2018年7月30日月曜日

7/28 明治安田生命J1リーグ第18節 VS ベガルタ仙台 @ ユアテックスタジアム仙台

スタジアムユアテックスタジアム仙台主審家本 政明
入場者数14,911人副審八木 あかね、森川 浩次
天候 / 気温 / 湿度曇 / 26.1℃ / 85%第4の審判員川俣 秀
スターティングメンバー
ベガルタ仙台仙台
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • 渡邉 晋
 
  • 監督
  • 尹 晶煥
ベガルタ仙台仙台
C大阪セレッソ大阪
今回対戦今季平均
データ項目ベガルタ仙台セレッソ大阪ベガルタ仙台セレッソ大阪
FK12111715
CK6655
PK0000
シュート1412911
警告/退場0/00/01/01/0

<監督・選手コメント>

ベガルタ仙台 渡辺晋監督
セレッソ大阪 尹晶煥監督

ベガルタ仙台 西村選手、ハーフナー・マイク選手、蜂須賀選手
セレッソ大阪 丸橋選手、木本選手、マテイ・ヨニッチ選手、杉本選手

2018年の明治安田生命J1リーグも後半戦となる第18節。敵地ユアテックスタジアム仙台でのベガルタ仙台対セレッソ大阪の一戦は試合終盤にお互い得点を奪い合い2-2の引き分け。勝ち点1を分け合った。

■メンバー

この日はサマーユニフォームとして上下黒のユニフォームを着用しているベガルタ仙台。
こちらは前節から中5日での試合ということで前節からの先発メンバーの入れ替えはは1人入れ替えのみ。阿部から西村に代わっている。
また仙台の布陣は3-1-4-2。これまでセレッソ戦では全て3-4-2-1を使っていたがこの試合では初めて2トップに石原と西村、インサイドハーフに奥埜と矢島が並ぶ3-1-4-2の布陣を取ってきた。

一方のセレッソ大阪は、仙台が黒のユニフォームを着用していることもあってこの日はホームユニフォーム。ミッドウィークに試合があり中2日での試合ということで、先発メンバーは前節から7人入れ替える形になっているが、言い換えれば前々節と同じ11人ということでもある。
また天皇杯3回戦の金沢戦で負傷交代した柿谷がベンチに復帰。杉本が3連戦ということもあり先発の可能性もあるかと思われたが、負傷明けということでまずはベンチからということになったようだ。

■ハイプレスからセレッソの先制点

仙台は3バックということでやはり立ち上がりセレッソは前からプレッシングを見える。
セレッソのプレッシング
杉本が3試合連続先発ということもあってかその中心になっていたのは山村。山村が動いて杉本が連動、さらに逆サイドではSHがWBとCBとの中間ポジションで構える。また山村は3バックのサイドからGKにボールを戻せばそのまま一気にアプローチをかける場面も見られた。
もちろん最初から行けないこともあるのだがそんな場合でも守備のスタート位置は高く、SHが3バックのサイドにアプローチに行ける様なポジションをとっていた。
これでセレッソは中盤でボールを増やし、敵陣でプレーする時間も増やしていた。
そんな中で生まれたのがセレッソの先制点。
板倉が不用意なファールで山村を倒し得たFK。丸橋のキックに敵味方共に誰も触らずそのままネットを揺らし11分にセレッソが先制する。
川崎から期限付き移籍中の板倉は、強さ、高さもキックの技術も素晴らしくU-21日本代表の主力だが、時折こういった不用意なファールを犯してしまうのは若さゆえか。
また丸橋のFKに関しては、仙台はFKの守備の形が特徴的で、ラインを作って守るのではなく、CKの守備の様にボックス内に下がってゾーンを組む。これはおそらく予め下がることで相手の影響を受けずにゾーンを組めると考えているからだとは思うが、逆にいうと相手にも入り込まれてしまうわけでGKの守備範囲が狭くなる。
そんな中で誰かに合わされるならまだしも、今回のFKの様にゾーンの中をボールが通過してきてしまうとGKはどうしても反応が遅れてしまいので、今回のゴールの様な形につながってしまうのだろう。
丸橋はこれで今季4点目。そしてCK直接が1本、FK直接が3本。セットプレー直接で4本、FK直接で3本はリーグトップである。

