2017年3月12日日曜日

3/11 明治安田生命J1リーグ第3節 VS 北海道コンサドーレ札幌 @ 札幌ドーム

第3節
2017年3月11日(土)15:06KO 札幌ド

スタジアム札幌ドーム主審上村 篤史
入場者数21,760人副審穴井 千雅、小椋 剛
天候 / 気温 / 湿度屋内 / 24.1℃ / 45%第4の審判員藤井 陽一
スターティングメンバー
北海道コンサドーレ札幌札幌
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • 四方田 修平
 
  • 監督
  • 尹 晶煥
北海道コンサドーレ札幌札幌
C大阪セレッソ大阪
今回対戦今季平均
データ項目北海道コンサドーレ札幌セレッソ大阪北海道コンサドーレ札幌セレッソ大阪
FK15131212
CK3553
PK0000
シュート138108
警告/退場0/00/01/00/0

<監督・選手コメント>

北海道コンサドーレ札幌 四方田修平監督
セレッソ大阪 尹晶煥監督

北海道コンサドーレ札幌 ク・ソンユン選手、横山選手
北海道コンサドーレ札幌 宮澤選手、都倉選手
セレッソ大阪 マテイ・ヨニッチ選手、山下選手、清武選手、柿谷選手、山口選手、清原選手

明治安田生命J1リーグ第3節、アウェイ札幌ドームでの北海道コンサドーレ札幌との今シーズン初勝利を目指した一戦は1-1の引き分け。両者痛み分けとなる結果に終わりました。


■先発メンバー

セレッソのメンバーは、キム・ジンヒョン、水沼が負傷離脱中ですが、セビージャから帰ってきた清武が4年半、1715日ぶりにJリーグ復帰。右SHに清武、左SHには柿谷が入り、前節浦和戦の終盤に採用した山村が杉本と並んで前線に入る形をスタートから採用してきました。

一方の札幌は、前節負傷で欠場したキャプテン宮澤が復帰。中盤は開幕戦同様に深井、兵藤、宮澤の3ボランチとなりますが、試合開始前のメンバー発表時点では先発メンバーに名を連ねていた菊地がアップ中に怪我を再発させたようで急遽右CBはキム・ミンテに変更。ベンチには下部組織出身の長坂が入っています。

■立ち上がりの両チーム

この試合は13分にソウザのFKをヨニッチが頭で合わせセレッソが先制します。
ヨニッチは2試合連続ゴール、キッカーは清武じゃないのかよというツッコミもありますが、ソウザも2試合連続のアシストです。
そしてこのFKはセレッソにとってわずか13分で3本目のもの。これは前2試合に比べてセレッソは前にボールを運べていた事を意味しています。
札幌の守備
ボールを運べていたのは札幌の守備の形にもその要因はありました。
札幌の守備は5-3-2で自陣にブロックを作る形。5-4-1で前線を1枚、中盤を4枚にする形ではなく、前線に2枚残すので中盤はWBが前に出てくることもありますが基本的には3枚がスライドして対応する形になっています。
この札幌の守備の形は前節のマリノス戦でも見られましたが、少し変わっていたのはインサイドハーフの役割。どうしてもフリーになりやすいSBに対してインサイドハーフが突撃していくシーンも見られましたが、その形では運動量過多になってしまい後半厳しくなっていたこともあるのでしょう。またマリノスはボランチの1人が最終ラインに降りてCBが開き、SBを上げるという形を取っていたのに対し、セレッソはボランチが最終ラインにまで降りる事が少なくマリノスに比べSBのスタート位置が低かった事も影響しているのかもしれません。

どちらにしても札幌はセレッソのSBに対してプレッシャーをかけてくる事がありませんでしたので、浦和戦で窮屈なプレーを強いられていた丸橋と松田が楽にボールを受けられることに。
これがまず序盤セレッソがボールを運ぶ事が出来ている要因の1つでした。
セレッソの攻撃
またこれは開幕戦から見られた形ですが、セレッソのボランチは最終ラインに降りる動きはありませんがSBにボールが入った時にボールサイドにいるボランチが前に出ていきます。
札幌は5-3-2。2トップはSBに対してスライドしてこず基本的には2CBの前にいる。そしてWBは最終ラインにいる。なので札幌の3人の中盤はスライドしてきますがボランチがいる。そしてWBの前にはSHがいる。ですから最終ラインからこの中盤のサイドでまでならセレッソは数的有利を作る事ができ、SBから中央にいる山村、杉本へのクサビ、また右サイドでは清武と松田がポジションを入れ替え松田を前に出し清武が縦パスを入れる場面もいくつか見られることに。FKを獲得した3つのプレーはいずれもそういった形からでした。
素早い守備への切り替え
一方セレッソがボールを奪われた時の形はこれまでの2試合に比べ高い位置から守備をしようという狙いが見える形。セレッソは2トップで札幌は3バックなので札幌にとっても最終ラインでは数的有利を作る事ができる状況なのですが、札幌の攻撃の起点となる福森がいる3バックのサイドにはSHが出て行くシーンも何度も見られます。その結果札幌は都倉めがけてロングボールを入れる回数が増えますが、ロングボールを蹴る為に与えられる時間が制限出来ているので都倉はほとんどのケースで山下とヨニッチとに見られている2対1の状況。さらに中盤の3枚やWBは守備で下がっているためセカンドボールを狙えるポジションに移動するだけの時間が無く、札幌は前線に起点を作れずにいました。

