スタジアム | ヤンマースタジアム長居 | 主審 | 福島 孝一郎 |
入場者数 | 27,915人 | 副審 | 西尾 英朗、和角 敏之 |
天候 / 気温 / 湿度 | 晴 / 30.5℃ / 71% | 第4の審判員 | 谷本 涼 |
メンバー
スターティングメンバー |
- 監督
- 尹 晶煥
- 監督
- オズワルド オリヴェイラ
試合経過
-
90+2'
-
88'
- 82'
- 78'
- 70'
- 67'
- 54'
-
8'
データ
今回対戦 | 今季平均 | |||
データ項目 | ||||
FK | 15 | 5 | 15 | 17 |
CK | 5 | 10 | 5 | 6 |
PK | 0 | 0 | 0 | 0 |
シュート | 11 | 15 | 11 | 10 |
警告/退場 | 0/0 | 2/0 | 1/0 | 1/0 |
<監督・選手コメント>
セレッソ大阪 尹晶煥監督浦和レッズ オズワルド・オリヴェイラ監督
セレッソ大阪 高木選手、杉本選手、木本選手
浦和レッズ 遠藤選手(Jリーグ公式)
完敗を喫した前節清水戦から中3日で迎えた明治安田生命J1リーグ第17節、セレッソ大阪対浦和レッズの一戦は、セレッソがペースを握った前半に1点を奪うも、浦和がペースを握り返した後半に1点を返し1-1の引き分け。勝ち点1を分け合うこととなった。
■メンバー
セレッソ大阪の先発メンバーは前節から5人を入れ替え。CBで山下に代わって木本。ボランチでオスマルに代わってソウザ。左右のSHは清武、水沼に代えて高木と福満。トップにヤン・ドンヒョンに代わって山村が入る、予想通りの11人となった。この5人の入れ替えは前半戦の戦いや中断期間中のトレーニングなどこれまでの流れを考えると十分予想できる形。2戦連続先発のキム・ジンヒョン、ヨニッチ、松田、丸橋、山口、杉本のようになかなか代えが利かない軸となる選手もいるが、この連戦は基本的にターンオーバーを行いながらという形になるのだろう。
一方の浦和レッズの先発メンバーは前節から1人の入れ替えのみ。マルティノスに代わって登録が済んだばかりのファブリシオが先発メンバーに名を連ねた。
浦和に関して言えば、ターンオーバーを行わない傾向が強いブラジル人監督が率いているということもあるが、セレッソがこの後もスグ中2日で試合があるのに対して浦和は次節が1週間後ということでメンバーの入れ替えをほぼ行わなかった。
■立ち上がりからペースを握ったセレッソ
この試合は立ち上がりからセレッソがペースを握った。その要因となった1つが前線からのプレッシング。前節は4-4-2の1列目の守備が定まらず、4-4が下げられ相手ボランチがフリーになり押し込まれるという流れで清水にペースを握られたが、この試合では立ち上がりに敵陣から2トップを中心にアプローチをかける形が徹底されていたので、浦和がなかなか効果的なビルドアップを行うことができなかった。
ただ、この前線からのプレッシングは尹晶煥の対3バックにおける常套手段でもある。
尹晶煥が率いる様になってからのセレッソはミドルゾーンで4-4-2のブロックを作って守る形を取っており、基本的には敵陣からプレッシングを行うことはほとんどない。
しかし1列目の守備が曖昧という弱点があるので、そのままだと3バックのミスマッチ系の相手にはどうしても大外の選手を使うことでブロックを動かされやすい。なのでミスマッチを使われる前に捕まえてしまえということで3バックの相手に対してだけは敵陣からプレッシングを行う形をとっている。
このプレッシングがセレッソがペースを握るきっかけとなったので、前節からの改善、修正、メンバーが代わった効果として「積極的な守備を行った」見る向きもあるが、個人的にこのプレッシングに関して言えば単に「相手のやり方が違うから」だけではないかと考えている。
とはいえ、このプレッシングで相手の攻撃を限定しボールを奪ってからの攻撃は、浦和の弱点を上手く突く形が何度も見られた。
その1つが前半開始早々1分の山口のクロスに杉本がヘディングで合わせた場面。シュートはクロスバーを越えたが決定的な形だった。
1分のセレッソの崩し |
先制点に繋がった7分の杉本のシュート |
