スタジアム | 石川県西部緑地公園陸上競技場 | 主審 | 村上 伸次 |
入場者数 | 5,540人 | 副審 | 野村 修、田尻 智計 |
天候 / 気温 / 湿度 | 曇り / 27.5℃ / 82% | 第4の審判員 | 渡辺 康太 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 尹 晶煥
- 監督
- 柳下 正明
試合経過
-
90+3'
-
84'
- 80'
- 75'
-
68'
- 64'
- 53'
- 39'
-
37'
-
26'
-
10'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 13 | 10 | 15 | 11 |
CK | 3 | 5 | 7 | 8 |
PK | 0 | 0 | 0 | 1 |
シュート | 9 | 8 | 16 | 13 |
警告/退場 | 0/0 | 2/0 | 1/0 | 2/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 尹晶煥監督ツエーゲン金沢 柳下正明監督
セレッソ大阪 福満選手、杉本選手、清武選手、水沼選手
ツエーゲン金沢 庄司選手、清原選手
ワールドカップの中断期間を経ての最初の公式戦となる天皇杯3回戦。アウェイ石川県西部緑地公園陸上競技場でのセレッソ大阪対ツエーゲン金沢の一戦は3-0で勝利。4回戦進出を決めた。
■メンバー
J1はワールドカップによる中断期間を経ての最初の公式戦。セレッソ大阪にとっては6月6日に行われた天皇杯2回戦以来の公式戦となる。セレッソ大阪のメンバーは、キム・ジンヒョン、山口蛍のワールドカップ参加組は既にチームに復帰しているもののこの試合ではメンバー外。しかしそれ以外はほぼベストメンバーといえる2回戦テゲバジャーロ宮崎戦とは3人の入れ替えとなっている。入れ替わったのは右SBの片山から松田、左SHの高木から清武、右SHの福満から水沼。福満と水沼は今季ポジションを争っている関係。また松田、清武は3回戦の時に怪我を抱えていたためメンバー外になっていたが中断期間を経て復帰した形だ。
またその外れた3人のうち福満、片山はベンチ入りしたものの高木がベンチ外となったのは中断期間のキャンプで負傷を抱えていたからだろう。ただしその負傷からも既に回復しており、同日に舞洲で行われた練習試合には出場している。
一方のツエーゲン金沢だが、ツエーゲン金沢はJ2なので中断期間はなし。7日土曜日には同じ石川県西部緑地公園陸上競技場でレノファ山口と壮絶な試合を行い2-2の引き分け。この試合から中3日で天皇杯3回戦を迎えている。
先発メンバーについてはレノファ山口戦から5人を入れ替え。
変わったのは右SBの石田、CBの廣井、ボランチの梅鉢、右SHの宮崎、1トップの垣田。
しかしこの5人も途中出場などで試合に出てたり、先発出場の機会もある選手がほとんど。
また毛利が右SBから左SBへ、清原が右SHからトップ下へとポジションを移しているが、これもはじめての形ではない。
また、この試合ではトーナメント表上ではセレッソが上になるので、表記はセレッソが左・金沢が右となるが、天皇杯ではカテゴリが下のチームがホーム開催優先権を持っているため、金沢のホーム石川県西部緑地公園陸上競技場での試合となり、ユニフォームも金沢がホームユニフォーム、セレッソがアウェイユニフォームとなっている。
■マンツーマン的な金沢の守備
ツエーゲン金沢といえば印象深いのはセレッソがJ2で戦っていた2015年、初対戦のシーズンだろう。森下監督の下で統率された4-4-2のゾーンディフェンスを披露し、ホーム・アウェイ共に完敗。翌2016年にはセレッソが金沢からエースの清原を獲得し、また森下体制5シーズン目となったチームも停滞したことで1勝1分と敗れることは無かったが、結局通算対戦成績では1勝1分2敗と負け越している。そこからまるまる1シーズンを挟んでの久々の対戦となる今回だが、金沢は森下監督から柳下監督へと代わり、セレッソもアウトゥオリ監督・大熊監督から尹晶煥監督へと代わったことで、ピッチでは当時とは全く異なる光景が見られた。
その異なる光景とは両チームの守備方法。
柳下監督に代わった金沢は4-4-2系の4-2-3-1ながらかなり人への意識が強いマンツーマン気味の守備を行い、4-4-2のセレッソが行ったのはポジションに立ち中央を締めるゾーンディフェンス。以前のスタイルとは全く入れ替わっていた。
