2018年11月6日 19時00分:キンチョウスタジアム
予想スタメン |
台風の影響により延期となっていた明治安田生命J1リーグ 第28節、セレッソ大阪対名古屋グランパスの一戦が11月6日に改修工事を目前にしたキンチョウスタジアムで行われる。
この試合が終われば全チームが31試合を終了。今季も残り3試合となる。
■前回の対戦
前回の対戦はゴールデンウィーク中の5月2日に行われた第12節。雨のパロマ瑞穂スタジアムで行われた試合は0-0のスコアレスドローに終わっている。当時の状況を振り返ると、名古屋は開幕連勝スタートとなったものの第3節に引き分けてからこの試合の前までなんと8連敗。この期間中6得点21失点とひたすら失点を重ね順位は最下位と苦しんでいた。
そんな中での試合ということでスタメンを入替え。DFラインには怪我から復帰の新井を含め、菅原、ホーシャ、櫛引とCBの選手を起用。中盤のバランサーとして昨季からチームを牽引してきた小林を外しダブルボランチには長谷川アーリアジャスールと宮原。SHには青木と和泉を起用し2トップはジョーとシャビエルが入る驚きのメンバーとなった。
一方のセレッソはけが人と過密日程に苦しんでおり、前節第11節の磐田戦は何とか引き分けに終えたものの試合は完全に支配される厳しい内容。オスマルは復帰したもののソウザが不在でさらに杉本もこの試合の直前に離脱。ベンチ外との情報もあったヤン・ドンヒョンが1トップで先発となり、トップ下には負傷明けながら3試合連続先発の清武。左右のSHには福満と高木が入り、ボランチには山口とオスマル。DFラインは松田、ヨニッチ、山下、丸橋が入る4-2-3-1となる。
清武がトップ下に入る4-2-3-1は今季初めてだったが、この清武も負傷明けからの連戦が祟ったのか前半23分で負傷交代。交代で山村が入り4-4-2へと変わっている。
試合展開は、序盤から名古屋のボール保持で進んでいくが、セレッソの4-4のブロックの前にピッチを3つに分けた時のセンター中盤のエリア、ミドルサードまではボールを運ぶものの、その前のセレッソゴールに近いエリアとなるアタッキングサードへはボールがほとんど入れられないという厳しい状態。
一方、セレッソは名古屋が前に出ることで出来たスペースを使ってサイドからボールを運ぶことでアタッキングサードまでボールを運ぶことができていた。
しかしこのセレッソの攻撃の前に立ちはだかったのが名古屋の4CB。この4人のCBはペナルティエリアの幅から出ること無く中央を固め、サイドのレーンにはSHが戻ってくるというかなり守備に軸足をおいた形でセレッソのサイドアタックを跳ね返す。
しかしこのSHを戻す守備の影響でいざボールを奪っても前線でジョーが孤立。試合の中盤以降は名古屋はチャンスらしいチャンスを作れず公式記録では試合を通じて名古屋のシュートはわずか3本に終わっている。
一方のセレッソは押し込んだ形からチャンスを作るもののチャンスに決められず。終盤には長谷川アーリアジャスールが退場となりより撤退意識を強めた名古屋の守備を崩しきれず0-0で試合終了。スコアレスドローに終わった。
■現在の名古屋グランパス
厳しい状態で中断期間を迎えた名古屋だったが、中断あけ初戦の浦和戦に敗れ、翌広島戦でも引き分けに終わったものの、最初に台風の影響で延期となった18節の次戦、第19節からなんと7連勝。最下位から一気に順位を上げ降格圏を脱したかに思われた。しかし第26節の長崎戦に敗れるとここからの6試合を1勝5敗と再び勝てない泥沼状態に転落。
唯一勝った第30節の柏戦でもどちらかといえば柏の拙攻と退場者に助けられた形だ。
勝っていた7試合と勝てなくなった6試合で最も異なっているのは得点数だろう。
勝っていた7試合は24得点・8失点で1試合平均だと3.42得点/試合・1.14失点/試合。
勝てなくなった6試合は8得点・12失点で1.33得点/試合・2失点/試合。
と得点が取れなくなったことが大きく響いている。
まず勝っていた頃の名古屋を考えてみよう。
名古屋は風間監督が指揮を取ることからスタイルとしてはショートパスをつなぐポゼッションサッカーというイメージが強いのではないだろうか。
実際にシーズン前半戦の17試合でのボールポゼッション率は52.8%を記録。これはマリノス、川崎、神戸に次ぐ4番目の数字である。しかし勝っていた第19節〜25節の7試合の平均ポゼッション率は48.7%。50%を切っており特にボールを持つサッカーは行っていなかったのだ。
また
ではどんなサッカーを行っていたか。そのヒントになる1つがパス数。
