2015年1月5日月曜日

2006 Jリーグ ディビジョン1 第25節 VS 鹿島アントラーズ @ 大阪長居スタジアム

2015年最初の記事は新監督に就任したアウトゥオリが率いていた2006年の鹿島アントラーズについて。
フォロワーさんより2006年の長居でのフルマッチを頂きましたので、その試合のマッチレポートをやってみます。

2006 Jリーグ ディビジョン1 第25節
2006年9月30日  19:00  大阪長居スタジアム入場者数 15186人
セレッソ大阪20前半12鹿島アントラーズ
2後半1
延長前半
延長後半
PK戦
選手









選手
吉田 宗弘22GK00GK21曽ヶ端 準
前田 和哉5DF11DF20内田 篤人
江添 建次郎14DF00DF3岩政 大樹
山崎 哲也19DF00DF24青木 剛
河村 崇大4MF00DF7新井場 徹
ピンゴ10MF11MF26増田 誓志
酒本 憲幸17FW21MF16フェルナンド
ゼ カルロス6MF25MF25野沢 拓也
名波 浩16MF11MF18ファビオ サントス
森島 寛晃8FW11FW13柳沢 敦
西澤 明訓20FW41FW9アレックス ミネイロ
多田 大介1GKGK1小澤 英明
山田 卓也7DF0DF2名良橋 晃
宮本 卓也35MFDF4大岩 剛
下村 東美23MF1MF22中後 雅喜
古橋 達弥9MF0MF23興梠 慎三
柿本 倫明18FW00FW11深井 正樹
大久保 嘉人36FW1FW27田中 康平

スターティングメンバー
13シュート12
10GK12
7CK3
19直接FK16
3間接FK6
2間接FK(オフサイド)6
0PK0

得点[C大阪] 名波 浩(64分),酒本 憲幸(89分)
[鹿島] ファビオ サントス(33分),野沢 拓也(60分)
交代[C大阪]
名波 浩 → 大久保 嘉人 (64分)、森島 寛晃 → 古橋 達弥 (64分)、西澤 明訓 → 柿本 倫明 (89分)

[鹿島]
野沢 拓也 → 中後 雅喜 (83分)、柳沢 敦 → 深井 正樹 (83分)、ファビオ サントス → 名良橋 晃 (89分)
警告[C大阪] 西澤 明訓(19分),河村 崇大(29分),古橋 達弥(81分)
[鹿島] 新井場 徹(37分),ファビオ サントス(88分),増田 誓志(89分)
退場[C大阪]
[鹿島]
24節終了時点の成績で鹿島は勝点45の4位、セレッソは勝点16の18位最下位という中で行われたこの一戦。
試合開始前の順位表
このシーズンは最終的に優勝したのは浦和レッズ、そしてセレッソは17位に終わり、16位福岡、18位の京都と降格、アウトゥオリ率いる鹿島は6位に終わっています。

セレッソのメンバーは、夏にレンタルで加入した名波が2試合目となるスタメンでトップ下に入り、その前に西澤と森島の2トップ。ボランチには河村とピンゴが入りWBは酒本とゼ・カルロス、最終ラインには山崎・江添・前田で、GKは吉田。
このシーズンキャプテンだった古橋をスタメンから外し、夏にマジョルカから戻ってきた大久保と合わせてベンチスタートとなっている。
2014シーズンもフォルラン・カカウなどを擁しながら降格という結果に終わりましたが、この2006シーズンも森島・西澤・古橋・大久保・名波とエース格の選手を多数擁しながら最終的に降格という訳のわからないシーズンでした(苦笑)。

一方の鹿島は、これぞ鹿島というブラジル流の4-2-2-2。
GKは現在も鹿島のゴールマウスを守る曽ヶ端、DFラインにはこの年ルーキーながら開幕から使い続けられていた内田、岩政、青木と現在セレッソの新井場。ボランチは昨シーズンは大宮でプレーした増田と左利きのフェルナンド。2列目には仙台でプレーした野沢とファビオ・サントス。2トップは2014シーズンで引退した柳沢とアレックス・ミネイロとなっており、ベンチには名良橋、大岩、中後、興梠、深井と仙台などでもプレーした田中が入っている。
ちなみに小笠原はこのシーズンの夏にメッシーナにレンタル移籍、中田浩二はオリンピック・マルセイユから鹿島へ復帰の話もありましたが結局現在柿谷がプレーするバーゼルに移籍しています。

