スタジアム | ヤンマースタジアム長居 | 主審 | 松尾 一 |
入場者数 | 16,631人 | 副審 | 西橋 勲、木川田 博信 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 30.8℃ / 72% | 第4の審判員 | 岡 宏道 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 尹 晶煥
- 監督
- 大岩 剛
試合経過
- 90'
- 82'
-
77'
-
68'
-
63'
- 60'
-
59'
- 57'
-
47'
- 41'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 16 | 10 | 15 | 18 |
CK | 5 | 0 | 5 | 5 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 9 | 10 | 11 | 11 |
警告/退場 | 2/0 | 0/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 尹晶煥監督鹿島アントラーズ 大岩剛監督
セレッソ大阪 藤本選手、オスマル選手、山内選手、山口選手、杉本選手、田中亜土夢選手、片山選手
鹿島アントラーズ 鈴木選手、土居選手、町田選手、犬飼選手、クォン・スンテ選手、安部選手(鹿島アントラーズ公式)
AFCチャンピオンズリーグの影響で延期になっていた明治安田生命J1リーグ第14節、セレッソ大阪対鹿島アントラーズの一戦は後半2点を奪われ鹿島アントラーズに敗戦。
この試合で今季の前半戦全試合が終了となり、セレッソ大阪は7勝6分4敗の勝ち点27、5位でシーズン前半戦を折り返すこととなった。
■メンバー
セレッソ大阪の先発メンバーは、清武、ヤン・ドンヒョンなど怪我人が出た中でも中2日での試合ということもありやはりターンオーバーを敢行。前節から先発7人を入れ替え、最終ラインは右から片山、藤本、山下、丸橋。ボランチには山口とオスマル。SHには水沼と田中亜土夢。2トップには杉本と山内が入った。大卒2年目の山内はこれがトップチームでのデビュー戦。また田中亜土夢と片山は共にリーグ戦では第7節川崎フロンターレ戦以来2度目の先発となる。
一方、鹿島アントラーズの先発メンバーは前節から1人のみ入れ替え。ボランチの永木に代わってレオ・シルバが先発。鈴木と土居の2トップ、中村と安部のSH、ボランチの三竿、最終ラインの西、犬飼、昌子、安西と6点を決めた前節と同じメンバーが多く並ぶ布陣となっていた。
■同じシステムを使う両チームの違い
同じ4-4-2を使うセレッソと鹿島。この試合の立ち上がりはどちらもあまり高い位置からの守備を行わなかったのでボール保持攻撃に関する両チームの違いが見えた。鹿島のビルドアップ |
図では便宜上右には三竿、左にはレオ・シルバにしているが、基本的には右サイドでも左サイドでもレオ・シルバがこのポジションを取ることが多かった。
そしてSHとSBは一列に並ばない。今風に言えば同じレーンには立たない。
SHが中に入ればSBは外に、SHが開いていればSBが中に入る。
これも右では中村を中・西を外、左で安部を外、安西を中としているが、これで固定されているという訳ではなく、SHのポジションによってSBのポジションが決まっている感じか。
そしてここに鈴木と土居の2トップが絡む。鈴木はクロスの時にファーサイドにいる仕事があるのでボール保持の形からサイドに大きく流れるようなことは少ないが、内側のレーンでの攻撃には比較的頻繁に絡む。
22分の鈴木のミドルシュートの場面 |
セレッソのビルドアップ |
ただこの形だと2トップと相手の2CBは同数でマッチアップしているので逆サイドのSBは絞り気味のポジションを取る。そのためサイドチェンジが有効で、同サイド縦のポジションチェンジ以外はサイドチェンジからの攻撃が増える。
4分の杉本のシュート |
4分のこの試合両チーム合わせて初シュートとなった杉本のシュートは、正確にはカウンターからだったが杉本に対して昌子がアプローチをかけそこのギャップに山内が飛び込み、落としたところを杉本という形だった。
しかし、4分でこの形が見られたことでセレッソはこういう形を狙ってるのかな?と思ったのだが結果的には単発。この後は続かなかった。
また、これはこの試合に限ったことではなくこれまでずっとなのだが、セレッソのボール保持攻撃はゴールがはっきりしない。ゴールはもちろんゴール(得点)なのだが、ゴールを決めるためにどこにどういう形でボールを運ぶかがはっきりしない。
強いて言えばサイドでの縦のポジションチェンジとサイドチェンジなのかもしれないが。
なので、序盤はセレッソがボールを持つものの良い形を作れず攻めきれないままという展開が続く。
■鹿島の前線からの守備で間延びするセレッソ
すると20分ごろから鹿島は2トップを中心にCBにアプローチをかけはじめる。これに対してはセレッソも慌てることなくボールをつなぎ、外してロングボールを蹴るという形で対応していくのだが、このロングボールの後にDFラインが上げきれず徐々に布陣が間延び。