■対5-3-2

プレッシングを有効に使い早い時間に先制したセレッソだったが、実はそんなにペースを握っていたというわけではなかった。
というのもセレッソがボールを持つ時間の方が長くなっていたが、そのボール保持が効果的な形になっていたわけではなかったから。
プレビューでも書いたが仙台は攻撃ではいわゆる5レーンと呼ばれるものを活用した選手のポジショニングで優位性を作る形を指向している。
こういう攻撃を指向しているチームの多く、例えばマリノスなんかは優位性をできるだけ長い時間確保するためにボール保持の時間を長くすることを考えている。となると守備はハイプレス。相手ボールの時間を削る。しかし仙台の場合は一旦さがりミドルゾーンでブロックを作ることを優先する。セレッソがボールを持つ時間を長くしていたのはこの仙台の守り方が理由に過ぎなかった。
5-3-2の守備
3-4-1-2の布陣を取る仙台は守備の時5-3-2でブロックを作る。
この布陣の構造的な弱点は中盤3枚の脇。3人でピッチの横幅をカバーするのは運動量的にもスペース的にも無理がある。ではここをどうやってカバーするかというと、WBが前にアプローチに出る機会を作ること。WBが前にでて中盤3枚の脇を埋め、最終ラインの残り4人が全体にスライドすると4-4-2の様な形になる。これだと守備にあまり無理が無い。
対5-3-2
これを踏まえ、対5-3-2でこれをやらせないことを考えた代表的な戦い方はSHをサイドに開かせてしまいWBとマッチアップさせる形。SHでWBを止めてしまうのだ。
この形になるとSBに対しては中盤3枚のスライドで対応せざるを得なくなる。
これを続けてしまうとインサイドハーフは疲弊。さらにどうしてもボランチを空けてしまう機会も増え、さらには運動量過多から3枚の間が空く。となるとトップにSBやボランチからクサビを入れる機会も増える。
セレッソはこの形になっていることもあった。実際にサイドから敵陣に侵入する機会もあった。
サイドでハマってしまう形
しかしそうなっていない、例えばSHがインサイドに入っていることも結構あった。
5-3-2のブロックは基本的に迎撃型になっている。
なのでWBが中盤3枚の脇、SBに対してアプローチをかける。
そして3バックの同サイドの選手がSHを捕まえ残り2人は中央にスライド。ボールサイドのインサイドハーフはボランチを捕まえ、2トップの1枚はボールサイドのCBを見ている。完全にハマった状態を作られてしまう。こうなるとSBはそのままボールを奪われるか、それを避けるためには一気にGKに戻すしか無い。

■タックル数の違和感

サイドでハメられてGKに戻すしか無い状況のことを書いたが、ここからセレッソはGKからのロングキックで敵陣を攻略する形も持っている。この試合でいうと杉本と山村の2トップは抜群の高さがあるし、故障しているがヤン・ドンヒョンもロングキックのターゲットとしてはまだ機能している。
ただ、ここで競り勝ったり収まったりした場合は効果的なのだが、ここ最近は背後に落とせなかった場合のセカンドボール争いで後手を踏む場面も結構多い。
例えばこの試合でも21分にキム・ジンヒョンからのキックを杉本が競ったがボールはこぼれ、セカンドボールを仙台の選手に拾われた場面がある。この時杉本はソウザにもっと出てきてくれと伝えているがソウザは行けなかった。
そしてこのボールを仙台が一旦最終ラインに戻したので、そこに山村がアプローチをかけ最終的には何とか木本のところで奪い返すことができたが、カウンターのピンチにつながりかけた。
そして17分、38分とロングボールのセカンドボールを奪われカウンターを受けかけた場面がある。

この状況を踏まえて、今季前半戦のセレッソにはタックル数で特徴的なデータがある。
セレッソは自陣でブロックを作る守備がメインなのでそもそもタックル数はそれほど多くないのだが、今季のタックル数は1試合平均17.2回でリーグ17位。これは昨季リーグダントツのタックル王だったソウザが離脱していたことも大きいだろう。
しかしそれをエリア別でみると、アタッキングサードでのタックル数は1試合平均2.7回でリーグ5位。ここはかなり多い。しかし敵陣でのタックル数となると5.2回で16位。つまりミドルサードの前方(敵陣)のタックル数が少ない。実際にミドルサードの前方(敵陣)のタックル数は2.5回しかなく、この数字はリーグ17位である。
アタッキングサードでタックルを行う場面というのは、ポゼッションで相手を押し込んだ後ボールを失った時。この状況では素早い攻守の切り替えからアプローチをかけることができていることがわかる。
しかしミドルサードの前方は少ない。ここは色々な場面があるが、その1つは4-4-2のブロックを作った時の1列目の守備もある。そしてGKがロングボールを蹴った時にセカンドボールを奪われた場合もここにあたる。GKからのロングキックはアタッキングサードまで届くことは少なく、ちょうどこのミドルサードの前方(敵陣)ぐらいだからだ。
ここにはこれが正解というものはない。SHのポジショニングなのか、ボランチのポジショニングなのか、DFラインの押し上げなのか。
ただ、今はそのバランスが崩れている。前半戦で結果的にハマったことはあったにせよ山村がボランチで起用されていた分、試合中にロングボールを跳ね返されてしまうことが多かったからこういう状況になっているという可能性もあるが、まずはチームとしてどうするのかという意思統一が必要だろう。

