2018年10月31日 19時00分:県立カシマサッカースタジアム
予想スタメン |
明治安田生命J1リーグ 第31節。セレッソ大阪が敵地県立カシマサッカースタジアムで戦う鹿島アントラーズとの一戦は、鹿島がACLで勝ち進み決勝進出を決めた関係で前倒し。他の試合に先がけ10月31日の水曜日に行われる。
■前回の対戦
今回の対戦もそうだが、両チームは共にACLに出場していたこともありそもそもACLによる変更の可能性のある日程に割り当てられていた両チームの対戦スケジュール。前回の対戦も鹿島アントラーズがグループリーグを突破した影響で日程変更。本来ならワールドカップによる中断前のゴールデンウィークあけに行われる第14節ながらも、シーズン折返しとなる第17節と第18節の間にあたる7月25日に前節から中2日というスケジュールで行われ、0-2でアウェイの鹿島アントラーズが勝利。セレッソのリーグ戦今季ホーム初黒星となった試合だった。
リーグ戦再開初戦の清水戦に完敗を喫しそこから3試合目。そして中2日。さらにこの後も1ヶ月以上連戦が続くということでセレッソはこの試合でターンオーバーを敢行。清武らは怪我で離脱している中、2トップには杉本とトップチームでのリーグ戦デビューとなる山内を起用。2列目には田中亜土夢と水沼。ボランチにはオスマルと山口を起用し、DFラインは左から丸橋、山下、藤本、片山が入りGKにはキム・ジンヒョンが入る4-4-2。
一方の鹿島は中2日という条件は変わらないものの、ここからセレッソほど連戦は続かないということもあり、前節から変更はボランチの永木に代わってレオ・シルバが入る1人のみ。
2トップには鈴木と土居。2列目には安部と中村充孝、ボランチでレオ・シルバと並ぶのは三竿健斗、DFラインには右から西、犬飼、昌子、安西が並び、GKにはクォン・スンテが入る4-4-2となっていた。
そしてこの試合で結果以外で大きな出来事となったのが昌子の負傷。水沼のシュートをブロックに行った際にスパイクが芝に引っかかったような形になり途中交代。前節の浦和戦でようやく復帰している。
試合内容に戻すと、4-4-2対4-4-2。スタッツ的にも比較的似たところもある両チームだが、セレッソは4-4-2のポジションバランスを崩さず攻撃するのに対して、鹿島はこの布陣を4-2-2-2的な捉え方をする。
なのでセレッソはサイドチェンジから、鹿島はSHとSBの斜めの関係からと異なる形で共に攻撃を仕掛けるのだが、徐々に鹿島のもう1つの特徴である前線からの守備によりセレッソに布陣に間延びが発生。セレッソは杉本にボールが収まればアタッキングサードまでボールを運べるが、納まらなければカウンターを受けるという形になっていく。
その結果、ボール保持もパス数もシュート数も走行距離も多いのはセレッソなのだがアタッキングサード侵入回数は鹿島の方が多いという試合になっていた。
鹿島の先制点もそんなカウンターがきっかけ。
丸橋が上がったところで、カウンターにはCBの山下と藤本、さらに右SBの片山が絞って対応しようとしていたのだが、鹿島の縦パスが田中亜土夢の出した足にあたりこぼれ球の様な形になったところに藤本が安易に飛び込んでしまい外されると鈴木の独走を許してしまった。
そしてこの得点の直後にはセレッソ陣内でボールを奪ったところから得たFKで、そのこぼれ球を拾った昌子に代わって入った町田が片山をかわしクロス。飛び込んだ土居がニアで合わせて鹿島が追加点を奪った。
右SBに入った片山は逆サイドからのクロスなどに対しては体の強さを発揮していたものの、自分のサイドから攻められた時は、鹿島のSHとSBが同じレーンにいない形で攻めてくるので常に2択を迫られている状態になってしまっており、後手を踏んでしまう場面が続いていた。
終盤にはセレッソが藤本に代えてソウザを投入し、オスマルを初のCB起用、さらに攻撃時には丸橋をスタートから高い位置に進出される片上げ3バック化の様な形を見せるが、鹿島は丸橋番として右SHに永木を投入。そのまま0-2で逃げ切る形となった。
■現在の鹿島アントラーズ
前回の鹿島戦の後3バックに変えていたが、前節から再び4-4-2へと戻したセレッソ。ということで、まずは前回対戦時のところにも少し書いた鹿島とセレッソの4-4-2の違いから鹿島の戦い方を見ていく。
ボール保持にそれほどこだわらなかったり、被シュート数が少なかったりと似たようなスタッツも多く、同じ4-4-2で表される両チームだが、先程書いたようにセレッソは4-4-2のポジションバランスを崩さず攻撃するのに対して鹿島は4-2-2-2的な捉え方で攻撃を仕掛けるという違いがある。
この違いは結構大きく、セレッソはサイドでSHとSBが同じレーンに立ちそこにボールサイドのボランチが絡むことでボールを運ぼうとするが、鹿島はSHとSBは同じレーンに立たず斜めの関係を作り攻め込んでくる。
基本的にはSHが中、SBが外という関係になることが多いが、鹿島のSBは前回対戦時に出場していた西や安西、さらには内田や山本脩斗など鹿島のSBは組み立てに参加できる選手が揃っているため、SBが中、SHが外という形も可能。なので外を縦にボールを運ぶだけではなく外〜中〜外という形も多い。