するとボールを失った時に山口とオスマルの裏で土居や鈴木が起点となり鹿島がカウンターを見せるようになる。
セレッソがボールを持つし、25分の杉本のシュートの様に前線でボールが収まればシュートまで持っていけることもあったが、ペースを握っているのはカウンターを何度も繰り出す鹿島という展開になっていった。
38分〜 |
38分、水沼のシュートにブロックに行った昌子のスパイクが芝にひかかったような形になり左足首を痛め続行不可。下部組織出身で大型の左利きCBとして世代別日本代表でも期待されている町田と交代となる。
このきっかけとなったプレーはセレッソの数少ない形の1つであるサイドチェンジから。左サイドの大外レーンにSHとSBがいてそこにオスマルが絡む形で全体を左サイドに寄せたところからオスマルがサイドチェンジ。このボールを安西がかぶってしまい水沼へ。そこに慌てて昌子が寄せた形だった。
CBが代わった影響か、直後のに43分は杉本が下がった動きにこれまでの昌子の様にはっきりとついていかず、その分カバーも中途半端になったことでSBとCBの間を田中が飛び出し山下からのパスを受けて折返しを水沼がシュートする決定機を作るもシュートはヒットしきれずクォン・スンテがセーブ。
ただ、こういった攻撃も、立ち上がりのギャップを狙う形と同様にどうしても単発。
前半は、セレッソがボール保持率も高い、パス数も多い、シュート数も多い、走行距離も多いのだが、アタッキングサード侵入回数は鹿島のほうが多い。
セレッソはボールを持っているが攻められておらず、カウンターからセレッソゴールに迫る鹿島がペースを握っているという展開だった。
■左サイドにできた内と外
後半に入ると鹿島はクォン・スンテがハイボールを処理した時にアンツーカー上にある広告シートに乗った右足を滑らせ痛めるという再びのアクシデントがあったもののプレー続行可能ということで問題なし。そしてセレッソはHTに指示なのか、それとも話し合いが行われたのか、これまで同じ大外のレーンで縦に並んでいた田中亜土夢と丸橋の関係が改善され、田中亜土夢が内側に入り、外側のレーンを丸橋が上がるという形を見せ始める。
これによって前半は右サイドからの攻撃がほとんどだったセレッソに左サイドからの攻撃も見られるようになる。
しかしこれは良いことばかりではなかった。問題になったのはボールを奪われた瞬間の守備。
丸橋が上がった後は、山下、藤本と逆サイドのSB片山が後ろに残ってその前にボランチがいてネガティブトランジションに対応する形になるのだが、この時のポジショニングが悪く鹿島のアタッカーを捕まえきれていない。そのためカウンターを何度も繰り出されることになる。
失い方の問題もあるが、それ以上にポジショニングに問題があった。
そして鹿島もそれを狙って安部が右サイドに回ってカウンターの起点になったりしていた。
それが出てしまったのが57分の失点シーン。
犬飼からの縦パスが田中亜土夢の足に当たってコースがずれたボールが鈴木に渡たりドリブルをはじめたのだが、鈴木に対して藤本があまりにも軽い対応をしてしまい簡単に外されることに。藤本は山下が戻ってきていることが見えていたからこういった対応になったのかもしれないが、あまりにも軽すぎるプレーで鈴木に抜け出されそのまま独走。そして最後は落ち着いて流し込まれた。
田中亜土夢の足に当たってコースが代わったことでカバーしていた山口が飛ばされたのはアンラッキーだったのかもしれないが、それ以上にこの場面でCBがあんなプレーで抜かれてしまうと流石に厳しい。
そしてもっとそもそも論になると、この場面はキム・ジンヒョンからのキックが相手GKに渡ったところから始まっているのだが、そのボールに対して前線の選手はプレッシングをしかけた。なので犬飼のパスが田中亜土夢の足に当たることになるのだが、そもそもこのプレッシングは必要だったのか。そしてプレッシングに行った時にDFラインの特にCBはそれに連動した動きができていたのか。これは前半からカウンターを浴びることになっていたのと同じ問題で、ここを詰めないといけない問題だろう。
そしてその直後の60分。先制点の直前から鹿島は左右のSHのポジションを入れ替えていたのだが、丸橋に対してプレッシャーをかけボールを奪ったところからファールを受けると、そのFKのこぼれ球から右サイドで片山が町田に入れ替わられてしまい、クロスをニアで土居に合わされてゴール。鹿島が追加点を決める。
この2点目は鹿島にとってFKの奪い方から会心の形だろう。またクロスに対する飛び込みも、FKからの流れだったので中は沢山人数がいたが土居がニア、鈴木がファーという形でキチンとDFラインとGKの間に飛び出している。この形は中断再開後の鹿島のサイドアタックでよく見るので中断期間中にトレーニングを積んだ形なのだろう。
セレッソとしては、中ももちろんだた、片山が簡単に入れ替わられてしまったのが痛かった。
前半から片山は前への守備やクロスのファーサイドでの守備では強さを発揮できていたが、目の前の左右のレーンにSHとSBが出てくる状態になっており、背後を取られたり、入れ替わられたりする場面も見られていた。
