2018年11月10日 14時00分:ヤンマースタジアム長居
予想スタメン |
明治安田生命J1リーグ 第32節 、セレッソ大阪は本拠地ヤンマースタジアム長居で川崎フロンターレと対戦。川崎フロンターレがこの試合で勝利した場合、勝利できなくても同時刻キックオフとなるエディオンスタジアム広島でのサンフレッチェ広島対ベガルタ仙台の試合で広島が敗れた場合、もしくは川崎と広島が共に引き分け両チームの勝ち点差が詰まらなかった場合、川崎フロンターレのリーグ優勝が決定する。
■前回の対戦
今季川崎とは開幕前の2月10日に行われたゼロックススーパーカップ、4月11日に行われた第7節で2度の対戦がありどちらもセレッソ大阪が勝利している。まずは2-3で勝利したゼロックススーパーカップから。
ワールドカップによる中断期間の影響で、普段ならまだキャンプが行われているような2月上旬に行われたゼロックススーパーカップ。両チーム共に翌週のミッドウィークにはACLグループリーグ第1節を控えている。
川崎のメンバーは1トップに小林、2列目に家長、中村、阿部、ボランチに大島とエドゥアルド・ネット、最終ラインには田坂、奈良、谷口、車屋、GKにチョン・ソンリョンという4-2-3-1。
エウシーニョはキャンプ中の練習試合で負傷しメンバー外となっている。
一方のセレッソは、2トップに柿谷と杉本、中盤には水沼、山口、山村、清武、最終ラインには松田、ヨニッチ、山下、丸橋、GKにはキム・ジンヒョンという4-4-2。
ソウザはコンディション不良のためボランチには山村。また木本も当初はベンチメンバーに入っていたが体調不良ということで急遽メンバー外に。そのためベンチメンバーは6人となっており、高木とヤン・ドンヒョンはベンチスタートとなっていた。
試合展開もちろん川崎がボールを持つ形で進んでいくが、セレッソの4-4-2が機能。川崎は1トップと2列目3人はブロックの中で完全に窒息。川崎が初めてボックス内でシュートを打ったのはセレッソが26分に山口のゴールで先制したあとの37分でしかもこぼれ球という形だった。
しかしここから徐々に川崎も中村がブロックの外、家長がハーフスペースに立ちここからのポジションチェンジを起点に中央から攻撃をしかけるがどうしてもセレッソの圧縮した4-4-2の前に攻めきれない。
川崎が中村と森谷に代え大久保と大島、セレッソは柿谷に代えてヤン・ドンヒョンとメンバーを入替えて始まった後半開始直後にロングボールのフリックで抜け出した清武が追加点を決めると、川崎もPKで1点を返すが、ヤン・ドンヒョンのスルーパスから清武と交代で入った高木が決めてさらに追加点。終了間際に大久保のゴールで川崎が1点を返すものの2-3で試合終了。セレッソはスコア以上に川崎を圧倒し勝利となった。
次に1-2で勝利した第7節。
前節から川崎が中2日でセレッソが中3日、さらにこの試合の後、中2日を挟んで週末にはリーグ戦戦の次節が行われるという過密日程の中の一戦。
川崎は前節から6人を入替え、中村、阿部、車屋がベンチ外。エウシーニョ、奈良、家長がベンチスタートとなり、知念、小林、大久保、長谷川、大島、エドゥアルド・ネット、武岡、谷口、エドゥアルド、登里、チョン・ソンリョンという11人。
知念、小林、大久保とFWが並ぶが、1トップは知念で小林が右SH、大久保がトップ下、長谷川が左SHという4-2-3-1の布陣となる。
一方のセレッソも前節から6人を入替え。
ヤン・ドンヒョン、柿谷、福満、山口、山村、田中亜土夢、片山、ヨニッチ、山下、丸橋、キム・ジンヒョンという11人。ソウザが離脱中、オスマルがベンチ外となっており、ベンチには開幕戦以来の復帰となる清武に加え杉本、高木、木本とさらに次節の東京戦でトップチーム初先発を飾る西本が入っている。
試合はやはり川崎がボールを持つ形で始まるが目立った動きをみせていたのが普段の中村の様にトップ下から下がって組み立てに参加する大久保。
