2018年3月21日水曜日

3/18 明治安田生命J1リーグ第4節 VS ヴィッセル神戸 @ ノエビアスタジアム神戸

スタジアムノエビアスタジアム神戸主審飯田 淳平
入場者数20,108人副審今岡 洋二、武田 光晴
天候 / 気温 / 湿度晴 / 17.8℃ / 51%第4の審判員馬場 規
スターティングメンバー
ヴィッセル神戸神戸
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • 吉田 孝行
 
  • 監督
  • 尹 晶煥
ヴィッセル神戸神戸
C大阪セレッソ大阪
今回対戦今季平均
データ項目ヴィッセル神戸セレッソ大阪ヴィッセル神戸セレッソ大阪
FK12131516
CK3376
PK0000
シュート14111311
警告/退場1/02/03/02/0

<監督・選手コメント>

ヴィッセル神戸 吉田孝行監督
セレッソ大阪 尹晶煥監督

ヴィッセル神戸 大槻選手、藤田選手
セレッソ大阪 杉本選手、山口選手、オスマル選手、高木選手、安藤選手

ヴィッセル神戸 ルーカス・ポドルスキ選手、大槻選手、藤田選手(ヴィッセル神戸公式)

国際Aマッチウィーク直前となる明治安田生命J1リーグ第4節。セレッソ大阪は敵地ノエビアスタジアム神戸でヴィッセル神戸と対戦し2-0で敗戦。リーグ戦今季初黒星を喫することとなった。

■メンバー

これまでの3試合でも何度もメンバーを入れ替えてきたヴィッセル神戸だが、この試合でも大きく入れ替え。
GKキム・スンギュ、CBチョン・ウヨン、渡部、ボランチの三田、トップ下のポドルスキ、左SHの田中以外の6人は、左右のSB藤谷、橋本、ボランチの藤田、右SHの郷家、1トップの大槻はルヴァンカップに出場していたメンバーである。
右SHでリーグ戦初先発となった郷家は青森山田高校で10番をつけていた選手。今年1月3日には第96回全国高校サッカー選手権大会3回戦で安藤瑞季擁する長崎総合科学大学附属高等学校と対戦し、安藤のゴールで長崎総科大附高が青森山田を下している。

一方のセレッソ大阪のメンバーは、ミッドウィークのACLブリーラム・ユナイテッド戦から入れ替えは1人のみ。ボランチのソウザがコンディション不良でベンチ外となり、山口とボランチを組んだのはトップチーム初出場となるオスマルが入る。
またACLブリーラム戦から1人のみの入れ替えということは、リーグ戦前節の柏レイソル戦から8人が先発出場を続けているということ。
昨季は唯一ミッドウィークに行われたリーグ戦、8月9日の第21節清水エスパルス戦以外は、ほとんど中3日、4日だと連続して先発起用をしてこなかった尹晶煥監督が、これだけメンバーを固定しているのは珍しいといえる。

■ヴィッセル神戸のシステムチェンジ

神戸のボール保持
セレッソのシステムは4-4-2。一方の神戸は4-2-3-1。神戸は前節も3-1-4-2の仙台に対して4-2-3-1と近い4-4-2の布陣を取り、ここではほとんどポジション移動を行わなかった神戸だが、セレッソは4-4-2ということで、ボランチの1枚である藤田が最終ラインの真ん中や左に落ち3バックを形成し、両SBを前に出し、中盤のセンターにはボランチのもう1枚三田とトップ下から落ちてくるポドルスキ、前線は郷家と田中順也のSHが中に入る3-2-5の形に変化する。
スタートポジションと変形後の人の位置は異なるがこれは第2節清水戦でも見せた変化。清水もヨンソン監督が就任し4-4-2の布陣を取るため、対4-4-2プランということなのだろう。
3-2-5は4-4-2に対してそもそもの配置が間にポジションを取るため優位性を出しやすい。
神戸のサイド攻撃
この神戸の配置に対して4-4-2で中を絞るセレッソ。
神戸は右ではチョン・ウヨン、左では渡部時々藤田が2トップ脇に持ち出してサイドからボールを運ぶ。
川崎も4-2-3-1から3-2-5の変化でボールを動かしながら中央のズレを狙っていく形を取っているが、この日の神戸は中央でズレを作れそうな場面は殆どなかったものの、それがダメでもとにかくサイドからクロス。藤谷や橋本が大外で余り、そこにSBが出てきた背後のスペースをインサイドに入った郷家や田中順也が狙うという形がほとんど。
そこから、中央に人数が揃っているかどうかはあまり関係なくたとえ1枚でもどんどんクロスを入れていくという形が多かった。
中央の三田やポドルスキに関しては、そこから前線に飛び出してくる様なプレーはほとんどなく、サイドで詰まった時に戻してサイドチェンジをする。そしてそこからまた逆サイドで同じようにSBを引き出してSB裏を狙うというプレーが多く見られた。

