2017年12月31日日曜日

第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会 決勝 vs 横浜F・マリノス プレビュー

2018年1月1日 14時40分:埼玉スタジアム2002

予想スタメン

2017シーズンラストマッチとなる第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝は、YBCルヴァンカップに続くクラブ二つ目のタイトル獲得を目指すセレッソ大阪と、2013年度以来4大会ぶりの優勝を目指す横浜F・マリノスの対戦となる。


■セレッソ大阪、ファイナルまでの道のり

セレッソ大阪の第97回天皇杯は6月21日の2回戦、新潟福祉大学との一戦から始まった。
この試合の先発メンバーはルヴァンカップを戦っているいわゆるルヴァン組に少しの主力を加えたメンバー構成となる。新潟福祉大学は4-4-2のブロックからカウンターを狙う戦い方で挑んでくるが、セレッソが逆にカウンターで清武のスルーパスから水沼が決めて先制。さらに水沼の落としから田中が決めて2-0とすると、そのまま逃げ切り危なげなく初戦を突破した。

続いての3回戦は全カード中唯一のJ1対決となったアルビレックス新潟戦。セレッソは山口と山村の主力2人プラスルヴァン組となる先発メンバーに対して、新潟は主力組がずらりと並ぶび、さらに会場も新潟の本拠地デンカビッグスワンスタジアムという厳しい条件での一戦は、常に新潟が先手を取る難しい試合となった。この試合で大きなポイントとなったのは延長前半にホニのゴールで新潟が2-1とした直後に丸橋のクロスをリカルド・サントスが頭で叩き込んだ同点ゴール。これで勢いに乗ったセレッソが延長後半に木本が決め2-3と逆転勝利。この試合のリカルド・サントスのゴールは準決勝の水沼のゴールと並び今大会の大きなハイライトの1つだろう。

4回戦は再びアウェイパロマ瑞穂スタジアムでの名古屋グランパス戦。J2とはいえ風間監督率いるタレント揃いのチームに対し、セレッソはルヴァン組での一戦となった。
試合が動いたのは立ち上がりの前半6分。秋山のインターセプトからリカルド・サントスへ縦パスを送るとリカルド・サントスは背後のスペースに走る福満へスルーパス。これを落ち着いて決めセレッソが先制する。その後はボールを保持する名古屋と、ブロックを作って守りそこから縦に速い攻撃を狙うセレッソという展開になるが、セレッソは最後まで堅い守備を保持し続けそのまま試合終了。準々決勝進出を決めた。

準々決勝は大宮アルディージャ戦。直後のリーグ戦でも対戦があるというカードは両者共にリーグ戦とはメンバーが大きく変わる構成となる。大宮は4-4-2から左SBだけが前にでる3バック変化という普段のリーグ戦では使っていない特別なやり方を見せてくるが、攻守の切り替えのスピードで上回るセレッソが、シーズン中盤以降どんどんと存在感を増してきた福満のゴールで先制すると、さらに澤上の今季初ゴールで追加点を決め2-0で勝利。準決勝へとコマを進める。

準決勝はヴィッセル神戸戦。ポドルスキが不在の神戸もこれまでの4-4-2のハイプレスから4-3-3で中盤のスペースを埋めるセレッソ対策を敢行。両者慎重に戦う動きの少ない試合となる。
そんな中90分に途中出場の大森のクロスがそのままゴールネットを揺らし、セレッソは絶対絶影のピンチに陥るが、柿谷が再開のキックオフをヨニッチに下げると、ソウザにつなぎロングボール、それを山村が頭で落とし、飛び込む木本に対してキム・スンギュが足で何とかクリアしようとするが、そのボールを水沼がボレーで押し込みゴール。キックオフから一度もゲームが切れることなくセレッソが同点に追いつく。延長に入るともはや神戸には精度の低いパワープレー以外に出来ることはほとんどなく、柿谷・ソウザのゴールでセレッソが3-1と勝利し決勝進出を決めた。