■どちらも受け入れて繰り返される札幌の攻撃

しかしこのセレッソの高い位置からの守備は、そもそもセレッソがボール保持命というわけではないのでできるだけ早くボールを回収しようというものはなく、どちらかといえばカウンター対策としての意味合いもあってのもの。ですので札幌が一旦バックパスなどで前向きにボールを進めてこないなら決して深追いすること無く、全体が下がってブロックを作る形をとります。
札幌のミスマッチを利用した攻撃
となると札幌はブロックを作っている位置まではボールを運んでいく事が出来ます。
このボールを繋ぐ札幌の攻撃は3バックによって生まれるミスマッチを活かした形。
特にそれが生まれやすいのが低い位置に福森がいて、ジュリーニョもサイドに出ていく事が多い左サイド。
セレッソの4-4-2と札幌の3-5-2はマッチアップが必ずずれる。また今シーズンのセレッソは浦和戦でやろうとしていた様に4-4-のブロックがスライドして最も危険な中央を閉めようとするゾーンディフェンスの考え方に基づいた守備。ですから去年まで見られたようなとにかく人を捕まえようとして引っ張らた芋づる式になってしまう事はありません。しかしゾーンディフェンスの考え方というのはゴールから遠い場所、例えば外側については人を捨てることになるので外側にはシステムのかみ合わせのズレによって浮いている選手を作る事ができる。
そして札幌は中央を割るような攻撃はありませんが、外側の浮いている選手からとにかくクロスを放り込む形をメインにしているので、マリノス戦よりはボールを運ぶ事ができ、クロスを入れる事はできていました。
ただ、セレッソにとってそれは十分承知しており、ヨニッチと山下で跳ね返す事ができると計算している形。
札幌の大外クロス攻撃
札幌もブロックを崩す事無くクロスを入れている事は自覚しているので、クロスの形を工夫。
ターゲットとなる都倉をファーサイドに回し、その外側にさらにWBも飛び込ませるというセレッソのディフェンスラインで最も強い部分を避けるような形を繰り返しますが、セレッソとしてはそれも跳ね返す事ができると考えているので自分たちの形を崩す事無く跳ね返し続ける。
実際セレッソのディフェンスラインは跳ね返し続けることに成功していましたので、前半札幌の可能性のあったチャンスは22分のセットプレー崩れから兵藤がシュートを放った場面ぐらいでしたが、それを山口がカバーし事なきを得ました。
しかし札幌にしてみれば、セレッソの守備がズレたり、遅れたりするアクシデントが1度でも起こればOKという考えなので、チームとしては何度跳ね返されたとしても繰り返す。
ターゲットとなる都倉は気持ちよくプレー出来ている訳ではないのでストレスを感じている様子は伺えましたが、札幌は愚直にそれを繰り返し続けていました。
プレビューにも書きましたが、札幌がこの外側からの攻撃を繰り返すのはおそらく守備のことも考えての決断。
札幌が行っているこの攻撃の形は、殆どの選手が守備時のポジションからそのまま前に出ただけで行っています。という事はもしボールを奪われたとしても守備の形である5-3-2に素早く戻る事ができる。
その対極にあるのが、SBとボランチのポジションを入れ替えたり、SHと誰かが入れ替わるといったいわゆる流動的な攻撃。流動的な攻撃は相手が締めようと考えているスペースを空けたりすることができる一方、もしそこでボールを奪われてしまうとポジションがグチャグチャ。という事は守備で隙を作ってしまう。
札幌はその守備での隙を作りたくないからこそ、このような攻撃方法をとっているのでしょう。