で、この場面はボランチが安易に前に出て、もしくは左シャドゥのファブリシオが守備のポジショニングを全くとれていないのでバイタルエリアを開けてしまった形なのだが、この前にあった4分のソウザのミドルの場面は全く逆。左サイドで高木がボールを運んだところからソウザに戻した形だったのだが、高木がボールを運んだところで青木と柏木のボランチコンビは完全に最終ラインに吸収されてしまっており、ソウザは全くのフリー。
プレビューでも書いたが、今の浦和はボランチが動いてしまうのでバイタルエリアに簡単にスペースを作ってしまう。セレッソの攻撃はそんな浦和の不安定な部分を上手く突くことができていた。
■追加点を決められなかったセレッソ
セレッソの先制後、10分すぎから浦和は興梠とファブリシオのポジションを入れ替える。試合開始からの浦和の布陣は興梠が1トップ、シャドゥの右に武藤、左にファブリシオという形だったのだが、攻撃の時やボールが敵陣にある時はファブリシオは前にでて興梠とファブリシオの2トップ、中盤の右から武藤、青木、柏木となる5-3-2気味ともいえる形だった。
しかし、左シャドゥのファブリシオがいつどこに戻るのかが曖昧で、その結果柏木が引っ張られ、青木も左に寄るが、武藤はそこまで中央には絞らないという中途半端な形になっていた。
これがバイタルエリアを開けてしまう要因の1つでもあったので、興梠とファブリシオのポジションを入れ替え、守備の時は興梠にしっかり左に戻らせる形にしたのだろう。
しかしこの形になってもどちらかといえばまだセレッソがペースを握っていた。
セカンドボール争いでセレッソの方が優位にたっていたからだ。
セカンドボール争いで優位に立てている理由は前線からのアプローチと中盤以下がそれに連動する動きができていたから。
セカンドボール争いのポイントとして「集中力」などと言われることもあり、もちろん「集中力」は大切な要素の1つであることは間違いないのだが、それ以上に大切なのはロジカルにセカンドボールに反応できる状況を準備できているかどうか。
この時間帯のセレッソは前線からのアプローチとそれに中盤以下が連動することで、その準備ができていた。
そして16分には山村が決定機を作る。
丸橋のロングフィードを胸でコントロールするとボールを落とさずリフティングでマーカーの遠藤を翻弄。身体の強さを活かして遠藤と入れ替わると左足で放ったシュートはまるで元オランダ代表のマルコ・ファン・バステンのようなプレーだった。
しかしこの山村のチャンスや後半立ち上がり46分の松田のクロスに杉本がフリーで合わせた場面などでセレッソが追加点を奪うことができなかったことがこの後の展開を苦しめることになる。
なぜなら尹晶煥の対3バック戦略は、立ち上がりからのハイプレスで先制。さらにそこから一気に追加点を奪って早めに試合を決めてしまうのが勝ちパターンだからだ。
しかし追加点を奪えなかったことでこの勝ちパターン通りの展開に持っていくことができなかった。ということは時間の経過と共に厳しい展開になる可能性が高い。そうなっていく傾向は前半から見え始めていた。
■オープンになっていく35分以降
浦和は10分すぎから興梠が左に回ることで、浦和は興梠を起点にカウンターができるようにはなったが、それでも先程書いたようにしばらくはセレッソがセカンドボールを拾う機会が多く、結果的にセレッソが攻め込む時間が多く、ポゼッションも30分ごろまではセレッソが55%近くを記録していた。しかし35分ぐらいからお互いのゴール前をボールが行き交うオープンな試合になっていく。
カウンターを中心に攻撃をしかけていた浦和に対して、セレッソもカウンター気味に一気に前線に運ぶ攻撃が増えていったからだ。
もちろん、こうなってからもセレッソが全く攻め込むことができていなかったわけではない。
特にサイドではまだセレッソの方が優位に立っていた時間の方が長かった。
しかしカウンターの応酬になったことでセレッソが立ち上がりから見せていた高い位置からのプレッシングに中盤以下が連動するという形は少なくなっていく。そして特にSHの上下動が多くなる。また守る範囲も増える。
その結果、浦和がボールを保持する時間が長くなっていった。
