡って胸トラップから右足を振り抜く強烈なゴールで追加点。
高木のシュートも素晴らしかったが、先制され交代を準備している中で広島の守備は寄せが甘くなってしまっていた。
90+5分〜
再開のタイミングとなる85分、広島は柏に代えて渡、柴崎に代えてフェリ・ペシウバを投入し、パトリックと渡の2トップに右SH川辺、左SHフェリ・ペシウバという形に変更。
するとセレッソも90+1分にヤン・ドンヒョンに代えて山村を投入し5バック、さらに90+5分に福満に代えて水沼を投入し5-4-1でしっかりと試合をクローズ。
そのまま試合終了となり0-2でセレッソの勝利に終わった。

■その他

やはり首位広島相手ということでかなり難しいものとなったが、幻のゴールとなった前半5分と、ロングボールからの1点目の形は対広島として有効な手だったと思う。
広島は帰陣がかなり速いのでカウンターでもスグに数的有利をつくってくるのだが、ロングボールのセカンドボールではチャンスはありそうだった。
ただ、やっぱり守備の1列目とそこからSBの裏を狙われる形は今季ずっと続いているので何とか修正したいところだろう。
これで1試合少ない状態で勝ち点26。なので同じ試合数なら29まで伸ばせる可能性があって29なら2位。そう考えると超過密日程の中でACLと並行して戦うというかなり厳しい今季のスケジュールでは上々と言えるだろう。まあ29まで伸ばせたとしても首位広島とは勝ち点差8もあるが・・・

広島については、やはり個々のタスクがうまく分担されていて、かつそれが高いレベルで融合しバランスが取れているのでそう簡単に順位は下がらないだろうなあと感じた。





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