スタジアム | ブリーラム スタジアム | 主審 | ファハド アルミルダシ |
入場者数 | 副審 | アブドゥラー アルシャルワイ、モハンメド アルアバクリー | |
天候 / 気温 / 湿度 | 曇り / 32℃ / 57% | 第4の審判員 | モハンメド アルホイシ |
メンバー
スターティングメンバー |
- スターティングメンバー
- GK 1 シワラック テースーンヌーン
- DF 3 パンサ ヘーミボーン
- DF 4 プラビンワット ブーンヨン
- DF 5 アンドレス トゥニェス
- DF 11 コラコット ウィリヤーウドムシリ
- DF 13 ナルバディン ウィーラワトノドム
- MF 10 ジャッカパン ケウプロム
- MF 16 ユ ジュンス
- MF 19 スパチョック サラチャート79'
- MF 26 ラッタナコーン マイカミ90'
- FW 23 エドガル90+4'
- 控えメンバー
- GK 29 ヨサポン テアンダー
- DF 17 エッカラク トゥンギット
- DF 60 キーロン オルチャイプム
- MF 7 アノン アモーンラーサック90+4'
- FW 6 ササラック ハイプラコーン79'
- FW 9 スパチャイ ジャイデッド90'
- 監督
- ボジダル バンドビッチ
- 監督
- 尹 晶煥
試合経過
- エドガル
アノン アモーンラーサック90+4' - 90+1'
- ラッタナコーン マイカミ
スパチャイ ジャイデッド90' - 85'
- スパチョック サラチャート
ササラック ハイプラコーン79' - 78'
- ジャッカパン ケウプロム76'
- 57'
- エドガル54'
- アンドレス トゥニェス2'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 7 | 11 | 7 | 13 |
CK | 11 | 2 | 11 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 9 | 9 | 9 | 8 |
警告/退場 | 0/1 | 1/0 | 0/1 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 尹晶煥監督セレッソ大阪 田中亜土夢選手、秋山選手、山内選手、山田選手、安藤選手
AFCチャンピオンズリーググループリーグ3試合目となるアウェイでのセレッソ大阪対ブリーラム・ユナイテッドの一戦は、セレッソ大阪が直近のリーグ戦から先発11人全員を入れ替えるターンオーバーを取るも2-0で敗戦。2017年J1リーグ最終節アルビレックス新潟戦以来94日ぶりの敗戦でグループ3位となった。
■アウェイでのブリーラム・ユナイテッド戦
今回のAFCチャンピオンズリーグのグループ分けが決まった際に、グループ内で最も強いと目されるのは優勝経験もある広州恒大というのは誰もが一致した意見だろう。次に来るのが済州ユナイテッドとセレッソ大阪。この2チームがグループ突破に向けて争い、タイ王者であるブリーラム・ユナイテッドは他3チームと比べると少し落ちるというのが一般的な見方ではないだろうか。しかしこのグループで最も難しい戦いになるであろうカードはアウェイでのブリーラム・ユナイテッド戦だろう。なぜならブリーラム・ユナイテッドの本拠地ブリーラムスタジアムは他の場所とは全く異なる条件となるからだ。
そのまず1つ目が移動距離。済州へは2時間ほど、広州でも4時間ほどで移動できるが、ブリーラムへはまずバンコクへの移動が6時間強あり、バンコクからブリーラムへはおよそ400km。
400kmといえば大阪から御殿場ぐらいの距離となる。
2つ目は気候の問題。日本には春夏秋冬と四季があるがタイは暑季、雨季、乾季と季節が3つに分けられている。常夏のイメージ通り1年中気温は高いのだが、この中で最も暑いのが暑気。日中の気温が40度ほどになることも珍しくない。