どうしても連動性がかける2トップの背後、4-4-2の4-4と2の間を占拠する。
そして先制点は川崎。22分にセレッソの背後のスペースにエドゥアルド・ネットが長いボールを入れるとこの日かなり強かった風の影響で知念がコントロールに成功。ゴールに流し込んだ。
しかしその9分後に丸橋が強烈なFKを決めて同点に追いつくと、さらにその5分後には田中亜土夢のCKからこぼれ球を福満が飛び込みゴール。前半のうちにセレッソが逆転に成功する。
このゴールが福満にとってJ1初ゴールとなり、これで九州リーグ、JFL、J3、J2、J1、天皇杯、ルヴァンカップと地域リーグ以上で日本国内で行われている大会全てでゴールを記録したこととなった。
この試合でも川崎はボールは持つもののやはりセレッソの4-4-2の前に前線の選手は窒息。大久保が下がり、小林と長谷川が中に入るという形はあまり機能しているわけではなかった。
その結果カウンターなどでボールを運ばれる回数も多く、セレッソにセットプレーの機会を多く与えていた。また右SBの片山が長谷川との1対1で完全に封じていたことも大きかった。
後半早い段階の55分に川崎は2枚替え。エドゥアルド・ネットと長谷川に代え、守田と齋藤学を投入。守田の3列目からの飛び出しには可能性を感じたが、齋藤学のカットインはどうしてもセレッソのブロックに突っ込んでいく形となり効果が上がらず。
試合はそのまま1-2で終了している。
そして川崎は今季ここまで先制した19試合中16勝と圧倒的な勝率を誇っているのだが、唯一逆転負けを喫したのがこの試合。
ちなみに昨シーズンは一度も逆転負けが無かったので、川崎にとっては2016年11月3日のセカンドステージ最終節ガンバ大阪戦以来のリーグ戦逆転負けだった。
■現在の川崎フロンターレ
ワールドカップによる中断期間前までは勝ちきれない試合もあり5位前後をうろうろしていた川崎だが、徐々に調子を上げワールドカップ中断以降は快進撃。広島の大失速もあって第28節で勝ち点が並ぶとみるみる突き放し、今節で優勝が決まるかというところにまで到達した。J1が18チームとなった2005年以降、2ステージ制だった2015年、2016年を除く昨季までの11シーズンで最終節まで優勝が決まらなかったのは9回。
逆にいうと最終節を前にして優勝が決まったのは、3試合を残して優勝を決めた2010年の名古屋と、1試合を残して優勝を決めた2012年の広島の2チームしかないのだが、川崎がそこに加わろうとしている。
ここに至った原因は、先程も書いた広島の大失速だけでなく、中断前に2位だったFC東京、1試合少ない状態で4位だったセレッソ、5位だった札幌、6位だった神戸など上位陣が軒並み後半戦で勝ち点ペースを落とした影響も大きいが、川崎のチームとしての充実度が主な要因だろう。
今のJリーグで頭一つ抜けた感すらある。
川崎といえばパスサッカー、得点力など攻撃に注目があつまる。
得点数とボールポゼッション率こそそこに特化した新戦術が機能しはじめたマリノスに次ぐ2位だが、パス数、シュート数、枠内シュート数、敵陣30m侵入回数、ペナルティエリア侵入回数が1位だ。
しかし川崎の強さはそれだけではない。
失点数、被シュート数、被枠内シュート数もリーグ最少(被シュート数が1試合平均8.6本と1桁代なのは川崎のみ)。
シーズン折り返し以降だと失点数は2位となるが、被シュート数、被枠内シュート数は継続してリーグ最少。そしてさらに、対戦相手のパス数、自陣での被パス数、ディフェンシブサードでの被パス数及び被プレー数、自陣30m以内での被プレー数、自陣ペナルティエリア内被プレー数、被ドリブル数、被スルーパス数、被クロス数、与CK数など守備面での様々な要素がリーグ最少。守備面でのスタッツが飛び抜けているのだ。