■横浜F・マリノス

セレッソ大阪対横浜F・マリノスは、ルヴァンカップ予選リーグとリーグ戦の2試合で今季既に3度対戦しており、2-0、2-0、4-1とその全てでセレッソが勝利している。
最も印象に残っているのはDAZNの今季ベストゲームにも選ばれている直近のリーグ戦。敵地日産スタジアムで1-4と勝利した試合だろう。

マリノスの特徴は4-2-3-1の布陣から4-3-3になる変化。またJリーグではSHがインサイドに入ってくるチームが多い中で、サイドに開くポジションを取ることだろう。
J1で失点数が5番目に少ないマリノスは堅守のチームだといえるが、決して堅守速攻一本のチームというわけではない。
1トップを主に務めるウーゴ・ヴィエイラは、ゴール前で抜群の強さを発揮するボックスストライカータイプ。相手との駆け引きや、相手の隙を突くプレーはJリーグでもトップクラスの選手だが、高さがあるわけでもなく、ディフェンスを背負ってのプレーも得意ではない。
なので、チームとして攻撃でロングボールを入れることもほとんどなく、自陣ではDFラインや必要であれば中盤センターの選手を下げてボールを繋ぐ。その傾向は数字でもはっきりと表れており、DFライン間でのパスがチーム内での最多パス数となっている。
こうした自陣でボールをつなぐ目的はサイドのオープンスペースを作ること。
オープンスペースを作るとそこにパスを入れ、両サイドに開いたポジションをとるドリブラー、マルティノスや齋藤学がドリブルでボールを運ぶ。そのため攻撃におけるドリブルの割合はリーグトップとなっている。
チームとしてこういったやり方を取っていることからこそ、長いボールでサイドに展開できる扇原がシーズン途中からポジションをつかむ事になり、齋藤が離脱して以降も前田や遠藤などのドリブラーが務めることが多かった。

しかし前回対戦時の第32節を含めて今季終盤の30節から33節までで4試合連続複数失点、さらに31節から1分2敗と3試合勝利から遠ざかったことで最終節の34節浦和戦から左SHにそれまで左SBだった山中を上げる形に変更。この試合に勝利したことで天皇杯準決勝の柏戦でも山中が左SHに入る形を継続している。
元々大きなストライドを活かした単騎突破が持ち味のマルティノスに対して、左サイドにはシーズン途中から使われるプレーでかなりのクオリティを発揮できる山中がSBのポジションを掴み、斎藤離脱以降は左サイドアタックの中心となっていた。
当初は、山中のプレーを活かすためにバブンスキーなどボールが収まる選手を左SHに入れて、山中のオーバーラップを引き出していたが、失点が続いていたことで山中を一列前に出す決断に繋がったのだろう。
山中はマルティノスや斎藤の様に1人で何かが出来るタイプではないが、中盤には扇原、天野と左利きがいることで左サイドにはコンビネーションの下地があったこともあり、左SHにポジションを移しての2試合も活躍を見せている。

ただ、この準決勝で扇原が肉離れで離脱、さらに決勝を前にウーゴ・ヴィエイラも離脱となっている。ウーゴ・ヴィエイラの状態ははっきりとはわからないが、もし決勝に欠場となれば先発となるのは伊藤翔。伊東は高さもあるのでハイボールでもある程度勝負でき、普段よりもロングボールの比率は増えるだろうが、全体的な戦い方をそこまで大きく変えることはないだろう。
また古巣対決となる扇原の欠場は間違いなさそう。ここには喜田が入りシーズン序盤の中町と喜田のボランチコンビという可能性もあるが、山中を左SHに入れる以上左ボランチには左利きを起用したいはず。そう考えるとトップ下の天野が左ボランチに入り、トップ下にはバブンスキーが入る形になるのではないだろうか。

そしてこのメンバー構成だと、試合の立ち上がりは伊藤とバブンスキーが前線に出て4-4-2になる高い位置からのプレッシングを行ってくるだろう。
マリノスは元々敵陣からのプレッシングを志向していたがシーズン中盤以降はラインが下がることが多くなり、ボールを奪い返す位置も低くなっている。
前回対戦時の32節もモンバエルツ監督はこの傾向を嫌がっており、これが4失点に繋がったのだと考えている様に見えるので、90分間続けることは不可能だとしても序盤はプレッシングをしかけることで主導権を握ろうとしてくるだろう。