しかしこういった攻撃をするということは4-4-2の形を崩さずに攻めるよりも当然ボールを失った時のバランスは悪い。ここでポイントとなっているのは前線からのディフェンス。
2トップにも守備のタスクを与え、ここではめ込むことで守備の安定性を維持。対戦相手のアタッキングサードプレー数、ボックス内プレー数もリーグトップレベルの少なさとなっている。
なので逆に言えば、この前線からの守備がはまらないと苦戦する傾向にあり、前節の浦和戦では1チャンスをものにし先制したものの守備がはまらず前半は浦和に試合を支配され、結果3-1で敗れている。
そして高い位置から守備をするということは、後ろの人数は薄くなってるということでもある。
そのため最終ラインはかなり人に対する意識が高くマンツーマン気味。なので相手FWが下がってボールを受けようとするとCBはかなりの距離でもついていき激しく守備をする。ここを相手に飛ばされ一気に前で起点を作られると一気にピンチにつながってしまうからだ。
ここで潰せるかどうかが鹿島の守備の2つめのポイントとなっている。
そして現在のチーム状況だが、今季はACLでは勝ち進んでいたもののリーグ戦ではシーズン序盤から勝ちきれない試合も多く、第10節を終えた時点で3勝3分4敗と黒星が先行。前半戦はかなり苦しんでいた。
しかし8月に入ると勝ち星を重ね始めると、広島や東京、セレッソ、札幌などの前半戦での上位陣が勝てなくなったこともあり一気に順位をあげ、さすがに優勝争いにはとどかないものの3位争いに加わる現在5位と調子をあげてきた感がある。
がしかし、実は10月の公式戦では勝利したのは10月3日に行われたACL準決勝ファーストレグの1試合のみ。その後はリーグ戦で川崎と引き分け浦和に敗れる1分1敗。ルヴァンカップ準決勝でもマリノス相手に1分1敗。先日のACL準決勝セカンドレグでも引き分けているので10月に行われた6試合で1勝3分2敗と実はそれほど勝てていない。
■プレビュー
鹿島アントラーズの先発メンバーだが、大きなポイントとなるのはホーム連戦とはいえこの試合から中2日で迎えるACL決勝ファーストレグをどういう状態で臨むかだろう。内田、中村充孝らを怪我で欠く鹿島は1週間前のACL準決勝セカンドレグで先発した鈴木、セルジーニョ、安西、土居、三竿健斗、レオ・シルバ、西、チョン・スンヒョン、昌子、山本、クォン・スンテの11人が何もなければおそらくファーストチョイス。
ACL決勝ファーストレグはこの11人を中心に起用したいはず。しかし来季のACLを考えると勝ち点の近いセレッソに負けるのはキツい。前節の浦和戦で敗れているからなおさらである。
それを踏まえると、ホーム連戦だから今節は連戦をさせ休ませるのは次節の柏戦という判断もありえ、そうなると先程の11人をベースに代わるとすれば右SHに遠藤という形ぐらいになる。
しかし逆にクラブ史上初のACL決勝なのであくまで狙うのはここという判断になれば大幅なターンオーバーもあり得る。
U-19日本代表を離れた安部の先発はさすがに無理だろうが、2トップに今季2試合に先発している金森と先発出場は無い山口。2列目には先発1試合の田中とこれまでリーグ戦での出場はない久保田。ボランチには永木と小笠原。DFラインでは先発3試合の小田、犬飼、昌子、先発5試合の町田。GKはクォン・スンテというかなりフレッシュな顔ぶれになる可能性もある。
一方のセレッソ大阪の先発メンバーだが、こちらは次節も11月6日と日程的に余裕があるので勝利した前節FC東京戦のメンバーがベースとなるだろう。
ただ、気になるのが清武が足の違和感で前々日の練習を途中で切り上げたとの情報があること。清武はその能力はもちろん前節見せた戦い方では大きなポイントとなっていた選手だっただけに、離脱となるとかなりの痛手だ。
出場が無理なら高木、福満のどちらかということになる。
試合のポイントとなるのは鹿島のプレッシングに対してセレッソがどのように対抗するかだろう。
その方法はいくつかあるが、前節見せたような攻撃時に丸橋を最初から前に出す片上げ3バックを行うなら右SBと左CBに入るであろう田中裕介と山下がビルドアップの起点になれるかどうか。前節はここで起点になれずボランチに頼り切りとなったため、ボランチのところを狙い撃ちにされた。
鹿島もおそらくそれは狙っているはずで、ソウザと山口に時間とスペースを与えられるかどうかは田中裕介と山下にかかっている。
そしてもう1つは前線の杉本のところでボールを納められるかどうか、またこのセカンドボールを2列目と柿谷が拾うことができるかどうかだろう。
鹿島のCBは杉本へはかなり厳しくアプローチに来ることが予想される。
前節のように杉本であればそれでも何度かはボールを納めることができるとは思うが、その確率を上げることができるのは周囲のサポート。特に前節は足下で受けようとするプレーばかりが目立った柿谷がどれだけ裏を狙えるかが杉本の成功率に大きな影響を与えるだろう。
ここで鹿島に勝つことができれば、残り試合が1つ多いセレッソは3位の可能性が一気に広がるだけに、厳しいアウェイでの試合だが勝ち点3を持ち帰りたい。
0 件のコメント :
コメントを投稿