- 61' フォルラン
スタジアム | キンチョウスタジアム | 主審 | 扇谷 健司 |
入場者数 | 10,900人 | 副審 | 武田 光晴、渡辺 智哉 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 25.8℃ / 22% | 第4の審判員 | 花川 雄一 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- パウロ アウトゥオリ
- 監督
- 高木 琢也
試合経過
- 90+5'
- 90+4'
- 85'
-
80'
- 73'
-
63'
-
61'
- 60'
- 59'
-
46*'
- 32'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
SH | 10 | 10 | 12 | 9 |
FK | 11 | 11 | 14 | 12 |
CK | 4 | 3 | 4 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
警告/退場 | 0/0 | 2/0 | 2/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 パウロ・アウトゥオリ監督V ・ファーレン長崎 高木琢也監督
セレッソ大阪 フォルラン選手、玉田選手、山口選手、楠神選手、山下選手、染谷選手
V ・ファーレン長崎 黒木選手
V ・ファーレン長崎 梶川選手
通常の1週間に1試合のペースに戻った14節はホームキンチョウスタジアムでのV ・ファーレン長崎戦。長崎とは比較的古くから移籍などで交流はありましたが直接対戦するのは今節が初めてとなります。
セレッソの先発メンバーは前節と同じ。ただ、安藤に続いて橋本がケガ、関口もケガで今週の練習を休んでいたという事もあって、ベンチに阪本と西本のルーキーコンビが入っています。2種登録選手として昨年の天皇杯で既にトップデビューを果たしている阪本ですが、プロになってからは初めてのベンチ入り。新人としては西本・池田に次いで3人目となります。
一方の長崎はワントップにイ・ヨンジェを入れて、ボランチには黒木を戻し、両サイドは岸田と古部、3バックは高杉・刀根・武内という布陣でスティッペやリ・ヨンジはベンチスタート。
また石神は残念ながらベンチ外となったので、元セレッソ組は黒木とベンチの高橋祐太郎の2人となっていました。
■長崎の5-2-3プレッシング
4-4-2系とのマッチアップ |
スターティングメンバー表記やフォーメーション図などでは3-4-2-1と紹介される長崎ですが、その前線からの激しいプレッシングをする時は5-2-3になります。
なので、もしセレッソが4-4-2系のチームでカカウ・フォルランの2トップにパブロと長谷川の2列目、扇原と山口のダブルボランチだとすると、図のようなマッチアップになります。
プレッシングのスタート |
ここを捕まえておかないと前線3人のプレスの意味が無くなってしまうのでここをしっかりと捕まえることが重要です。
4-4-2系でのプレッシングだと前線に2枚でSHがSBの担当になっているので、ボランチの1枚がCBの間に落ちて3人になってSBを上げてきた時に3人目をどうするかという問題が出てきてプレッシングをやめるかどうとなってくるのですが、ボールと逆サイドの相手SBを捨てて前線に3枚、ボランチはきっちり人数を合わせて前で捕まえておくので、そこでは比較的問題になりにくくなっています。
ボールの奪いどころ |
アバウトにボールをけってきても最終ラインに5枚いて人数をかけてるのでセカンドボールを拾いやすい、ボランチに関しては先程も書いたように捕まえてる、そしてサイドについては、このシステムだと最終ラインに5枚いるので1人が下がっていく選手に喰い付いても残り4人いるのでそんなに問題にならない。なのでガンガン喰い付いていきます。
で、SBにプレッシャーをかけに行っていたシャドーがプレスバックして挟み込んでボールを奪いにくる。
何試合か見たところ長崎の特徴であるプレッシングを簡単に説明するとこんな感じです。もし長崎を追っかけられている方で修正があれば教えて下さい。
■セレッソ対5-2-3プレッシング
マッチアップ |
というのもセレッソの中盤が3人で構成されていてアンカーがいる。長崎のこのやり方だとノーマルな状況ではアンカーを見る人が誰もおらず、またセレッソがそこをきっちり使ってきたからです。
1トップ2シャドーのスタート位置 |
そしてCBの2枚は原則ワントップのイ・ジョンジェが担当。ボールが動けばスライドして、サイドに出た時にボールサイドのシャドーがSBに行く、ボールを逆サイドのシャドーは中に絞るという形に。