セレッソにとっては中央をほとんど使われることはなかったが、この神戸のポジショニングからクロスをあげられるという形に対してはほとんど何も出来ていなかった。
それが山口や高木のコメントにある「守備がハマらなかった」というところにつながる。
先程も書いたようにクロスに対して中の状況はあまり関係なく、またこの試合ではハーフナー・マイクや渡邉千真が起用されていたわけではない。
なのでそのクロスから決定機に繋がったというのはクロスの本数の割に多くは無かったのだが、これだけクロスを入れていればセカンドボールのところでチャンスが生まれることもある。
それが大槻が左サイドに流れて入れたクロスのこぼれ球を藤田がダイレクトで合わせた34分神戸の先制点に繋がった。
仙台戦の先制点もクロスのこぼれ球をボランチの三原がボックス外から決めた形だったので、とにかくクロスを入れるというのはそれと同じイメージを持っていたのだろう。

■セレッソの4-4-2

セレッソはご存知の通り4-4-2で守る。4-4-2で守る基本は中央圧縮。ボールの位置を基準にそこから4-4-2の陣形を作って中を絞る。
この試合でもその基本はある程度出来ていたこともあって、神戸の3-2-5でミスマッチを活かす形に対してもあまり中央を使われることはなかった。
ただし、このミスマッチ系に対して4-4-2で常に対抗できるかといえばそこまでの精度が無いのは結果を残した昨季でもあきらかになっていた。
問題が起こりやすいのがファーストディフェンスとプレスバックの最初の2のところ。2トップのプレスバックについては、例えば先日のブリーラムの2トップがセレッソのSBに対してインサイドハーフが出ていった時に必ずボランチのところを消していた(そのため前半途中からサイドチェンジが出来なくなった)が、セレッソの2トップの場合あそこまで出来ない。
となると、中を使わせなかったとしても大外を使った攻撃はどうしても受けやすくなる。
そしてサイドチェンジをされるので、そこにも気合いでスライドするしかない。
中央のヨニッチと山下(や木本)、山口とソウザ(やオスマル)は強いしボールを取れるので簡単にやられてしまうということは少ないが、どうしても後手を踏む。
なのでこの試合の先制点の様な場面は起こり得る。

そこでミスマッチ系の相手にどうするのかといえば、手があるのはとにかく高い位置からプレッシングをかけに行ってイチかバチかの勝負を挑む。
ミシャシステムに対してとにかく点が入る試合になるのはそういうことで、去年の仙台戦でも結局打ち合いになっているのはそういうことだ。
ただ、このイチかバチかは全然勝ち目がない戦いなのかというとそうでもなくって、昨季のセレッソだと攻守の切り替えの速さはJリーグトップクラスで、特に守備から攻撃の切り替えの速さがJ1トップだったため、多くの場面で先制点に結びつけることが出来ていた。
もちろん先制したところで4-4-2でミスマッチに対してしっかりと守れるのかというと微妙。なので危ない場面もあるが、先制することで試合を優位に運べることは間違いない。
なので、この試合でも前半1分に攻守の切り替えから杉本が神戸の橋本と渡部の間に飛び出して中央に折り返した場面でヤン・ドンヒョンが合わせることができていれば、この試合の展開ももう少し変わっていたかもしれない。
だが先制点を奪えず、さらに水曜日から10人、日曜日から同じ8人で戦っているとなると、イチかバチかのプレッシングも行けない場面が増え、より守備がハマらないという状況が起こることとなった。