金沢のマンツーマン的守備 |
ただ中央だけは少し状況は異なっていて、基本マンツーマン気味なんだけど、2トップ対2CBの力関係に不安があったのだろう。敵陣の深い位置にボールがある時は清原が前線で山下とマッチアップしていて梅鉢と藤村のダブルボランチがソウザ・オスマルのダブルボランチを見ているのだが、ボールが前進すると清原が下がってソウザとオスマルをケアする4-4-1-1の形に。また梅鉢と藤村のダブルボランチの少なくとも1枚は目の前のボランチを捕まえるというよりもCBと共に2トップを挟み込むようなポジションを取っていた。
4-4-2の1列目の右にいる清原が下がることで山下が低い位置で空くことになるのだが、柳下監督の試合後のコメントによると縦パスの多いヨニッチをケアして山下を空けるのはチームとしての約束事。またボランチに関しても藤村を1枚CBの前に置いて、梅鉢と下がってきた清原でケアをするということも約束事として持っていたようだ。
■セレッソの対マンツーマン
清武が下がってくる |
そしてこの動きで、金沢はSBとSHの前後が入れ替わってもマークの受け渡しははほぼ行われないこと。また金沢のSBはセレッソのボランチの横までぐらいは平気でついてくるマンツーマン的要素がかなり強いやり方を取ってくることがわかった。
そしてこの動きに対して最初に変化を見せ始めたのが柿谷。
トップから中盤に降りてくる動きで、ソウザとオスマルを見ている梅鉢と清原の後ろにいる藤村の脇に顔を出し始める。
10分、先制点の形 |
下がってきた清武が起点となって前に出たオスマルに縦パス。そしてオスマルからボールを受けた柿谷が右サイドから一気に中央へと入ってきた水沼へとスルーパスを出し、GKとの1対1を落ち着いて流し込んだ。
柳下監督率いる金沢がマンツーマン的なやり方をしてくるのはセレッソとしても十分わかっていたことなのでしっかりと準備できていたのだろう。
縦のポジションチェンジでオスマルにボールが渡った時点で金沢の守備はスクランブルエッグ状態になってしまっており、そこに水沼が中に入ってくる横のポジションチェンジを織り交ぜたことで金沢の守備を完全に崩した。
26分、追加点の形 |
水沼が下がってくると左SBの毛利がついてくるのでSBの裏にスペースができる。
そこにトップから流れてきた柿谷が飛び出して十分な時間を持って入れたクロスを清武が頭で合わせた。
■セレッソの守備
26分で2点リードとしたセレッソだったが、ここまで一方的にボールを持っていたというわけではない。むしろ10分の先制点から26分の追加点の間は金沢がボールを持っている時間の方が長かったのではないだろうか。
セレッソの守備 |
セレッソは開始10分で先制したことで無理をしてボールを奪いに行く必要もなくなったので先制点以降はよりその傾向が強くなった。その結果、金沢がボールを持つ機会が増えた。
ただし、ボールを持っているのはブロックの外。つまり最終ラインやサイドの大外。セレッソの4-4-2は中央を絞っているためサイドにはどうしてもスペースがある。そこを使って金沢はSHとSBでボールを運ぶ場面が増えていた。
しかしそこでボールを運んだとしても、ほとんどブロックの中にはボールを入れられないので最終的にできることはヨニッチと山下が待つ中央にクロスを入れるだけ。清原の起用はもう少しブロックの間でボールを受けてもらいたいということだったのだろうが、そういった場面はほとんどなく、単調なクロスを入れてはセレッソのCBに跳ね返されるという場面がほとんどだった。
■柿谷の負傷
2-0としたセレッソだったが30分すぎにアクシデントが発生。柿谷がベンチに下がってしまう。おそらくきっかけになったのは2点目のまだ前の中盤での競り合いのプレー。その頃から右足の股関節周りを気にする仕草を見せるようになり、2点目のアシストをした直後にもストレッチ的な動きを行っていた。
そしてベンチに下がる少し前に杉本と金沢の選手の競り合いの中で金沢の選手が痛め、杉本がサイドラインへボールを蹴り出しゲームが中断したタイミングで再びストレッチ。
この動きに気がついたセレッソベンチは柿谷に確認をとるが、このタイミングではもう少し続けてみるという事だったのだろう。
しかしその後プレー続行できないということでベンチに下がり37分にヤン・ドンヒョンが投入された。
37分〜 |
これは2点差になったというのもあったのだろうが、金沢のマンツーマン攻略のきっかけとなっていた柿谷が下がってくるプレーが無くなったから。
