- 77' ホニ
スタジアム | デンカビッグスワンスタジアム | 主審 | 荒木 友輔 |
入場者数 | 19,684人 | 副審 | 金井 清一、西村 幹也 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 6.7℃ / 60% | 第4の審判員 | 藤田 和也 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 呂比須 ワグナー
- 監督
- 尹 晶煥
試合経過
- 90+2'
- 90'
- 89'
-
88'
- 82'
-
79'
-
77'
-
76'
-
61'
- 45'
-
38'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 12 | 8 | 14 | 12 |
CK | 8 | 5 | 5 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 12 | 9 | 9 | 12 |
警告/退場 | 2/0 | 2/0 | 2/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
アルビレックス新潟 呂比須ワグナー監督セレッソ大阪 尹晶煥監督
アルビレックス新潟 河田選手、大谷選手
セレッソ大阪 杉本選手、山村選手、キム・ジンヒョン選手、清武選手、柿谷選手
アルビレックス新潟 磯村選手(アルビレックス新潟公式)
2017年明治安田生命J1リーグの最終節となる第34節。既に3位が決まっているセレッソ大阪と敵地デンカビッグスワンスタジアムで既に降格が決まっているアルビレックス新潟と対戦は、カウンターからホニのゴールでアルビレックス新潟が勝利。セレッソ大阪は公式戦10試合ぶりの敗戦を喫した。
■メンバー
セレッソ大阪の先発メンバーは前節と全く同じ11人。山口の負傷によりボランチには引き続き山村が入っている。ただしベンチメンバーには入れ替えがあり、福満がコンディション不良ということで酒本が今シーズンのリーグ戦初のベンチ入りとなっている。一方のアルビレックス新潟の先発メンバーは前節から1人変更。前節試合序盤に負傷交代した大野はベンチ入りにとどまり、先発は2試合ぶりの出場となりソン・ジュフンは入る。
またベンチには今シーズン限りの引退を発表した、ミスターアルビレックス新潟 本間勲が第26節以来入ることとなっている。
■カウンターを何度も受ける立ち上がり
この試合で最初のビッグチャンスを迎えたのはセレッソ。5分に杉本が放ったシュートだった。しかし、この場面は新潟に引っ掛けられたこぼれ球をヨニッチが一気にダイレクトで長いボールを逆サイドにいれたという展開で、あくまで偶発的なものだった。
その一方で新潟は、1分、3分、8分と10分までの間に、3度ホニが丸橋の裏のスペースへ飛び出す形をつくっている。これだけの短い間に同じ形を3度も行っていることから、偶発的なものではなく再現性をもってあきらかに狙っている形であることは間違いない。
ただ1分の場面はホニのクロスを河田が足に当てただけで、3分はホニが角度の無いところからのシュート。8分の場面は河田の前でヨニッチがカットしており、ゴールにつながる可能性はほとんどなかった。
とはいえ新潟にとってはこれでOK。この攻撃では新潟はほとんど人数をかけず、例えばタメをつくったりやり直したりもしない。
なぜなら、この攻撃は90分のうちのどこかで1度成功すればOKという考え方だからだ。
やり直して人数をかけて攻めた後にボールを奪われてカウンターを受けるぐらいなら、はっきりボールを失った方がマシ。なので中の状況にかかわらずクロスを入れるし、可能性が低かろうが構わずシュートも打ってくる。
そしてこの3つのホニに走られたシーンは、ホニが走る前、セレッソのボールの失い方にも共通点があった。その全てが、近い距離でのショートパスの交換のところでボールを奪われていた。
新潟は高い位置から人への意識を強めてプレッシングを行ってきた。
対するセレッソは、ビルドアップの時に例えばボランチが下がってSBを上げてなどの仕組みとしての変化は持たない。つまり3バック化して2トップに対して数的有利を作るとか、ここも捕まえに来たら中盤を下げるとか、そういった仕組みとしてのプレス回避はやらない。
ならばどうするかといえば、ロングボールを蹴るか個人が剥がすかのどちらかで行う。
奪われていたのはこの後者。個人で剥がし、中盤とSB、柿谷が距離を縮めてショートパスで相手を剥がそうとしているところで起こっていた。
ただ、セレッソが仕組みを持たないのはいつものこと。しかしそんな中でいつも以上にボールを失ってカウンターを受ける回数が多かったのは、新潟がそのやり方を徹底してきた事ももちろんあるが、チーム事情という部分も大きかったのではないだろうか。