プレスに行くとき、いかない時の判断もボールホルダーの状況をいつもより慎重に判断して、ステイの状況も多くいたんじゃないかと思います。
山口の数的有利から使う |
最初に使いだしたのは8分ごろ。最終ラインでボールを動かして三角形の形を動かして、山下から染谷に渡った時に佐藤が喰いついてくると待ってましたとばかりにイ・ジョンジェと佐藤の間を通して山口へのパス。
芋づる式に |
去年の後半に見た芋づる式にスペースが空いてくる形にできるのです。
芋づる式になってしまうのは喰い付いてくるからで、ここも行くときいかない時と上手く判断できればいいんですが、そもそもベースになっているのが「喰いつく」という事なんで、どうしても空いてしまうのに平気で喰い付いてしまう事が頻繁に出て来てしまうんですよね。
またセレッソが3トップで、しかも両サイドに開いてという形でもないので、元々中央は3対3になっています。もちろんWBは絞ってきますが、3バックのCBが喰いつくと中でギャップを作ってしまうんですよね。
サイドチェンジの形 |
ボールサイドと逆サイドの選手が前にいるのでWBの選手が前にでてここを埋められないという状況になっていました。
この山口や扇原を使った相手の5-2-3の2と3の間から使う形やサイドチェンジは20分頃まで何度も見られます。
出てこなければ背後を狙う |
そうなるとボランチから最終ラインの裏を狙うプレーも加えていきます。
これはもちろん一発でって事もありますが、2列目の4人を前に喰いつかせて真ん中を空けたいというのが一番の狙いです。
セレッソの守備 |
なので攻撃はボールをもった状態から。セレッソの守備は長崎に対して基本はいつもの4-3ですが、パブロは相手のボランチのところに、カカウとフォルランの内ボールサイドの選手は前に残り、ボールと逆サイドの選手は3センターの横に降りる。これがいつもよりも徹底できていました。
長崎は立ち上がりにSBのところに長いボールを入れてそこでセカンドボールをひろおうとしていましたがそれも対応し、その後はボールを持つ形になっても相手にボランチを起点にサイドに振られるというこれまでのきついパターンになる事は一切ありませんでした。
なので中盤の守備も下がり過ぎる事もありませんでしたしね。
長崎も何とか対応していましたが30分ごろまではおそらくセレッソがスカウティングして立てたゲームプラン通りの内容で進めていたと思います。
しかし何もかもを大きく変えたのが32分。
長崎の2本目のCK。1本目のCKはわざと大きく開くポジションを取ってたのでマーカーを確認していたのかもしれません。黒木のただのバックステップにボールウォッチャーになった扇原は完全に見失ってファーサイドで黒木に合わされて失点。
試合後のインタビューでどういう意味なのかゴールを決めた黒木に(Q:CK時、笛の音が聞こえたような気もしたが?)と質問がありますが、笛は聞こえたような気もするも何も普通になってます。この直前扇谷主審が試合を止めて黒木に注意していますから、当然プレー再開の笛はなります。
またセットプレーからマンツーを外されて失点してしまいました。ここまで17失点ですがそのうち7点、40%以上がセットプレーからの失点というのはちょっと異常です。
セットプレーの守備はゾーンとマンツーマンがあってどっちも一長一短ですが、今年からマンツーに変えてここまでひどいのに放置はちょっとありえません。
5-4-1にする長崎 |
1トップはほぼ山口の高さにして守備ブロックも下げました。
これに対してセレッソは、最初失点前までの5-4-1と同じようにロングボールを入れていきます。狙いはさっきまでの裏が取れたら最高、ダメでも2列目を喰いつかせて間を空けたいというヤツです。
しかし、長崎は一切出てこないし、裏のスペースもラインを下げて消してくる。
リードしたから当然です。
それでも何度かは強引にチャンスを作りますが、基本的には下がっているのでボールは持てる、だけど裏を狙っても厳しいし効果が無い、なので縦パスを入れるタイミングを探してボールを回すんだけどなかなか・・・という状態で前半が終わりました。
セットプレーからあまりにも簡単に失点した事で一気に試合を難しくしました。
■バタバタの後半
後半開始〜 |
並び敵にはカカウがインサイドハーフに入って長谷川が右SB、玉田が左の前線になっていました。
おそらくこれは前半終わりの状況を見て引いてくる長崎を崩すにはという事だったんでしょう。ボールを持って長谷川が右サイドで起点になるというのをイメージしてたんだと思います。右SBとして完璧じゃなくても、そこそこできれば良いと。
クルピもちょっとそういうところがありましたが、ブラジル人監督は人数で何とかしようとしてくるんですよね・・・
しかし結果は全くダメ、完全に悪手です。
ミスマッチとは |
長崎は当然そこを狙ってきます。