■幾つかのチャンスを作ったセレッソ

札幌のこの攻撃の考え方は、セレッソがビルドアップで起点をSBの低い位置にしてボランチやSHをあまり動かさない形にしているのとは基本的に同じです。
ただ、少し違うのはセレッソの場合、縦にボールを入れる事ができた時にはボールサイドのボランチが前にでるし、SBはSHを追い越したり、SHが中に入る動きも見せる。
そして尹晶煥監督は札幌相手だと浦和戦よりもこの形が取れるとの計算があったはず。だからこそ最初に書いたように守備の基本はブロックを作る形ながらもカウンターを受けないために高い位置の守備も行っていたのでしょう。この2つはセットでなければなりません。
そして思惑通りその形は出来ていました。そして攻撃では丸橋が高い位置に進出できていたし、44分にはサイドを代えて丸橋の縦への突破からのクロスをファーサイドで清武が決定的なヘディングシュートを放つチャンスを作れています。
もちろんまだその形としては物足りませんし、浦和の様に中を使うための外、そして逆に外を使うための中という攻撃にまでは達する事が出来ていませんが、今シーズンここまでの試合の中では最も上手く行っていたと言っても良いでしょう。

ただよくわからなかったのが柿谷の役割。
この試合で左SHだった柿谷は、清武に比べて明らかに前残りをしている時間が長く、4-4のブロックを作る時にも柿谷だけが少し遅れている事が多くありました。全くサボってるわけじゃなく前残りをしてるという感じなんですよね。
しかしそれに対して尹晶煥監督が、近いサイドだった前半にもあまりそのことに対する指示があったようには見えませんでした。
これまでを見ていると本来尹晶煥監督はこういう事に結構うるさいタイプ。スライドが遅れると必ずその選手に対してその旨を伝えます。
もしかすると札幌のストロングサイドが福森のいるセレッソにとっての右サイドだからそこまでという考えがあったのかもしれません。
しかし、だからといって攻撃でその柿谷の前残りを何か活かそうという攻撃の形が見えたわけではありませんでした。なのでよくわからないんですよね。
コメントなどではサイドに起点を作りたかったとは言っていますが。

■勝ち点3を奪う為に早めに動く札幌

後半、立ち上がり早々セレッソがカウンターからまず札幌ゴールに迫りますが、その直後にはカウンターに対応するための素早い守備への切り替えのミスからカウンター気味の攻撃を受け都倉にサイドを突破される。
後半も基本的な流れは変わりませんが、両チーム共に少しカウンターを受ける場面が増えます。
67分〜
そして札幌は63分に石井、深井に代えマセード、金園を投入。マセードは右WB。石井はどちらかといえばオフ・ザ・ボールの選手ですが、マセードはオン・ザ・ボールの選手です。
そして深井に代わって入った金園は前線へ。都倉と金園の2トップにジュリーニョがトップ下という陣形で、これは昨シーズンの札幌が取っていた3-4-1-2です。
そして続けざまに67分、今度はそのジュリーニョに代えて内村を投入。
これも昨シーズンのパターン。
札幌にとってこの試合は、この試合で勝ち点3をとなきゃどこで取るんだというほどの試合。なのでかなり積極的な采配です。