セレッソは前節の勝利で3位が確定したので、この試合は勝っても負けても順位は変わらない。尹晶煥も試合前に語っていた様に難しい試合であったことは間違いない。
そんな中でモチベーションとして持てたのは杉本の得点王争い。この試合はもちろん負けても良いと考えていた選手はいないだろうが、「杉本が得点を奪う」ということにいつも以上に力をかけていただろう。
それを表しているのが前線のポジショニング。普段は柿谷が前線で裏抜けを狙って杉本が下がってくるという場面も比較的多いのだが、この試合ではほとんどの場面で杉本が最前線に残り、柿谷が下がるという関係になっていた。
この状況に加えて新潟のプレッシング、そして選手個人でのプレス回避という状況が普段の様にサイドチェンジを交えて幅を使う形を作れず、近い距離でのショートパスを引っ掛けられてカウンターを受ける場面が頻発することに繋がったのだろう。
■新潟のボール保持
立ち上がりのセレッソは高い位置から守備をしていたことでDFラインも高い位置になり、新潟に背後のスペースを狙われ続けていたが、10分を過ぎた頃から徐々にミドルゾーンで守備ブロックを作る形に変更。その結果単純に背後をつくボールに関してはしっかりとカバー出来るようにはなっていく。セレッソがミドルゾーンでブロックを作ると新潟はボール保持の形を見せるようになる。
新潟は天皇杯で対戦した時もそうであったようにボール保持の形も持っており、その形はメンバーが代わっているので天皇杯の時とは異なるのだが、興味深い形だった。
左右非対称のボール保持 |
しかし右SHのホニは右サイドに開いたポジションを取ることが多い。
ここから中に入ってくる事もあるが基本的にはSB外側のレーンがホニとなる。その内側を使うのは右SBの小泉。ホニがカットインすれば外側に出てくるが、外に開いている時はインサイドに入ってくる。
そもそも小泉はボランチの選手。それが右SBとして起用されているのは中に入ってボランチ気味のポジションを取ることを求められているからだろう。
ちなみに天皇杯の時はホニは左SHでトップ下にはチアゴ・ガジャルド、右SHに矢野貴章という並びで、ボールを持った時は矢野貴章が斜め前にでて2トップ気味になり、トップ下のチアゴ・ガジャルドが右SHに出ていく形になっていたので、やはり左右非対称だった。
ただ、この新潟の形で多くのチャンスを作っていたかといえばそうでも無い。
可能性があったのはハーフスペースに入った山崎が1度ドリブルからシュートを放ったのと、ホニの内側をインナーラップで抜け出そうとした1度ぐらい。新潟も全体的にボールを持ってどうこうよりも縦に速く、高い位置で奪ってショートカウンターという意識が強かったこともあるだろうが、ブロックを崩す様な攻撃はあまり見られなかった。
ただ、前半の最初から続いていたセレッソが選手の距離を近づけて行うショートパスを引っ掛けられたり奪われたりして新潟のカウンターを受ける場面は相変わらず続いており15分以降も22分にホニに走られた場面を始め、何度もホニに走られていた。
このことからもわかるように序盤からホニに手を焼いていた丸橋だが、これは個人の守備力の問題というよりも、グループとしての守備の問題だった。
もちろんホニはとんでもなく速い。がしかし、それ以上に中盤でボールを引っ掛けられたりしてスペースがある状態で、ボールの出どころがフリーになっており、自由なタイミングで走られていたからという部分が大きかったのだろう。
前半のシュート本数は新潟9本に対してセレッソは1本。
新潟は9本打っているとはいえ、入る可能性があったのは17分の山崎のドリブルシュートと19分のホニのどちらもセレッソディフェンスにあたったディフレクションになったものぐらいで、枠からも大きくハズれているものがほとんど。シュートの場面でいうと両チームあわせても杉本の5分のものが最も可能性が高かったシーンだろう
がしかし、先に書いたように新潟にとってはたとえ難しい低いシュートでも90分のうちのどこかで枠に飛んでくれたらOKという考え方の攻撃なので十分やりたいことはできていたといえるだろう。
一方セレッソは、時間の経過と共に徐々にセレッソもサイドに展開出来るようになり、その結果少しずつゴール前にボールを運ぶ場面をつくっていたが、シュートが偶発的な1本のみというのはいただけない。
特に横からのボールでシュートまで持って行けていないというのが、かなり寂しいところだ。
■ペースを取り戻すセレッソ
ハーフタイムコメントには無いが、おそらく近い距離でショートパスで打開するのではなく、オープンスペースに展開するようにとの指示があったのだろう。セレッソは後半に入ると、前半の頭に全くできなかったサイドに展開する形がかなり見られるようになる。
サイドに大きく振られることで新潟はプレスにいけなくなり、セレッソが押し込む事が出来るようになっていった。