ヤン・ドンヒョンは前線で待っているので金沢のマンツーマンに基本常にひっつかれている。
その結果杉本のところには何度かボールが収まるものの、ヤン・ドンヒョンのところは完全に消えてしまっている状態に。
前半終了間際に水沼のクロスをファーサイドで杉本が頭で折り返し、ヤン・ドンヒョンがヘディングシュートを狙うという優位に立っている物理的な高さでチャンスを掴んだが、シュートは残念ながらGKがキャッチ。これが唯一何とかしたという場面だっただろうか。
一方、セレッソの攻撃が停滞したことで金沢はさらにボールを持つ機会が増えた。
ただし、基本的な展開は変わらない。
丹野のキックミスや、右からの攻撃の後ファーサイドでゴチャゴチャとなったこぼれ球が左SHの加藤に渡り放ったシュートがポストに当たるというピンチはあったが、崩されているという感じでは無かった。
■4-4-2に変える金沢
後半のたちあがりに丸橋のミドルシュートがクロスバーに当たる場面こそあったものの試合の流れには変化なし。ヤン・ドンヒョンが消えてしまっているのでセレッソが攻め込む場面は少なく、金沢がボールを持つ時間が続く。
53分〜 |
これはブロックの中にボールを入れることは相変わらずできていなかったが、サイドでボールは運べておりクロスは入れることができていたのでそのターゲットを増やしたいという狙いだったのだろう。
はっきりクロスを入れるという形になった金沢に対してセレッソは押し込まれる時間帯も増えた。これはセレッソの1列目2列目の守備が甘くなったことが要因でもあるのだが、とはいえ中では確実に跳ね返していたので実際のところは一方的に攻める金沢、耐えるセレッソというほどの状況でも無かった。
ただ、丹野が既に2度ほどキックミスで相手にボールを渡していたし、暑さもあってなのかセレッソの2列目のアプローチは緩くなっていたので、怖いのはミス絡みとゴチャゴチャっとした後のスクランブル状態というところだろうか。
■ここから先の手は無かった金沢
75分〜 |
これは直前のプレーで清武が足をつって伸ばしている様な仕草を見せていたので、それを見たベンチは即交代を行った。
一方の金沢は75分に左SBの毛利に代えてガンバや讃岐、大宮にもいた攻撃的な左SBの沼田を投入。サイドからのクロス要員という事なのだろう。
84分〜 |
■その他
3-0の勝利は順当なところという感じだろうか。特に柿谷に代わって入ったヤン・ドンヒョンが消されてしまったこと、後半はかなり守備がゆるくなってしまったことで金沢がボールを持つ時間も長くなり金沢が惜しくもという見方ができるかもしれないが、セレッソの守備が意図的に崩されるという場面はほどんど無く、セレッソがリードしている中での出来事だったのでそれほど焦る様な場面は無かった。
金沢に「サイドでボールを持てる」からのもう1手先があればまた違ったのだろうけど。
前半:https://www.youtube.com/watch?v=odQCx_M1NCI
後半:https://www.youtube.com/watch?v=Dfi7af59nGw
以前、このブログでもプレビューでご協力いただいたことのあるファジアーノ岡山サポーターのゼロファジ(@ZeroFagi )さんが先日の西日本豪雨で被災されました。
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無事に4回戦に進出できてよかったです。
返信削除柿谷選手の怪我の具合が気になるところですが…
W杯で日本代表が活躍したように、セレッソの選手も活躍してほしいです。
ゼロファジさんの手記を読みました。
とても鮮明に被災現場とその状況を書かれていて胸が苦しくなったと同時に、サッカーファミリーの素晴らしさを感じました。
7年前の大震災や今回の豪雨、そしてこれからどんな自然災害が起こったとしてもサッカーファミリーが手を取り合って乗り越えていけたらいいですね。
コメントありがとうございます。
削除いよいよ日常が戻ってきます。セレッソの選手も色々な刺激を受けたでしょうから活躍を期待したいですね。
またゼロファジさんの手記についてもありがとうございます。
いろいろ感じるところもありましたし、何かできたらと思いご紹介させていただきました。
今回も素晴らしいレビューありがとうございます
返信削除いつも楽しみにしています
コメントありがとうございます。
削除いよいよリーグ戦も始まりますので、よろしくおねがいします。