でこの交代が実ったのが73分。左サイドからの内村のクロスをこれまで再三狙っていたファーサイドで都倉が合わせた形。都倉が飛ぶ前に丸橋を押していましたが主審はファールをとらずそのままゴールイン。
この前の56分に裏へのボールを都倉と競り合った松田がハンドをとられた場面でも都倉は押していたとセレッソの選手はアピールしていましたがそれも流していたので、この手のプレーに対しては緩い審判だったという事なんでしょう。
ただ、このシーン直接はこの内村のクロスからですが、そこに至るまででかなり押し込まれることになっていました。
そしてその起点となっていたのは、63分から右WBに入ったマセードでした。
3-4-1-2になった札幌
63分から札幌は3-4-1-2になっています。という事は前線中央はこれまでの2人から3人に増えています。
そしてこの時間になるとセレッソはカウンター気味の攻撃を受けることも増えていた。ということはボールを失ってからの守備の切り替えが遅くなっていたという事でもあります。
となるとこれまでの4-4のブロックが人に引っ張られる場面も増える。というのはカウンターの場面では人に対応しなければいけないからです。
こういった状況はセレッソの守備のやり方からすると望ましいことではありません。がしかし、現段階のチームならどうしてもそういう場面が出て来る事はある。そしてそうなってしまったとしても最悪人を捕まえて、人数をかけて守る事も必要になるでしょう。できるだけそういった時間を作られないようにしなければいけませんが。
その時に札幌の前線中央が3人になったという事はSBが絞って対応しないといけないケースが増える。しかしその外側にもWBがいる。という事は最悪SHがWBを見て下がらなければいけないという事です。
こういった状況の中、セレッソの右サイドでは清武がSBの外側まで戻ってなんとか対応していました。
が、左サイドは柿谷が前残りする。となると丸橋は2対1の状況に追い込まれてしまう。
そこでボールを持った時に持ち味を発揮できるマセードが起点になっていたという訳です。
79分〜
その後もマセードを起点に押し込み続ける札幌。失点後の79分セレッソは山村に代えて清原を投入。清原は右SHに入ります。
これは清武を守備から解放して自由にさせたかったのでしょう。高い位置にいることができればカウンターの起点にもなれます。ここで柿谷と交代だと結局サイドなのでその狙いは実現しませんから、山村という判断だったのだと思います。
そして清武を中央に配置した狙いが早速実現しそうだったのが80分。山口がダイレクトで折り返したボールが裏に抜け出した清武にピタリとあいそのままボレーシュート。
しかしそのシュートは大きく枠を外れてしまいました。
その後札幌の攻撃も特に変化をつける形は無く、さらに兵藤が足をつっていましたが交代枠を使い切っているという状態で、またセレッソは清武が中央から左右に動いて起点になるも人数をかけて守る札幌に対して清武が左右に動くという事は中央の選手が減るという事でもあるので攻めきれない状況に。
89分〜
セレッソは89分柿谷に代えてリカルド・サントスを投入。
パワーのあるリカルド・サントスを中央に置いてそのパワーで何とかしようという事だったのでしょうが、そのまま試合終了。勝利が欲しかった両チームにとって痛み分けとなる1-1の引き分けに終わりました。

■その後

チャンスがあっただけに惜しい試合でした。
まあそれは札幌にとっても同じ。札幌はセレッソ以上に勝ち点3が欲しかったでしょうからかなりリスクを背負って攻め同点に追いつくところまでは至った訳ですし。

本文中にも書きましたが、柿谷を左SHに置いた狙いはよくわかりませんでした。
前残りの感じからすると、柿谷が良かったとか悪かったの前に何か狙いはありそうなんで今後はそのあたりにも注目したいと思います。

次はルヴァンカップのマリノス戦。おそらくこの試合ではこれまで試合に出場していない、出場時間が短い選手を中心に起用するんじゃないでしょうか。
久々なので忘れてる方もいるかと思いますが、ちなみにルヴァンカップのプレビューは書きません。プレビューはリーグ戦のみ。その他のルヴァンカップ、天皇杯などはこちらも相手も様々な狙いをもって挑む事が多い事からどのような戦い方になるのかがよくわからないためレビューだけとなりますのでご了承ください。






7 件のコメント :

  1. 去年からの積み上げがない以上、時間が掛かるのは当然ですよね。
    ここでムキになって個人批判をしたところで何も変わらないので、私は静観する構えです。

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    1. コメントありがとうございます。
      そうですね。そもそもその選手を選んでいるのも監督ですしね(笑)。

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  2. コメントありがとうございます。
    確かに今シーズンは監督が監督の仕事をしてくれるので気持ち以上に書きやすいので楽です(笑)
    できるだけ良いものを書けるように頑張ります。

    返信削除
  3. いつもお疲れ様です。
    柿谷の左サイドについてどう思われますか?
    テクニックがあるのでキープしたり運ぶことは出来ますが、FWのポジションと比べて格段に見劣る気がして仕方ないです。
    個人的に彼はインザーギのような使い方が一番活きると思うので…

    返信削除
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    1. コメントありがとうございます。
      そうですね、柿谷の左サイドは難しいところです。
      ただそれこそインザーギじゃないですけど、尹さんは前だとまだ裏を狙う事しかできないと考えているのかもしれませんね。柿谷も裏を狙う事に重点を置きすぎているのかもしれません。
      今の形だと受けて攻撃の起点になってくれないと厳しいので。
      まあ個人的にはそれだけじゃないと思っているので、そこを改めて見せていく必要があるのかもしれません。

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  4. 脚長おじさん2017年3月15日 11:03

    コメント失礼します。
    柿谷の左サイドと同様に健勇のCFにも意図があるのかなと思うのですが、現状はどの様にお考えでしょうか?
    去年の後半戦でみた健勇がペナ角からのカットインを見てると、サイドorトップ下がやりやすそうな気がするのですが。

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    返信
    1. コメントありがとうございます。
      健勇の前はキープ力だと思いますよ。実際資質で考えると十分前でできる能力はありますし。
      ただ本人がね(苦笑)。
      多分結局はサイドの方が良いと思います。

      削除

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