ただ、これは今シーズンのセレッソが常に抱えている問題なのだが、こうやってボールを持っても結局アタッキングサードの部分は個人任せになる。なので清武や柿谷にかかる部分がかなり大きくなるのだが、この試合では最初に書いたように杉本に得点を取らせたいからどうしても杉本が前線の真ん中に固定する。なのでいつも以上に崩す事には苦労していた。
とはいえ押し込むことができれば、CKなどセットプレーは増える。実際に前半は全くなかったCKも後半の立ち上がりから立て続けに3本獲得している。
攻撃がどうしても膠着しがちなセレッソにとって、こういった試合でこそセットプレーが大きな武器となるのでポジティブな傾向だとは思う。
しかし新潟も今シーズンここまでのセレッソ戦で何本もセットプレーからやられてきているため、しっかりと準備はしてきていたのだろう。ゾーンで守るCKはきっちり跳ね返していた。
61分〜 |
76分〜 |
前半は新潟のペースだったが、後半のここまではセレッソがペースを取り戻し徐々に掴みつつあったと言えるだろう。
■ミスからの失点と本間勲の引退試合
しかしこの直後ソウザから山村へのパスがミスパスとなり山崎の下へ。それをダイレクトで背後に走るホニへとスルーパスを送ると、抜け出したホニが落ち着いて流し込みゴール。77分に新潟が先制する。ホニがプレスに行ってたからこそ抜け出せたし、前半からプレッシングを続けていたからこそソウザのミスパスも起こったとも言えるが、後半の新潟はカウンターの形もあまり出せなくなっていたのでセレッソにとっては実にもったいない失点だった。
ただ、新潟はこういうワンチャンスを狙っていた訳で、呂比須ワグナー監督にとっては狙い通りしてやったりの先制点とも言える。
こうなるとこの試合はチームのレジェンド本間勲の引退試合という事もあって新潟のモチベーションはさらにアップする。
デンカビッグスワンスタジアムに本間の大きな垂れ幕がかかっていることからもわかるように、新潟にとって本間勲は特別な選手だ。
本間が千葉の習志野高校(玉田の1年後輩)から出身地である地元のアルビレックス新潟に加入したのは、クラブがJ2に参入した翌年の2000年。
ここからクラブはJ2からJ1へとカテゴリを上げ、規模も大きくなっていくことになるのだが、そこには加入初年度から15番をつけ中心選手としてプレーする本間が常にいた。
もちろん2000年当時の選手で今も在籍しているのは本間だけ。前回のJ2を知る選手も本間しかいない。つまりアルビレックス新潟は本間勲と共に大きくなったクラブである。
2014年途中から昨年までは栃木に移籍していたが、その間クラブは15番を欠番としたので、アルビレックス新潟の歴史において背番号15番は1999年につけていた池田選手と本間の2人だけしかいない。新潟にとってそれだけの特別な存在なのだ。
82分〜 |
これはいつものように守るための3バック/5バックというよりも、サイドからのクロスが少なかったので水沼と丸橋の両ワイドからクロスを入れようという狙いがあったんだろうと思う。また木本も高い位置に進出するようになっていった。
ただ、秋山はプレッシャーを受けるとどうしても顔が下がってしまうので、プレッシングが基本の新潟にはあまり効果を上げられなかった。
84分には杉本が反転シュートを放つも大谷にセーブされてしまった。
でこの場面のシュート直後に杉本が左の脇腹を押さえてうずくまるのだが、試合後にあきらかになったように杉本は左肋骨を骨折していたとのことでコンディション面でもかなり厳しかったのだろう。
88分〜 |
90+2分〜 |
そのまま試合終了となり、新潟が1-0で勝利。セレッソは公式戦10試合ぶりの敗戦を喫した。
■その他
久々の敗戦と杉本もノーゴールに終わったことで、得点王争いも小林悠に逆転されることとなり、この試合はダブルで残念な結果に終わってしまった。特に杉本の得点王争いはもうそこまで来てただけに悔しさもひとしおだろう。試合に関して言うと、難しい試合であったことは間違いない。
やり方もはっきりしていて、さらに降格が決まっているとはいえ直近は結果も残している。そして本間のホームでの引退試合。モチベーション面で新潟の方が高かった。
悔しい結果ではあるが、しょうがない部分もあったとは思う。
杉本の怪我の状態は少し気になるし、もしかすると次の試合には間に合わないかもしれないが、天皇杯の残り2試合を勝ってもう1つタイトルを取って最高のシーズンを締めくくりたい。
ということで、次は天皇杯になる予定です。
天皇杯やけども準決勝以降特別にプレビューもお願いします!
返信削除コメントありがとうございます。
削除天皇杯準決勝のプレビューを書きました!
まだ天皇杯は残ってますが、今年も1年間お疲れさまです。
返信削除Akiさんのおかげでセレッソの試合をより楽しく拝見できています!いつもありがとうございます!
来年も勝手に楽しみにしています!!!
コメントありがとうございます。
削除こちらこそありがとうございます。
残り天皇杯も勝ちたいですね!