そしてこの暑季と呼ばれる季節おとずれるのが3月〜5月。つまりACLのグループリーグが行われている時期と合致し、基本的にグループリーグで対戦する時はとんでもない高温多湿の中で行われることとなる。ちなみにシーズン前のキャンプで訪れる1月末〜2月の時期は乾季。この時期でも日本の夏ほどの気温になるのでもちろん暑いことには変わりないが、暑季はそれ以上に気温が上がり蒸し暑くなる。
ちなみにブリーラムの3月平均で最高気温は38度、最低気温は19.2度。同じ3月平均で大阪は最高気温が13.7度、最低気温が5.6度となる。
この様な他とは全く異なる条件となるアウェイでのブリーラム戦。
ブリーラムからは勝ち点6をマストと捉えるのか、それとも別の考え方をするのか。
この試合をどのように捉えるかというのはそれぞれのチームや監督の考え方で別れる部分だろう。
■メンバー
初戦にアウェイで広州恒大に引き分けたものの、ホームで済州に敗れ勝ち点1のブリーラム。その済州戦でFWのジオゴがイエロカードを受けたためこの試合は累積警告で出場停止。代わりに19番のスパチョック・サラチャートが入っており、済州戦からは1人入れ替えとなっている。
済州戦ではかつてセルタでもプレーし、ベネズエラ代表キャップも持つ5番のアンドレス・トゥニェスが負傷でか前半23分に交代となっていたが、この試合では無事先発となっている。
一方のセレッソはこの難しいアウェイでのブリーラム戦にターンオーバーを選択。
札幌戦で先発した11人を全てメンバー外として、先発に名を連ねたのが、2トップがヤン・ドンヒョンと今季U-18から昇格してきた山田。SHは右に新加入の田中亜土夢と左に昨季の新加入でこの試合がトップチームデビューとなる山内。ボランチには山村と秋山が並び、最終ラインには酒本、茂庭、山下、田中裕介。GKは丹野となる。
またさらにベンチには、ルーキーの永石、安藤や札幌戦で加入後初出場となった片山、舩木、西本、米澤が入る。
相手も同数なので気が付きにくいが、両チームともベンチメンバーは6人ということで1人少ない。
■ターンオーバー
セレッソがとったターンオーバーには様々な意見はあるだろうが、グループリーグの対戦カードが決まった時点からある程度想定されていた部分でもある。先程も書いたようにブリーラムから勝ち点6がマストだと考えると、ここでも主力の投入となるだろうが、今季の過密日程を考えるとこの試合に主力を投入することでリーグ戦にも影響がでる可能性が高い。
例えばKリーグの様に12チームによる3+1回戦(3回戦+上位下位にわかれての順位決定リーグ)で何度も同じチームと戦うという形式であれば、上位と下位の差が付きやすくACLで多少無理してもリーグ戦にそれほど大きな影響が出ないだろう。また中国リーグの様に上位と下位の差が大きくても同様だ。
しかしJリーグは18チームによる2回戦でさらに全チームの実力が拮抗している。
この試合は決して負けても良いわけではないが、そんな中でここでリーグ戦への影響が出る形を取るのは得策ではないという考え方は個人的には同感。さらにここまでの2試合で勝ち点4を奪うことが出来ていることもターンオーバーを後押しする要素の1つとなるだろう。
ちなみにこの試合のキックオフ時点での気温は32度。
正確な記録が残っている中でこれと同程度またはそれ以上の気温で行われた試合は、2014年4月2日のアウェイブリーラム戦の33度、2013年8月10日にNACK5スタジアムで行われた大宮戦の34度、2010年9月11日に長居スタジアムで行われた広島戦の33度と、2010年以降はこの3試合のみ。
後、正確な気温はわからないが2011年5月のアウェイACLアレマ・インドネシア戦ぐらいか。
とにかく、事前の予想どおりに日本だと真夏でもほとんど無い、とんでもなく高い気温の中で試合は始まっている。
■気候の適合したサッカーを見せるブリーラム
ブリーラムの布陣 |