■3-4-1-2と4-2-2-2
マッチアップ
セレッソは3バックで鹿島の2トップをマンツーマン気味に捕まえ1人余らせる形。
鹿島は4-4-2というよりも4-2-2-2。という事は2列目の野沢(25)とファビオ・サントス(18)が中にポジションを取っています。
そしてこの鹿島戦の1つ前にあった福岡戦。この試合でセレッソはアウェイで1-0というスコア以上に押し込まれた展開で敗れた事で最下位になってしまった事もあって立ち上がりから高い位置からプレッシャーをかけに行こうという姿勢が見られます。

■セレッソの残念な守備
セレッソの守備
という事で、セレッソが前からプレッシングをかけようとするときには、鹿島の2列目に入る野沢(25)とファビオ・サントス(18)の2人はセレッソのボランチに入るピンゴ(10)と河村(4)の近くにいるので、セレッソの酒本(17)とゼ・カルロス(6)の2人は内田(20)と新井場(7)のSBにまで寄せることになるのでセレッソの3バックの両サイドにはスペースができてしまっている。
そして中盤ではセレッソの3人に対して鹿島は4枚いることになるのでピンゴ(10)と河村(4)のどちらかが名波(16)と合わせて鹿島のボランチコンビにプレッシャーをかけにいくと野沢(25)とファビオ・サントス(18)のどちらかが必ずフリーになっているというセレッソにとってかなり恐ろしい状態に。
セレッソはこの3バックの両サイドと中盤での3対4の状態をどうやって守るかというところが非常に曖昧で、セレッソのWBが鹿島のSBを捕まえに行く前に2列目がサイドに出てくるとセレッソのボランチは簡単に放してしまうからWBは行けなくなり、逆にSBを捕まえに出たあとでボールと逆サイドに出てくると完全にフリーになってしまいます。
6分
それによって前半6分という早い段階ですでに、GKからのスローを受けた新井場(7)に対して酒本(17)が後ろのファビオ・サントス(18)に引っ張られて行けないという状況から簡単にハーフウェイあたりまでボールを運ばれ、慌ててボランチの河村(4)が寄せたところで、3バックは柳沢(13)とアレックス・ミネイロ(9)の動きに引っ張られて逆サイドの野沢が完全にフリーに。
そこに新井場(7)から長いパスを通されてあわやという場面を作られます。
鹿島が33分に決めた先制点も同じような形で、右サイドで野沢(25)がボールを持った時に2トップの動きで3バックは引っ張られ、その外側にいたファビオ・サントス(18)は誰も見れていないという状態。
シュートは素晴らしいものでしたが、決して偶然ではないかたちでした。

またその歪みはボールを持っている相手、目の前にいる相手に引っ張られることでより出てくるので、それはサイドだけでなく中央でも見られ、中盤の3対4を使われて前を向かれると、ポストを受けに来るアレックス・ミネイロ(9)と裏へ動き出す柳沢(13)という2人の動きだけで3バックはズタズタにされ、裏へ抜ける柳沢(13)を簡単に放してしまうという信じられないようなプレーも起こっていました。

ただセレッソはいわば捨て身で前から捕まえに行くので、時々はうまくボールを奪えることもあって、そうなれば西澤・森島という日本を代表する選手を抱えている分チャンスを作れることもあるんですが、この守り方はどう考えてもリスクに見合っていませんでした。

■鹿島の戦い方
今回はいつもの様に主役はセレッソではなく、アウトゥオリ率いる鹿島なので鹿島について。
鹿島の4-2-2-2はアウトゥオリがというわけではなく伝統的にこの形なので彼がどうこうという事ではないでしょうけど、その戦い方からはなにか見えてくるものがあるかもしれません。