■ポジショニングで優位性を作られるということ

3-1-4-2の攻撃
仙台の布陣は3-1-4-2。なのでセレッソが4-4-2のブロックを作った時の立ち位置は図のようになる。
対4-4-2で作る優位性
ここから仙台はインサイドハーフがサイドに流れる動きを多用してきた。そしてこれがかなり厄介だった。例えばこのインサイドハーフをボランチが捕まえる(引っ張られてしまう)と後ろから2トップへのパスコースが空く。
それならばとSHが絞るとWBへのパスコースが空く。
ではSHがWBのパスコースを消すようにして中盤がスライドすると、3バックのサイドの選手から逆サイドのWBにサイドチェンジが飛ぶ。
ではSHが3バックのサイドの選手にアプローチに行くと、WBにはSBが出ることになるので2トップの1人が前に出たSBの裏に流れる。
最初の形は石原へのクサビ、2番目は両WB、3番目は板倉からのサイドチェンジ、4番目は西村がSBの裏に流れる形でいずれもこの試合で見られた形だ。
言ってみればこれが、ポジショニングでの優位性、5レーンというヤツなので、仙台はそれを狙っているので当然である。
これに対応する方法で最もシンプルなのが中盤が最終ラインに1人増やす形だろう。
5-4-1でも5-3-2でも4-5-1でもいい。5バックなら2トップ+WBの4人に対して1人多い状態で構えることができる。中盤を5人にすれば広げられても埋めることができる。
ただ1トップになると全体的にリトリートすることは必至だろう。2トップの5-3-2で守ればリトリートじゃない方法もありそうだ。
他には4-4-2のブロックをさらに圧縮する方法。ヨーロッパにはそんなチームもある。
仙台であれば例えば板倉はロングキックはあるが効果的な形でドリブルでボールを運ぶ場面はそんなに無い。なので十分対応できる可能性はある。またそもそものボール保持率が低いからポゼッションを高めるのも手だろう。インサイドハーフに守備でスライドを強要し疲弊させることもできる。
最終ラインや中盤も5枚にするのも状況によって使い分けることもできるだろう。この試合であればセレッソは11分に先制しているので5枚にして相手にボールをもたせてカウンターを狙うということもできるかもしれない。

ただこの試合はすべてが中途半端な状態で進んだ。
そして31分の失点シーン。丸橋のミスパスからボールを失ったが、その後の対応でサイドに運ばれ、中野からのクロスが入る時にはヨニッチはマイナスの位置から前を伺う矢島がおり、後ろの西村に対しては石原がいた事で木本も絞りきれず、西村に合わされてしまった形だった。

■アンラッキー?な失点と同点ゴール

71分〜
仙台は54分に矢島に代えて永戸を投入。中野がインサイドハーフに移動し永戸は左WBに入る。
外は空くので1-1の状況を動かすためにということだろう。
一方のセレッソは68分に2枚替え。高木と福満の両SHに代え、柿谷と水沼をそのまま入れる。
仙台の守備のやり方からセレッソが全く攻められないということは無かったので、サイドのクオリティで勝負するということなのだろう。
実際に投入直後には水沼がミドルシュートを放ち25分には柿谷がカウンターからボールを運んでいる。
そしてさらに仙台は71分に西村に代えて阿部を投入。カウンター気味にレーンを意識した攻撃でセレッソの守備のズレをついてくる。
76分〜
76分、仙台はさらに中野に代えてハーフナー・マイクを投入。奥埜がボランチに下がりハーフナー・マイクが1トップ、シャドゥに阿部と石原という3-4-2-1になる。
前線にアタッカーを増やしてきた。