ボールを保持し攻撃を続けることで相手の攻撃機会を減らすという考え方がベースになっているのだが、それを実現するために単にボールを繋ぐだけでなく「相手から素早くボールを奪い返す」ことがセットで成り立っていると言える。
そして実は川崎はボールなしでもサッカーができる。
今季ここまでボールポゼッション率が50%を切った試合が第9節の鹿島戦、第11節の神戸戦、第26節の札幌戦と3度あるのだが、この3試合はいずれも勝利。戦い方の幅も持ち合わせていると言えるだろう。
敗れた6試合、第5節広島戦、第7節セレッソ戦、第12節浦和戦、第13節東京戦、第19節浦和戦、第25節ガンバ戦をみると共通点がある。
いずれも60%前後のポゼッション率を記録した試合ばかりでボールを保持することはできているのだが、これらの試合では対戦相手がボールを奪った時にいずれも比較的シンプルに前線にボールを運ぶ戦いを行っており、川崎は前線からのプレッシングが機能していなかった。
その結果行き来の激しい試合となり、最終的にはかなり相手に自陣でのプレーを許すことになっている。
相手が低い位置でボールを持たない、ディフェンシブサードでのプレー率が低かった順に8試合の結果は1勝1分6敗と全ての敗戦がこの中に含まれており、唯一勝利した第12節の柏戦でも柏に先制を許し、アディショナルタイムの逆転ゴールで何とか勝利した試合だった。
そしてここ2シーズンのセレッソが対川崎戦で4勝1敗と大きく勝ち越している要因は、ロングボールを使って一気に前線に持っていけるからという部分があるのかもしれない。
■プレビュー
セレッソ大阪の先発メンバーは、清武、松田、山村の怪我で離脱しているメンバーは一部トレーニングに戻っているようだが復帰はまだ先。おそらく前節と同じ11人が並ぶのではないだろうか。ここ2節の内容を普通に考えればメンバーの入替えがあっておかしくない。しかし変わらない可能性の方が高いだろう。尹晶煥がチームとして戦えるかどうかを彼ら11人にかける形だ。
川崎フロンターレの先発メンバーは、前節は負傷明けでベンチとなった大島、さらに負傷離脱していた車屋が復帰。しかし小林悠が負傷離脱となったためいくつかのポジションで前節から選手の入替えがあるだろう。
小林悠の代わりに1トップに入りそうなのは普通に考えれば知念で2列目に家長、中村、阿部と並ぶ形になるが、トレーニングでは阿部の1トップも試していたとの情報がある。
もし阿部が1トップに入る場合は左SHには登里が入ることになるだろう。
そしてボランチには守田と大島。最終ラインはエウシーニョ、奈良、谷口、車屋と並び、GKには出場停止明けのチョン・ソンリョンが入る。
試合はやはり川崎がボールを握る展開で進むだろう。
なのでセレッソがやるべきことは、とにかく戦い方を統一させること。
ディフェンスのスタートポジション、4-4-2のブロック。4-4と2の間を握られると面倒なので普段より少しだけでも4-4と2が連動してくれればいい。
そして攻撃では速く敵陣にボールを運ぶこと。
川崎は自陣でボールを繋ごうとするチームにはめっぽう強い。ここでボールを奪い返し延々攻めてくる。なので長いボールを上手く使って速く攻めたいところだ。
冒頭にも書いたが、ここ2シーズンの対戦成績がセレッソの4勝1敗。
5回戦って4回勝つというのは偶然ではありえない。
川崎に勝つ方法はチームがわかっているはずだ。
広島対仙台の結果次第ではこの試合の結果にかかわらず川崎の優勝が決まるが、まずはこの試合に勝利し目の前での優勝を回避できる様にできることをやってほしい。
2005年以降の11シーズンで最終節を前に優勝を決めたのは2010年の名古屋と2012年の広島の2チームのみ。ということは最終節を前に目の前で優勝を決められたのも2010年の湘南と2012年のセレッソの2チームしかいない。
これだけの確率の中さすがに2度目は避けたいというが正直なところだ。
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