スタジアム | キンチョウスタジアム | 主審 | 佐藤 隆治 |
入場者数 | 9,622人 | 副審 | 相樂 亨、清水 崇之 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 28.7℃ / 60% | 第4の審判員 | 谷本 涼 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 大熊 清
- 監督
- 高木 琢也
試合経過
-
90+4'
- 89'
- 85'
-
84'
- 77'
-
76'
-
66'
- 65'
-
56'
- 26'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 18 | 10 | 14 | 14 |
CK | 4 | 2 | 5 | 4 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 10 | 3 | 13 | 9 |
警告/退場 | 0/0 | 2/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 大熊清監督V・ファーレン長崎 高木琢也監督
セレッソ大阪 玉田選手、酒本選手、澤上選手、藤本選手、清原選手、山村選手、リカルド・サントス選手
V・ファーレン長崎 永井選手
国際Aマッチウィークと天皇杯でリーグ戦は2週間の中断となっていたその中断期間あけの初戦となる明治安田生命J2リーグ第31節は、本拠地キンチョウスタジアムでV・ファーレン長崎と対戦。膠着した展開のゲームとなりましたが、クイックリスタートから玉田の今期リーグ戦初ゴールと、アディショナルタイムに澤上のトップチーム初ゴールで2-0で勝利となりました。
■メンバー
天皇杯は代表招集で離脱していた山口とキム・ジンヒョンが戻ってきたものの、天皇杯2回戦で柿谷負傷離脱後はエースとして大車輪の活躍を見せていた杉本も負傷離脱となった事から、天皇杯2回戦の京都戦からダブルボランチを山口と山村にしてソウザがシャドゥに入る変更してきたセレッソ。ただ離脱者も多い反面、清原がベンチに復帰しています。一方の長崎は、ミッドウィークに熊本・大分で起こった震災の影響で延期になっていた第8節水戸戦を消化し中3日での試合となる中選択したのは永井が1トップの3-4-2-1。
シャドゥには梶川と夏の移籍期間で加入したペク・ソンドン。ボランチでは田中裕人がベンチスタートとなり前田とコンビを組むのは清水から期限付き移籍中の宮本。3バックの左には長崎唯一の日本代表経験者で鳥栖から期限付き移籍中の坂井が入っています。
■リトリートを選択したV・ファーレン長崎
長崎の守備 |
そして守備陣形はしっかりリトリートして自陣に戻ってブロックを作る形を選択してきました。
そのリトリートの徹底ぶりはかなりのもので、セレッソはこの日杉本もいないので例えばゴールキックの時にロングボールは蹴らないようにしていた様でキム・ジンヒョンからCBやボランチ、SBに短いボールで繋ぐプレーを繰り返していましたが、ここに対して1トップの永井が行くことはあってもシャドウの梶川やペク・ソンドンがアプローチをかける事は全くなく、まず自陣に戻るという事を徹底していました。
リトリートを選択した事で長崎がボールを奪ってもどうしても低い位置になってしまう事が多いのでショートカウンターという形はほとんど作る事ができませんが、自陣に引くことで敵陣にスペースがある状態になる為、スピードがある永井がそのスペースを使ってカウンターのチャンスを狙うという事が1つ、そしてもう1つはセレッソは4-2-3-1でやっていた頃からファーストディフェンスが決まらず相手に簡単にボールを運ばれる展開が続いていましたが、ここ最近はさらに4-2-3-1よりも高い位置での守備が難しくなる3-4-2-1を敷いて5-4-1で守るので最悪ボールを運ぶだけならそれほど困らないという計算もあったのかもしれません。
実際立ち上がりは簡単にボールを運ばれシュートまで持っていかれる場面も続きました。
■攻め手の無いセレッソ
長崎がリトリートを選択した事でボールは持つことが出来るセレッソ。しかし独力でボールを運んでくれ、さらにシュートまでも持っていくことができる杉本はおらず、本職がボランチのソウザに相手を背負ってプレーさせるような攻撃を繰り返すという相変わらずの攻撃の設計図のなさに、玉田が引いてボールを受ける以外の形が無く攻撃らしい攻撃をする事ができない展開が続きます。
長崎の守備は3バックの特に左に入る坂井、そして時々中央に入る高杉が安易にセレッソの選手に喰いつき最終ラインにギャップやスペースを作ってくれるのですが、それを繰り返し使う様な攻撃のアイデアがチームとして落とし込まれておらず、FKやCKを獲得する事はできるもののゴールは遠い展開。また長崎の守備陣系の中で唯一役割がかみあっておらず、永井が深追いすることでセレッソの攻撃が始まり、ボランチも動かざるを得ないという相手を崩すきっかけとなりそうなポイントはあるのですが、全く活かせないまま時間だけが経過していきます。
また長崎もセレッソの最終ラインに入る藤本や山下、田中が長崎の攻撃を狙いを理解すると、両シャドゥが守備に追われている分沢山の負担が大きくかかっている永井が基点になれるような場面も少なくなり、また遅攻でボールを運んだ場合でもセレッソの人数をかける守備に対して崩せる形もないのでゲームが膠着していく事になりました。
■相手の人数と自分たちの人数
攻撃の人数を増やす |
