スタジアム | パロマ瑞穂スタジアム | 主審 | 柿沼 亨 |
入場者数 | 13,220人 | 副審 | 越智 新次、田中 利幸 |
天候 / 気温 / 湿度 | 雨 / 19.2℃ / 79% | 第4の審判員 | 間島 宗一 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 風間 八宏
- 監督
- 尹 晶煥
試合経過
-
88'
-
85'
- 78'
-
70'
-
64'
-
63'
- 23'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 16 | 16 | 20 | 17 |
CK | 5 | 5 | 5 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 3 | 11 | 9 | 11 |
警告/退場 | 2/1 | 0/0 | 2/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
名古屋グランパス 風間八宏監督セレッソ大阪 尹晶煥監督
名古屋グランパス 菅原選手、ジョー選手、ランゲラク選手
セレッソ大阪 山口選手、オスマル選手、マテイ・ヨニッチ選手、福満選手、山村選手
かつてないほどの厳しいスケジュールが続く明治安田生命J1リーグ。第12節、激しい雨の中行われたパロマ瑞穂スタジアムでの名古屋グランパス対セレッソ大阪の一戦は、0-0の引き分けで勝ち点1を分け合うこととなった。
■メンバー
リーグ戦8連敗、9試合勝ちなしで最下位で苦しむ名古屋グランパス。個人的に先発メンバーにはちょっと驚きもあった。その最大の要因が新井の先発復帰。新井は昨季途中に期限付きで横浜F・マリノスから期限付きで加入するといきなりポジションを確保。前がかりになりがちなチームを高さ強さを武器に守備の軸となった。しかしその後前十字靭帯損傷で長期離脱。今週に入って全体練習に復帰したとの情報はあったが、いきなりの先発は予想外だった。そしてさらにDFラインに入ったのはホーシャ、菅原、櫛引の3人。菅原、櫛引はSBに入ることもあるが、新井の含めた4人はいずれもCBができる選手。これまでの風間監督は中盤の選手をCBやSBで起用する傾向が高かったのだが、ボランチに入った宮原も含め安定した守備力を持つ選手を先発メンバーに並べてきた。
その分、ここまで10試合に先発してきた小林、秋山はベンチスタート。ボランチには長谷川アーリアジャスールが入り、SHは青木と和泉、ジョーとシャビエルが前線に。シャビエルはトップというよりも前線に置くことで守備割合を軽減されたフリーマンという位置づけといえるだろう。
一方、前節引き分けたもののかなり疲労の色が濃かったセレッソ大阪。離脱していたオスマルは復帰したものの、杉本が内転筋を痛めたとのことでベンチ外。ということでこの試合ベンチ外との情報もあったヤン・ドンヒョンが急遽メンバー入りとなり先発起用。さらに清武も3試合連続の先発。両SHには前節先発から外れていた福満と高木が入り4-2-3-1の布陣となる。
セレッソの布陣は、これまでも昨季であれば山村や今季だと柿谷がトップ下に入る4-2-3-1と表記されることもあるが、彼らが入った時は実質的には4-4-2。そんな中でも昨季のルヴァンカップ鳥栖戦など清武がこのポジションに入る時だけは本来の意味での4-2-3-1になっていた。杉本が急遽外れたことの影響もあるのだろうが、今季初の清武がトップ下に入る4-2-3-1となっている。
■4-2-3-1のセレッソ
4-2-3-1のセレッソ |
名古屋の守備は前線から行くこともあるが、基本的にはそれぞれ4-4-2のポジションに戻る。
なのでオスマルが久々のゲームということで立ち上がりは少しミスも目立ったが、清武が下がってくることでボランチやSBはかなり助かっていただろう。
ただこれは、通常なら前線にいる選手がいないということでもある。なので前線は孤立しやすいし、特にヤン・ドンヒョンは前線でボールを引き出すのが杉本や柿谷に比べるとあまり上手くない。また名古屋の2CBホーシャと新井はデカくて強い。となるとSHに入る福満や高木がどれだけヤン・ドンヒョンをサポートできるかというところがポイントとなってくる。
試合の立ち上がりはいつもと少し異なるからかヤン・ドンヒョンが孤立気味になっていたが、徐々に中盤で清武がボールを受け、前線で高木、福満が絡み、SBが上がって来れるように。
セレッソは守備時にブロックの外側ではボールを持たせるので、攻撃回数自体はそれほど多くは無いが徐々に名古屋ゴール前にボールを送る場面も増えてくる。