その結果長谷川は裏が怖いのでマイボールでも前に出られない、となると攻撃の厚みを作るためには山口が前に出て行く事が増える、奪われたらもはやDFラインの前には誰もいません。
後半開始から15分間ぐらいはもはやいつ失点してもおかしくない状態でした。
まあ逆にいうと長崎はこの時に試合を決めておかないとという時間でした。
しかし長崎が花井から前田へとより守備力の高いボランチへと交代した直後の61分、フォルランがフリーキックを直接決めます。セレッソはほぼ何もないところから同点に追い付きました。
63分〜 |
ただ、扇原に代えたという事は4-2-2-2です。
ここからセレッソが得点の勢いと少しバランスを持ち直した事で攻めこむ場面が増えていきます…が崩しきれません。
73分〜 |
普段は3CBの右、元々はおそらくボランチの選手です。
これ、おそらく高木監督はセレッソが4-2-2-2になって前掛かりだから5-2-3をやろうとしたんじゃないかと思います。長崎の選手もかなり疲れてたのでショートカウンターにまで持っていける事はありませんでしたが、アンカー問題も無くなってるし前で止めたかったんでしょう。
ただ、セレッソの4-2-2-2は実際4-2-4なのでショートカウンターで受けてくるよりも、積極的にボールを持つ形を選ばれた方が嫌だったと思います。
85分〜 |
前半の守備は機能していましたが、後半はまず長谷川のSBで大混乱したあとなので4-2-2-2で機能する形に戻った気がしていますが、先ほど書いたようにこれは両サイドにFWを入れた4-2-4なんですよね。
なので正直カカウもパブロもどっちもかなりギリギリの守備だったのですが、より守備に甘いパブロを下げたという事でしょう。
85分、長崎はイ・ヨンジェに代えて高橋を投入。ワントップの入れ替えです。
セレッソは楠神の突破からドンドン前がかりになりますが、大久保がゴールキックの遅延行為を受けた直後の95分に悪夢が。
長崎が右サイドからあげたクロスをキム・ジンヒョンがパンチングで逃れるも左サイドで武内が拾う。この時、楠神は入ってきた梶川に気がつくんですが、長谷川が戻ってくるのが確認できたので攻撃に備えて戻らない。けど武内のクロスは長谷川が戻りきる前に梶川に合わされてしまい失点してしまいました。
さっきも書きましたけど、長谷川SB時のイメージが強すぎて安定した様に見えてもこの時セレッソは4-2-4なんですよね。
試合は1-2で逆転負け。ちょっとショッキングな敗戦となってしまいました。
■その他
トータル的にはよく言う1-1の試合ってヤツだったと思いますが、終了間際に決められるというショッキングな敗戦です。
試合の流れとしては、立ち上がりは良かった→だけど弱点のセットプレーで失点。選手交代で迷走→だけど同点に。少し戻して攻めこむ→終了間際に失点。
ちょっといろいろあり過ぎてよくわからない試合でした。
だた、考えるとすればまずはセットプレーの守備。
本文中にも書きましたがこれは早急に何とかしないといけません。
FKやCKであわされての失点が7点もある、2試合に1回は失点してるというのは明らかに異常です。ゾーンなのかマンツーなのか、監督によってこだわりがあったりもするんですが、マンツーで続けるにしても修正が必要です。
あと次に、ここのところスタメンの入れ替えが必要だとか、外国人3トップがとか、未だに外国人3トップの守備がとか運動量がとか人の問題にしているしている意見をよく聞きますが、ハッキリいって人の問題じゃないと思います。
確かに以前にも書いたようにもう高さは捨ててCFに玉田でのは思っていますが、例えばスタメンを入れ替えたところできっと同じ様な問題が出て来ます。
ここのところコメントでも◯◯の守備がとかってのをよく頂きますが、例えばこの日の最後の失点だって近くまで来てた楠神が戻らなかったからとも言える訳です。彼は一番最後に入ってきた選手ですしね。
なので楠神が悪いとか、前節書いた北九州戦の関口のフリーダム守備の問題を指摘したいんじゃなくって、また外国人3人は頑張ってるよとかって事がいいたいんじゃなくって、問題はもっと根本的な部分にあると思ってます。
その部分はまた追って書いていこうと思います。
いつも楽しく読んでます。
返信削除敗戦ということもあってセレッソの守備に重点を置いた解説になってますが、攻撃の方はどうだったでしょうか。長崎の守備をまともに崩せたシーンはほとんどなく、シュートコースをきっちり切られて無理な体勢から枠外に飛ばすのが精いっぱいだったように思います。
負けたこともですが、自分は得点数がリーグで1位のチームがシュートをほとんど枠に打たせてすらもらえなかったことの方がショックでした。フォルランのPK以外で、相手キーパーがシュートを防いだシーンってありましたっけ?ってくらいチャンスがなかった。