すると84分、永戸のCKからの流れで一旦サイドに弾かれたボールを、もう一度永戸が入れ直し蜂須賀が頭で合わせてゴール。仙台が逆転ゴールを決める。
ただ、この場面はアンラッキーだった。
永戸のCKは、大岩がニアでスラすもその後ろで平岡と山口の競り合いの中からもう一度サイドに流れた。
そして永戸は蹴った後にポジションを修正していないので、このボールを拾ったときに戻りオフサイドということで副審はフラッグを上げた。大岩に当たったボールがサイドに出たという判断だ。
しかし主審は山口のクリアだったということでフラッグを下げるように指示。つまり永戸はオフサイドではなかった。
がしかし、目の前でフラッグを上げられたセレッソの選手はオフサイドと判断。柿谷は永戸へのアプローチを止め、ほとんどの選手はこれでプレーを止めた。
がしかし、オフサイドではなかったのでインプレー。それを蜂須賀に合わされたのだ。
オフサイドの最終判断をするのは主審、なので笛がなるまでプレーを止めない。これは基本。
誰もが知ってるし、当然のことだ。セルフジャッジは良くないことも当たり前。誰もが知ってる。そして主審のジャッジも間違えてなかっただろう。
ただ、プレーヤー心理としては、あの状態で目の前の副審が旗を上げ、永戸がキックした時お上がってたらプレーは止めてしまう。笛がなってないというのもわかってるけど止めてしまう。ましてや疲れ果てた84分の出来事だ。主審のジェスチャーも見えていない。
おそらく副審のいない方のサイドならこの失点は無かっただろう。セルフジャッジは良くないということもわかるが、それだけアンラッキーともいえる失点だった。

ただ、この試合はこれで終わらなかった。
丸橋をかなり高い位置に出して前がかりになるセレッソ。
89分〜
89分には杉本に代えて山内を投入する。

この時間でも仙台は結構攻めさせてくれた。5-4-1で守りきろうということなのだろうが、もう少しボールキープをするかな?と思いきやシュートを打ってみたりクロスも上げたりスルーパスも出してくる。
左上がりのズレ
そして仙台の5-4-1は、セレッソがかなり左を前に出した形になっていたので丸橋が浮いていることがあった。柿谷が中に入るので右WBの蜂須賀は中に入る、木本も出てくるので石原はSHのポジションにいる。もちろん奪えばカウンターのチャンスになるのだが、前節鹿島が永木をはっきり丸橋番したような形を取らなかった。
その結果が90+5分の同点ゴール。
きっかけは仙台のゴールキック。関は思い切り蹴りそのボールがキム・ジンヒョンに渡る。なぜかこのタイミングであっさりとボールをくれた。そしてキム・ジンヒョンのゴールキックは左サイドに流れた山内へ。サイドに流れていたので競るのは蜂須賀。このボールが後ろに流れ柿谷が拾った。柿谷もサイドに出ていたので平岡がこれに寄せる。
その時柿谷の内側で丸橋はフリーだった。この時ボックス内はGKの関を除くとセレッソは丸橋、山村、水沼の3人。仙台は大岩、板倉、永戸の3人。3対3の同数だった。
そこで柿谷は慌ててクロスを入れるのではなくフリーの丸橋へとパス。
慌てて平岡と戻ってきた奥埜が寄せるが、ターンでこれを交わすとキック。おそらく水沼へのクロスだったのだと思うが、このボールが奥埜の足に当たりゴールネットを揺らした。
仙台からすると逆転ゴールからの11分の戦い方が悔やまれるところだろう。
試合はそのまま終了。2-2の引き分けに終わった。

■その他

今回はヨニッチがうまく言っていないチームに対してコメントしていたので、セレッソの現状みたいな部分を中心に書いてみた。
どちらにしてもいくつか修正しないといけない部分はあるといえる。
ワールドカップでハイプレスのチームがほとんど無かったのと同じ理由で、おそらく尹晶煥監督は積極的にハイプレスを取り入れることは無いだろう。
ただ、そうなると4-4-2の精度だったり、相手を見てどうするかという部分はもっと詰めないといけない。
連戦が続くので時間は無いが、再開後2分2敗、4試合で勝ち点10を落としているのだから。




2 件のコメント :

  1. おつかれさまです。
    アタッキングサードでのプレス数の減少は柿谷がコンスタントに使えていない部分が大きいんですかね?あと杉本も今季プレーに絡む機会が減ってるような印象ですがどうでしょう。
    リーグ戦に関してはもう広島との差や東京らの勢いを考えると厳しいと思うので残留ラインを早めに突破しておいていただきたいものです。
    補強がない点はどうでしょう。ピアスは将来への投資と思いますが、不調の水沼、怪我の多い清武の穴を埋めるまではないにしてもいるいないでチームの質が極端に落ちるのはなんとかしていただきたいものです。

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    返信
    1. コメントありがとうございます。アタッキングサードのプレス数は連戦という問題もありますが、そんなに減っていないと思います。問題なのはミドルサードの敵陣側ですね。
      補強については選手の数がかなり多いのでさらに加えるというのは難しいと思います。

      削除

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