サイズと身体能力があるのでSBとして期待しているのだが、これまで岡山でシャドゥ、WB、3バックの右でプレーしてきたこともあって4バックのSBに不慣れなところが見られていた。
また攻撃でも貢献したいという思いも強かったんだと思う。前半から積極的に前に出ることは多かったが逆に出るのが早すぎるという場面もみられていた。
■前がかりになるも
68分〜 |
高木が入ったことで再び左サイドの関係は再び外のレーンで縦に並ぶことに。
ただ、2点ビハインドもあるし、丸橋は今季高木と共にプレーする機会が多いからか、高木のポジションに合わせて内側に入ったり、またカットインをしたあとに外のレーンで上がっていったりと左サイドで押し込み始める。
ただ、やっぱり不安定なのがボールを失った時のDFラインのポジショニング。
70分ごろに鈴木と山下が1対1になっていて何とか山下が対応、クロスも跳ね返すことができたが、その時藤本には十分ポジションを修正する時間があったはずだったが、パスを出した後に修正できておらず危ない場面を作られている。
そして73分、左サイドで山村、高木、丸橋で鹿島を押し込み得たCKからこぼれ球を水沼がシュートを放つもポスト、その跳ね返りを片山が狙うも慎重になりすぎたかボールは弱くなりクォン・スンテがセーブ。
この試合2度目の決定機だったがセレッソはここでも決められなかった。
77分〜 |
もともとは水沼との交代予定だったようだが、急遽藤本と交代となったためにこういう形になったようだ。
そしてこの形になってスグに丸橋のクロスから山村がファーサイドで押し込んでゴールネットを揺らすも、手前で空振りをしていた杉本がオフサイドポジションでプレーに関与したということでオフサイド。
セレッソはかなり前がかりになっているので押し込むがカウンターも浴びるというオープンな展開となっていく。
ここで鹿島は82分に中村に代えて永木を投入。永木は丸橋を防ぐ役割を持って右SHに投入してきた。
この後もオープンな展開が続くのだが、気になるのは左利きのオスマルが右CBに入っていること。ボールの循環を考えると左CBに置いたほうが断然優位というかできることも増えると思うのだが…
ただ、オスマルはこの試合がセレッソに着てはじめてのCBでの試合となったが、韓国ではCBでのプレーが主だったようで安定感があった。もちろん鹿島の選手も疲れていたこともあるのだろうがむしろオスマルがCBに下がってからの方が対カウンターの守備は安定していた。
90分〜 |
結局このままセレッソは攻めきれず試合終了。0-2で今季ホームで初黒星を喫することとなった。
■その他
0-2で2度の決定機があったので、そこで決めていればという考え方もできるが、試合展開的には鹿島に完全にコントロールされた試合だった。特にボール保持攻撃とそこからのネガティブトランジションには大きな差があった。
セレッソは今季始まる前に、もう少しボールを保持する時間も増やしたいとの狙いを持っていたが、ボール保持攻撃はどうしても人に依存しているのでその分ネガティブトランジションにも影響が出てしまう。
この試合でちょうど今季の半分を終えることとなったが、この試合だけでなくそれが前半戦で出た課題というところではないだろうか。
ボールを持つ時間を長くすることを考えるならもう少しポジショナルプレー的な考え方が必要となる。
この試合はターンオーバーで7人を入れ替えたとはいえ、その内4人は前々節に出ていたメンバー。なので実質3人が新しく出た選手なのだが、デビュー戦となった山内も良さを出しきれず、田中亜土夢も後半になって内側のレーンに移動し攻撃を活性化させたがその分守備の問題も出た。この2人に関しては個人のというよりもチームの問題かなと思わせた。
また片山については、前回の先発となった川崎戦では攻撃ではほとんど良いところを出せなかったのでそこをという思いもあったのだろうが、4バックのSBとして攻守において不慣れな点が見られた。片山がSBができるようになると本当に助かるのでしっかり反省して次につなげて欲しいところだ。
片山の右SB起用の予想当たりましたね、期待して見てたので出来は残念でしたが。
返信削除清水戦からの3試合は今年は残留争いに加わるなと確信させてくれる出来です、清水の白崎に去年とまったく同じプレスバック皆無なことを指摘されていてチームの練度が去年から全然進歩してないと情けなく思いました。しかし両ボランチが最終ラインに吸収されるポジションにいてしばしばバイタルがガラ空きなのを見せられるとこれは練度が去年よりも落ちていると言わざるをえません。
組織的な連携を指導しても反映されないならドンヒョンを球際まで詰めてしつこく守備させたり、山口に攻守でのポジショニングを是正させたりと個人指導やってほしいと思うのですが、今どういう指導をしているんでしょうか、沖縄でキャンプやっていたのがウソのようにチームの形ができず、Akiさんが去年から指摘している選手丸投げ攻撃はおろか守備も体が崩れてると感じます。鳥栖時代は豊田中心として周りを何人か衛星軌道させて攻撃構築していたことを考えると尹監督は鳥栖時代とやり方を変えてるんでしょうが、今どういうトライ(指導)をしていてどう上手くいってないのかがわかりません。難しいですけどこの点について何か推測みたいなものはついてませんか?