30分までは55%あったポゼッション率が、31分から60分までの30分間は34%にまで下がっていた。
そして60分を過ぎたころからセレッソがカウンターを繰り出す場面も減っていく。
一方で浦和はさらにポゼッションを高める。
セレッソの前線からのアプローチは減っていき、例えば前半にはSHが3バックのサイドにまでアプローチをかける場面がみられたのだが、それもできなくなる。
その結果浦和はボールを大外に展開することでボールを運ぶことができる。
浦和もそこから先の崩しという面ではバリエーションがあまりなく、ゴールを奪うことに苦しんでいるチームなのだなあという状況だったが、60分〜75分までのセレッソのボールポゼッション率は32%となり、シュートは1本も打てず。ボックス内にボールを運ぶ場面も無かった。
70分〜 |
すると78分、武藤からのCKをファブリシオが落としたところに反応したのが興梠。反転してのシュートを決め浦和が1-1の同点に追いついた。
ビハインドの浦和が先に動くというのは通常のことだろう。
そしてこの同点ゴールまではそこまで決定機を作られていたわけではない。なのでセレッソとしては動けなかったというところもあるのかもしれない。
ただ、35分以降のオープンになっていった流れはセレッソにとってメリットは無かったのではないかと思う。
このオープンな状況で追加点を奪ってという思いがあったのかもしれないが、リードをしている中でのオープンな試合展開は2トップやSH、ボランチを疲弊させ、前半では優位に立っていたセカンドボール争いでも後手を踏む様になっていた。
65分を過ぎたころに尹晶煥監督は手前のサイドにいる丸橋や高木に「落ち着いて」というようなジェスチャーで何かを伝えており、その後彼ら2人は一気に前線にボールを出す訳ではなく自陣でボールをつなぐようなプレーをしていたので、「ペースを落とすように」という指示を出していたのかもしれない。
しかしそれはチーム全体には行き届かず、結局はオープンな展開から押し込まれる時間が増え、セットプレーから同点ゴールを許すこととなった。
■カウンターの応酬
78分〜 |
ここからはお互い中盤が無いさらにオープンなカウンターの応酬の様な時間が続く。
セレッソにとっても同点に追いつかれてしまい攻めるしか無い状況だからこれはしょうがない。
90+2分〜 |
■その他
試合としては「決めることができていたら」「何とか守ることはできていたのでセットプレーでガマンできていれば」というものだったかもしれないが、そもそも試合展開をコントロールできていなかったのでゲームプランに問題があった試合だったのではないかと思う。お互いアグレッシブに攻めあったので傍から見る分には楽しい試合だったのかもしれないが。
あと交代枠については、これは去年からそうなのだが、このチームが交代でできることは4バックを5枚にするぐらいで、後は選手を入れ替えるしか無い。つまり戦術的な交代というのはほとんどない。そもそも攻撃自体が個々のアイデアに任されている部分も大きいので当然だともいえるが。
そんな中で前節は失点がかさみビハインドの状態だったからか早いタイミングから結構いろいろやってて珍しいとは思ってたのだが、尹晶煥は基本的にはこういう監督なんだと思う。
連戦スタートとなる2試合で勝ち点1しか取れなかったのはかなり厳しいが、おそらくこのままターンオーバーは続けていくと思うので、ペースを上げていきたいところだ。
Akiさん、熱暑の中の連戦のレビュー、ありがとうございます。
返信削除今シーズン、これまでのところ杉本選手の得点力が昨年に比べて激減しているように思います。選手個人の問題ではない、何かチームプレー上の違いがあるのでしょうか?
あわや得点王だとか、日本代表、海外移籍だのと華やかな話題が多かっただけに心配です。
コメントありがとうございます。
削除マークが厳しいとか色々要因はあるとは思いますが、組み立てで2トップのところにボールが収まった後の形が上手く言っていないからでしょうね。
ただ山村とのコンビなら山村が第1FWになってくれるので、この試合では両チーム合わせて最多のシュートを放ってますし、枠内シュートも多かったので徐々に点は増えていくんじゃないでしょうか。