■セレッソ大阪

セレッソ大阪は、杉本がこの決勝にも間に合わないことが確実となっているが、同じく準決勝を欠場した山口はなんとか復帰できそうな様子となっている。
11月26日に全治3週間の離脱が発表された山口は12月9日から全体練習に合流したものの、12月10日の練習で再び同じ箇所に違和感を覚え11日から再離脱。準決勝神戸戦の段階でも全体練習に復帰できていなかったので決勝も難しいかと思われた。
しかし、27日から全体練習に合流。30日の紅白戦でも主力組でフルメニューをこなしていたとの報道なので、31日の状態次第となるが先発復帰の可能性が高そうだ。
準決勝では途中出場となった柿谷も決勝では問題なさそうなので、先発には山村と柿谷の2トップに水沼と清武のSH、ボランチには山口とソウザが入り、最終ラインは松田、ヨニッチ、木本、丸橋、GKにキム・ジンヒョンと並びそうだ。

試合展開としてはマリノスが積極的にプレッシングに来る可能性が高いが、そこはロングボールを上手く利用し押し込まれないようにしたい。
押し込まれると前回対戦時の様にスーパーゴールを決められてしまう可能性も出てくる。
今季終盤は先制を許してしまう試合が増えている。
先制を許したとしても逆転に成功している試合も多いが、この試合は特に逆転するために必要なパワーは普段以上に必要となるカップ戦のファイナル。序盤はリスクを負わないように慎重に入りたい。
マリノスの攻撃は、中央からはかなり少なくサイドから。また左サイドで手数をかけるが右サイドからはシンプルにドリブルで仕掛けてくる。ただ、かなり幅を使った攻撃をみせるので4-4-2のブロックをきっちりと組んでスライドを遅れない様にしたい。
マルティノスは気分良くプレーさせるとかなり厄介だが、自滅する傾向もあるので丸橋の粘り強い対応が大切になるだろう。

序盤のマリノスの勢いをいなすことができれば、セレッソもプレッシングをしかけるチャンスも出てくるだろう。プレッシングでショートカウンターからゴールを決めることができればもちろん最高だが、もしできなくともマリノスはロングボールを多用してこないので逆にセレッソが押し込む展開へと持っていきたい。

攻撃では中澤を中心としたCBはかなり堅いので単純なクロスは跳ね返されるだろう。
しかし、特に2トップ気味に攻めてくる相手にはSBとCBの間が開く傾向がある。
特に前回対戦時も清武、水沼のゴールに繋がったゾーンでもある中澤と松原の間は、実はかなり失点している。ここに速く入りすぎるとボランチがついてくるが、タイミングよく入ることでチャンスになることは柏戦でも見られていた。このSBとCBの間をいかに利用するかがポイントになるだろう。

先にも書いたようにマリノスはJ1で失点数が5番目に少なく、今季ここまで44試合の公式戦を戦っているが、複数失点を喫したのはわずか15試合しかない。
しかしそのうち3試合を占めているのがセレッソ。
2つめのタイトルのチャンスは十分ある。

2 件のコメント :

  1. ニャータイ2018年1月1日 22:00

    Akiさま
    やりました、やりましたね天皇杯!!
    先に失点し、試合運びも重くてずるずる
    行きそうだった中、今年前半のヒーロー
    山村が決めてくれてからボールが回りだし
    前半窒息していたソウザの攻撃参加も
    よくなりましたね。
    最後は山村から水沼の両ヒーローの
    ホットラインが実って逃げ切り成功。
    とても嬉しかったです。
    ユン監督の丸橋から田中への交代采配は
    驚きましたがマルティノス封じだったの
    でしょうか?
    セレッソの同点前後での試合の変化と
    併せて分析を楽しみにしています。
    あ~いいお正月ですねぇー(笑)

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    1. コメントありがとうございます。
      2冠達成しましたね!

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