2017年12月23日 13時00分:ヤンマースタジアム長居
予想スタメン |
2017年最後のタイトルとなる第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会もいよいよ準決勝。
セレッソ大阪はヤンマースタジアム長居でヴィッセル神戸との対戦となります。
■ハイプレスのヴィッセル神戸
今シーズンヴィッセル神戸とはリーグ戦のホーム&アウェイに加えルヴァンカップ予選リーグでも対戦しているが、その全てに勝利しているのがセレッソ。リーグ戦ではアウェイで1-2、ホームで3-1。ルヴァンカップではホームで1-0となっている。
ただしその内2回は神戸の監督が前任のネルシーニョが率いており、現在の吉田体制での対戦はほぼ1ヶ月前の11月26日に行われた明治安田生命J1リーグ第33節、セレッソがホームで3-1で勝利した試合となる。
2試合前の公式戦となるため内容的にも覚えている方も多いだろうが、試合内容を簡単に振り返ると、神戸のハイプレスに手を焼いたセレッソは序盤神戸にペースを捕まれ、前半11分に藤田のロングスローから渡邉千真に押し込まれ神戸が先制。しかし20分すぎ頃から徐々に神戸がハイプレスにいけなくなり、前半終了間際の杉本の頭でのゴールでセレッソが同点に追いつくと、後半には丸橋のCKからヨニッチ、丸橋の折り返しから杉本、と2点を奪い3-1でセレッソが勝利。
前半の中盤以降は神戸を寄せ付けなかった。
この試合を思い出せば神戸のチームとしての特徴も出てくるかと思うが、吉田監督就任以降の神戸は4-4-2の布陣を敷きハイプレスを志向するチームである。
先日FootballLABで紹介された、『「ハイプレス」の数値化が示したJ1チームの特徴とは』 からデータをお借りすると、神戸のハイプレス試行率は34.7%(リーグ5番目の比率)で試合平均回数は18.5回(リーグ4位の回数)の数字からもあきらかだ。( セレッソは試行率31.7%、試合平均16.8回)
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— Football LAB (@football_lab) 2017年12月14日
ハイプレスは前線の選手が行かないと始まらないので当然なのだが、これを支えているのは2トップと両SH。ここが献身的にアプローチをかけに来る。
運動量が少ないと評判のポドルスキだが、プレッシングに関しては実は献身的に行っている。
これは実際の試合を見てもあきらかで、リーグ終盤にポドルスキが欠場となったのは累積警告で出場停止となった第31節のヴァンフォーレ甲府戦。この試合では天候や相手の戦い方の問題もあるが、勝利したものの神戸のハイプレス自体は機能していなかった。
そして、ポドルスキが先発出場をしていた実際に対戦した第33節でも、立ち上がりの神戸のハイプレスが印象に残っている方も多いだろう。
ただし、この第33節もそうであったように、このハイプレスは途中から機能しなくなることが多い。これには別の理由がある。
先程のFootballLABのデータによると、神戸はハイプレス試行率は高いものの、その守備成功率は35.2%でなんとリーグで13番目。これはハイプレスを志向しているチームにすると致命的な低さで、同じぐらいの成功率にはハイプレスの試行率自体が低いチームが並んでいる。ハイプレスをやらないチームと同等の成功率になっているのだ。
この要因として考えられるのが最終ラインの高さ。神戸の最終ラインの高さは41.3mでリーグ15位となっている。
つまり、リーグで4番目に最終ラインが低いチームが、リーグで4番目に多くハイプレスを仕掛けているというアンバランスな戦い方をしているということになるのだ。
直接対決となった第33節は、レビューにも書いた様にセレッソが神戸のボランチの裏を使うことで活路を見出した試合となった。神戸がボランチ裏にスペースを作ってしまうのはこの最終ラインの高さと戦い方のアンバランスから生まれているのだろう。
■4-3-3を導入するという噂