ここまで書いた鹿島が先制するまでの展開では、鹿島はボールを持ってどういうというよりも、前から積極的にくるセレッソに対して、そこから生まれる歪を突いてカウンターを狙うという戦い方を選択している様に見えました。
鹿島の攻撃
という事でセレッソの捨て身のプレスに対してCBとボランチのところは4人の形を崩さずに数的有利を確保、SBも最初から高い位置を取るわけではないのでセレッソのプレスを引き込むような形を取ります。
そして狙うのはSBからセレッソのWBの裏に出て行く野沢(25)とファビオ・サントス(18)へ。
先に書いたようにここからサイドチェンジの動きで鹿島が先制しました。
鹿島の守備
一方鹿島の守備は4-4-2でセット。
セレッソの攻撃は、セットした形になると名波(16)がボランチの場所まで降りてきてボールを受け前を向いたところからスタート。
西澤(20)がポストを受ける為に下がってきてピンゴ(10)が前に出て行く。そして森島(8)がDFラインの裏に飛び出す。という形になっています。
鹿島の4-4はこちらも比較的人に付く傾向が強いのでしっかり捕まえていきますが、セレッソが3バックで両サイドの高い位置にWBがいるのでサイドチェンジをされた時はここは野沢(25)またはファビオ・サントス(18)がカバーする形になっていました。
また、ボランチの位置に下がっていく名波(16)に対して試合の途中からアレックス・ミネイロ(9)が戻ってカバーするというシーンが度々見られるようになっていきます。
セレッソの守備の変化と鹿島のボール保持
前半の途中から裏を狙われる事からセレッソの両WBがあまり前に出てこなくなると、鹿島がボールを持つ時間が増えていきます。
ただ、鹿島もそこまで人数をかけて攻めこむ事はないので試合は膠着していくのですが、ボランチは鹿島の2列目がインサイドに入ることで動きを制限されてしまっているので名波(16)と西澤(20)森島(8)の3人も下がって鹿島のボランチに対して守備をすることが増え、セレッソはボールを奪ってもなかなか縦にボールを付けられずに攻撃の形を作れなくなっていきました。

■後半の展開
セレッソの守備と変化
後半になるとセレッソは守備の時に森島(8)が右サイド、名波(16)が左サイドで中盤の守備に入る事で5-4-1の形になる事で守備が安定することになります。
セレッソの攻撃の変化
ただそうなるとボールを奪う位置が低くなってしまうのですが、名波(16)とピンゴ(10)がポジションチェンジして名波(16)が低い位置でボールを受け、さらに右サイドでも森島(8)が右サイドから斜めに出て行く事で鹿島の守備の時に中盤の両サイドを見ている野沢(25)とファビオ・サントス(18)が中に引っ張られてしまい鹿島のSBのさらに外側を走る酒本(17)とゼ・カルロス(6)の両サイドが空きやすくなり、その両サイドを使ってセレッソが攻めこむ時間も増えていきます。
しかしこのセレッソの形は3バックの前に名波(16)をおいてボランチと両サイドを前に出す形なのでリスクはかなり高く、特にセレッソの守備は前半にも書いたように曖昧な部分がかなりあるのでカウンターを受けると危険な状態になってしまいます。
という事で60分にカウンターから3バックの前に名波(16)とピンゴ(10)の2枚だけの状態になり、
そこから3バックの横のスペースを使って右サイドボールを運ぶと、
中央の動き出しに3バックも対応できずに中央で野沢(25)がフリーになり簡単に追加点を決めます。