この試合に限った事ではありませんが、特にミッドウィークに試合があったわけではなく1週間準備期間があったとしても、それぞれの対戦相手に対してチームとして攻撃のアイデアを全く仕込む事ができないのが現状なので、人数をかける分リスクはありますが前半の45分間を通じて山下と藤本で永井を抑え、後ろから出てくる選手に関してはボランチと守備の切り替えとで対応できると考えたのでしょう。
この形で、相手の骨格を狙えている訳ではなく力技なので崩す場面や決定的な形をつくる事はありませんでしたが、松田が中に入る形や田中とポジションを入れ替えたりと色々と選手個々が工夫を凝らす事で相手を押し込み、クロスも何本も上げられるようになります。
そして56分、宮本がソウザを押して倒したペナルティエリアすぐ外でのファールからクイックリスタートで山口が玉田にパスを出し玉田が流し込みゴール。
長崎の隙を突いてセレッソが先制します。
この場面で長崎の選手で唯一クイックリスタートの可能性を感じられていたのが岸田でしたが、せっかくここまでしっかりとリトリートする事で0に押さえてきたのに、肝心のボールのそばにいるファールを犯した宮本や梶川、前田。さらに最終ラインの村上や高杉はボールを見ていなかったのが長崎にとって悔やまれる所でしょう。
またこの日のスカパーのマッチデーハイライトで行われた玉田のインタビューで、大声の話しだけでなく玉田のシュートは倒れ込みながらのシュートが多いという話しが出ており、確かに僕もその印象が強くあります。結局その質問に対してハッキリとした答えはありませんでしたが、「キーパーを見ている」という事を言っており、おそらく強いシュートを打つとかって事よりも空いているところに蹴ろうとしているから、できるだけギリギリまでキーパーを見ている分シュートフォームとしてのバランスが崩れて倒れてしまうんでしょうね。
少しシュートの技術について感じさせるエピソードでした。
■4-4-2に変更も
セレッソが先制した事で長崎は少し前がかりになる瞬間もありましたが、そうなるとセレッソにも攻めるスペースが出来オープンになりかけたのですぐに前がかりになる様子も収まります。66分〜 |
一方のセレッソも同じタイミングでしたが時間としては66分、酒本に代えて清原を投入します。
長崎は4-4-2に代えた事で前線を2トップにしたという事だけでなく、サイドがセレッソのWB1枚に対してSHとSBの2枚で数的有利を作りやすくなるというのが狙いで、ちょうどその狙いをやられたのが天皇杯の京都戦だったのですが、SBが攻撃の基点になれずせっかくの数的有利をほとんどいかせず、一方のセレッソはこの混沌としたチームの中でボールを持たなくても仕事ができる唯一の選手である清原が入った事でボールが動かしやすくなり、長崎が反撃を見せるような展開にはなりませんでした。
欲を言えばセレッソとしては相手が4-4-2だとミスマッチを活かせる展開にもっていけるはずなので、チーム全体としてそういう狙いの攻撃を作っていきたい所でしたが、整備出来ていないチームではやはり難しかった様です。
77分〜 |
玉田の交代はコンディション的なものと高さでしょう。ソウザとの交代もという声もあるようですが、ソウザの所はサイドの守備をしないといけないのでその選択はありません。
一方長崎の田上はDF登録ですがFWの位置に入りました。田上は流通経済大学から加入したルーキーで身長はありませんが投入直後にロングスローも見せたように身体能力が高くハイボールにも強さを見せます。また流通経済大学付属柏高等学校在籍時の2011年にはFWとしてプレーし高校総体で得点王になった経験もあります。
しかし長崎はせっかく投入した田上を活かす様な攻撃は殆ど無く、どちらかといえば同じ様なタイミングで投入されたリカルド・サントスのほうがそのパワーを見せる場面のほうが多くありました。
89分〜 |
長崎は89分にペク・ソンドンに代え永井が先発を外れていた天皇杯2試合を含めた直近3試合で4ゴールを決めている木村を投入。SBの坂井がリスクをかけて逆サイドからのクロスに対して前線に入っていこうかという姿勢を見せますが、そもそもそこまでの形をつくる回数自体が少なく、アディショナルタイムの94分、一旦中盤で奪われかけたボールを山口と清原で再びボールを奪い返すと、左サイドに展開。丸橋のクロスを大外で澤上が合わすというようやくミスマッチが起こっているからこその形で澤上がダイビングヘッドでねじ込みゴール。
再開直後に試合終了の笛がなりセレッソが2-0で勝利しました。
■その他
いつも通り試合内容としては混沌とした状況が延々続き、ゲームプランやチームを整理しようとする姿勢すら感じさせない展開任せの試合でしたが、しっかりと勝ちきる事ができました。天皇杯の勝利で忘れかけていますが、中断前の試合で金沢に勝利するまで6試合で1勝1分4敗とかなり勝ち点を落としてしまっているので現状としてはもう1つでも勝ち点を落とすと厳しくなってしまいます。長崎については、高木監督のゲームプランとして5-4-1リトリートからどの様な計算だったのかはわかりませんが、5-4-1リトリートで守ることができていたのに勿体無い失点をしてしまった事が悔やまれる所でしょうか。そして4-4-2変換もほとんど何も残す事ができなかったのも気になる所です。
ここからはアウェイ連戦の間にベアスタでの天皇杯が挟まれるというアウェイが3つ続く厳しい日程となりますが、勝ち点をしっかり積みあげたいところです。
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