またこの日神戸は1トップにハーフナー・マイクでも渡邉千真でもウェリントンでもなく大槻を起用したのも、得点力よりも素早い攻守の切り替えと高い位置からのディフェンスを意識してのものだったのだろう。

■神戸の4-4-2

神戸も守備の時はポドルスキが前に出て4-4-2になる。
前節仙台戦でもこれで85分まで守りきり自信を掴んでいるようだが、実はセレッソと同じく1列目と2列目以降の連動に問題を抱えている。
大槻も懸命にプレッシングに走るし戻るし、ポドルスキも守備をサボるという訳ではないのだが、1列目と2列目以降が連動していないので、この間が簡単に間延びして結果的に後ろの4-4が随分下がってしまうことになる。また右CBのチョン・ウヨンは結構簡単にサイドに出てきたりするのでちょっと危なっかしい場面もある。
後半に入るとセレッソは杉本やヤン・ドンヒョンへのクサビからこの間延びの状況を作り出し、4-4の前で山口やオスマルがフリーでボールを展開できるようになり、SBがサイドの深い位置を取れるようになり、前半は数えるほどしかなかったアタッキングサードでのプレーが一気に増える。
ただ、これも昨季からの課題だが、どうしても力技で個々のアイデアに頼ったものなので、うまくいかない時はなかなか上手くいかない。

また守備でもミスマッチに対して前半よりも待つより前から捕まえようというプレーが見られるようになるが、おそらく前から取りに来た時は逆サイドのCBとSBの間に長いボールを狙おうという約束事があったのだろう。ここはミスマッチで空きやすい場所でもある。
ポドルスキや三田、チョン・ウヨンからヨニッチと松田の間に走る田中順也や大槻を狙う場面も多かった。
57分のポドルスキから田中順也へのパスは決定的だったが、キム・ジンヒョンが何とかセーブしている。

■効果的ではなかった交代策

71分〜
最初に動いたのは神戸。69分、大槻に代えて渡邉千真を投入。これはゲームプランどおりだろう。一方のセレッソも71分に2枚替え。水沼と高木に代えて山村と安藤を投入。前線は杉本とヤン・ドンヒョンの2トップにトップ下で安藤という形だが、後ろはACL同様に3バックにしてSBをWBに上げる。

ただ、正直これは上手くいかなかった。
これまでセレッソのサイドにはSHとSBの2枚がいて、神戸は3バック化することでSBを前に出していた。この神戸のSBはボールを奪われると背後にSHが出てくるので素早く帰陣する必要があったのだが、この交代でその必要もなくなり、逆にSHとSBで丸橋と松田のWBを挟み込むような形で高い位置でプレッシャーをかけられるようになったのだ。
また中盤の枚数もこれまでの4枚からダブルボランチ+トップ下の安藤という形に変化。
セレッソの2トップもこの時間になるとさらにボールホルダーにアプローチに行けなくなっている、簡単に1列目を通過されると、再び中盤に上がってくる藤田や、2トップ脇に出てくるチョン・ウヨンに対してアプローチ行ききれない場面が頻発するようになる。その結果サイドからのクロスという武器も出せなくなっていった。
80分〜
79分、セレッソは杉本に代えて柿谷を投入。その1分後の80分、神戸は橋本に代えて伊野波を投入する。
伊野波はそのまま左SB。柿谷は前線というより中盤。安藤が1つ前にでて安藤とヤン・ドンヒョンの2トップ+トップ下柿谷という見方もできるが、守備の時に安藤はそのまま中盤に入っていたので3-4-2-1とした。
柿谷は中盤に入ってビルドアップの出口となることでWBのところで詰まることは無くなったが、肝心の前線がよくなったわけでもなく、またさらに1トップとなったことでCBは自由に。そんなところからチョン・ウヨンがポドルスキの飛び出しに狙いすまして縦パス。それをポドルスキが個人で持っていきヨニッチを外してニアを狙ったシュートがキム・ジンヒョンの手を弾きゴール。83分に神戸が追加点を奪う。
こういうのは流石に上手い。
89分〜
神戸が常にリードして試合を進めたことで、折角のストロングポイントを捨ててしまうような謎采配も無く、89分に郷家に代えて松下を投入。