18分に敵陣深くで得たスローインから清武が左足で大外の高木へクロスを送り、高木が落としたボールをヤン・ドンヒョンがターンして狙うという形をつくるが、ボールを待ちきれずシュートは大きく脇を外した。
23分〜 |
一旦ピッチには戻るが23分に山村と交代となる。
前回の負傷が右ふくらはぎで今回は左。なので厳密にいえば再発ではないが、今季既に2度目の筋肉系のトラブル。日本への復帰初年度となった昨季も筋肉系のトラブルに苦しんでいたので本人としてもかなり悔しいところだろう。
尹晶煥監督も復帰から3試合は時間を調整しながらの途中出場という形をとっていたので十分注意していたかとは思うが、3試合連続の先発。また3試合目に雨のピッチというのは厳しかったのかもしれない。
まだ検査結果は出ていないが、負傷者が続出しているチーム状況はもちろん、ワールドカップのことを考えても軽症であることを祈るばかりだ。
投入された山村は清武と同じポジションというか、2トップの一角に入る。
■4-4-2のブロック
名古屋はこの連敗中、特に神戸戦などでは高い位置からプレッシングをかけられ全くボールを運べないという姿を見せていた。その結果、名古屋対策としては高い位置からのプレッシングという形が一般的になりつつあるが、この日セレッソがとったのは普段通りのハーフウェイラインあたりから4-4-2のブロックを作る形。NHK BSの中継では山下の「自陣に引き込んでカウンターのスペースを作る」といったコメントも紹介された。名古屋のボール保持攻撃とセレッソの守備 |
これに対して名古屋は後ろではボールを持てる。またサイドを使ってSHのところにガブリエル・シャビエルが流れてきて、そこにSBが絡むというサイドでボールを運び、そこに人数をかける形を狙ってくるが、セレッソがしっかりボールを基準にポジションをとってくるのでほとんどブロックの中にボールを入れることができない。
また名古屋はサイドチェンジをほとんど使わないので、セレッソのブロックがスライドの隙が出来ることもなく、またブロックを動かされることもないので、ガブリエル・シャビエルが個人で何かを見せない限り名古屋にチャンスらしいチャンスを作らせなかった。
16分にガブリエル・シャビエルが右サイドから中央にドリブルで侵入。松田がポジショニングを間違えて食いついてしまったところから和泉とのワンツーでシュートを放つがキム・ジンヒョンがセーブ。
これが名古屋にとって前半最大のチャンスだっただろう。
■ジョーが孤立していた原因とセレッソの攻撃
またこの試合の名古屋が見せたこれまでと違う点は、最終ラインから直接ジョーに向けて長いボールを入れる回数が多くなっていたこと。ただ、ボール保持時にはSHを中に寄せてSBを上げようという意識は見られたものの、攻守の切り替え時点ではジョーは孤立気味なのでセカンドボールを回収する術は無く、それほどその効果は感じられなかった。
両SHが下がる名古屋 |
セレッソは立ち上がりから清武とボランチを起点にしてサイドに展開しそこから攻撃を組み立てようとしていた。清武から山村に代わってからは高さのある2トップとなったこともあってよりその傾向が顕著に。ボールを持てばSBが上がっていく場面が増えるようになる。
これに対して名古屋は一応4-4-2で守るのだが、上がってきたSBに対してSHがついていく。なので最終ラインに6人が並ぶ状況になっていることもあった。
なので、もしここでボールを奪ったとしてもSHは低い位置にいる。そしてそこからボールを運ぶためにガブリエル・シャビエルがボールサイドによってくる。となると前線にはジョーがポツンといるだけ。つまり孤立していた。
なので徐々にジョーへのロングボールも少なくなっていくのだが、そうなるとセレッソはきっちり帰陣する。その結果先に書いたブロックの外でボールを持つだけの状況になっていた。
そしてこの守備の形はセレッソの攻撃にもつながる。
33分に松田からのクロスにヤン・ドンヒョンが頭で合わせた場面のように、元々名古屋のSHがいるべきところにいないのでそこからアーリークロスを上げることもできていたし、セレッソの素早い帰陣の前に名古屋はボールを持たされ、長いボールを使えないので低い位置からのビルドアップを余儀なくされる。その結果35分の山村が裏でボールを受けてフリーでシュートを放ったように、名古屋は十分気をつけていたのだろうが、セレッソが高い位置でボールを奪う場面も見られた。そしてCKも前半だけで4本獲得していた。
しかし、これをゴールに結び付けられなかったのがセレッソ。
名古屋がDFラインにCB4枚を起用してきたこともあるがクロス攻撃は不発。またセットプレーからも得点に繋げられなかった。