中盤では4番がアンカー気味のポジションを取り左インサイドハーフに10番のジャッカパン、右インサイドハーフに26番のラッタナコーンがポジションを取る。
4-4-2で守るセレッソは大外WBは捨てた状態で、ボールが出たらアプローチをかけるという形になる。
しかし前半2分、2本続いたCKの2本目を5番のアンドレス・トゥニェス決められて失点。
いきなりビハインドを負うこととなる。
このCKは2本とも、ゾーンで守るセレッソのゾーンの内側に人数をかけて、インスイングでニアに鋭いボールを蹴っている。なので対セレッソとして準備したものだろう。
またポイントになっているのが23番のエドガルで、いずれもニアに動き出してストーンの選手を動かしている。
例えば札幌戦だとストーンには杉本とソウザを置いてニアポストに水沼を立たせているが、この試合ではヤン・ドンヒョンと山内、ニアポストに秋山という組み合わせ。
1本目はボールが低かったのでニアポストの秋山が跳ね返すことができたが、2本目はヤン・ドンヒョンと山内が23番のエドガルに引っ張られ、その後ろで秋山を越えたボールを丹野の前で5番のアンドレス・トゥニェスが合わせた。
ブリーラムで高さのある選手がこの2人ぐらいなのだが、対応できないままに決められることとなった。
ブリーラムは前回対戦した2014年にも立ち上がり10分に、2015年のガンバ大阪との対戦でも立ち上がり9分に、現神戸のティーラトンにFKを決められているが、環境に相手が順応できていない立ち上がりに押し込んでセットプレーからゴールを奪うというのが、ACLでの戦い方の1つなのかもしれない。
狙い通りの先制点を奪ったことで省エネサッカーに移行するブリーラム。
省エネサッカーとは5バックのラインを下げ、中盤の3人、もしくは19番のスパチョックももどって5-4で守って23番のエドガル1人を前線に残す形だ。
この引いて守ってカウンターというのは、暑い地域ではよく見られる戦法である。
最近でこそ現代的なサッカーになってきているが、かつては中東の代表チームもほとんどがこのスタイルだった。
下がって守るということは守るエリアを狭くするということなので、走行距離は少なくなる。そして攻撃は個人技によるカウンター。ブリーラムでいえば23番のエドガルは高さも強さもあって抜群にボールが収まる。なのでエドガルはほとんど守備に参加することなく前線に残り、ボールを奪えばエドガルに出す。ここでボールが収まれば19番や26番が飛び出し少ない人数でカウンターを狙う。そこで完結しない場合は、両サイドや中盤も出てきてボールを回してくる。
日本のサッカーはヨーロッパと比較すると「ミス待ち守備」や「ボールを奪いにいかない」と言われることもあるが、ブリーラムの省エネサッカーの場合はよりその傾向が強い。
これはおそらく気温によるところが多いのだろう。暑いので相手はミスしてくれるし、組織的に複数の選手が絡むような攻撃は少ない。
ただ、おそらく普段から両チームがそういった中でサッカーを行っているので、単純なボール回しは非常に上手い。仕掛けるプレーや仕掛けるコンビネーションを見ることは少ないが、ボールは回すことができる。
■攻撃も守備も決まらないセレッソ
ブリーラムがこの様な戦い方を取るようになったことで10分すぎからセレッソがボールを持つ場面も増える。そして16分には酒本のクロスからヤン・ドンヒョンが頭で合わせるも枠外。23分には山中からのパスをヤン・ドンヒョンが落とし山田が抜け出すという絶好機を作るも、シュートはGKにセーブされた。
ただ、ボールを持つことでこの様にチャンスを作った反面、信じられない様なミスでボールロストをすることも多かった。それが暑さによるものかどうかはわからないが、こういうことが起こるからブリーラムは下がって守るという守備で十分なのだろう。