それにしても長崎の2点目、長崎側の右サイドで黒木→岸田と経由して最後にクロスを上げたのは、左サイドのはずの古部なんですよね、なんであんなところにいたのやら。
コメントありがとうございます。
削除攻撃の方は前半の失点まではよかったと思います。失点後の前半はダメでした。
後半に関して言えば同点に追いつくまでは正直攻撃どころじゃなかったですからね(苦笑)。
サッカーでは守備と攻撃がつながってるのであれだけボロボロだとちょっとキツイです。
後、シュートコースを切られてたのは5-4-1で下がられ、低い位置で人数をかけられるとそういう場面は絶対に増えますからね。5-4-1でブロックを落とすというのはそれだけ堅いです。ただカウンターはやりにくくなるし攻撃のチャンスはかなり減るので90分それを徹底するチームは少ないだけです。
幾つかは技術的にミスしていた場面もあったので、それに関してはそこまでショックを受けなくてもいいと思いますよ。
スタメンに問題があるとか言ってる人はスタメンを変えて負けた福岡戦や群馬戦のことをもう忘れちゃったんでしょうか。
返信削除敗北の責任を一部に押し付けても何も変わりませんよ・・・。
コメントありがとうございます。
削除わかりやすい部分ですからそうなっちゃうんでしょうけどね(苦笑)。
いつも楽しく拝見しています。現地で観戦しましたが今も疲れがとれません。今回もセットプレーでやられました。フットボールはコンタクトスポーツなのだからマンツーならもっとガツガツいってほしいと思うのは私だけでしょうか。もうロビーの顔を怖いオオカミに変えてほしくなりました。
返信削除勝手なことを書きましたが、これからもこのブログを楽しみにしております
コメントありがとうございます。
削除慣れの問題があるんでしょうけど、そうですね。ここまでゆるいともっと行って欲しいという気持ちはわかります(苦笑)。
最近コメントも増えてみんなのイライラ具合がよくわかりますね。(笑)
返信削除セットプレーですね。今までみたいにゾーンで守っていても,へたくそでしたからね。練習しか無いのでしょうかね。
選手の特性をレーダーチャートにして、チーム戦力としてみるとかなり歪な分布になるでしょうから、監督もその中で戦術を立てていくのはかなり大変だろうとは思います。真ん中でボールを納めてタメを作れてスルーパスも出せる。そんなスーパーな選手がいれば良いんでしょうけど。(笑)
それと疲労ですよね。乳酸値を測ってるとは言うものの、疲れがパフォーマンスの低下に繋がってるように見えるのは僕だけでしょうか?結構,年寄り多いんだから。(笑)
何にしても、そろそろ山口ビダル。or 4-4-2の出番じゃないですか?(笑)
コメントありがとうございます。
削除そうですね。昔から負けた試合の方がアクセスが良かったりしたんで(苦笑)。
疲れに関してはもちろんそうだと思いますよ。ただまだ大丈夫という事なんでしょう。
4-4-2はどうでしょうね。サイドが出来る選手も少ないですからねえ。。。
いつも楽しく拝見しております。
返信削除上の片が書いてるようにゾーンの時から守備の緩さは指摘されてましたよねw
後、外国人選手の批判してる方って、ショートパスサッカーを求めてる感じがします。
さて、カカウ選手の契約について発表がありました。
残念ながら田代選手が行方不明状態なので、補強するなら体を張れるトップの選手と思っております。
Akiさんだったら、どんな選手を補強して欲しいとお考えでしょうか。
コメントありがとうございます。
削除セットプレーの守備は確かにそうですね。
ただ、2012年は10失点、2013は13失点、2014年は12失点(PKを含む直接決まったのは除く)なんで今年の方がやっぱり多いんですよ・・・
ショートパスサッカーは僕も最近そう感じています。
思ったよりも勝ってないから余計なんでしょうけどね。
戦力問題ですが、田代はまだ別メニューって感じなのでもう少し時間がかかりそうですね。
補強はフォルランの去就次第ですが、このままフォルランがいなくなるならフィニッシャーは欲しいですねえ。4-4-2をするならサイドができる選手もいるし…(笑)
セットプレーからの失点は、去年までのゾーンからマンツーマンに変わって、減るかとおもいきや、減らないですね。選手の意識の問題としか言いようがない気がしますね。(マンツーマン・ゾーンのそれぞれの利点・欠点があるのでなんとも言えないですが…。)
返信削除気になるのが、オフェンスファウルをもらおうとするプレーですね。特に染谷。相手と正当に競るのではなく、蹴った直後のもみ合いで、簡単に転んでしまうところです。ファウルもらえるとは限らないので、ディフェンスは踏ん張ってプレーしないとといつも思っています。
ボールをクリアできずとも競って自由にプレーをさせない。そういう当たり前の事ができていない気がします。