そして先程の35分の山村の場面は、名古屋のビルドアップでボールを奪った高木がヤン・ドンヒョンへとパスをしようとしたところでブロックにきた長谷川アーリアジャスールにボールが当たり、オフサイドポジションにいた山村にボールが渡る。長谷川アーリアジャスールにボールが当たっているので山村はオフサイドにならず、ゴール前でGKと1対1という決定機だったのだがあまりにも淡白にシュートを放ってしまい、そのシュートはクロスバーを越えた。
■決められないセレッソ
後半に入っても展開は変わらず。名古屋はある程度ボールを持っているが攻撃の形もほとんどない。可能性があるとすればガブリエル・シャビエルのセットプレーぐらいだが、それもしっかりとセレッソが跳ね返す。
56分にゴール前の混戦から青木が抜け出しかけるが、丸橋がしっかりと対応。青木はボックス内で倒れたので名古屋の選手はPKのアピールをしていたが、ちょっと無理筋だった。
しかし、セレッソが決められないのも相変わらず。58分にキム・ジンヒョンのキックから一気に最終ラインを陥れ、ヤン・ドンヒョンがボックスでボールを受けるが狙ったループシュートは枠の外。連戦で雨という色んな意味でのコンディションが厳しい試合とはいえ、こういった決定機を決められないとやはり難しい。
63分〜 |
代わりにはいった小林はいつものボランチに。そして宮原が右SBに下がって菅原がCBへと移動した。
この新井投入直後の64分、セレッソがボールを奪ってのカウンターでドリブルでボールを運ぶヤン・ドンヒョンに対して長谷川アーリアジャスールが後ろからファウルで止めてしまいイエローカードを受ける。
この長谷川アーリアジャスールのファウルはセレッソの選手がヤン・ドンヒョンを含めて4人に対して名古屋の選手が5人戻っていたので一見不用意に見えるが、この状況は連敗中の名古屋の典型的な失点パターン。名古屋はカウンターに対して人数がいるのにボールホルダーへのアプローチに誰も行けずズルズル下がる。なのでヤン・ドンヒョンがフリーで長い距離をドリブルで運んでいる。
なので長谷川アーリアジャスールはファウルででも止めに行ったのだろう。多分行かなかったら菅原がアプローチに出たタイミングで山村へのスルーパスがあった。
この場面だけを見ても名古屋はいかにこの試合でディフェンスの意識が高かったことがわかる。
ただこういった状況を作れていたことからもわかるように、試合を優勢に運べているのはセレッソ。徐々に押し込む時間も増えていく。
70分〜 |
78分〜 |
名古屋の攻撃は公式記録では後半のシュート数1本。ボールを持ってもほとんど攻められない状況が続き、相変わらずセレッソが優勢ともいえるのだが、以前この2人が2トップを組んだホームでの広州恒大戦でも書いたが、クロスに対してもヤン・ドンヒョンと山村のコンビネーションはあまり良くない。
85分、長谷川アーリアジャスールが遅延行為でこの日2枚目のイエローカードを受け退場。
先程も書いたが最初のカードは名古屋のこれまでの失点を考えると仕方ない部分があった。
しかしこのカードは完全に不用意。その前にもカードは出なかったがガブリエル・シャビエルがオスマルを蹴るような場面もあったので、名古屋の選手は攻撃面でストレスを抱えていたのだろう。
85分〜 |
88分〜 |
後半アディショナルタイムに入った45+1分、ガブリエル・シャビエルが攻撃に出て戻れないスペースをついてセレッソは左サイドからボールを運ぶと、中に入った丸橋が柿谷からのパスを受けワンタッチでヤン・ドンヒョンへ、ヤン・ドンヒョンがボックス内でGKと1対1になるがこれもランゲラクがセーブし決めきれず。
長谷川アーリアジャスールの退場があったのにアディショナルタイム3分は短いとは感じたが、最終的に公式記録では名古屋のシュート3本に対してセレッソは11本のシュートを放つが、一度もゴールネットを揺らせず試合終了。0-0の引き分けに終わった。
■その他
名古屋が思いのほか守備面に力を入れてきた試合だったが、セレッソにとっては決められなかった事が悔やまれる試合だった。連戦に寄るコンディション面、怪我人の多さ、さらに復帰して6試合目の清武まで怪我をしてしまうという難しさは確かにあるのだが、チャンスはあっただけにこういう試合はやはりきちんと勝ち点3を奪っておきたかった。
次節も中2日で迫ってくる厳しい日程だが、次節で連戦も最後となるのでここで落とした勝ち点は奪っっておきたい。
いつも楽しく読まさせてもらってます。
返信削除特に激しいプレーではない場面で、違和感を覚えてピッチを去る清武の姿はデジャブで
嫌な予感したんですが・・・ほんと軽症であることを祈るのみですね。
鹿島の内田が怪我仲間として良いコメントくれてたので、がんばって復帰してほしいですね。
コメントありがとうございます。
削除そうですね。これだけ負傷が続いてしまうと…
本当に軽症であることを祈るばかりです。