試合はそのまま終了となり2-0でヴィッセル神戸の勝利に終わった。

■その他

昨季は4回戦って4回勝った神戸戦だったが、今季は最初の対戦でリーグ初黒星。
かなり厳しい完敗とも言える試合となってしまった。これで2/21のホーム広州恒大戦から始まった7連戦を5分2敗と1つも勝つことができなかった。
この7連戦に関して、特に最後の3試合は、アウェイブリーラム戦で敗れてしまったことからメンバーを固定して戦うことになってしまい、そこで2分1敗。完全に裏目に出てしまったと言えるだろう。
昨シーズンはルヴァン10回、天皇杯4回、リーグ1回ミッドウィークに試合があり、中3日や4日で行われた試合が合計28試合あったのだが、この中で半数以上の選手が続けて出たのは8/5の札幌戦(キンチョウ)〜8/9の清水戦(アイスタ)であったキム・ジンヒョン、田中裕介、ソウザ、柿谷、杉本、山口、丸橋、木本、水沼、ヨニッチの10人1度のみ。(次節は8/19で中9日あった)
また3連戦については、キム・ジンヒョンとヨニッチが3連戦3回、山口が3連戦4回、山村が3連戦1回を行っているが、この4人以外はあっても2連戦が最高となっている。

様々な理由はあったが昨季はこれだけこだわってきたプレー間隔の調整が、この連戦でできなくなってしまったのがやはりきつかったと言えるだろう。

そしてこのコンディション面に関連してくるのは昨季からの課題でもある部分。
昨季終盤以降に大量点が増えたことで「攻撃的なチームに進化した」といったような言われ方もしていたが、昨季開幕時点からボール保持攻撃は根本的に個々の判断とアイデアに頼ったものとなっている。
この個々に任せたものはチームとしての基準がない。なのでどうしても選手個々のコンディションに左右される。
また守備も同様で、4-4-2の守備はかなりの精度まで達することは出来たとは思うが、ヨーロッパで時々見られるようなどんな相手にも通用できるレベルにはまだまだ無い。であれば相手によって形を変えるという手もあるがそれも取らない。
なのでミスマッチ系にはイチかバチかの勝負を挑むというのが基本的な戦い方となっているのだか、これももちろんコンディションがかなり重要になる。

この日トップチーム初出場となったオスマルはソウザとは全くタイプは異なるし、もちろんまだまだ改善点もあるが、4-4-2の左ボランチとしても十分計算できる選手であることはわかった。
また試合内容もそこまで壊滅的なものではないので、昨季の様にとにかく1週間に1試合と試合間隔を調整しながらコンディション維持に務めるのか、それとも昨季よりも試合間隔が詰まる選手は増えてくるだろうが、攻守においてグループとしての形をより整備していくのか。
そのどちらかが必要となってくるだろう。




4 件のコメント :

  1. 3節までは200回を越えていたスプリント回数が164回と極端に少なくなっていました。
    走行距離が116㎞。
    特に両サイドハーフの運動量が必要なチームだと思うんですが、スプリント回数は25回位でいつも通りですが、走行距離が二人とも10㎞未満でした。
    攻から守への切り替えが遅くなって失点したのは、この辺りからもわかるのかなと思います。
    やはり疲れからなんでしょうか?

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    1. コメントありがとうございます。
      走行距離は2人とも71分で交代になっていることも大きいとは思いますが、コンディション面の問題は大きかったでしょうね。

      削除
  2. いつも拝見してます。途中の3412の交代についてですが、これは何を狙いで行われたとお考えですか?結果的に自滅采配となりましたが、尹監督が無意味に何かするとも思えません。例えば、ここの選手がこう動けばサイドでもっと戦えたかも知れないなど、何かお考えがあればご教授ください

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    返信
    1. コメントありがとうございます。
      3-4-1-2は単純にブリーラム戦で上手く行ったからだと思いますよ。
      クロスに対して中の人数を増やすことが出来ますし。
      けど、結果的にはクロスまで持っていけなくなったということだったのでしょう。

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