パス数は前半戦の624.5本/試合から543.4本/試合と80本近く減少。この543.4本/試合も平均よりも上だが、川崎が同期間で751.5本/試合のパス数を記録しているのと比べると「同じスタイル」とは言えないほどの差がある。
次に気になるデータがエリアごとのプレー比率の比較。
名古屋はミドルサードでのプレー比率がリーグで3番目に高い49.7%を記録している一方で、アタッキングサードでのプレー比率は22.2%でリーグ最少。さらにシュート数12.8本/試合もリーグ平均13.4本/試合以下である。
このリーグ平均以下のシュート数でありながら1試合平均3.42得点と高い得点率を誇っていたのは、枠内シュート率がリーグ平均の32.2%を大きく上回る50.0%を記録していたからである。
つまり名古屋は、ミドルサードではショートパスをつなぐことで相手を引き出し、こうしてできた背後のスペースを、アタッキングサードでは手数をかけず相手が守備を固めてしまう前に一気に縦に速くフィニッシュまで持っていっていくというスタイルで結果を残していたのだ。
これはミシャシステムを使っていた時の広島に近いスタイルと言える。
そしてこの戦い方で最も重要なのは攻撃が一気にスピードアップするきっかけとなる縦パス。
広島では青山が行っていたプレーなのだが、名古屋でこのパスを出せるのは川崎から加入したエドゥアルド・ネットとFC東京から加入した丸山。
名古屋が勝ち始めたタイミングと彼ら2人が加入した時期が同じなのは決して偶然ではなく、彼ら2人が戦術的に大きな役割をこなすことで勝てる様になったと言えるだろう。
そして勝てなくなった理由はこのエドゥアルド・ネットと丸山のところから一気に縦パスでスピードアップすることが出来なくなったということ。
その結果、チーム全体のペナルティエリア周辺のプレー数は50.4回/試合から49.0回/試合とほぼ変化が無いのだが、50.0%を記録していた枠内シュート率は34.1%へと低下。
勝利していた7試合中6試合に出場し12得点と荒稼ぎしていたジョーが、勝てなくなった6試合では3得点。シュート数4.7本/試合・枠内2.5本/試合からシュート数2.8本/試合・枠内1.2本/試合といい形でシュートを打てていない。
■プレビュー
セレッソ大阪の先発メンバーだが、前節に向けてのトレーニングで離脱した清武はまだ復帰には間に合わないということで前節と同じ11人が並ぶ可能性が濃厚。柿谷と杉本の2トップ。高木、ソウザ、山口、水沼の中盤。丸橋、山下、ヨニッチ、田中裕介の4バックにキム・ジンヒョンが入る4-4-2となるだろう。
一方の名古屋グランパスの先発メンバーだが、前節は4バックスタートで右SB、途中3バックに変えてからは右CBに入った櫛引が今節は累積警告で出場停止となることから、おそらく今節もスタートは4バック。前節櫛引が入っていた右SBには和泉が入り、CBは中谷と丸山、左SBには金井。ボランチにはバランサーの小林とキーマンのエドゥアルド・ネット。2列目は右に前田、左に玉田が入りジョーとガブリエル・シャビエルの2トップとなるSB以外は前節と同じ4-4-2が濃厚か。金井は名古屋では左SBでの起用がほとんどだが、右SBでもプレーしていたことも多いので金井が右SBで和泉が左SBという形もあり得る。
また、名古屋は前節から中2日ということを考慮すると玉田の位置に児玉や青木でスタートするという形も考えられる。
試合のポイントとなるのは、エドゥアルド・ネットと丸山からの縦パスをセレッソがどう防ぐかだ。高い位置からアプローチに行ってもいいし、4-4-2で中央を締めても良い。どちらのやり方でもいいが徹底することが大切となる。
そしてそれは攻撃でも同じ。前節はちぐはぐさが目立ちチームとしてどういう戦い方がしたいのかがよくわからない試合になってしまった。
名古屋はミドルサードまでボールを丁寧に運ぶのでボールより前に人数をかける。ということは奪った時に敵陣にはスペースがあるここを一気に狙ってもいい。
また名古屋は守備では自陣で4-4-2のブロックを作る。
しかし前回対戦時の様に人に引っ張られてしまいブロックが広がってしまう傾向も強く、名古屋のディフェンシブサード、つまり相手にアタッキングサードまで侵入される回数もリーグワースト。ここでもしっかりと意思統一できればチャンスは作れるはずだ。
実質決まっているとはいえ、この試合に勝利すれば残り3試合で16位名古屋と勝ち点差13となり正式に残留が確定する。
不甲斐なかった前節を払拭するためにも、きっちりと勝ちきりたい試合だ。
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