明日の試合でポドルスキは欠場となるそうだ。そして一部のメディアで「行方不明」「クラブが把握できていない」といった報道もあったが、実際のところはかなり早い段階からこの欠場は決まっていたと思われる。というのも、先週から渡邉千真が1トップに入り、中盤には高橋秀人、藤田直之、松下佳貴を3ボランチ気味にフラットに並べる4-3-3を試しているという情報があるからだ。
12月16日に行われたステップアップリーグでは実際に、渡邉千真、小川慶治朗、小林成豪、高橋秀人、藤田直之、松下佳貴を先発で起用している。
3ボランチ気味としているのは、4-2-3-1ではないということなのだろう。
神戸がこの形でくるなら、明日の試合で神戸はハイプレスを止める可能性がある。
守備の形が4-1-4-1なのかそれとも中盤5人をフラットにならべた4-5-1なのかは不明だが、1トップの渡邉千真を残して中盤のラインも低い最終ラインの高さに合わせる。そして1トップの渡邉千真のキープ力と両サイドの機動力でロングカウンターを狙ってくる可能性がある。
またもう1つ4-3-3の特徴として、両SHが中に入り、SBが前に出て、ボランチのセンターが最終ラインに下がるという3-4-2-1に変形しやすいというものがある。
カウンターを出せない時は3-4-2-1に変化してミスマッチをつかって攻撃しようという狙いもあるのかもしれない。
とここまで書いたものの、もしかすると中盤のセンターにもう1枚人数が欲しいがための4-3-3で1トップと両サイドの3人でハイプレスにくる可能性もあるし、通常通りの4-4-2という可能性もある。
■プレビュー
神戸は負傷によりポドルスキが欠場となることは先程書いたが、負傷による欠場者はセレッソの方が少し深刻だ。最終節の時点で肋骨骨折をしていた杉本の欠場は想定内だとしても、前回対戦時の第33節から欠場していた山口も間に合わず、左足甲を痛めて離脱していた柿谷も全体練習に合流したのは19日。柿谷はメンバー入りの可能性はあるが、先発からとなると少し厳しそうだ。
この3人に代わって先発に名前を連ねそうなのはFWでは山村と福満、ボランチでは秋山といったところか。木本を中盤で起用して山下をCBに入れることも考えられないわけではないが、木本のCBは動かさない可能性の方が高いだろう。
戦い方としては、神戸が4-4-2のハイプレスでくるなら前回同様ボランチ裏を攻略の糸口にできるだろう。前回は逆転できたが、先制されるとより大きなパワーが必要となるため、相手が元気な試合序盤の時間帯にはより注意することがポイントになるだろう。
4-3-3のプレッシングであっても同様。神戸はハイプレス志向であるにもかかわらず、1試合平均のハイプレス成功回数はセレッソよりも少なく、非シュート率も高い。立ち上がりは十分ケアする必要があるが、最終ラインの問題が解決しないかぎりプレッシング勝負でも十分勝ち目がある。
ロングカウンター+3-4-2-1に変形の場合は、もちろんその完成度にもよるが前回対戦時とは展開が少し異なってくるだろう。
ただ、もし完成度が高かったとしても十分つけいる隙はある。そんな3-4-2-1対4-4-2の成功例を見せてくれたのが、今朝行われたエイバル対ジローナの一戦、乾が2ゴールを決めた試合だった。
この試合では3-4-2-1のジローナに対して4-4-2のエイバルがサイドチェンジをさせないプレッシングと、攻撃から守備へと形を変化させる可変システムのタイムラグをついた攻撃でペースを握った。
守備では逆サイドはどうしても捨てる事になるため、エイバルがやったサイドチェンジをさせないプレッシングと、乾が見せていたボールと逆サイドのSHのポジショニングがポイントになる。
天皇杯ではここまで厳しい戦いもあったが、様々なメンバーによって準決勝まで勝ち進んできた。
この試合でも欠場者はいるものの、ここまでの戦い通り2つめのタイトルを目指して勝ち上がりたい。
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