そして守備では23番エドガルにかなり苦しめられることとなるが、正直高くて強いエドガルと何とか勝負できる状態にまで持っていけるのが山下ぐらい(それでもかなり負ける)で、茂庭は高さでも強さでも距離を取るしか無く、そうなると後ろから出てくるスピードのある選手に振り切られてしまい、かなり厳しい状態だった。CBながら57分とチーム内で最も早い時間帯に交代となってしまったのは致し方ないところだった。
またそこで何とかカウンターを止めることができれば、セレッソの守備は自分のポジションに戻って4-4-2の形になるのだが、この形ではファーストデフェンダーが決まらない。
ゾーンディフェンスはアプローチに行くファーストディフェンスがいてこそ成り立つ形であるにもかかわらず、そこが決まらないので守備としてはかなり厳しい状況となる。
54分に23番エドガルに山下が背後を取られヘディングで追加点を決められてしまうのだが、そのクロスを上げた10番のジャッカパンは完全にノープレッシャー。
キッカーがフリーということは受け手の動き出しに対して自在にタイミングをあわせることができる。そのボール精度が良ければDFにはできることはほとんどない。
■新加入選手を次々と投入するも
57分〜 |
片山は岡山時代の2016年に対戦した時のWBのイメージが強いかもしれないが、昨年は3バックの右CBでプレー。セレッソ加入後のトレーニングマッチではCBでも起用されている。
またさらにいえば元々FW登録だったように2015年に対戦した時は左シャドゥで出場。様々なポジションをこなせる選手だ。
片山投入直後には前回の札幌戦ではソウザがボールを入れてしまったので披露できなかったロングスローを公式戦で初披露するもあわず、さらにその直後、59分には山村から山内に入れたクサビのパスのこぼれ球を山田がさらってGKと1対1の状況を迎えるもGKがセーブ。
山田はこの試合2度目の決定機だったが決めることができなかった。
79分〜 |
さらに78分にはセレッソが酒本に代えて舩木を投入に、田中裕介を右SBにまわし、79分にはブリーラムがトップでプレーしていた19番スパチョックに代えて6番ササラックを投入。
ブリーラムは6番ササラックが左インサイドハーフになる5-3-1に。
退場で数的優位を得たはずのセレッソだが、どのように攻撃するのか。尹晶煥監督からは何度も「サイド」という声が飛んでいたが、誰がどのようにしてクロスを入れるのかは見えないまま。数的有利を活かすことは無かった。
85分〜 |
安藤投入直後に11番コラコットのFKから決定機を作られてしまうが、至近距離からのシュートを丹野がスーパーセーブで事なきを得た。
ここからセレッソはクロスボールが増えるが、相変わらず組み立てでのミスも多く、チャンスには至らず。
90+4分〜 |
2-0でブリーラム・ユナイテッドに敗れた。
■その他
コンディション面、試合展開と重なり合うことで、内容も尹晶煥就任後最低ともいえる苦しいものだった。これだけ試合中に尹晶煥の日本語での指示が聞こえる試合はそう無い。ヤン・ドンヒョンにはもう少し高い位置で起点になって欲しいのだが、下がってきてボールをさばくことが多く全く効果的ではない。両SHもどこでボールをもらって何をしたいのかが全く見えないままだった。
そんな中でブリーラムは5バックで守り、エドガルがボールを収めてカウンターというはっきりした戦い方を披露。山田の2度のチャンスがあったように何とかなるチャンスは無かった訳ではなかったが、戦い方の差が結果にそのまま繋がったと言えるだろう。
正直こういう試合は書く内容が少なすぎて困ってしまう。
2017年12月2日の新潟戦以来94日ぶり、2点差以上つけられたのはは2017年9月30日の川崎戦以来157日ぶりとなる今季初黒星を喫した事となったわけだが、グループリーグ突破のチャンスはまだ十分ある。
来週ミッドウィークのホームブリーラム戦、続くホーム済州戦ではきっちりと勝ち点6を掴み、最終戦を前にグループリーグ突破を決めてしまいたい。
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