この追加点でいよいよセレッソはリスクをかけて攻めるしかなくなるので、鹿島はその勢いをしのぎながらカウンターを狙えばというある種やりやすい展開になるかと思いましたが、その空気を払拭したのは名波(16)。
名波のゴール
ゼ・カルロス(6)のアーリークロスをヘディングで跳ね返したところを名波(16)にダイレクトで左足で合わされ、ペナルティエリアの外からスーパーゴール。
実に美しいゴールでした。
この時の鹿島としては、2点ビハインドになったセレッソがさらにリスクをかけて前に人数をかけてきたのをプレッシャーに感じ徐々に最終ラインと中盤が下げていってしまい、この得点シーンでも下がりすぎてしまいセカンドボールを狙っている名波(16)に対して誰もいないという状態になってしまっていました。
64分〜
このゴールのタイミングでセレッソは名波(16)と森島(8)に代えて大久保(36)と古橋(9)を投入sします。
セレッソ交代後の攻撃の形
ここまでの攻撃は下がる名波(16)が起点になっていたのでこの交代はどうなんだ?という思いがありましたが、入ってみるとそれまでと違う形で鹿島を押し込んでいきます。
その形というのはミスマッチを活かしたミシャシステムの前5枚の関係と近い形(ミシャシステムの一番キモになる中盤の空洞化がないので根本的に違うものですが前線の4バックに対して5トップという部分のみの話しです)で、真ん中でボールが収まる西澤(20)とシャドーの古橋(9)、大久保(36)の関係でCB、サイドではゼ・カルロス(6)と古橋(9)で内田(20)を、酒本(17)と大久保(36)で新井場(7)をと2対1の関係で何度もチャンスを作っていきます。
鹿島はこの時完全に後手にまわってしまっていました。
しかしセレッソが決めきれない。
83分〜
83分に鹿島は野沢(25)と柳沢(13)に代えて中後(22)と深井(11)をどちらもそのままのポジションに投入。
この直後の85分に中後(22)が右サイドのコーナー付近でまだ5分あるのにキープに入りますが、セレッソにボールを奪われます。
そしてさらに86分にはカウンターで前掛かりになっているセレッソの裏を完全にとって3対2の状態で内田(20)からフリーの深井(11)にボールが渡るもコントロールにもたつきシュートを打てない。
また88分にはさっきまだ5分もあるのにサイドでキープしていた中後(22)が今度は無理目のロングシュートを放つ、と80分を過ぎてからリードした状態で投入されたにもかかわらずちぐはぐなプレーを繰り返してしまっていました。
最終メンバー
そしてセレッソはもう放り込むしかないという事で89分に疲れてきた西澤(20)に代えて柿本(18)を投入。
鹿島もアディショナルタイムに入るタイミングでファビオ・サントス(18)に代えて名良橋(2)を入れ内田(20)を1つ前に出す。
アディショナルタイムは3分。
酒本のゴール
そのラストチャンスで右サイドから放り込んだボールのセカンドボールを拾った酒本がちょっと当たりそこねながらも決めてセレッソが同点に追い付き、2-2で試合終了となりました。

■その他
2点リードまでは鹿島としては狙い通りの展開だったと思います。
しかしその後は逆にかなり不満の残る内容だったでしょう。
この試合はアウトゥオリ監督が率いた試合という意味でやりましたが、結果だけで判断すると間違えますし、またさらにそれが1試合だけを切り取ってとなるとさらにひどい事になりそうですから、この試合の結果やもっといえばプレーの内容もそんなに気にしていません。ここまでレビューをやっといて言うことでもありませんが(笑)。

アウトゥオリ監督に対しては、ブラジル人らしくアクション・リアクションでわけるような事なくサッカーは全ての状況があるという考え方で、相手の状況ややり方を踏まえてどういう戦い方を選択するのかという事を考える監督なんだだなあと感じました。
特に前半、セレッソを押し込むことよりも引き込んでカウンターを狙おうとしてきたこと、そして前半から後半の2点目を取るまでの間、解説の本並氏は野沢とファビオ・サントスがもっとサイドに開いてボールを受けたほうが的な事を言っていましたが、ピッチレポートで入ってくるアウトゥオリの指示はインサイドに入れと言っていると繰り返し伝えていました。
おそらく押しこむためには本並氏のいうようにサイドに開いた方が良かったと思いますが、そうなると前半の途中からそうなったようにセレッソは5-4のブロックを作って守備を固めてしまう。
そうなると攻めあぐねるという展開になりかねないので、アウトゥオリはセレッソの弱点とも言える場所を最初は開けておいてからついていこうという狙いだったんじゃないかと思われます。

ちなみに名波のゴールはセレッソでの初ゴール、酒本もこれがリーグ戦初ゴールでした。

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